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この項目では、弦楽器における奏法について説明しています。エレクトリックギターにおける奏法については「ボウイング奏法」を、アメリカの航空機メーカーについては「ボーイング」をご覧ください。 |
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ボウイング(Bowing)は、運弓法(うんきゅうほう)ともいい、擦弦楽器にあって弓をどのように動かすかという方法をいう。
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのヴァイオリン属の楽器など、擦弦楽器では弓の毛の部分を楽器の弦(げん)の上を垂直に交わるように接触させて音を出す。弓や弦の位置、接触させる毛の量(弓を傾ける角度)、弓を動かす方向、弦に加える力の強さ、弓を動かす速さによって音の強さや音色が変わる。あまり使われないがエレクトリックギターを強く歪ませた音にして使われる事もある(⇒ボウイング奏法を参照)。
右手全体をリラックスさせて、自然と弓がぶら下がるように持つ。 過度に力を入れすぎないよう、演奏に支障が無いように軽く持つ。 各指の位置に特に規定は無く、自分の演奏しやすいように持つのが一般的である。
右手で弓を持ち、常に弦に対して垂直に交わるように往復させる。弓は直線運動であるのに対し、人体の構造上肘を屈伸させると手先は円を描く。各楽器によって弓の持ち方が異なるが、円運動を直線運動に変換させるためには手首と指の使い方が肝要である。
弓は腕で押し付けずに、手首の軽い圧力で弾く。 腕は、根元では弓を押す様にし、先端では力を抜く。弓に対する指の圧力は、前述のように力まないようにする。
弓の一端を手で保持するので、手に近い方(元という)と遠い方(弓先という)では当然力の入り方が異なる。元の方が強い音に適する。通常、繊細な表現をしたい時は先の方で奏する。
基本は、駒と指板の(駒側の)端の中間を弾く。 弦の中央(振幅の中心)に向かって駒から遠い方が柔らかく小さい音に、逆に端(駒)に近い方がきつく強い音になる。また駒よりで弾くと、高音を出しやすい。前者をスル・タスト、後者の極端なものをスル・ポンティチェロと言い、しばしば作曲者によって奏法が指示される。
弦に接触させる弓の毛の量が多いほど、量感のある音となり、逆に少ないほど繊細な音になる。弓の毛の量は、弓を傾ける手首の角度によって調整される。
元から先に毛を使う方向をダウン・ボウ(下げ弓)、逆をアップ・ボウ(上げ弓)と言い、それぞれ、の記号を使う。一般的にダウン・ボウを強拍に、アップ・ボウを弱拍に用いる。
また、だんだん弱くなる場合にはダウン・ボウが、だんだん強くなる場合にはアップ・ボウが適する。
しかし、基礎練習時に関しては別で、ダウン・ボウ、アップ・ボウ両方において、同様の表現が出来る様に(根元と弓先で均一な音を出せる様に)練習をする。
楽譜にスラーが書かれていれば、それは複数の音に対して一弓(ひとゆみ)で演奏することを意味する。また、トレモロは逆に一つの音を何度も速く細かく返して(方向を変えること)演奏することであり、独特の聴感がある。合奏の場合は全員が同時に返す場合と、同時でなくなるべく速く返すようにする場合とがあり、聴感が異なる。
スラーの場合、ヴァイオリンとヴィオラでは上行音型にはダウンボウが適し、チェロとコントラバスでは逆になる。これは楽器を構える方向が体に対して逆、すなわち弦の高低の順番が弓に対して逆(ヴァイオリンとヴィオラでは高い弦が弓元に近く、チェロとコントラバスでは低い弦が弓元に近い)である事に起因する。 非常に長い範囲にスラーがかかっていて記譜通りに演奏するのが不可能な場合は途中で弓を返す必要がある。この場合、奏者はアーティキュレーションの性格を損なわないよう注意して演奏する。音が途切れないようにするのは独奏の場合は難易度の高い技術である。合奏では、ひとつのパートの中で(他の奏者と)返すタイミングを意図的にずらすことで音が途切れないようにする。
同じ音形でも弓の使い方によって表情が変わってくるため、指揮者が運弓法を指示することも多い。
弓の毛を弦に接触させる圧力が強い(「腕に重みをかける」ともいう)ほど、また弓を動かす速さが速いほど音量は大きくなる。ただし、同じ音量であっても、圧力が強く弓の動きが遅いときと、圧力が弱く弓の動きが速いときでは音色が異なる。
弓の元から先まで(逆も)全部ひと弓で使い切ることを全弓という。全弓で往復させながら一音一音を分離させて演奏することをデタシェと言い、これは運弓の基本とされる。
弦の少し上から弓を落とす感じで軽く叩くようにして演奏するのを一般に「飛ばし(スピッカート)」という。 また同種の奏法として、同じ方向に(大抵はアップ・ボウで)連続してスタッカートを行う事をソリッド・スタッカートという。 基本的に腕や手の筋肉の緊張によって引き起こされる"痙攣(けいれん)"を利用して行われる(手首だけを使う演奏家、手首と前腕を使う演奏家もいる。この奏法には個人差があり、痙攣が遅すぎてソリッド・スタッカートにならない者や、速すぎて音にならない者もいる。
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