- 英
- pertuzumab
- 商
- パージェタ
- 関
- 抗悪性腫瘍薬
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/04/30 03:37:44」(JST)
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ペルツズマブ (pertuzumab)は、乳がんの細胞表面のHER2をターゲットとしたヒト化モノクローナル抗体。抗がん剤として、転移性病変のため抗HER2療法または化学療法を以前に受けていないHER2陽性転移性乳癌患者への治療に、トラスツズマブ(ハーセプチン・中外製薬)およびドセタキセル(タキソテール・アベンティス ファーマ社など)と併用して使用される、癌の増殖などに関係する特定の分子を狙い撃ちする分子標的治療薬のひとつ。医薬品名はパージェタ(Perjeta:中外製薬/日本)。HER2が細胞膜に発現していない乳がんの場合は効果が期待されないとされる[1]。
概要
ペルツズマブは、がん細胞の細胞膜に存在して腫瘍細胞の増殖に大切な役割を果たしているHER2レセプターと 他のHERレセプター(EGFR/HER1、HER3およびHER4)が二量化して増殖シグナルをがん細胞に出す事を特異的に阻害するとされる。 また、ペルツズマブがHER2に結合することにより、免疫細胞を活性化(抗体依存性細胞傷害(antibody dependent cellular cytotoxicity)活性)させて、がん細胞を殺す効果も期待されている。ペルツズマブとトラスツズマブの作用機序は相に補うものの、HER2受容体への結合部位は異なっており、化学療法の併用によりHERシグナル伝達系をより広範囲で遮断できると考えられている[2]。
参考文献
- ^ Perjeta (Pertuzumab) Label - Accessdata FDA /米国食品医薬品局(FDA)医薬品情報サマリー[1]
- ^ 中外製薬ホームページ「抗悪性腫瘍剤ペルツズマブ(遺伝子組換え)HER2陽性転移・再発乳がんを対象とした製造販売承認申請」2012年05月25日[2]
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 症例報告 Trastuzumab+Pertuzumab+Docetaxel療法にて病理学的完全奏功を得たHER2陽性局所進行乳癌の一例
- 日大医学雑誌 = Journal of Nihon University Medical Association 74(3), 117-120, 2015-06
- NAID 40020529354
- 乳癌に対するHER2阻害薬療法耐性の機序と展望 (AYUMI 分子標的薬耐性メカニズムと対策)
- ペルツズマブ,T-DM1(トラスツズマブ エムタンシン)
Related Links
- ペルツズマブについて ペルツズマブは、世界でいち早く個別化医療に取り組んだロシュ社の乳がん治療薬トラスツズマブと同様、HER2をターゲットとしたヒト化モノクローナル抗体です。HER2陽性乳がんの細胞表面にはHER2がたくさん存在 ...
- 欧州でもペルツズマブを用いた乳癌術前補助療法が承認に近づく 2015/ 6/30 スイスRoche社は、2015年6月26日、欧州で、同社のペルツズマブを含むレジメンが、再発リスクが高い、局所進行性または炎症性でHER2陽性の早期乳癌 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
- 抗悪性腫瘍剤
- 抗HER2注1)ヒト化モノクローナル抗体
注1)HER2:Human Epidermal Growth Factor Receptor Type 2(ヒト上皮増殖因子受容体2型、別称:c-erbB-2)
販売名
パージェタ点滴静注420mg/14mL
組成
成分・含有量(1バイアル中)
内容量
成分・含有量(1バイアル中)
有効成分
成分・含有量(1バイアル中)
添加物
- L-ヒスチジン43.5mg、氷酢酸9.2mg、精製白糖575.1mg、ポリソルベート20 2.8mg
- 注3)本剤は、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。製造工程の培地成分としてブタの胃組織由来成分(ペプトン)を使用している。
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
効能または効果
- HER2陽性の検査は、十分な経験を有する病理医又は検査施設において実施すること。
- 本剤の手術の補助化学療法としての有効性及び安全性は確立していない。
- トラスツズマブ(遺伝子組換え)と他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)として初回投与時には840mgを、2回目以降は420mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
- トラスツズマブ以外の他の抗悪性腫瘍剤の中止後に本剤を投与するときには、トラスツズマブと併用すること(【臨床成績】の項参照)。
- 本剤と併用するトラスツズマブ以外の抗悪性腫瘍剤は【臨床成績】の項を熟知した上で選択すること。
- 本剤を単独投与した場合の有効性及び安全性は確立していない。
- 何らかの理由により予定された投与が遅れた場合には、以下のとおり投与することが望ましい。
- 前回投与日から6週間未満のときには、420mgを投与する。
- 前回投与日から6週間以上のときには、改めて初回投与量の840mgで投与を行う。なお、次回以降は420mgを3週間間隔で投与する。
- 本剤投与時には、バイアルから本剤溶液を14mL抜き取り、日局生理食塩液250mLに添加し、点滴静注する。
慎重投与
- アントラサイクリン系薬剤投与歴のある患者[心不全等の心障害があらわれるおそれがある。]
- 胸部への放射線治療歴のある患者[心不全等の心障害があらわれるおそれがある。]
- うっ血性心不全若しくは治療を要する重篤な不整脈(心房細動、発作性上室性頻脈を除く)のある患者又はその既往歴のある患者[心不全等の心障害があらわれるおそれがある。]
- 冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者[心不全等の心障害があらわれるおそれがある。]
- 高血圧症の患者又はその既往歴のある患者[心不全等の心障害があらわれるおそれがある。]
- 左室駆出率(LVEF)が低下している患者[心不全等の心障害があらわれるおそれがある。]
重大な副作用
好中球減少症(50.9%)、白血球減少症(16.7%)
- 発熱性好中球減少症、好中球減少症、白血球減少症があらわれることがあり、感染症により死亡に至った例も報告されているので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
Infusion reaction
(8.8%注4))
- 悪寒、発熱、疲労、悪心、紅斑、高血圧、呼吸困難等を含むInfusion reactionがあらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、重篤なInfusion reactionがあらわれた場合には本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行うとともに、以降、本剤を再投与しないこと(「重要な基本的注意」の項参照)。
アナフィラキシー(1.0%)、過敏症(9.3%)
- アナフィラキシーを含む過敏症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺疾患
(0.5%)
- 間質性肺疾患があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
抗腫瘍効果5,6)
- 本薬はHER2を高発現するヒト乳癌由来BT474JB細胞株を皮下移植したマウスに対して、腫瘍増殖抑制作用を示した。また、HER2を高発現するヒト乳癌由来KPL-4細胞株を同所移植したマウスにおいて、トラスツズマブとの併用で腫瘍増殖抑制作用の増強が認められた。
作用機序6,7,8)
- 本薬は、HER2のダイマー形成に必須な領域である細胞外領域のドメインIIに特異的に結合し、リガンド刺激によるHER2/HER3のダイマー形成を阻害する。その結果として、リガンド刺激によるHER2のリン酸化、その下流に位置するPI3K-Akt及びMAPKの両キナーゼの活性化を阻害することで、細胞の増殖を抑制すると考えられる。
標的細胞としてKPL-4細胞、エフェクター細胞としてヒト末梢血単核球を用いた試験系では、本薬による抗体依存性細胞障害活性が認められた。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ペルツズマブ(遺伝子組換え)
(Pertuzumab(Genetical Recombination))(JAN)
分子式
- 軽鎖(C1043H1604N272O336S6)
重鎖(C2195H3387N583O672S16)
分子量
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