- 関
- グルタラール、防疫用殺菌消毒剤
- オルト-フタルアルデヒドを0.55%含有。グルタルアルデヒドよりも揮発性が低い、粘膜刺激性も弱い、皮膚刺激性が低い、皮膚感作性は陰性という特徴を持つ。 (disopa.jp:フタラール製剤)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/02/03 02:14:15」(JST)
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オルトフタルアルデヒド |
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別称
o-Phthalic dicarboxaldehyde
Benzene-1,2-dicarboxaldehyde
Phthaldialdehyde
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
643-79-8 |
PubChem |
4807 |
ChemSpider |
4642 |
日化辞番号 |
J45.641A |
RTECS番号 |
TH6950000 |
|
- InChI=InChI=1S/C8H6O2/c9-5-7-3-1-2-4-8(7)6-10/h1-6H
|
特性 |
化学式 |
C8H6O2 |
モル質量 |
134.13 g mol−1 |
外観 |
淡黄色固体 |
融点 |
114–116 °C
|
沸点 |
266.1 °C
|
水への溶解度 |
低 |
有機溶媒への溶解度 |
可溶 |
危険性 |
Rフレーズ |
R36/37/38 |
Sフレーズ |
S26 S28 S36 |
引火点 |
98.5 °C |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
オルトフタルアルデヒド(o-phthalaldehyde、ortho-phthalaldehyde、フタルジアルデヒド、フタラール)は芳香族化合物で、化学式はC6H4(CHO)2。
OPAと略されることもある。
目次
- 1 生化学
- 2 フタラール製剤
- 3 その他
- 4 脚注
- 5 外部リンク
生化学[編集]
C
6H
4(CHO)
2 / C
6H
4(CHO)(CH(OH)
2) / C
6H
4(CH(OH))
2O
OPAは、紫外線や空気酸化に弱い。
1級アミノ基のプレ・ポストラベル化試薬(高感度蛍光試薬)として、フルオレサミン(英語版)と共に広く使用される[1]。
N-アセチルシステイン(英語版)と共に使用すると、蛍光物質が生成する[2]。
フタラール製剤[編集]
OPAは、医療器具の消毒にも用いられる。
日本では、高水準消毒薬(芽胞が多数存在する場合を除きすべての微生物を死滅させる)としての2001年の承認以降、0.55%のフタラール製剤(商標:「ディスオーパ」[3])が、ジョンソン・エンド・ジョンソン社から市販されている[4]。
殺芽胞効果自体は弱いものの[5]、既存の消毒薬・グルタラール(グルタルアルデヒド)よりも揮発性が低いなどの利便性から、医療機関で普及した。
しかし、アナフィラキシーショック事故が相次いで発生したため、一部の器具に対する使用制限がかけられた[4]。
使用時には、眼への飛散に対する注意、グルタラール用マスク・ゴム手袋の着用、換気が必要である[5]。
その他[編集]
異性体[編集]
- メタ - イソフタルアルデヒド[6] (m.p. 87–88 °C, CAS# 626-19-7)
- パラ - テレフタルアルデヒド[7] (m.p. 114–116 °C, CAS# 623-27-8).
ポリフタルアルデヒド[編集]
ポリフタルアルデヒドは、フォトレジストで用いられるなどの用途がある[8]。
脚注[編集]
- ^ DOJIN NEWS No.091 実用的蛍光誘導体化 | 同仁化学研究所
- ^ ルーエマンパープルという色素はどのようなものですか? | キリヤ化学Q&A
- ^ 医薬品インタビューフォーム ディスオーパ(pdf)
- ^ a b Dispatch/高水準消毒薬の安全な適正使用について | 吉田製薬
- ^ a b 『南山堂医学大辞典 第19版』 p.2191 南山堂 2006年
- ^ Isophthalaldehyde | 東京化成工業株式会社
- ^ Terephthalaldehyde | 東京化成工業株式会社
- ^ M. Tsuda, M. Hata, R. Nishida and S. Oikawa (1993). “Chemically Amplified Resists IV. Proton-Catalyzed Degradation Mechanism of Poly(phthalaldehyde)”. J. Photopolym. Sci. Technol. 6 (4): 491-494. doi:10.2494/photopolymer.6.491.
外部リンク[編集]
- o-Phthalaldehyde | 東京化成工業株式会社
- J. C. Bill and D. S. Tarbell (1954), “o-PHTHALALDEHYDE”, Org. Synth. 34: 82, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=CV4P0807 ; Coll. Vol. 4: 807 .
- Protocol by Uptima(pdf)
Japanese Journal
- P5-2-6 スクラッチテストでフタラール液によるI型アレルギーの診断に至った一例(P5-2薬物アレルギー2,一般演題,第22回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- Q&A フタラールとグルタラールの違いは?/吸引チューブや吸引瓶の消毒はどうする?/疥癬発症時の対処法は? (特集 消毒・滅菌の疑問を解決! 感染症・消毒薬の新常識)
Related Links
- オルトフタルアルデヒド(o-phthalaldehyde、ortho-phthalaldehyde、フタルジ アルデヒド、フタラール)は芳香族化合物で、化学式はC6H4(CHO)2。 OPAと略される こともある。 目次. 1 生化学; 2 フタラール製剤; 3 その他. 3.1 異性体; 3.2 ポリフタル アルデヒド.
- 2012年12月9日 ... 高水準の消毒薬・フタラール製剤について. ○フタラール製剤の特徴 揮発性が低いため 、気道や眼の粘膜に対して刺激が小さく、 消毒のための浸漬時間が短いという特徴が あります。 グルタラール製剤より、芽胞に対する効力は弱いようです。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ディスオーパ消毒液0.55%
組成
成分・含量
添加物
- リン酸水素2K,リン酸二水素K,ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸3Na,クエン酸,安定剤,pH調節剤,緑色201号
効能または効果
- 本剤にて消毒を行った超音波白内障手術器具類を使用した患者に,水疱性角膜症等があらわれたとの報告があるので,超音波白内障手術器具類には本剤を使用しないこと.
- 本剤にて消毒を行った膀胱鏡を繰り返し使用した膀胱癌既往歴を有する患者に,ショック・アナフィラキシー様症状があらわれたとの報告があるので,経尿道的検査又は処置のために使用する医療器具類には本剤を使用しないこと.
用途
- 本剤は微生物又は有機物により汚染された器具の化学的殺菌・消毒に使用すること.
対象器具
- 内視鏡類,レンズ装着の装置類,麻酔装置類,人工呼吸装置類,外科手術用器具,産科用器具,歯科用器具又はその補助的器具,注射筒,体温計並びにゴム・プラスチック製器具類等で加熱による殺菌・消毒ができないもの.ただし,生体の無菌域に使用される医療器具類は適切な滅菌処理を行うこと.
本剤との適合性
・人工透析用ダイアライザー等,再使用が推奨されていない医療器具には使用しないこと.
・材質適合性に注意すること1)?4).ニッケルでメッキされた金属やステンレス鋼では,1ヶ月にわたる長期の浸漬でわずかに変色が観察されたことがある.
調製法
使用方法5)
- 医療器具等は本剤に浸漬させる前に水又は酵素洗浄剤を用いてじゅうぶんに洗浄する.
- 通常,器具等の消毒には,本剤に5分以上浸漬させる.
- 浸漬後,取り出した器具等は,水又は滅菌水でじゅうぶんにすすぎ,本剤を除去する.
- 細孔を有する等構造の複雑な器具類は,内孔部への注入等の操作により,本剤とじゅうぶんに接触させること.またすすぎの際,内孔部への水の注入等の操作により,本剤をじゅうぶんに除去すること.
- 医療器具等は使用後,速やかにじゅうぶん洗浄し水切りをしたのち,本剤で消毒すること.[洗浄せずに直接本剤に医療器具等を浸漬すると,生体組織や分泌物の付着が取れにくくなることがある.]
- 本剤で消毒した後の医療器具のすすぎについては,じゅうぶんに行い,水切りすること(「重要な基本的注意」の項参照).
- 器具等の洗浄方法については,メーカーの推奨する方法や学会等のガイドライン等を参照すること.
- この用法・用量(5分浸漬)では,じゅうぶんな殺芽胞効果は期待できないので,注意すること.
- 洗浄水混入による濃度低下に注意すること6).[ディスオーパテストストリップ等7)によりフタラール濃度が0.3%以上であることを確認し,使用すること.また,14日間を超えて使用しないこと.]
薬効薬理
作用機序8),9)
- フタラールのもつアルデヒド基が菌体の細胞外膜や細胞外壁の一級アミン,-SH基並びに蛋白と結合し,殺菌効果を示すと考えられている.
抗菌スペクトル・殺菌速度
細菌に対する殺菌効果10)
- Staphylococcus aureus,Salmonella choleraesuiss,Pseudomonas aeruginosaに対して5分以内に殺菌効果を示した.Mycobacterium bovis BCGに対して5分以内に殺菌効果を示した.
芽胞に対する殺芽胞効果11),12)
- Bacillus subtilisの芽胞を8時間で,Clostridium sporogenesの芽胞を10時間で殺芽胞効果を示した.C.sporogenesに対して60分で6log10減少を示した.
真菌に対する殺菌効果10)
- Trichophyton mentagrophytesに対して5分以内に殺菌効果を示した.
ウイルスに対する不活化作用13)
- ポリオウイルス,アデノウイルス,単純ヘルペスウイルス,コクサッキーウイルス,ヒト型コロナウイルス,HIV-1等を5分以内に不活化した.
使用試験成績14)
- 内視鏡(上部及び下部消化管用)に付着していた細菌(グラム陽性菌:ブドウ球菌,レンサ球菌,グラム陰性菌:大腸菌,緑膿菌等),真菌(カンジダ属)に対して5分で殺菌効果を示した.
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- benzene-1,2-dicarbaldehyde
分子式
分子量
性 状
- 微黄色?黄色の結晶で,強いアーモンド様のにおいがある.
分配係数
- n-オクタノール/緩衝液
pH5:27
pH7:27
pH9:26
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- glutaraldehyde
- 関
- グルタラール、フタラール
- タンパク質の電顕サンプルの前処理に使う気がする。
- タンパク質のクロスリンキング実験に使ったことがある。
[★]
- 英
- cod
- 関
- タラ目