出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/01/14 23:49:11」(JST)
フォトダイオード(英: Photodiode)は、光検出器として働く半導体のダイオードである。フォトダイオードにはデバイスの検出部に光を取り込むための窓や光ファイバーの接続部が存在している。真空紫外線やX線検出用のフォトダイオードは検出窓が存在しないものもある。
フォトトランジスターは、基本的にはバイポーラトランジスタで、バイポーラトランジスタのベース・コレクターのpn接合に光が到達するようなケースに封入している。フォトトランジスターはフォトダイオードの様に動作するが、光に対してはより高感度である。これは、光子によりベースコレクター間の接合に電子が生成され、それがベースに注入されるからで、この電流がトランジスター動作で増幅される。しかし、フォトトランジスターはフォトダイオードより応答時間が遅い。
ほとんどのフォトダイオードは右の写真の様な形状をしており、発光ダイオードと形状が似ている。2端子(もしくはワイヤー)がそこより出ている。端子の長さの短い方がカソードで、長い方がアノードである。下に回路図が示してあり、電流はアノードからカソードの方向に矢印の向きに流れる。
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詳細は「光起電力効果」を参照
フォトダイオードはpn接合、もしくは、pin構造を持っている。十分なエネルギーを持った光子がダイオードに入射した際に、それは電子を励起し、自由電子と自由正孔のペアを生成する。もし、光子の吸収が接合部の空乏層で生じるか、空乏層から拡散距離内で生じる場合、これらのキャリアは空乏層のビルトインポテンシャルにより接合部から移動し、光電流が流れる。
フォトダイオードはゼロバイアス(光電池モード?)もしくは逆バイアス(光導電モード?)の元で使用することが可能である。ゼロバイアスのもとでは、ダイオードに入射した光はデバイスを流れる電流となり、光電流と逆向きに流れる「暗電流」とは逆の向きの順方向のバイアスを作り出す。これは、光起電力効果と呼ばれ、太陽電池の基本である。実際太陽電池は大きなフォトダイオードを多数並べたものである。
逆バイアスの印加は電流としてはその方向に僅かにしか流れない(逆方向リーク電流等と呼ばれる)。しかし、重要な点は逆バイアスは空乏層を広げ(それにより反応する領域を広げ)、光電流を強める。この効果を利用した回路は光起電力に基づくものより光に敏感となり、端子間容量も小さくなる。これは、応答速度を上げる効果がある。その一方で、光電池モードでの使用はノイズが小さいと言う特徴がある。
アヴァランシェ・フォトダイオードは同様の構造を持っているが、使用時にはもっと高い逆方向電圧を印加する。この高い電圧により、光により生成したキャリアがアヴァランシェ・ブレークダウンにより増加し、フォトダイオードの内部利得を高める効果がある。これにより、「受光感度」が向上する。
フォトダイオードに使用される材料は、検出に使用する光の波長により異なるものが使用される。これは、入射した光が電子と正孔を励起する必要があるため、材料のバンドギャップが光の波長のエネルギー以下である必要があるからである。 一般に使用される材料は以下のとおりである。
材料 | 波長 (nm) |
---|---|
シリコン | 190–1100 |
ゲルマニウム | 400–1700 |
インジウム・ガリウム・ヒ素 | 800–2600 |
硫化鉛 | <1000-3500 |
バンドキャップが広いため、シリコン製のフォトダイオードはゲルマニウム製のフォトダイオードより低ノイズであるが、ゲルマニウム製のフォトダイオードは約1µm近い長波長まで使用することができる。
トランジスタやICは半導体で作製され、pn接合をもっているため、全ての能動素子は潜在的にフォトダイオードとなる可能性がある。特に、小電流に敏感な素子は、光電流が流れるため照明下では正しく動作しない。ほとんどの素子において、これは予期できないものであり、そのため、素子は不透明なパッケージに封入される。パッケージはX線や高エネルギーの放射に対しては不透明ではないため、これらの放射により、ほとんどのICは光電流が流れることにより正常動作をしなくなる。
フォトダイオードの重要な特性としては以下のものがある。
フォトダイオードを光通信システムに使用する場合、これらのパラメータは、光受信器の感度に関連し、これは、受信器においてあるビット誤り率を達成するための最小入力パワーを示している。
PN接合型のフォトダイオードは、フォトレジスタ、CCD、光電子増倍管の様な他の光検出器と同じ用途に使用される。
フォトダイオードは、コンパクトディスクプレイヤー、煙検出器、ビデオテープレコーダやテレビのリモコンの受信装置の様な一般用途の電子素子に利用される。
カメラの光度計、無線時計(あたりが暗いと、表示部を暗くするもの)、街灯の様な他の一般用途のアイテムにおいては、原理的に両者とも利用可能ではあるが、光検出器の方が良く使用される。
フォトダイオードは科学的用途や工業的用途における光強度の正確な測定において利用される。フォトダイオードはフォトレジスタより線形的な応答を示す。
これらは、様々な医学的用途に広く使用される。例えば、(シンチレータと一緒に)断層X線写真器や、(免疫試験の様な)検体を調べる装置の検出部がある。また、血液中のガス濃度検出器にも使用される。
PINダイオードはPN接合ダイオードよりより高速で高感度である。そのため、光通信システムや光制御に利用される。
PNフォトダイオードは極端な低光量の測定には使用されない。代わりに、高感度が必要であれば、アバランシェ・フォトダイオードや、CCDや光電子増倍管が使用され、天文学、分光器、暗視装置、光波測距儀等が用途としてある。
光電子増倍管と比較した場合の利点は
光電子増倍管と比較した場合の欠点は
0.025mm×1mmの一次元に並べた数百から数千(最大2048)のフォトダイオードが位置センサーに使用されている。 このフォトダイオードの列(PDAs)は、高速での並列検知に利用される。これは、車載電子機器に従来のCMOSやCCDのセンサーを利用できないためである。
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