- 英
- timiperone
- 商
- トロペロン、セルマニル
- 関
- 抗精神病薬
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/07/07 12:33:50」(JST)
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チミペロン
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IUPAC命名法による物質名 |
1-(4-フルオロフェニル)-4-[4-(2-スルファニリデン-3H-ベンズイミダゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル]ブタン-1-オン |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
? |
法的規制 |
℞ Prescription only |
投与方法 |
経口 |
識別 |
CAS登録番号 |
57648-21-2 |
ATCコード |
? |
PubChem |
CID 3033151 |
KEGG |
D02035 |
化学的データ |
化学式 |
C22H24FN3OS |
分子量 |
397.50 g/mol |
SMILES
- C1CN(CCC1N2C3=CC=CC=C3NC2 =S)CCCC(=O)C4=CC=C(C=C4)F
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チミペロン(ちみぺろん- timiperone)とは、ハロペリドールを元に日本で開発されたブチロフェノン系の旧来の抗精神病薬である。第一三共からトロペロン(劇)共和薬品からセルマニル(劇)などの名前で発売されている、処方箋医薬品である。「ドーパミン」アンフェタミン・アポモルヒネに対して強い拮抗作用をもつ。セロトニン受容体に対しても低い親和性を持つアンタゴニストである。
目次
- 1 薬理
- 2 効能
- 3 副作用
- 4 用法
- 5 禁忌
- 6 形状
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薬理[編集]
チミペロンは脳中枢神経系に直接作用し、統合失調症を始めとした精神病の症状(幻覚・妄想など)を緩和する。また、自発性の低下などの症状に対しても有効性を示すとされる。チミペロンの作用は主に、脳内のドーパミンD2受容体を遮断することで効力を発揮する。また、僅かながらにセロトニン受容体に対しても拮抗するため、自発性の低下などの症状にはこの作用が係るとされる。ハロペリドールを代表としたブチロフェノン系の定型抗精神病薬に類似した作用をもち、その向精神作用は強力である。内服では、一部の作用でフェノチアジン系のクロルプロマジンの300倍以上、ブチロフェノン系のハロペリドールの9倍以上の効力を持つ。その強いドパミン選択性(薬力価)は、フェノチアジン系薬などでよく起こる、抗コリン作用、抗ムスカリン作用、抗ヒスタミン作用などの副作用は軽減されているが、垂体外路系にも強く作用し、結果として垂体外路症状症を起こしやすいなどの問題も併せ持つ。
効能[編集]
効能は主に、統合失調症に伴う精神病の症状(幻覚・妄想)である。また、強い精神興奮抑制作用を持つため、躁病の治療、対処療法にも用いられる。また、先天性の精神病に限らず、薬物中毒や更年期障害に伴う精神症状に対しても使用される。しかし、現在では垂体外路系の副作用を軽減した非定型抗精神病薬などの開発により、臨床の場からは姿を薄めつつある。
副作用[編集]
チミペロンの向精神作用は、脳のドパミンD2受容体を遮断することで起こるが、本来は遮断する必要のないドパミン受容体をも遮断してしまうため、結果として、黒質線条体のドパミン低下に伴うパーキンソン症候群や、脳下垂体漏斗系のドパミン低下に伴う垂体外路症状を引き起こす。また過鎮静(鎮静作用の現れすぎ)による、感情の麻痺、抑うつ症状、睡眠障害を生じることもある。これらのいくつかの症状は内服を開始して間もなく現れ、そわそわして落ち着かない(アカシジア)、手足が震えるといった症状から始まり、最悪は遅発性ジスキネジアを発症するケースもある。これらは服薬の中止、減薬、副交感神経抑制薬の投与により軽減されるが、ジスキネジアは軽減、予防はできない。またジスキネジアは1度発症すると非常に消えにくい副作用であるため、注意が必要である。また、その他のさまざまな副作用に関しては、定型抗精神病薬のブチロフェノン系薬に準ずる。
また、抗精神病薬には、重大な副作用として、投与後間もなく 高熱を発症し、動悸、発汗、悪寒、筋硬直、などの症状を伴う悪性症候群を引き起こすことが極まれにあるため、チミペロンの服薬にあたっては、特に服薬開始後には注意を払いながら内服する必要がある。
用法[編集]
通常、成人にはチミペロンとして1回0.5~3mgを1日、1~4回に分けて3~8mgを投与する。年齢、体格、病状により増減をおこなうが1日12mgを超える範囲で使用してはいけない。また、緊急を要する場合は、注射製剤により、1回4mgを1~2回に分けて筋注できる。また妊娠中は投与を防ぐことが望ましい。
禁忌[編集]
心臓病、パーキンソン病の者。→病状を悪化させる恐れがある。
チミペロン製剤およびブチロフェノン系薬剤に対し過敏症のある者。→ショック症状。
降圧剤を投与している者。→急激な血圧低下。
エピネフリン「ボスミン」→エピネフリンの作用を逆転させ、急激な血圧低下をもたらす。
形状[編集]
常温では結晶性の固体で存在する。錠剤や細粒、また注射製剤(pH3~4)がある。酢酸に溶けやすいという性質をもつ。
抗精神病薬 (N05A) |
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定型抗精神病薬 |
ブチロフェノン系: アザペロン Benperidol ブロムペリドール Droperidol Fluanisone ハロペリドール Lenperone Moperone ピパンペロン スピペロン Trifluperidol; Diphenylbutylpiperidines: Clopimozide Fluspirilene Penfluridol Pimozide; フェノチアジン系: アセプロマジン Acetophenazine Butaperazine Carphenazine Chlorproethazine クロルプロマジン Cyamemazine Dixyrazine フルフェナジン レボメプロマジン Mesoridazine Perazine プロペリシアジン ペルフェナジン Piperacetazine Pipotiazine Prochlorperazine プロマジン プロメタジン Propiomazine Sulforidazine Thiethylperazine Thiopropazate Thioproperazine Thioridazine Trifluoperazine Triflupromazine; Thioxanthenes: Chlorprothixene Clopenthixol Flupentixol Thiothixene Zuclopenthixol; Tricyclics: アモキサピン Butaclamol Carpipramine Loxapine Metitepine/Methiothepin Octoclothiepin; Others: Molindone Oxypertine Prothipendyl
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非定型抗精神病薬 |
Azapirones: ペロスピロン Tiospirone; ベンザミド系: Amisulpride Levosulpiride ネモナプリド Remoxipride スルピリド スルトプリド Tiapride Veralipride; Butyrophenones: Cinuperone Setoperone; Tricyclics: Asenapine Clotiapine クロザピン Fluperlapine Metitepine/Methiothepin モサプラミン オランザピン クエチアピン Tenilapine ゾテピン; Others: Amperozide アリピプラゾール Bifeprunox ブロナンセリン Cariprazine Iloperidone ルラシドン Ocaperidone パリペリドン Pardoprunox Pimavanserin リスペリドン Sertindole Ziprasidone
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Others |
Cannabidiol D-Cycloserine Mifepristone Reserpine Rimcazole Secretin Talnetant Tetrabenazine Vabicaserin
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Japanese Journal
- チミペロン含有水溶性高分子マトリックスからなる経皮吸収型製剤のラットにおける薬理活性
- 高安 敏幸,角張 育弘,斉藤 英男,真船 英一,高杉 紀雄,高山 幸三,永井 恒司
- Drug delivery system 11(3), 197-203, 1996-05-10
- To prevent the emesis associated with anticancer therapy with chemotherapeutic drugs, various investigations have been conducted into transdermal dosage forms containing timiperone, antipsychotics and …
- NAID 10007336750
- 薬原性錐体外路症状出現下での非経口的チミペロン投与--動作・電気生理学的側面からの検討
Related Links
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- 企業系リソース (薬価情報含む) チミペロン - QLifeお薬検索 - QLife. Inc. チミペロン - 医薬品情報・検索 イ-ファ-マ - Allied Medical Associates Co., Ltd. 管理系リソース timiperone - 規制物質法(CSA) - DEA, アメリカ合衆国 チミペロン - 麻薬 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
トロペロン錠0.5mg
組成
有効成分(1錠中)
添加物
- 乳糖水和物,トウモロコシデンプン,ヒドロキシプロピルセルロース,ステアリン酸Mg
禁忌
〔症状が悪化するおそれがある.〕
- バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制薬の強い影響下にある患者
〔中枢神経抑制作用が増強される.〕
〔一過性の血圧低下,頻脈等があらわれるおそれがある.〕
〔錐体外路症状が悪化するおそれがある.〕
- 本剤の成分又はブチロフェノン系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
- アドレナリンを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
効能または効果
- 統合失調症
- チミペロンとして,1日0.5〜3mgよりはじめ徐々に増量し,通常成人1日3〜12mgを分割経口投与する.
なお,年齢,症状により適宜増減する.
慎重投与
〔一過性の血圧低下があらわれることがある.〕
- てんかん等の痙攣性疾患,又はこれらの既往歴のある患者
〔痙攣閾値を低下させることがある.〕
〔症状が悪化するおそれがある.また,血中濃度が上昇するおそれがある.〕
〔錐体外路症状が起こりやすい.〕
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 小児等(「小児等への投与」の項参照)
- 薬物過敏症の既往歴のある患者
- 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者
〔Syndrome malin(悪性症候群)が起こるおそれがある.〕
重大な副作用
Syndrome malin(悪性症候群)
頻度不明注1)
- 無動緘黙,強度の筋強剛,嚥下困難,頻脈,血圧の変動,発汗等が発現し,それに引き続き発熱がみられる場合は,投与を中止し,体冷却,水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと.本症発症時には,白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く,また,ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある.なお,高熱が持続し,意識障害,呼吸困難,循環虚脱,脱水症状,急性腎不全へと移行し,死亡した例が報告されている.
麻痺性イレウス
頻度不明注1)
- 腸管麻痺(初期症状:食欲不振,悪心・嘔吐,著しい便秘,腹部の膨満あるいは弛緩,腸内容物のうっ滞等)をきたし,麻痺性イレウスに移行することがあるので,腸管麻痺が認められた場合には投与を中止すること.なお,この悪心・嘔吐は本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること.
遅発性ジスキネジア
頻度不明注1)
- 長期投与により,口周部等の不随意運動があらわれ,投与中止後も持続することがある.
無顆粒球症,白血球減少
頻度不明注1)
- 無顆粒球症,白血球減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
肺塞栓症,深部静脈血栓症
頻度不明
- 抗精神病薬において,肺塞栓症,静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので,観察を十分に行い,息切れ,胸痛,四肢の疼痛,浮腫等が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
薬効薬理
薬理作用
- チミペロンの行動薬理学的特長は主薬効である抗メタンフェタミン作用,抗アポモルフィン作用及び条件回避反応抑制作用が強いのに対して,錐体外路系副作用と関連するカタレプシー惹起作用,協調運動抑制作用等の非特異的作用が弱いことである.
抗メタンフェタミン作用7)
- ラットにおける抗メタンフェタミン常同行動作用はハロペリドールの約9倍,クロルプロマジンの約300倍であり,マウスにおける抗メタンフェタミン運動亢進作用はハロペリドールの約3倍である.
抗アポモルフィン作用7)
- ラットにおける抗アポモルフィン常同行動作用はハロペリドールの約8倍,クロルプロマジンの約150倍であり,イヌにおける抗アポモルフィン嘔吐作用はハロペリドールの約56倍,マウスにおける抗アポモルフィン常同行動作用はハロペリドールの約10倍である.
条件回避反応抑制作用7)
- ラットにおける条件回避反応に対する抑制作用はハロペリドールの約10倍,クロルプロマジンの約190倍である.
カタレプシー惹起作用7)
- ラットにおけるカタレプシー惹起作用はハロペリドールの約4倍の効力を示し,マウスにおいてはハロペリドールよりも若干弱く,さらにヘキソバルビタール麻酔増強作用及び協調運動抑制作用(マウス)はハロペリドールのそれぞれ1/10及び1/2の効力である.
脳内ドパミン代謝促進作用
- ラットにおける脳内のドパミン代謝促進作用はハロペリドールの約3〜6倍,クロルプロマジンの約70〜150倍である.
作用機序
- 中枢神経系におけるドパミン作動性神経等に対する抑制作用が考えられている.
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 4'-fluoro-4-〔4-(2-thioxo-1-benzimidazolinyl)piperidino〕butyrophenone
分子式
分子量
融点
性状
- 白色〜微黄白色の結晶又は結晶性の粉末で,においはない.クロロホルムに溶けやすく,氷酢酸にやや溶けやすく,アセトンにやや溶けにくく,メタノール又はエタノールに溶けにくく,エーテルに極めて溶けにくく,水にほとんど溶けない.