出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/08/23 01:35:05」(JST)
システマティック・レビュー(systematic review)とは、文献をくまなく調査し、ランダム化比較試験(RCT)のような質の高い研究のデータを、出版バイアスのようなデータの偏りを限りなく除き、分析を行うことである[1]。根拠に基づいた医療(EBM)で用いるための情報の収集と吟味の部分を担う調査である[2]。コクラン共同計画におけるシステマティック・レビューは、主題ごとに定期的に手入れされ、情報にアクセスできることも意図されている[2]。
メタアナリシスという言葉は情報の収集から吟味解析までのシステマティック・レビューと同様に用いられることがある[1]。システマティック・レビューの手法は、イギリスで1992年に国民保健サービス(NHS)からはじまったコクラン共同計画から発展してきたもので、アメリカでは余り用いられない言葉である[1]。システマティック・レビューの手順には、データの解析であるメタアナリシスが含まれるが、コクランではこれを厳密に区別する[1]。
2003年には、世界にシステマティック・レビューが4,600件あり、そのうちコクランのものは1,600件であるとされる[1]。
コクラン共同計画を冠しているアーチボルド・コクラン(英語: Archie Cochrane)の提唱したことの一部は、正しいデータを導くランダム化比較試験(RCT)を重視し、また各々のランダム化比較試験を定期的に批判的吟味することである[2]。システマティック・レビューの作業以外に、こうした調査を必要な人々に遅れなく「伝える」ことを加えた全体の機能が、コクラン共同計画の目的である[2]。
1993年7月にイギリスのコクランセンターがBMJ(イギリス医師会雑誌, British Medical Journal)と共同で会議を開き、1994年に論文となったものが、『システマティック・レビュー』(Systematic Reviews)として出版されている[3]。それはシステマティック・レビューとメタアナリシスに関する章で構成されており、システマティック・レビューに関しては、バイアスとエラーを最小にする方法が議論されている[4]。
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リンク元 | 「CONSORT」「根拠に基づく医学」「systematic review」「システマティック・レビュー」 |
関連記事 | 「レビュー」 |
タイトル・抄録(Title and Abstract) | 1a | タイトルにランダム化比較試験であることを記載。 | |||
1b | 試験デザイン(trial design),方法(method),結果(result),結論(conclusion)の構造化抄録 | ||||
はじめに(Introduction) | 背景・目的 (Background and Objective) |
2a | 科学的背景と論拠(rationale)の説明。 | ||
2b | 特定の目的または仮説(hypothesis)。 | ||||
方法 (Method) |
試験デザイン (Trial Design) |
3a | 試験デザインの記述(並行群間,要因分析など),割付け比を含む。 | ||
3b | 試験開始後の方法上の重要な変更(適格基準 eligibility criteriaなど)とその理由。 | ||||
参加者 (Participant) |
4a | 参加者の適格基準(eligibility criteria)。 | |||
4b | データが収集されたセッティング(setting)と場所。 | ||||
介入 (Intervention) |
5 | 再現可能となるような詳細な各群の介入。実際にいつどのように実施されたかを含む。 | |||
アウトカム (Outcome) |
6a | 事前に特定され明確に定義された主要・副次的アウトカム評価項目。いつどのように評価されたかを含む。 | |||
6b | 試験開始後のアウトカムの変更とその理由。 | ||||
症例数 (Sample size) |
7a | どのように目標症例数が決められたか。 | |||
7b | あてはまる場合には,中間解析と中止基準の説明。 | ||||
ランダム化(Randomization) | 順番の作成 (Sequence generation) |
8a | 割振り(allocation)順番を作成(generate)した方法。 | ||
8b | 割振りのタイプ: 制限の詳細(ブロック化,ブロックサイズなど)。 | ||||
割振りの隠蔵機構(Allocation concealment mechanism) | 9 | ランダム割振り順番の実施に用いられた機構(番号付き容器など),各群の割付けが終了するまで割振り順番が隠蔵されていたかどうかの記述。 | |||
実施(Implementation) | 10 | 誰が割振り順番を作成したか,誰が参加者を組入れ(enrollment)たか,誰が参加者を各群に割付けた(assign)か。 | |||
ブラインディング (Blinding) |
11a | ブラインド化されていた場合,介入に割付け後,誰がどのようにブラインドかされていたか(参加者,介入実施者,アウトカムの評価者など)。 | |||
11b | 関連する場合,介入の類似性の記述。 | ||||
統計学的手法 (Statistical method) |
12a | 主要・副次的アウトカムの群間比較に用いられた統計学的手法。 | |||
12b | サブグループ解析や調整解析のような追加的解析の手法。 | ||||
結果 (Results) |
参加者の流れ (Participant flow) (フローチャートを強く推奨) |
13a | 各群について,ランダム割付けされた人数,意図された治療を受けた人数,主要アウトカムの解析に用いられた人数の記述。 | ||
13b | 各群について,追跡不能例とランダム化後の除外例を理由とともに記述。 | ||||
募集 (Recruitment) |
14a | 参加者の募集期間と追跡期間を特定する日付。 | |||
14b | 試験が終了または中止した理由。 | ||||
ベースライン・データ (Baseline data) |
15 | 各群のベースラインにおける人口統計学的(demographic),臨床的な特性を示す表。 | |||
解析された人数 (Number analyzed) |
16 | 各群について,各解析における参加者数(分母),解析が元の割付け群によるものであるか。 | |||
アウトカムと推定 (Outcome and estimation) |
17a | 主要・副次的アウトカムのそれぞれについて,各群の結果,介入のエフェクト・サイズの推定とその精度(95%信頼区間など)。 | |||
17b | 2項アウトカムについては,絶対エフェクト・サイズと相対エフェクト・サイズの両方を記載することが推奨される。 | ||||
補助的解析 (Ancillary analysis) |
18 | サブグループ解析や調整解析を含む,実施した他の解析の結果。事前に特定された解析と探索的解析を区別する。 | |||
害(Harm) | 19 | 各群のすべての重要な害(harm)または意図しない効果(詳細は「ランダム化試験における害のよりよい報告: CONSORT声明の拡張」28)を参照)。 | |||
考察 (Discussion) |
限界 (Limitation) |
20 | 試験の限界,可能性のあるバイアスや精度低下の原因,関連する場合は解析の多重性の原因を記載。 | ||
一般化可能 (Generalisability) |
21 | 試験結果の一般化可能性(外的妥当性,適用性)。 | |||
解釈 (Interpretation) |
22 | 結果の解釈,有益性と有害性のバランス,他の関連するエビデンス。 | |||
その他の情報 (Other information) |
登録(Registration) | 23 | 登録番号と試験登録名。 | ||
プロトコール (Protocol) |
24 | 可能であれば,完全なプロトコールの入手方法。 | |||
資金提供者 (Funding) |
25 | 資金提供者と他の支援者(薬剤の供給者など),資金提供者の役割。 |
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