システマティックレビュー
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/10/30 18:26:43」(JST)
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システマティック・レビュー(systematic review)とは、文献をくまなく調査し、ランダム化比較試験(RCT)のような質の高い研究のデータを、出版バイアスのようなデータの偏りを限りなく除き、分析を行うことである。根拠に基づく医療(EBM)で用いるための情報の収集と吟味の部分を担う調査である。コクラン共同計画におけるシステマティック・レビューは、主題ごとに定期的に手入れされ、情報にアクセスできることも意図されている。
メタアナリシスという言葉は情報の収集から吟味解析までのシステマティック・レビューと同様に用いられることがある。システマティック・レビューの手法は、イギリスで1992年に国民保健サービス(NHS)からはじまったコクラン共同計画から発展してきたもので、アメリカでは余り用いられない言葉である。システマティック・レビューの手順には、データの解析であるメタアナリシスが含まれるが、コクランではこれを厳密に区別する。
2003年には、世界にシステマティック・レビューが4,600件あり、そのうちコクランのものは1,600件であるとされる。
目次
- 1 コクラン共同計画
- 2 副作用の省略
- 3 関連項目
- 4 脚注
- 5 参考文献
- 6 外部リンク
コクラン共同計画
コクラン共同計画を冠しているアーチボルド・コクラン(英語: Archie Cochrane)の提唱したことの一部は、正しいデータを導くランダム化比較試験(RCT)を重視し、また各々のランダム化比較試験を定期的に批判的吟味することである。システマティック・レビューの作業以外に、こうした調査を必要な人々に遅れなく「伝える」ことを加えた全体の機能が、コクラン共同計画の目的である。
1993年7月にイギリスのコクランセンターがBMJ(イギリス医師会雑誌, British Medical Journal)と共同で会議を開き、1994年に論文となったものが、『システマティック・レビュー』(Systematic Reviews)として出版されている。それはシステマティック・レビューとメタアナリシスに関する章で構成されており、システマティック・レビューに関しては、バイアスとエラーを最小にする方法が議論されている。
副作用の省略
システマティック・レビューでは副作用については省略されていることが多く、統合が困難であったり、計測方法が統一されていないなどの理由によってである[5]。
関連項目
脚注
- ^ Evidence-Based Medicine Working Group, (edit)Gordon Guyatt, Drummond Rennie, Maureen O. Meade, Deborah J. Cook、(監訳)相原守夫、池田正行、三原華子、村山隆之 『医学文献ユーザーズガイド : 根拠に基づく診療のマニュアル』 凸版メディア、2010年、499頁。ISBN 978-4990442217。
参考文献
- イアイン・チャーマーズ、ダグラス・G.アルトマン 『システマティック・レビュー―エビデンスをまとめてつたえる』 津谷喜一郎、浜六郎、別府宏圀監訳訳、サイエンティスト社、2000年。ISBN 978-4914903626。、Systematic Reviews, 1995, BMJ
- 津谷喜一郎「コクラン共同計画とシステマティック・レビュー EBMにおける位置付け」 (pdf) 、『公衆衛生研究』第49巻第4号、2000年12月、 313-319頁、 NAID 40004928021。
- 津谷喜一郎「EBMにおけるエビデンスの吟味」、『Therapeutic Research』第24巻第8号、2003年、 1415-22頁、 NAID 50000285052。
外部リンク
- The Cochrane Library (英語)
UpToDate Contents
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- 1. システマティックレビューおよびメタアナリシスsystematic review and meta analysis [show details]
…approaches to systematic review and meta-analysis is provided in a table The updated 2020 Preferred Reporting Items of Systematic reviews and Meta-Analyses (PRISMA) emphasizes that systematic reviews should …
- 2. 成人におけるopen abdomen(閉腹しない状態)のマネージメントmanagement of the open abdomen in adults [show details]
…number of closure attempts until an alternative strategy is tried have not been well studied. Systematic reviews concluded that negative pressure wound therapy systems with continuous fascial traction may …
- 3. 末期心不全患者への緩和ケア:意思決定支援および症状のマネージメントpalliative care for patients with advanced heart failure decision support and management of symptoms [show details]
…decision-making interaction with the use of a patient decision aid prior to implantation. A systematic review of tools used to promote shared decision making in critically ill patients showed that the use …
- 4. 成人の腹部コンパートメント症候群abdominal compartment syndrome in adults [show details]
…fracture with bleeding, and pancreatitis, can lead to abdominal compartment syndrome . In a systematic review, the pooled rate of ACS following rAAA was 8 percent; among those who developed ACS, nearly…
- 5. Antithrombotic therapy for surgical bioprosthetic valves and surgical valve repairantithrombotic therapy for surgical bioprosthetic valves and surgical valve repair [show details]
…with these valves also have prosthetic mitral and/or aortic valves and other comorbidities. A systematic review identified eight thromboembolic events in 470 patients with bioprosthetic tricuspid valves (1…
Japanese Journal
- 質的研究のシステマティックレビューの現状と動向 : JBIの取り組みから (特集 看護におけるシステマティックレビュー)
- コクランにおけるシステマティックレビューの基礎 : リスク・オブ・バイアスとメタアナリシス (特集 看護におけるシステマティックレビュー)
- 刑事施設被収容者における潜在性結核感染症に関するシステマティック・レビュー
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- システマティックレビューは,一般 的には,臨床試験論文をデータベース検索や参照文献リストなどによって収集し,そのデータを総括して評価する。それに対して,コクラン共同計画におけるシステマティックレビューとは,ある ...
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★リンクテーブル★
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- 英
- systematic review
- 関
- 根拠に基づく医学
- 明示的かつ体系的な手順で一次臨床研究(原著文献)をレビューすること。(EBM・臨床易学キーワード150 第1版 福井次矢 p.77)
- 具体的には、特定の疑問点について定式化(どのような患者について、どのような介入が、何と比べて、どのような指標について優れているのか、劣っているのか)し、一定の手順(どのようなキーワードを、どのように組み合わせて、どのような検索エンジンを用いたのか)で文献を検索し、得られた文献の質を評価し、信頼するだけの価値のある論文についての結果をまとめることをいう。(EBM・臨床易学キーワード150 第1版 福井次矢 p.77)
- 特定のテーマを厚かったランダム化比較試験の論文のみを対称にすると、メタ分析を行うことができる。しかしテーマによっては、ランダム化比較試験の論文がないような場合には、記述的に結論をまとめる場合もありうる。前者を定量的システマティック・レビュー、後者を記述的システマティック・レビューという。(EBM・臨床易学キーワード150 第1版 福井次矢 p.77)
- コクラン共同計画(The Cochrane Collaboration)では、さまざまなテーマに関するQuantitative Systematic Reviewをデータベース化し、CD-ROM、インターネットを通じて提供している。
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- 英
- review、review
- 関
- 再調査、論評、総説、概説
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- 英
- systematic
- 関
- 系統的、組織的、体系的