商品名
会社名
成分
薬効分類
薬効
- 治癒切除不能な進行・再発の胃癌を効能・効果とする新有効成分含有医薬品
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ラムシルマブ?モノクローナル抗体 |
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種類 |
全長抗体 |
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原料 |
ヒト |
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抗原 |
VEGFR2 (KDR) |
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臨床データ |
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販売名 |
サイラムザ, Cyramza |
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法的規制 |
|
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投与方法 |
点滴静注 |
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識別 |
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CAS番号
|
947687-13-0 |
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ATCコード |
none |
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ChemSpider |
none |
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UNII |
D99YVK4L0X |
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化学的データ |
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化学式 |
C6374H9864N1692O1996S46 |
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分子量 |
143.6 kDa |
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テンプレートを表示 |
ラムシルマブ(Ramucirumab、IMC-1121B)は分子標的治療薬のなかでも抗体薬の一種であり、抗VEGFR2(血管内皮増殖因子受容体-2)完全ヒトモノクローナルIgG1抗体である。VEGF(血管内皮増殖因子)がVEGFR2に結合して下流に血管新生シグナルを送るのを防ぐことで腫瘍増殖を抑制する働きをする。商品名サイラムザ、イーライ・リリー製造販売。
適応症
- 治癒切除不能な進行・再発胃癌
- 治癒切除不能な進行・再発結腸・直腸癌
- 治癒切除不能な進行・再発非小細胞肺癌
開発状況
胃癌
米国では切除不能胃癌または再発胃癌に対して2014年4月にFDAに承認された[1]。日本でも2015年3月、薬食審医薬品第二部会で承認了承され[2]、同月中に承認された[3]。
大腸癌
大腸癌に対しては、二次治療で全生存期間を延長するという報告が2015年1月のASCO-GIで発表された[4]。日本で2016年5月に承認された[5]。
非小細胞肺癌
非小細胞肺癌(NSCLC)については、国際共同第III相臨床試験(REVEL試験)で全生存期間の延長を示す事ができた[6]。日本ではREVEL試験と国内臨床試験の結果から2016年6月に承認された[7]。
その他の悪性腫瘍
一方で切除不能乳癌[8]および肝臓癌[9]に対しては有効性を示すことができなかった。
副作用
添付文書には警告欄が設けられており、重篤な動脈血栓塞栓症、重度の消化管出血、消化管穿孔で死亡例が発生した事がある旨が記されている。
治験時の有害事象発現率は、通算で98.0%(94.5〜99.1%)とほぼ必発であり[10]、単独投与時の主な副作用は、腹痛(28.8%)、高血圧(16.1%)、下痢(14.4%)等であった。
添付文書に記載されている重大な副作用は、
- 動脈血栓塞栓症(心筋梗塞(0.4%)、脳血管障害(0.8%)等)(1.7%)、静脈血栓塞栓症(肺塞栓症(1.7%)等)(3.8%)、出血(消化管出血(6.4%)、肺出血(0.8%)等)(12.7%)、好中球減少症(4.7%)、白血球減少症(0.4%)、発熱性好中球減少症(0.4%)、
- 消化管穿孔(0.8%)、うっ血性心不全(0.4%)、ネフローゼ症候群、蛋白尿(3.0%)、間質性肺疾患(0.4%)、
- インフュージョンリアクション(0.4%)、創傷治癒障害、瘻孔(0.4%)、可逆性後白質脳症症候群
である[11]。
出典
- ^ FDA.gov press release for ramucirumab approval, accessed April 22, 2014 http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm394107.htm
- ^ “薬食審・第二部会 新薬等6製品審議、承認了承”. ミクス (2015年3月6日). 2015年3月8日閲覧。
- ^ “新薬18製品が承認 経口C型肝炎薬ソバルディ、週1回DPP-4阻害薬ザファテックなど”. ミクス (2015年3月27日). 2015年3月28日閲覧。
- ^ Ramucirumab Improves Survival in Second-Line mCRC http://www.onclive.com/conference-coverage/gi-2015/Ramucirumab-Improves-Survival-in-Second-Line-mCRC
- ^ “抗悪性腫瘍剤「サイラムザ点滴静注液100mg、同点滴静注液500mg」治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対する適応追加の承認を取得 (PDF)”. イーライ・リリー (2016年5月23日). 2016年7月6日閲覧。
- ^ Garon EB, Ciuleanu TE, Arrieta O, Prabhash K, Syrigos KN, Goksel T et al. (2014). “Ramucirumab plus docetaxel versus placebo plus docetaxel for second-line treatment of stage IV non-small-cell lung cancer after disease progression on platinum-based therapy (REVEL): a multicentre, double-blind, randomised phase 3 trial.”. Lancet 384 (9944): 665-73. doi:10.1016/S0140-6736(14)60845-X. PMID 24933332. http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)60845-X/abstract.
- ^ “抗悪性腫瘍剤「サイラムザ点滴静注液100mg、同点滴静注液500mg」切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する適応追加の承認を取得 (PDF)”. イーライ・リリー (2016年6月20日). 2016年7月6日閲覧。
- ^ ClinicalTrials.gov NCT00703326 Phase III Study of Docetaxel + Ramucirumab or Placebo in Breast Cancer http://www.clinicaltrials.gov/show/NCT00703326
- ^ http://www.genengnews.com/gen-news-highlights/lilly-s-cyramza-fails-phase-iii-trial-in-liver-cancer/81249964/
- ^ “サイラムザ点滴静注液100mg/サイラムザ点滴静注液500mg インタビューフォーム (PDF)” (2016年6月). 2016年7月6日閲覧。
- ^ “サイラムザ点滴静注液100mg/サイラムザ点滴静注液500mg 添付文書” (2016年6月). 2016年7月6日閲覧。
UpToDate Contents
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- 1. 胃や食道に発生した限局進行性で切除不能な進行癌や転移性癌:セカンドライン以降の全身療法progressive locally advanced unresectable and metastatic esophageal and gastric cancer approach to later lines of systemic therapy [show details]
…combination of ramucirumab plus paclitaxel was also approved by the FDA for treatment of advanced gastric or EGJ cancer. Whether ramucirumab plus paclitaxel is a preferred strategy over ramucirumab monotherapy …
- 2. 手術不能な転移性大腸癌に対する全身化学療法:治療に関する推奨systemic chemotherapy for nonoperable metastatic colorectal cancer treatment recommendations [show details]
…except in emergency situations. Ramucirumab is a recombinant MoAb of the IgG1 class that binds to the VEGFR-2, blocking receptor activation. The efficacy of ramucirumab for second-line treatment of mCRC …
- 3. 分子標的薬である血管新生阻害剤の毒性:心血管系以外への影響toxicity of molecularly targeted antiangiogenic agents non cardiovascular effects [show details]
…patients treated with ramucirumab, the risk of proteinuria may be lower. In a meta-analysis of six placebo-controlled randomized trials, the incidence of all-grade proteinuria for ramucirumab versus placebo was …
- 4. 進行性肝細胞癌への全身治療systemic treatment for advanced hepatocellular carcinoma [show details]
…the absence of a trial directly comparing ramucirumab with sorafenib, first-line ramucirumab cannot be considered a standard approach. A later trial of ramucirumab versus placebo in patients with advanced …
- 5. 肝疾患を有する患者における化学療法による肝毒性および用量調整chemotherapy hepatotoxicity and dose modification in patients with liver disease [show details]
…(Child-Pugh C) hepatic impairment, and a lower initial dose is warranted in these patients. Ramucirumab is a recombinant monoclonal antibody that binds to the VEGFR2, blocking receptor activation. It …
Japanese Journal
- サイラムザ+アブラキサン療法 : ラムシルマブ+nabパクリタキセル療法 (特集 いま知っておきたい! がん治療薬12 : くすりを知ればケアがよくなる)
- 野村 久祥,丸田 章子
- がん看護 = Japanese journal of cancer care 25(1), 5-7, 2020-01
- NAID 40022112865
- 肝細胞がんの新しい治療選択肢 「サイラムザ」が二次治療薬として登場
Related Links
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- 本ページは株式会社インテリムとオンコロで共同で作成しています。 概要 一般名 ラムシルマブ 商品名 サイラムザ 治験薬コード 一般名英語表記 Ramucirumab 商品名英語表記 Cyramza 種類 分子標的薬 種類 血管新生阻害薬 抗VEGFR2 ...
- 総称名 サイラムザ 一般名 ラムシルマブ(遺伝子組換え) 欧文一般名 Ramucirumab(Genetical Recombination) 製剤名 ラムシルマブ(遺伝子組換え)注射液 この情報は KEGG データベースにより提供されています。 日米の医薬品添付文書 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
- 抗悪性腫瘍剤 ヒト型抗VEGFR-2注)モノクローナル抗体
- 注)VEGFR-2:Vascular Endothelial Growth Factor Receptor-2(血管内皮増殖因子受容体2)
販売名
サイラムザ点滴静注液100mg
組成
容量(1バイアル):
成分・含量
(1バイアル中):
成分・含量
(1バイアル中)
添加物:
- L-ヒスチジン 6.5mg
L-ヒスチジン塩酸塩水和物 12.2mg
グリシン 99.8mg
塩化ナトリウム 43.8mg
ポリソルベート80 1.0mg
- 注)本剤は、マウスミエローマ細胞を用いて製造される。製造工程の培地成分としてウシ血清由来成分(アルブミン)を使用している。
禁忌
- 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
効能または効果
- 治癒切除不能な進行・再発の胃癌
- 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
- 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌
〈効能共通
- 本剤の一次化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
〈治癒切除不能な進行・再発の胃癌
- 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
- 原発部位等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[「臨床成績」の項参照]
〈治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌及び切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
- 「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[「臨床成績」の項参照]
〈がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌
- 局所療法(経皮的エタノール注入療法、ラジオ波焼灼療法、マイクロ波凝固療法、肝動脈塞栓療法/肝動脈化学塞栓療法、放射線療法等)の適応となる肝細胞癌患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
- 本剤の使用にあたっては、初回投与時の血清AFP値に基づき、適応患者の選択を行うこと。
- 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴、肝機能障害の程度等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[「臨床成績」の項参照]
- AFP:α-フェトプロテイン
治癒切除不能な進行・再発の胃癌、がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌
- 通常、成人には2週間に1回、ラムシルマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kg(体重)をおよそ60分かけて点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。
治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
- イリノテカン塩酸塩水和物、レボホリナート及びフルオロウラシルとの併用において、通常、成人には2週間に1回、ラムシルマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kg(体重)をおよそ60分かけて点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。
切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- ドセタキセルとの併用において、通常、成人には3週間に1回、ラムシルマブ(遺伝子組換え)として1回10mg/kg(体重)をおよそ60分かけて点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。
〈効能共通
- 本剤投与時にあらわれるinfusion reactionを軽減させるため、本剤の投与前に抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン等)の前投与を考慮すること。グレード注1)1又は2のinfusion reactionがあらわれた場合には、次回投与から必ず抗ヒスタミン剤を前投与し、その後もグレード注1)1又は2のinfusion reactionがあらわれる場合には、抗ヒスタミン剤に加え、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン等)及び副腎皮質ホルモン剤(デキサメタゾン等)を前投与すること。[「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照]
- グレード注1)3又は4のinfusion reactionがあらわれた場合には、本剤の投与を直ちに中止し、再投与しないこと。グレード注1)1又は2のinfusion reactionがあらわれた場合には、投与速度を50%減速し、その後の全ての投与においても減速した投与速度で投与すること。[「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照]
- 高血圧又は蛋白尿があらわれた場合には、以下の基準を参考に本剤を休薬、減量又は投与を中止すること。[「慎重投与」、「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照]
高血圧
- 副作用:症候性のグレード注1)2、又はグレード注1)3以上
処置:降圧剤による治療を行い、血圧がコントロールできるようになるまで休薬する。
降圧剤による治療を行ってもコントロールできない場合には、投与を中止する。
蛋白尿
- 副作用:1日尿蛋白量2g以上注2)
処置:初回発現時:1日尿蛋白量2g未満注2)に低下するまで休薬し、再開する場合には以下のように減量する。
・本剤初回投与量が8mg/kgの場合は、6mg/kgに減量する。
・本剤初回投与量が10mg/kgの場合は、8mg/kgに減量する。
蛋白尿
- 副作用:1日尿蛋白量2g以上注2)
処置:2回目以降の発現時:1日尿蛋白量2g未満注2)に低下するまで休薬し、再開する場合には以下のように減量する。
・本剤初回投与量が8mg/kgの場合は、5mg/kgに減量する。
・本剤初回投与量が10mg/kgの場合は、6mg/kgに減量する。
蛋白尿
- 副作用:1日尿蛋白量3g以上注2)、又はネフローゼ症候群を発現
処置:投与を中止する。
- 注1)有害事象共通用語規準(ver. 4.0)
- 注2)24時間蓄尿を用いた全尿検査が望ましいが、実施困難な場合には尿中の蛋白/クレアチニン比を測定する。
注射液の調製法
- 本剤の投与時には、本剤の必要量を計算し、必要量を注射筒で抜き取り、点滴静注用容器にて日局生理食塩液と混和して全量250mLとして用いる。輸液は十分に混和すること。[「適用上の注意」の項参照]
〈治癒切除不能な進行・再発の胃癌
- 本剤とパクリタキセル以外の抗悪性腫瘍剤との併用における有効性及び安全性は確立していない。
- 併用する他の抗悪性腫瘍剤の添付文書を熟読すること。
〈治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌及び切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- 本剤と併用する抗悪性腫瘍剤は、「臨床成績」の項の内容を熟知した上で、選択すること。[「臨床成績」の項参照]
- 併用する他の抗悪性腫瘍剤の添付文書を熟読すること。
〈がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌
- 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
慎重投与
- 血栓塞栓症又はその既往歴のある患者[心筋梗塞、脳血管障害、肺塞栓症等があらわれるおそれがある。]
- 高血圧症の患者[高血圧が悪化するおそれがある。(「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「重要な基本的注意」の項参照)]
- 消化管など腹腔内の炎症を合併している患者[消化管穿孔があらわれるおそれがある。]
- 出血素因や凝固系異常のある患者又は抗凝固剤を投与している患者[出血があらわれるおそれがある。]
- 消化管出血等の出血が認められている患者[出血が増強されるおそれがある。]
- 胸部における腫瘍の主要血管への浸潤や腫瘍内空洞化を認める患者、喀血の既往歴のある患者[肺出血があらわれるおそれがある。]
- 大きな手術の術創が治癒していない患者[創傷治癒障害による合併症があらわれるおそれがある。(「重要な基本的注意」の項参照)]
- 重度の肝障害(重度の肝硬変、肝性脳症を伴う肝硬変、肝硬変による著明な腹水、肝腎症候群)を有する患者[肝機能が悪化するおそれがある。(「重要な基本的注意」の項参照)]
重大な副作用
- 動脈血栓塞栓症(2.1%注1)、1.5%注2))、静脈血栓塞栓症(2.5%注1)、4.7%注2)):心筋梗塞(0.5%注1)、0.1%注2))、脳血管障害(0.9%注1)、0.4%注2))等の動脈血栓塞栓症、肺塞栓症(0.9%注1)、2.1%注2))等の静脈血栓塞栓症があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、重度の動脈血栓塞栓症があらわれた患者には、本剤を再投与しないこと。
- ,*Infusion reaction(4.2%注1)、4.9%注2)):アナフィラキシー、悪寒、潮紅、低血圧、呼吸困難、気管支痙攣等のinfusion reactionがあらわれることがあるので、本剤投与中は患者の状態を十分に観察し、グレード注3)3又は4のinfusion reactionが認められた場合には、本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行うとともに、以降、本剤を再投与しないこと。[「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「重要な基本的注意」の項参照]
- 消化管穿孔(0.9%注1)、1.3%注2)):消化管穿孔があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。消化管穿孔が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、消化管穿孔があらわれた患者には、本剤を再投与しないこと。
- 出血(18.0%注1)、37.9%注2)):消化管出血(6.2%注1)、7.7%注2))、肺出血(1.4%注1)、4.1%注2))等の出血があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。観察を十分に行い、重度の出血が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、重度の出血があらわれた患者には、本剤を再投与しないこと。
- 好中球減少症(6.5%注1)、58.6%注2))、白血球減少症(1.8%注1)、25.3%注2))、発熱性好中球減少症(0.2%注1)、10.2%注2)):好中球減少症、白血球減少症及び発熱性好中球減少症があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
- うっ血性心不全(0.5%注1)、1.1%注2)):うっ血性心不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
- 創傷治癒障害(0.4%注2)):創傷治癒に影響を及ぼす可能性があり、創傷治癒障害による合併症があらわれることがある。創傷治癒障害による合併症があらわれた場合には、創傷が治癒するまで本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 瘻孔(0.5%注1)、0.5%注2)):瘻孔があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 可逆性後白質脳症症候群(0.1%注2)):可逆性後白質脳症症候群があらわれることがあるので、痙攣、頭痛、錯乱、視覚障害等が認められた場合には、本剤の投与を中止し、血圧のコントロール、抗痙攣薬の投与等の適切な処置を行うこと。
- ネフローゼ症候群(0.2%注1)、0.2%注2))、蛋白尿(10.9%注1)、12.2%注2)):ネフローゼ症候群、蛋白尿があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。[「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「重要な基本的注意」の項参照]
- 間質性肺疾患(0.2%注1)、1.8%注2)):間質性肺疾患があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 肝不全(1.2%注1)、0.1%注2))、肝障害(23.6%注1)、11.3%注2)):肝不全、AST、ALT等の上昇を伴う肝障害、肝性脳症(2.3%注1)、0.1%注2))があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 注1)胃癌患者を対象とした本剤の単独投与による外国臨床試験及び肝細胞癌患者を対象とした本剤の単独投与による国際共同試験(日本人症例41例を含む)における発現頻度に基づき記載した。
- 注2)胃癌患者を対象とした本剤とパクリタキセル併用投与による国際共同試験(日本人症例68例を含む)、結腸・直腸癌患者を対象とした本剤とFOLFIRI併用投与による国際共同試験(日本人症例74例を含む)及び非小細胞肺癌患者を対象とした本剤とドセタキセル併用投与による国内外臨床試験(日本人症例94例を含む)における発現頻度の集計に基づき記載した。
- 注3)有害事象共通用語規準(ver. 4.0)
薬効薬理
作用機序
- ラムシルマブはヒトVEGFR-2に対する抗体であり、VEGF-A、VEGF-C及びVEGF-DのVEGFR-2への結合を阻害することにより、VEGFR-2の活性化を阻害する18)。ラムシルマブは、VEGFR-2の活性化阻害により、内皮細胞の増殖、遊走及び生存を阻害し、腫瘍血管新生を阻害すると考えられる19)。
抗腫瘍効果20)〜23)
- 胃癌患者由来の癌組織片、ヒト胃癌由来MKN-45細胞株、結腸・直腸癌由来HT-29、HCT-8、HCT-116及びColo205細胞株、非小細胞肺癌由来HCC827、NCI-H441、NCI-H460、NCI-H292、NCI-H2122及びNCI-H1975細胞株並びに肝細胞癌由来HuH-7細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、DC101(マウスVEGFR-2に対する抗体)は腫瘍増殖抑制作用を示した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- ラムシルマブ(遺伝子組換え)(JAN)
Ramucirumab(Genetical Recombination)
本 質:
- ラムシルマブは、ヒト血管内皮増殖因子受容体2の細胞外領域に対する遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体である。ラムシルマブは、マウスミエローマ細胞(NS0)により産生される。ラムシルマブは、446個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2本及び214個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約147,000)である。
★リンクテーブル★
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- 同
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