出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/04 23:29:43」(JST)
「経済」のその他の用法については「経済 (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
プロジェクト 経済 |
経済(けいざい 英:economy、羅:frugalis)とは、社会が生産活動を調整するシステム、あるいはその生産活動を指す。[1]
世の中にある資源は有限であり、希少性を有する。社会においてはさまざまな財(商品)[2]が生産され、交換・分配などのプロセスを経て消費されるが、資源の希少性ゆえ要求されるすべての商品が供給できるとは限らない。経済はそれらの要求に応じて供給を決定し、実行するシステムである。
日本語である経済という語は、はじめpolitical economyの訳語として導入された。この訳語の作者は福澤諭吉であるとされたこともあるが、福沢が書物の名前ないし講義名として「経済」という語を用いたとき(1862年、1868年)には、すでに1862年発行の辞書『英和対訳袖珍辞典』がpolitical economyの訳語として「経済」「経済学」の訳語を上げており、同じ年に西周が手紙の中で「経済学」の語を用いている。これらの点から、福沢一人をこの訳語の作者とするのは困難である[3]。訳語として同時期に資生も提唱されたが、こちらはあまり普及しなかった。
「経済」は、漢語では、世の中を治め、人民を救うことを意味する経世済民(若しくは経国済民)などの略語としても使われた。「経国済民」の初出として、しばしば晋の葛洪の『抱朴子』が引かれるが、馮天瑜によると正しくは「経世済俗」である[4]。
元の語である英語の"economy"は古典ギリシャ語の οικονομία(家政術)に由来する。οικος は家を意味し、νομος は法や慣習を意味する。従って、economyの本来の意味は家庭のやりくりにおける財の扱い方であるが、近代になってこれを国家統治の単位にまで拡張し、以前の意味と区別して政治経済学political economyという名称が登場する(この名称は後にA.マーシャルによってeconomicsと改められた。)。
日本のみならず漢字文化圏のほとんどの国で経済という語が普及している。ただしこれは東晋の葛洪によって記された『抱朴子』(ほうぼくし)の記述が起源とされる。唐の太祖(李淵)の造語とする説もある。この場合上記の経世済民の意味で用いられた。 経済を主な対象とする学問として、経済学がある。
経済活動は法律をはじめとする様々な条件によって制約されている。それらの制約のもとで、社会は人々のニーズを満足させるように供給を組織化する。この組織化された供給の仕組みを経済体制[5] (Economic system) という。代表的な経済体制として以下の3つが挙げられる。
伝統経済 (Traditional economy) とは生産や分配などの主要な経済活動が慣習や文化によって大きく規定された経済である。集落や村落などの比較的に小規模な集団の経済にしばしば見られる形態であり、生産活動が個人の家柄や集団の文化によって定められているために予測可能性が高く、継続的かつ安定的な供給が維持される。
「非市場経済」も参照
市場経済 (Market economy) とは企業や個人が自己利益を最優先して物財を生産し、市場の仕組みによって分配する形態の経済である。規範や指令もなく、市場における消費の動向によって生産活動が規定される特徴があり、個人の自由度が高く、意思決定が分散的であり、また希少性の変化に柔軟に反応できる長所がある。ただし経済理論が保証する市場経済の効率性は、財産権、取引の自由、企業参入退出の自由、完全情報などの条件が必要であり、これらの条件が満たされない場合には市場の失敗が生じる。
計画経済[6] (Planned economy) とは中央当局によってあらゆる経済活動が運営されている形態の経済である。指令経済とも言う。産業への必要物資、生産目標、生産割り当てなどが定められ、その計画に基づいて経済活動が遂行される。経済資源や労働力を計画的に運用することができるために特定の産業を集中的に発展できるとされる。一方で、計画経済の下では労働者のインセンティブが欠如しやすいという欠点がある。また、計画経済の存立可能性をめぐってなされた議論として経済計算論争がある。
経済成長とは経済規模の増大や生産性の向上といった経済的な能力の伸びを示す概念である[7]。国あるいは地域の経済規模は、国民総生産 (GNP) や国内総生産 (GDP) によって測られる。これら産出量の変化率が経済成長率であり、狭義にはこの変化率の長期的上昇傾向を指して経済成長と呼ぶ[8][9][10]。経済成長を決定づける要因や、経済成長率と失業率、物価などとの関連を分析する経済学の分野としてマクロ経済学がある。
詳細は「経済成長」、「マクロ経済学」、および「経済成長論」を参照
効率的な経済活動であることから転じて、商品の購入に際して金銭負担が少なくてすむことを「経済的」「エコノミカル (Economical) 」という。飛行機で最も低価格な座席等級を「エコノミークラス」と呼ぶのもこうした用法の1つである。
日本経済、アメリカ経済、中国経済などのように一国家の経済活動を「経済」と呼ぶことがある。更に狭い地域や都市を一括りにして九州経済、大阪経済などと呼ぶこともある。
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