- 英
- aripiprazole
- 商
- エビリファイ Abilify、Ability
- 関
- 抗精神病薬、非定型抗精神病薬。精神神経用剤
-
作用機序
- ドパミンD2受容体の部分作動薬。
- シナプス間隙のドパミン濃度が高い場合にドパミン神経伝達を減弱させる薬物。
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/10/20 18:42:41」(JST)
[Wiki ja表示]
アリピプラゾール
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
7-[4-[4-(2,3-dichlorophenyl) piperazin-1-yl] butoxy]- 3,4-dihydro- 1H-quinolin- 2-one |
臨床データ |
ライセンス |
EMA:Link, US FDA:link |
胎児危険度分類 |
C |
法的規制 |
処方せん医薬品、劇薬 |
投与方法 |
経口(錠剤、散剤、液剤、口腔内崩壊錠)、筋注*(*:日本未発売剤形) |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
87% |
血漿タンパク結合 |
>99% |
代謝 |
肝臓 - CYP3A4 and CYP2D6 |
半減期 |
75h (未変化体と同様の活性を有する代謝物OPC-14857 : 94h) |
排泄 |
糞、尿 |
識別 |
CAS登録番号 |
129722-12-9 |
ATCコード |
N05AX12 |
PubChem |
CID 60795 |
DrugBank |
APRD00638 |
ChemSpider |
54790 |
KEGG |
D01164 |
化学的データ |
化学式 |
C23H27Cl2N3O2 |
分子量 |
448.385 |
SMILES
- O=C1CCc2ccc(OCCCCN3CCN(CC3)c3cccc(Cl)c3Cl)cc2N1
|
アリピプラゾール(Aripiprazole)(商品名:エビリファイ®)は大塚製薬が発見・開発し、世界60カ国・地域以上で承認されている非定型抗精神病薬の一つである。略称はARP。2006年1月に許可。
2009年、アメリカのFDAは自閉症児の癇癪を抑制する作用を承認した[1]。
目次
- 1 剤形及び規格
- 2 作用機序
- 2.1 ドパミン受容体
- 2.2 セロトニン(5-HT)受容体
- 2.2.1 5-HT1Aパーシャルアゴニスト
- 2.2.2 5-HT2Aアンタゴニスト
- 3 禁忌・注意
- 4 副作用
- 5 用量・用法
- 6 受賞
- 7 脚注
- 8 外部リンク
剤形及び規格
- 錠剤(素錠): 3mg, 6mg, 12mg(12mgは2007年に発売)
- ザイディス錠(口腔内崩壊錠): 3mg, 6mg, 12mg, 24mg - 2012年5月発売
- 内用液0.1%(分包): 3mL, 6mL, 12mL - 2009年4月発売。飲みやすいようにオレンジ味である[2]
- 散剤1%
作用機序
ドパミン受容体
脳内のドパミン作動性ニューロンが形成する中脳辺縁系および中脳皮質系に作用し、ドパミン刺激を調節する。アリピプラゾールはドパミンのパーシャルアゴニストとしての作用を有する。パーシャルアゴニストとして作用すると約20~30%の内因性ドパミン活性が低下するという報告がある。[要出典]また前シナプスのドパミン自己調節受容体にも結合し、前シナプスにおいてドパミン放出量を調節する作用を有する。このためドパミンシステムスタビライザー(DSS)ともいわれる。
ドパミンが不足している前頭前皮質ではこれを増量させて感情表出能力や無為・自閉などの陰性症状を改善し、またドパミンが過剰に作用している中脳辺縁系ではこれを減少させて幻覚、妄想などの陽性症状を改善する。
また、適度なドパミン活性があるために側座核に作用することで快楽消失などを伴わず、統合失調症患者の物質濫用を防ぐことができる。
セロトニン(5-HT)受容体
5-HT1Aパーシャルアゴニスト
同じ抗精神病薬でSDAに分類されるペロスピロンや抗不安薬であるタンドスピロンと同じ5-HT1A受容体のパーシャルアゴニストでもあり[3]、タンドスピロンが抗うつ作用や抗不安作用を示すことから、アリピプラゾールも同様の効果を発現するとされる。
5-HT1Aパーシャルアゴニストは前頭前皮質の血流を改善し、認知機能の向上も期待される[4]。
また、タンドスピロンによって、EPSや攻撃性、妄想が軽減したとの報告があり、同様にアリピプラゾールもそのような効果は発現するとされる。
この5-HT1A受容体を介した薬理作用から、「ドパミン・セロトニンシステムスタビライザー」と呼ばれることがある[3]。
5-HT2Aアンタゴニスト
また、5-HT2A受容体のアンタゴニストとしても高い親和性を有することから、錐体外路症状(EPS)の発現を抑えることが報告されている。これらのドパミン及びセロトニンを介した機序から、陽性・陰性症状の改善と安定化や、従来の定型及び非定型抗精神病薬の副作用であった錐体外路症状をアリピプラゾールは発現しにくいという特徴をもつ。
このように、脳内ドパミンシステムにおいては他の抗精神病薬と比較して、有意な特異的作用を有している。だが、2010年現在の日本では統合失調症急性期の薬物療法のファーストチョイスとしてリスペリドンやオランザピンが使われることが多い、しかし、アリピプラゾールが統合失調症急性期にファーストチョイスとして使用されることも多くなってきた。[要出典]
アリピプラゾールの秀でた点は、代謝系や鎮静系に関する受容体への親和性が極めて低いことである。しかし、これまでの抗精神病薬ではあまり見られなかった投与初期の不眠や激越、アカシジアなどの副作用が目立つようになった[5]。
また、抑うつ状態に対し、抗うつ薬があまり有効でない場合、少量のアリピプラゾールを加えることによって抗うつ効果を増強させることができる症例も報告され、実際の医療現場でも応用されている。
禁忌・注意
- 糖尿病またはその危険因子のある者は糖尿病性ケトアシドーシスや糖尿病性昏睡などが起こる可能性があるため、高血糖の症状に十分注意する。特に喉の渇き、多尿、多食、脱力感などがあった場合は直ちに医師に相談すること。
- バルビツール酸誘導体等の強い影響下にある者は投与できない。
- エピネフリンを服用中の者は血圧降下作用が増強する可能性があるため、注意すること。
- 肝障害のある者は悪化させる場合があるため、慎重に服用すること。
- 眠気、集中力の低下などが起こる場合があるが(添付文書によると傾眠の副作用は1〜5%未満)、その他の統合失調治療薬と比較すると軽度である(むしろ、アリピプラゾールは前頭葉におけるドーパミン系の活性化により、認知機能を改善する効果が知られている)。
副作用
神経遮断作用がない、ドパミンD2受容体の部分的作動薬であるため、従来の抗精神薬に比べ副作用が少なく安全性は非常に高い。[6] 不眠、神経過敏、アカシジア(じっとしていることができない)、振戦(手足の震え)、不安、体重減少、筋強剛、食欲不振などが報告されている (これらの副作用は添付文書によると5%以上)。また、患者の1 - 5%未満ではあるが、うつ状態の誘発、1%未満は躁状態を誘発する可能性がある。
また、本剤は肝臓で代謝されるため、アルコールの摂取は悪影響を与えることがある。そのため、飲酒は控える方が望ましい。
用量・用法
発売当初は以下の用法が推奨された。しかし現在は外来においては1日12mg - 18mgを開始用量として適宜増減する方法が推奨されてきている。
- 統合失調症の場合、成人に1日6mg - 12mgを開始用量として、1日6mg - 24mg を維持量とする。1回または2回に分けて経口投与し、1日30mgを超えないようにする。なお年齢や症状に応じて適宜減量する。
- 効果を発揮するまでに約2週間必要なため、2週間以内に増量しないことが望まれる。
また急性期や不安・不眠・焦燥を伴う統合失調症においてはGABA系神経を活性化させるベンゾジアゼピン系薬剤やバルプロ酸ナトリウムの併用が単剤投与より有効である。
受賞
- 2006年、大塚製薬のフランス現地子会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ社フランスは、アリピプラゾールの開発の功績が認められて、フランス・ガリアン賞を受賞している[7]。
脚注
- ^ “FDA Approves Aripiprazole to Treat Irritability in Autistic Children”. Medscape Today. (2009年11月24日). http://www.medscape.com/viewarticle/713006 2010年4月28日閲覧。
- ^ 「統合失調症患者が示した aripiprazole 内用液の「飲み心地」に関する検討」、『臨床精神薬理』第2号2011年2月、 283-288 頁。
- ^ a b “The antipsychotic aripiprazole is a potent, partial agonist at the human 5-HT1A receptor.”. Eur J Pharmacol (441): pp. 137-140. (Apr 2002). PMID 12063084. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12063084.
- ^ 住吉 大幹「セロトニン1A 受容体と統合失調症患者の認知機能および治療」、『臨床精神薬理』第2号2011年2月、 349-356 頁。
- ^ 『今日の治療薬 2011』、2011年、837頁。ISBN 978-4524263622。
- ^ 高橋一志. 向精神薬の今(1)抗精神病薬. 日本医事新報. 2014; 4709:14-21.
- ^ [http://www.otsuka.co.jp/company/release/2006/0616_01.html 抗精神病薬 「エビリファイ」 仏プリ・ガリアン(Prix Galien)賞を受賞(大塚製薬ホームページ)2011年7月14日閲覧]
外部リンク
- 「Aripiprazole」 - Medpediaにある「アリピプラゾール」についての項目。(英語)
- エビリファイ添付文書 - 大塚製薬(PDF)(2010年4月17日閲覧)
- エビリファイ錠-アリピプラゾール(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
|
この項目は、薬学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:薬学/Portal:医学と医療)。 |
抗精神病薬 (N05A) |
|
定型抗精神病薬 |
ブチロフェノン系: アザペロン Benperidol ブロムペリドール Droperidol Fluanisone ハロペリドール Lenperone Moperone ピパンペロン スピペロン Trifluperidol; Diphenylbutylpiperidines: Clopimozide Fluspirilene Penfluridol Pimozide; フェノチアジン系: アセプロマジン Acetophenazine Butaperazine Carphenazine Chlorproethazine クロルプロマジン Cyamemazine Dixyrazine フルフェナジン レボメプロマジン Mesoridazine Perazine プロペリシアジン ペルフェナジン Piperacetazine Pipotiazine Prochlorperazine プロマジン プロメタジン Propiomazine Sulforidazine Thiethylperazine Thiopropazate Thioproperazine Thioridazine Trifluoperazine Triflupromazine; Thioxanthenes: Chlorprothixene Clopenthixol Flupentixol Thiothixene Zuclopenthixol; Tricyclics: アモキサピン Butaclamol Carpipramine Loxapine Metitepine/Methiothepin Octoclothiepin; Others: Molindone Oxypertine Prothipendyl
|
|
非定型抗精神病薬 |
Azapirones: ペロスピロン Tiospirone; ベンザミド系: Amisulpride Levosulpiride ネモナプリド Remoxipride スルピリド スルトプリド Tiapride Veralipride; ブチロフェノン系: Cinuperone Setoperone; Tricyclics: Asenapine Clotiapine クロザピン Fluperlapine Metitepine/Methiothepin モサプラミン オランザピン クエチアピン Tenilapine ゾテピン; Others: Amperozide アリピプラゾール Bifeprunox ブロナンセリン Cariprazine Iloperidone ルラシドン Ocaperidone パリペリドン Pardoprunox Pimavanserin リスペリドン Sertindole Ziprasidone
|
|
Others |
Cannabidiol D-Cycloserine Mifepristone Reserpine Rimcazole Secretin Talnetant Tetrabenazine Vabicaserin
|
|
抗うつ薬 (N06A) |
|
再取り込み阻害薬 |
|
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)
|
フルオキセチン フルボキサミン パロキセチン セルトラリン
|
|
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (SNRIs)
|
デュロキセチン ミルナシプラン ヴェンラファキシン
|
|
ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (NRIs)
|
アトモキセチン
|
|
ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬 (NDRIs)
|
ブプロピオン
|
|
|
|
受容体拮抗薬 / 再取り込み阻害薬 |
|
セロトニン2受容体拮抗・再取り込み阻害薬 (SARIs)
|
トラゾドン
|
|
ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSAs)
|
ミアンセリン ミルタザピン セチプチリン
|
|
ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬 (NDDIs)
|
アゴメラチン フリバンセリン
|
|
|
|
三環系抗うつ薬 と 四環系抗うつ薬 (TCAs/TeCAs) |
|
三環系: アミトリプチリン クロミプラミン イミプラミン ノルトリプチリン アモキサピン 四環系: マプロチリン ミアンセリン ミルタザピン セチプチリン
|
|
|
アザピロン と 5-HT1A阻害薬 |
|
アリピプラゾール タンドスピロン
|
|
|
サプリメント (ビタミン, ミネラル, アミノ酸など) |
|
アスコルビン酸 (Vitamin C) 魚油 葉酸 (Vitamin B9) L-5-HTP (Oxitriptan) レボドパ (Levodopa) L-Methionine フェニルアラニン トリプトファン チロシン マグネシウム メラトニン ナイアシン/Niacinamide (Vitamin B3) ω-3脂肪酸 ピリドキシン (Vitamin B6) S-アデノシルメチオニン 亜鉛
|
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- アリピプラゾールの薬物動態学及び薬理遺伝学について
- アリピプラゾール (医薬品・医療機器等安全性情報(No.279)) -- (重要な副作用等に関する情報)
- 向精神薬の作用機序--新規向精神薬を中心として (第1土曜特集 向精神薬--最新の動向) -- (重要疾患・薬物療法トピックス)
Related Links
- アリピプラゾール(Aripiprazole)(商品名:エビリファイ®)は大塚製薬が発見・開発し、 世界60カ国・地域以上で承認されている非 ... の部分アゴニストでもあり、タンドスピロン が抗うつ作用や抗不安作用を示すことから、アリピプラゾールも同様の効果を発現 すると ...
- エビリファイとは?アリピプラゾールの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べ られる(おくすり110番:薬事典版)
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
エビリファイ内用液0.1%
組成
有効成分
添加物
- グリセリン、プロピレングリコール、乳酸、水酸化ナトリウム、エデト酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、スクラロース、ステビア抽出物、香料、精製水
禁忌
- 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
- バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。]
- アドレナリンを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
●統合失調症
- 通常、成人にはアリピプラゾールとして1日6〜12mg(6〜12mL)を開始用量、1日6〜24mg(6〜24mL)を維持用量とし、1回又は2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は30mg(30mL)を超えないこと。
●双極性障害における躁症状の改善
- 通常、成人にはアリピプラゾールとして12〜24mg(12〜24mL)を1日1回経口投与する。なお、開始用量は24mg(24mL)とし、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は30mg(30mL)を超えないこと。
●全効能共通
- 本剤が定常状態に達するまでに約2週間を要するため、2週間以内に増量しないことが望ましい。(〔薬物動態〕の項参照)
●統合失調症の場合
- 本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。(増量による効果の増強は検証されていない。〔臨床成績〕の項参照)
- 他の抗精神病薬から本剤に変更する患者よりも、新たに統合失調症の治療を開始する患者で副作用が発現しやすいため、このような患者ではより慎重に症状を観察しながら用量を調節すること。
●双極性障害における躁症状の改善の場合
- 躁症状が改善した場合には、本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないよう注意すること。
●内用液のみの注意事項
- ・ 本剤を直接服用するか、もしくは1回の服用量を白湯、湯冷まし又はジュース等に混ぜて、コップ一杯(約150mL)くらいに希釈して使用すること。なお、希釈後はなるべく速やかに使用するよう指導すること。
- ・ 煮沸していない水道水は、塩素の影響により混合すると含量が低下するので、希釈して使用しないよう指導すること。(「適用上の注意 3.」の項参照)
- ・ 茶葉由来飲料(紅茶、ウーロン茶、緑茶、玄米茶等)及び味噌汁は、混合すると混濁・沈殿を生じ、含量が低下するので、希釈して使用しないよう指導すること。(「適用上の注意 3.」の項参照)
- ・ 一部のミネラルウォーター(硬度の高いものなど)は、混合すると混濁を生じ、含量が低下することがあるので、濁りが生じた場合は服用しないよう指導すること。(「適用上の注意 3.」の項参照)
- ・ 分包品(3mL、6mL、12mL)は、1回使い切りである。開封後は全量を速やかに服用させること。
慎重投与
- 肝障害のある患者[肝障害を悪化させるおそれがある。]
- 心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者[一過性の血圧降下があらわれるおそれがある。]
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣閾値を低下させることがある。]
- 糖尿病又はその既往歴を有する患者、もしくは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者[血糖値が上昇することがある。](〔警告〕の項、「重要な基本的注意 4.、6.」の項及び「副作用 重大な副作用 6.糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡」の項参照)
- 自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者[症状を悪化させるおそれがある。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重大な副作用
悪性症候群(Syndrome malin)(0.2%)
- 無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それにひきつづき発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡することがある。
遅発性ジスキネジア(0.1%)
- 長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること。なお、投与中止後も症状が持続することがある。
麻痺性イレウス(0.2%)
- 腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。
アナフィラキシー様症状(頻度不明※)
- アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症(0.2%)
- 横紋筋融解症があらわれることがあるので、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等に注意すること。
糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(頻度不明※)
- 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡から死亡に至るなどの致命的な経過をたどった症例が報告されているので、本剤投与中は口渇、多飲、多尿、頻尿、多食、脱力感等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、インスリン製剤の投与などの適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意 4. 6.」の項参照)
低血糖(頻度不明※)
- 低血糖があらわれることがあるので、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意 5. 6.」の項参照)
痙攣(0.5%)
- 痙攣があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
無顆粒球症(頻度不明※)、白血球減少(0.1%)
- 無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肺塞栓症、深部静脈血栓症(頻度不明※)
- 抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意 10.」の項参照)
肝機能障害(頻度不明※)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
薬理作用
受容体親和性
- in vitro 受容体結合試験で、組換え型ヒトドパミンD230)、ヒトドパミンD3、ヒトセロトニン5-HT1A31)及びヒトセロトニン5-HT2A受容体に対して高い親和性を示し、ヒトドパミンD4、ヒトセロトニン5-HT2C、ヒトセロトニン5-HT7、ラット大脳皮質α1-アドレナリン及びヒトヒスタミンH1受容体に中程度の親和性を示した。ウシ線条体ムスカリンM1、ラット心臓ムスカリンM2及びモルモット回腸ムスカリンM3受容体に対する親和性は低かった。
ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用
- in vitro 試験においてドパミンD2受容体に対して部分アゴニストとして作用した30)。in vitro 及びin vivo 試験において、ドパミン作動性神経伝達が亢進した状態ではドパミンD2受容体に対してアンタゴニストとして作用し、ドパミン作動性神経伝達が低下した状態ではドパミンD2受容体に対してアゴニストとして作用した30,32,33)。
セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用
- in vitro 試験においてセロトニン5-HT1A受容体に対して部分アゴニストとして作用した31)。マウス脳内のセロトニン代謝物5-ヒドロキシインドール酢酸含量を減少させ、ラット縫線核のセロトニンニューロン発火を抑制した。
セロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用
- セロトニン5-HT2A受容体アゴニストにより誘発される行動変化を抑制した34)。また、in vitro 試験で、セロトニンによるラットP11細胞内Ca2+濃度の増加を抑制した。
統合失調症諸症状に関連する動物モデルでの改善作用
- 陽性症状の指標と考えられているラット条件回避反応を抑制し、不安症状の指標であると考えられているラットコンフリクト反応を抑制した。
カタレプシー惹起作用
- マウス及びラットにおける、アポモルヒネ誘発常同行動抑制作用に対するカタレプシー惹起作用のED50値の用量比は、クロルプロマジン及びハロペリドールより大きかった32)。
血中プロラクチン濃度を調節する下垂体前葉ドパミンD2受容体に対する作用
- in vitro 試験においてラット下垂体前葉ドパミンD2受容体に対して部分アゴニストとして作用した33)。
作用機序
- アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用、セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用及びセロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用を併せ持つ薬剤である。明確な機序は不明であるが、これらの薬理作用が臨床における有用性に寄与しているものと考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- アリピプラゾール〔Aripiprazole(JAN、INN)〕
化学名:
- 7-[4-[4-(2,3-dichlorophenyl)-1-piperazinyl]butoxy]-3,4-dihydro-2(1H )-quinolinone
- 白色の結晶又は結晶性の粉末である。ベンジルアルコールに溶けやすく、酢酸(100)にやや溶けやすく、水、アセトニトリル、メタノール、エタノール(99.5)又はヘキサンにほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
商品名
会社名
成分
薬効分類
薬効