真性多血症
- poly(多) + cyt(細胞) + mia(血症) vera(真性?)
- ラ
- polycythemia vera PCV PV
- 同
- 真性赤血球増加症、真性赤血球増多症
- オスラー病 Osler disease,オスラー・ワーケ病 オスラー-ヴァケー病 Osler-Vaquez disease,ヴァケー病 Vaquez disease
- 関
- 骨髄増殖性疾患(MPD)
概念
- 慢性骨髄増殖性疾患の一つ。
- 多能性血液幹細胞の腫瘍性増殖により、赤血球数の絶対的増加と循環赤血球量の増加を呈する。
- 赤血球の他に、白血球、血小板も増加するが、リンパ球は増加しない。
病因
- 多能性幹細胞の異常により、血球が腫瘍性に増殖することが原因とされる。
疫学
- 新患発生数:100万人対2人/年
- 50-60歳に多い。
症状
- 循環赤血球量の増加 → 循環血液量の増加+血液粘稠度の亢進:循環障害による頭痛、めまい、耳鳴り、倦怠感、知覚異常、呼吸困難など → 高血圧、狭心症・心筋梗塞、間欠性跛行
- 血球の増加:脾腫(70%の症例)、赤ら顔(口唇、頬部、鼻尖、耳) →肝臓や脾臓の腫大は髄外造血による
- 骨髄
- ヒスタミンの放出:皮膚の掻痒感、消化性潰瘍
- 尿酸の放出増加:高尿酸血症 → 痛風
- 代謝亢進:発汗、体重減少
検査
血算
- 赤血球:増加
- 白血球:増加
- 血小板:増加
- リンパ球:正常
血液生化学
- 血清尿酸:高値
- 血清ヒスタミン:高値
- 血清ビタミンB12:高値 → 顆粒球増加
- エリスロポエチン:低値 → 二次性ではない
- 血清鉄:低値
- 血清フェリチン:低値
- 好中球アルカリホスファターゼ染色(NAPスコア):上昇 ⇔ 慢性骨髄性白血病:低下
- SpO2 :正常
遺伝子検査
- JAK2 V617F遺伝子変異解析:骨髄増殖性腫瘍である真性多血症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症の患者においてみられるJAK2遺伝子の変異を検出する。JAK2遺伝子のV617F変異は、骨髄増殖性腫瘍のうち真性多血症の患者の97%、原発性骨髄線維症の患者の50-60%、本態性血小板血症の患者の55-65%にみられる変異である。
特殊検査
- 循環赤血球量:増加(男性36 mL/kg以上、女性32 mL/kg以上) ← RIを使うはず
骨髄穿刺
- 過形成
- NAP score:増加
骨髄生検
- 過形成
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鉄代謝
診断
- 循環赤血球量の増加、動脈酸素飽和度が正常であること、脾腫の存在
- 血小板数の増加、白血球数の増加、白血球アルカリホスファターゼ値の上昇、血清ビタミンB12の高値
- 血中、尿中のエリスロポエチン値はむしろ低下
- 受容体の質的異常・量的異常が認められない
- インスリン様成長因子Iに対する感受性の亢進、Bcl-2ファミリーに属するBcl-XLの発現亢進、エリスロポエチン受容体の発現パターンの異常、トロンボポエチン受容体の発現低下、チロシンホスファターゼの発現異常、エリスロポエチン受容体遺伝子の異常
診断基準
| 2008年WHOによる真性多血症診断基準 | |
| 大基準 | 1. Hb>18.5g/dl(男性)、>16.5/dl(女性) もしくは 年齢、性別、住居している緯度から換算したHbかHtが9.9%以上増加している もしくは Hb>17g/dl(男性)、>15g/dl(女性)で鉄欠乏性貧血などの改善以外にHbが本人の基準値よりも2g/dl以上持続上昇している もしくは 赤血球数が予想値の25%を超えて上昇している |
| 2. Jak2V617Fかもしくは同様の変異が存在する | |
| 小基準 | 1. 骨髄の3系統が増生を示す |
| 2. 血清エリスロポイエチンがおおよそ正常値を示す | |
| 3. 内因性の赤芽球コロニー形成を認める | |
鑑別診断
治療
- 治療目標:生命予後は良好であり、10年生存率は50%異常が期待できる。合併症となる血栓症の予防が主眼となる。
- 瀉血:Ht 42-47% ← 血管閉塞症の頻度が低下する
- 血圧や脈拍の経過を見ながら月1-2回、1回200-400ml程度で行う。
- 高齢者や心血管障害を有する例では1回100-200ml頻回の瀉血が望ましい
- 抗血栓療法:血栓症の既往、もしくはリスクが高いときには抗血小板薬を処方。
- 抗癌薬投与:ヒドロキシウレアが第一選択で、不応例や不耐例の場合はルキソリチニブ。以前は40歳以上ではブスルファンとされていた。
- 放射性同位体:32P
- 高尿酸血症を有する場合にはフェブリクやアロプリノールを処方。
血栓症リスク
- Barbui T, et al.(J Clin Oncol. 2011 ; 29 : 761)
| リスク分類 | 予後因子 |
| 低リスク | 年齢<60歳、かつ血栓症の既往なし |
| 高リスク | 年齢≧60歳、または血栓症の既往がある |
予後
- 生存は平均6-10年。5年生存率約75%, 10年生存率約55%
- 主な死因は、消化管出血や脳血管障害
長期生存
- 25%の症例で骨髄線維症へ移行
- まれに急性白血病を発症。32Pによる治療を受けた患者に多い
USMLE
- Q book p.245 32
- first aid step1 2006 p.278
国試
参考
- 総論 - 造血器腫瘍診療ガイドライン - 造血器腫瘍診療ガイドライン
http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_4.html#soron
- PV瀉血療法後のHt目標値を45%にすることは勧められるか
http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_4.html#cq7
- 真性多血症の治療ガイド - ノバルティスファーマ株式会社