子宮体癌
- 英
- uterine corpus cancer, carcinoma of uterine corpus, cancer of the uterine body
- ラ
- carcinoma corporis uteri
- 同
- 子宮内膜癌 endometrial carcinoma endometrial cancer
- 関
- 子宮、腫瘍、産婦人科学、子宮内膜増殖症(前癌病変)
- G9M.157(進行期分類)
定義
- 子宮体部内膜に発生する上皮性悪性腫瘍。
疫学
- 発生頻度は欧米に多く、日本では少ない(女性人口10万当たり4)→高齢化、生活習慣との関連
- 発症年齢は50歳代が最も多く、閉経後が7割を占める。40歳以下の婦人は5%程度。
- 妊娠中および分娩後5年以内に体癌が発見されることはほとんどない。
- 日本では近年増加傾向。子宮癌全体の30%を占める(みえる9.150)
リスクファクター
- プロゲステロンに拮抗されずに、エストロゲンに長期暴露されることによる
- 典型像:60歳くらいの太った未産の女性
- 未婚、不妊、閉経後、高い初婚・初妊年齢、少ない妊娠・出産回数、卵胞ホルモン服用歴、肥満
- 卵巣機能異常(無排卵周期症、PCOSなどの既往) → 正常量のエストロゲンが存在するものの、これに拮抗するプロゲステロンが欠乏する
- 出典不明
症状
子宮体癌の組織的分類
- ()内の頻度はG9M.155
- 子宮内膜癌
- 腺癌:ほとんどが腺癌
- 扁平上皮癌
- 混合癌
- 未分化癌
G9M.155
- 腺癌(95%以上)
- 類内膜癌(80-90%) → 類内膜腺癌(60-70%)、扁平上皮への分化を伴う類内膜腺癌(20-30%)
- 細胞異型が強い場合にはGradeを上げる。
- Grade1(高分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の5%以下。プロゲステロン受容体陽性率高。予後良好
- Grade2(中分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の6-50%。プロゲステロン受容体陽性率中。予後中等度
- Grade3(低分化型)充実増殖の占める割合が腺癌成分の50%超。プロゲステロン受容体陽性率低。予後不良
- その他(扁平上皮癌など(5%以下))
発生機序による分類
- type I:エストロゲン依存性。発症は遺伝子変異とエストロゲンの長期持続刺激による子宮内膜細胞の異常増殖
- 若年者の子宮体癌は多嚢胞性卵巣に由来するものがある
- type II:エストロゲン非依存性。子宮内膜異型増殖症を介さないで癌化する
| I型子宮体癌 | II型子宮体癌 | |
| 発生機序 | エストロゲンへの長期暴露 | de novo癌 |
| 好発年齢 | 閉経前-閉経早期 | |
| 頻度 | 80-90% | 10-20% |
| 病巣周辺の 子宮内膜異型増殖症 |
あり | なし |
| 組織型 | 類内膜腺癌 | 漿液性腺癌 明細胞腺癌 |
| 分化度 | 高分化型 | 低分化型 |
| 筋層浸潤 | 軽度 | 高度 |
| 予後 | 比較的良好 | 不良 |
| 遺伝子変異 | K-ras, PTEN | p53 |
検査
超音波エコー(経膣超音波)
- 子宮内膜の肥厚が認められる。
腫瘍マーカー
MRI
- T2画像が有用。
- junctional zoneの菲薄化・欠損
- 子宮内膜>腫瘍>筋層>junctional zone
診断
- スクリーニング:細胞診
- 子宮腔内の吸引あるいは擦過細胞診による検出率:90%以上
- 子宮頚・腟部からの細胞採取による検出率:50%以下
- 確定診断:子宮内膜の試験掻爬組織診
手術進行期分類 (日産婦 1995,FIGO1998)
- 原則として手術進行期分類を用い、手術を行っていない例では臨床進行期分類を用いる
体 → 頚 → 骨盤内 → 骨盤外
- 0期: 子宮内膜異型増殖症
- I期: 子宮体部に限局
- Ia期: 子宮内膜に限局
- Ib期: 浸潤が子宮筋層1/2以内
- Ic期: 浸潤が子宮筋層1/2を越える
- II期: 子宮頸部に及ぶ
- IIa期: 頸管腺のみ
- IIb期: 頸部間質浸潤
- III期: 子宮外に広がるが小骨盤腔を越えない、または所属リンパ節転移
転移
- 直接浸潤
- リンパ行性転移
症状
- 不正性器出血、腹痛
治療
- 手術療法、放射線療法、薬物療法(抗ガン剤、ホルモン療法)
- 治療法の基本は手術療法(単純子宮全摘術、準広汎子宮全摘術、広汎子宮全摘術)。
- 補助的に摘出術を追加することがある:両側付属器切除術、リンパ節郭清、部分大網切除術
- 薬物療法・放射線療法:手術不能例、再発例、術後の補助療法
薬物療法
抗悪性腫瘍薬
- シスプラチン、アドリアマイシン、タキサン系の多剤併用療法
化学療法のレジメン
- 参考:http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/nmk/cr/report/200702/502818.htm
- 世界ではアドリアマイシン単剤療法(A)に対してアドリアマイシンとシスプラチンの併用療法(AP)の治療効果、あるいはアドリアマイシンとシスプラチンの併用療法(AP)に対してアドリアマイシン、シスプラチン、およびパクリタキセルの三剤併用療法(TAP)の治療効果を比較した臨床研究がなされている。それぞれの後者の方が奏効率が高い。しかし、TAP療法は毒性が高く、子宮体癌に対する標準治療としては2006年の段階で認められていない。
- 現在は卵巣癌の標準化学療法として知られているパクリタキセルとカルボプラチンの併用療法は、子宮体癌に対しても奏効率が非常に高く、標準化学療法としての期待が高まっている。
- GOG(the gynecologic oncology group)ではTC療法とTAP療法を直接比較する試験を進行させている。結果が出るまでには数年かかる。
ガイドライン的には「アンスラサイクリン系とプラチナ製剤を含む薬剤の選択が薦められている(グレードB)。タキサン系製剤も併用さているが、その十分な根拠は得られていない(グレードC)。(子宮体癌の治療ガイドライン2006年)
一般的な抗腫瘍薬による副作用
ホルモン療法
- ホルモン療法単体:挙児希望のGrade1のIa期:高用量MPA
- 術後補助療法:再発リスクの低い場合、高用量黄体ホルモン療法は非推奨(グレードD)(参考2)
手術療法
- 1. 子宮摘出術
- 単純子宮全摘術
- 子宮体部に限局しているとき
- 準広汎子宮全摘術
- 子宮体部に限局しているとき
- 広汎子宮全摘術
- MRIや肉眼で明らかな頸部間質浸潤が認められるとき。
- 2. 両側付属器切除術
- 3. リンパ節郭清
- 骨盤リンパ節郭清:基本的に施行。省略するのは、類内膜癌Grade1で、画像診断で病変が子宮内膜に限局すると推定される場合のみ。
- 傍大動脈リンパ節郭清
- 鼠径リンパ節郭清
- 4. 部分大網切除術
傍大動脈リンパ節郭清術と部分大網切除術の適応
- 転移リスクが高いため
放射線療法
- 子宮頚癌(扁平上皮癌)より放射線は有効ではない。 → 放射線療法は腺癌に奏効しづらい!!!
子宮温存を希望する若年性子宮体癌
- 根治治療ではなく、いずれは子宮全摘が必要。
- 再発例では子宮全摘
適応
- 画像診断上Ia期(内膜限局)
- G1の類内膜腺癌
治療
- 子宮内膜全面掻爬
- 高用量黄体ホルモン療法
予後
予後規定因子
- 筋層浸潤の深さ、頚部浸潤、子宮外進展、リンパ節転移、病理組織型、組織学的分化度、血管・リンパ管侵襲
5年生存率
| 臨床進行期 | 5年生存率(%) | |
| 出典不明(相対) | NGY.229 | |
| I | 86 | 79 |
| II | 68 | 66.8 |
| III | 42 | 37.5 |
| IV | 16 | 8.5 |
国試
症例
- 55歳の女性。不正性器出血を主訴に来院した。未経妊、閉経51歳。不妊治療をした経験がある。子宮は鶏卵大で卵巣は両側とも触知しない。経膣超音波で子宮内膜の肥厚が見られる。
子宮体癌治療ガイドライン(2006年)
- FIGOは子宮体癌の手術進行期分類を採用。
- 1)進行期決定のために手術術式の選択が必要である。
- 2)子宮体癌は放射線感受性が低く、抗ガン剤の標準治療の確立が遅れている。
- このことから子宮体癌では手術療法が第一選択。高齢や内科的合併症などの理由で、放射線療法が選択される場合もある。
参考
- 1.
- <click2in>http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/10/post_d2b6.html</click2in>
- 2. 子宮体がん治療ガイドライン2009年版:(金原出版)
- 3. ガイドライン