http://www.gaihoren.jp/gaihoren/public/medicalcost/html/index.html
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/01/22 12:31:42」(JST)
医療費(いりょうひ)とは、病院や診療所など、保健医療機関において点数化された療養として現物給付されたものと、歯科医院や、保健医療機関以外の医療機関(鍼灸院・接骨院)において受けた医療行為に対して、一旦全額負担した後還付される療養費とがある。通常、療養費は医療機関における代理請求(受領委任払い)が慣例化している。
以下特に断り書きがない限り、日本での事例について述べる。
目次
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厚生労働省の発表によると、2010年度医療費総額は36兆6000億円で、前年度より1兆4000億円増加。また70歳以上の高齢者の医療費は16兆2000億円。
日本では保険診療の場合は健康保険から費用が出され、2007年4月現在、原則、3-69歳の患者は医療費の3割、0-2歳の小児は2割(自治体で別途公費補助あり)、70歳以上の高齢者は1割(所得によっては3割)を窓口で支払う仕組みとなっている。なお、美容整形・歯科矯正など保険対象外の自由診療(保険外診療)の場合は全額患者負担となる。
診療報酬の引き下げが続く中、医療機関の経営改善(政策的には医療費抑制)を目的に特定機能病院や一部の民間病院では、既存の出来高払い方式から診断群分類包括評価(DPC)方式を採用している。
2006年からは保険医療機関等から受け取る医療費の内容の分かる領収証には医療内容区分毎の点数が記載され会計窓口で支払う負担金の計算根拠が表示されている。
人口の急速な高齢化に伴い、老人医療費の増加が問題になり、健康保険制度の見直しが長年議論されているが、政局の影響や各種団体(医師会、保険者、企業、労働組合など)の利害が衝突し、抜本的な改革はなかなか進まない状況にある。
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師が行う施術、柔道整復師が行う施術の費用は療養費と呼ばれ、施術費用の取り扱い(請求方法・計算方法・負担方法)で異なるものの、健康保険とほぼ同様に扱われる。
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「医療費#国民医療費」も参照
薬局調剤医療費を除き、治療に直接かかわる医療費はそれほど増えていないという指摘がある。
外保連は最近数年間を見る限り、医療費増加のカーブは平坦化しており、老人医療費も増えていないと主張している[1]。
逆に日本の医療費は国民所得をかなり上回るペースで伸びており、特に老人医療費の伸びが著しいと言う指摘がある[2]。 平成9-15年の期間、医療費総額の伸びは8.9%老人医療費の伸びは13.6%期間中国民所得は-7.0%であった。(因みに平成9-15年と限った訳は、同期間中9年に医療費の本人負担額の2割化、12年に介護保険制度の施行と老人負担額1割化、15年に本人負担額の3割化といった個人負担の強化による総医療費の抑制がかかった期間であるためである)また平成12年4月から介護保険制度が施行されたことに伴い、従来国民医療費の対象となっていた費用のうち介護保険の費用に移行したものがあるが、これらは平成12年度以降、国民医療費に含まれ無くなっている(ここ数年間国民医療費が見かけ上増えないか減っている様に見えた要因)。
なお、65歳以上老人医療費は総額で平成17年度16.8兆円と総額の過半数(51.0%)を占めている(平成14年15.2兆円/49.2%、15年15.9兆円/50.4%、16年16.4兆円/51.1%)。
上記両論については外保連HPでの図4 老人医療費11.7兆円/平成15年度と、その元データであるはずの平成15年度国民医療費の概況/厚生労働省・表5 年齢階級別国民医療費における65歳以上老人医療費15.9兆円/平成15年度の違いからも食い違っており、同じ論拠とするのが難しい。
つまり元データである厚生労働省発表で見ると、医療費全体が国民所得に占める割合が平成に入った頃の6%から、個人負担の強化による総医療費の抑制と医療機関の存立に係わるほどの厳しい医療費削減政策、診療報酬の度重なる引き下げ(平成14年は-2.7%。平成16年は-1.0%。平成18年度は-3.16%)を経てすら9%(平成17年)に達している事と、それをふまえた日本医師会/厚生労働省「平成17年度国民医療費」について[3]。 でみると平成14年、16年度診療報酬改定によって一人当たり70歳以上老人医療費では逆に-0.21%マイナスになっている事にそれぞれ触れていない為であろう(総額は70歳以上老人医療費でも11.9-12.4-13.0-13.6兆円/14-15-16-17年と増額している)。
高齢者ほど医療費がかかる現実(医療費問題)を前にして、人口のボリュームゾーンである団塊世代が、今まさに65歳以上の老人医療費扱い(自己負担率が3割から1割になる)と言う時期に、公費(国、自治体)と個人負担に対して、費用(医療機関)の、バランスと負担分担が問われる事が問題の本質であろう(その答えが医療崩壊、赤字病院の増加と廃院として受益者である国民に押し寄せ医療抑制に繋がっている傾向が上記資料から見て取れる)。
医療費増加というとき医療費総額を指すのかと個々の疾病で必要となる医療費を指すのか分けて考える必要がある。医療費増加の要因として人口の高齢化や医療技術の進歩・普及などの議論が多いが、医療需要の誘発喚起、投資回収、医療費抑制対策など医療サービス提供側の要因も無視できない。
医療費増加を制御するために出来高払いでは診療報酬点数引き下げ、検体検査での「まるめ」などの方法が用いられてきたが、入院医療費については2003年から疾病群で決める方法(DPC)も導入されている。出来高払いでは医療費の診療報酬点数が引き下げられると患者数を増やして点数総額維持の努力がなされ、結果的に薄利多売となる可能性がある。また薬価が引き下げられてもより高価で優れた新薬が発売されるので、薬価引き下げが医療費抑制になるとは限らない。
現在の医療機能が疾病の診断治療が医療サービスの主となっており、疾病自体を減らそうとするサービスは従とならざるをえなかった。健康維持・健康増進や疾病予防を充実することは医療費抑制に即効力はない。しかしがん検診率を向上して進行癌にならないうちに癌を見つけて切除することや健診でメタボリックシンドローム予備群を発見して合併症を予防することなどを医療サービスとして評価することは、結果的に医療費増加抑制に効果があると期待される。
医療施設は医療資源である「人・物・金」を市場から調達する。医療資源は医師・歯科医師・薬剤師・看護師・臨床検査技師・その他医療スタッフなどの「ひと」、医療機器・検体検査・医薬品・設備や施設などの「もの」、運転資金などをいう。市場原理によってより良い医療資源を確保してより良い医療を提供することが可能になるという考え方にもとづいているが、医師や看護師が条件が良い医療機関・診療科目や都市に集中したり、立ち去りも自由であるため、診療科や地方によっては不足(枯渇も)するなどの現象が起こりうる。
医療資源を集中させて医療の効率や医療機能高度化を図ると同時に、受診の容易さや医療内容の平等性等のためには医療資源の分散化も必要である。医療資源の集中と分散のバランスを保ちながら、医療費増加を制御する必要があり、その舵取りは難しい。
医療費を医師による疾病の診断と治療に必要な費用(ドクターフィー的な費用)とそれ以外の費用(ホスピタルフィー的な費用)に分ける考え方がある。ホスピタルフィーには看護、事務等さまざまな医療スタッフの費用や臨床検査、薬局・医薬品の費用が含まれている。医療費抑制政策ではホスピタルフィー関連の引き下げ幅がドクターフィー引き下げ幅より大きいことが多い。
医師による疾病の診断と治療に必要な費用を、文字通りのドクターフィーとして医療保険から医師に直接報酬を支払うべきであるとする考え方もあるが、この場合には医療サービス内容が医療保険に左右される可能性もある。
調剤薬局は、厚生労働省の医薬分業を目的に増加の一途を辿ってきた。効果の狙いは以下の通りである。
国民医療費に含まれる薬局調剤医療費は、平成7年の1兆2,662億円(国民医療費の4.7%)から平成18年の4兆7,061億円(同14.2%)まで急増している。その伸びは11年で372%以上、国民医療費での比率にして3倍強である。[4][5]この急増により以下の問題点が浮上した。
国民医療費とは、単年度内の医療機関等における傷病の治療に要する費用を推計したものである。「公費負担医療給付分」「公的医療保険等給付分」「後期高齢者医療給付分」の原則として診療についての支払確定額をもって、患者が支払う「一部負担額」と医療費の全額を患者が支払う「全額自費」推計し、以上を合算することにより推算される[6]。
平成7年度から平成18年度までの11年間の国民医療費の伸びは約22.9%であった。
年度 | 国民医療費 | 入院医療費 | 入院外(外来)医療費 | 歯科医療費 | 調剤医療費 | 国民1人あたり |
---|---|---|---|---|---|---|
平成6年度1994年度 | 25兆7,908億円 | 38.8% | 44.9% | 9.1% | 4.1% | 20万6,300円 |
平成15年度2003年度 | 31兆5,375億円 | 37.2% | 39.2% | 8.0% | 12.3% | 24万7,100円 |
平成16年度2004年度 | 32兆1,111億円 | 36.9% | 39.0% | 7.9% | 13.1% | 25万1,500円 |
平成17年度2005年度 | 33兆1,289億円 | 36.6% | 38.8% | 7.8% | 13.8% | 25万9,300円 |
平成18年度2006年度 | 33兆1,276億円 | 37.0% | 38.6% | 7.6% | 14.2% | 25万9,300円 |
特定の疾病原因による患者増加の結果として増加した国民医療費分を、超過医療費と呼ぶ。2003年の日本総合研究所 (株式会社)志水武史研究員による研究[7]によると、「喫煙」・「排気ガス」・「アルコール乱用」による超過医療費は、1999年時点で約3兆1,898億円、2025年時点における超過医療費の総額は約7兆4,791億円と推計している。
超過医療費を抑制するために、同研究は以下の提案を行っている。
喫煙と排気ガスに対して課税・課徴金を用いて内部化した場合の医療費抑制効果は2025年時点で年間約269 億円と推計している。また、喫煙、排気ガス、アルコール乱用に対し、内部化以外の抑制策を実施した場合の医療費抑制効果は、2025 年時点で年間約1兆1,511億円と推計している。
概算医療費または医療機関医療費は医療機関メディアス(MEDIAS)として厚生労働省のホームページで公表されている[8]。
審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会)で処理された診療報酬の点数、費用額、件数及び日数等の集計が概算医療費データベースとして公表されている。医科入院、医科入院外、歯科及び調剤の医療費、入院時食事療養及び訪問看護療養の費用額が含まれている。
外保連によれば、2005年における日本の総医療費の対GDP比は7.9%で、これは先進国の中では最も低い(対GDP比が最も高いのは、米国の15%)。OECD : Organisation for economic co-operation and development が2007年に発表したOECD Healthcare Data 2007[9]によれば、2004年における日本の総医療費の対GDP比は8.0%(概算)であった[10]。
米国との比較では、額の大小に加えて、公的支出と私的支出(家計の医療費の支出)の割合が違うことも指摘されている。米国の公的支出は高齢者(メディケア)と低所得者(メディケイド)に限定しているため、私的支出の割合が大きくなる[11]。 アメリカ合衆国で破産した人のおよそ半数が、医療費支払いにより破産しているとの報告もある[12]。 しかも自己破産に至った患者または、その家族の多くは中産階級で医療保険加入者であったという。こうした問題点は、古くからアメリカの政治的問題と認識され議論が行われてきた。2010年には医療保険改革法が成立、国民皆保険制度を通じて低所得者の医療費支出の軽減を目指している。
イギリスではNational Health Service(NHS)をうける限りでは診療は無料(自己負担額が無い)だが、薬が必要なときは処方料を支払う(約1800円)。処方料は薬一種類につき必要なため、複数の薬を処方してもらうとかなり高額になる。その結果、日本における医療費の3割負担額よりも、イギリスでの処方料のみの方が高額になることがよくある。また歯科はNHSでも有料であり自己負担額は日本よりも高い。NHS以外のプライベート(個人病院)で医療を受ける場合は全額自己負担であり、その金額は日本における医療費よりもかなり高額である。
スペインも同じく無料。フランスでは20から30%であるが、実際には種々の補助があるため、これを下回る。
医師は医師法により、一定の要件が満たされなければ診療を拒むことは出来ないが、患者は医療費の支払いを先延ばしにすることがある。患者による医療費の支払いの先延ばしは、医療機関の経営の圧迫をもたらすことがある[13]。
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栄養サポートチーム(NST:Nutrition Support Team)とは、職種の壁を越え、栄養サポートを実施する多職種の集団(チーム)である。栄養サポートとは、基本的医療のひとつである栄養管理を、症例個々や各疾患治療に応じて適切に実施することである。<ref name=A>東口高志 『NST完全ガイド』照林社、2005年</ref>
NSTは1960年代の中心静脈栄養(TPN)の開発普及とともに誕生し、欧米を中心に世界各地に広がった。日本ではその普及が容易でなく、1998年のPPM方式の考案が契機となり、全国の医療施設に広がった。2006年4月の診療報酬改定により、多くの病院でNSTが立ち上がることとなった。<ref name=A>東口高志 『NST完全ガイド』照林社、2005年</ref>
この項では日本におけるNSTについて述べる。
1968年、米国のダドリック(Dudrick)らによって、中心静脈栄養法(Total Parenteral Nutrition)が開発され、全米に普及した。同時期に、医師・薬剤師・看護師などの栄養管理を専門とするメディカル・スタッフが各施設で求められるようになり、栄養管理チーム構築の始まりとされる。一方、同時期にブラックバーンにより栄養アセスメントが初めて体系化された。
1973年、米国ボストンシティ病院に初のNSTが本格的に誕生した。同時期に、マサチューセッツ総合病院ではフィッシャー教授がNSTをHyperalimentation Unitという名称で構築していた。
NSTは中心静脈栄養法の普及と相まって全米、ヨーロッパ諸国に広がった。 欧米ではNSTは診療部門の一つとして設立されていることが多い。施設内の全ての症例に対して提言・発言する権利を与えられ、中心静脈栄養法の施行にもNSTの承認を必要とするなどの規定が設けられたりしている。NSTが医療の質の向上や医療費の削減に貢献することを全ての医療従事者が認識している。<ref name=B>東口高志、『NSTの運営と栄養療法』医学芸術社、2006年</ref>
日本においても、中心静脈栄養法の普及と同時にNSTが導入されたが、数施設で単科・少数科での活動であったり、全科型でも中心静脈栄養法の管理が中心であった。<ref name=B>東口高志、『NSTの運営と栄養療法』医学芸術社、2006年</ref>栄養管理の有用性が認識されていなかった為、経費のかかる専属チームの設立は考えられていなかった。
全科型のNSTの発足は、PPM(Potluck Party Method)方式によるNSTが、1998年6月に鈴鹿中央総合病院に、2000年7月に尾鷲総合病院に設置されたものが日本初である。<ref name=B>東口高志、『NSTの運営と栄養療法』医学芸術社、2006年</ref>
現在日本でもNST活動の有用性は認識されており、2004年5月に病院機能評価項目Ver5.0の中にNSTの設立が取り上げられ、2005年末には全国で約700施設でNSTが設立されている。また、2006年4月の診療報酬改定に伴い、栄養管理実施加算が新設された。この加算が求めるものは、全科型のNST活動であり、全国の医療施設がNSTを積極的に設立するきっかけとなった。
NSTは職種の壁を越えたチーム医療であり、多職種のメンバーで組織される。主な職種は以下の通りである。
これらのチームによって、患者に対して栄養状態の評価・判定を行い、適正な栄養補給を実施し、さらに経緯を確認しながら栄養を改善することを目的に組織される。
適切な栄養療法を基盤として、より大きな治療効果や予防効果をもたらす補助組織(ワーキングチーム)やコラボレーション組織の育成が必要となる。
カテーテルの管理、栄養・食事のチェック、身体測定、NST診療録の管理などがあるが、中でも重要な役割は、①患者の身体状況を確認し、正確な情報をチームにアドバイスすること、②患者に栄養状態の実状を把握してもらい、協力してもらうことであろう。
第一に、輸液製剤の無菌的な調製があげられる。また、薬学的見地より栄養状態、処方内容を検討すること。特に輸液製剤、経腸栄養剤と薬剤との相互作用の検討、消毒剤と消毒方法の検討と医療従事者及び患者、患者家族への教育がある。<ref name=C>島田慈彦ら 『実践静脈栄養と経腸栄養』エルゼビア・ジャパン、2003年</ref>。
NSTにおいて管理栄養士は患者の食事摂取量や摂取状況など情報を元に食事量や食事形態の調節を行う
日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)、日本病態栄養学会、日本栄養療法推進協議会などがNST認定施設、NST専門療法士などの認定を行っている。
テンプレート:脚注ヘルプ <references/>
年収 | 医療費の患者負担の月額上限 |
<210万 | 3万5400円 |
210万≦ <800万 | 8万100円 |
800万< | 15万円 |
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