出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/02/09 14:40:03」(JST)
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予算(よさん、budget)とは、
予算はいくつかの意味で用いられている。ひとつは一般に用いられている用語で、一般の組織(企業、様々な法人、グループ 等々)が、収入や支出に関して立てる計画のことである。もうひとつのしばしば用いられる用法は、行政用語で、中央政府や地方政府などが、歳入や歳出に関してあらかじめ立てる計画のことである。
一般に、何らかの事業を適切に行うにはPDCAサイクルに考慮する必要があるとされているが、予算は、このPDCAサイクルの「P」(=Plan 計画)のうちの数字的なものに当たる。P(=計画)だけではあくまで紙にかかれたものにすぎず[注 1]、事業を行い現実の世界にその効果をもたらすためには、「P」の後の「D」(=Do 実行)、「C」(=Check チェック、監査)、「A」(Act 改善)が非常に大切なように、予算を立てるだけでは事業は成功せず、むしろその後の、事業を実行し、事業が適切に行われたかチェックし不適切であった部分を不適切だとはっきり指摘し、(次のサイクルのために、すぐに)改善すべき点を改善することのほうがむしろ重要となる。[注 2]
企業で「予算」と言う場合、まず経営ビジョンに基づいて設定した具体的な目標があり、その目標を数字として表現したものである[2]。 予算の分類のしかたはいくつかある。 例えば「売上予算」「費用予算」「投資予算」などに分類することができる。
企業の予算は、収入・売上をどう見積もるか、というところに特に重点が置かれる。
グロービスのMBA用語集では、予算の立て方の原型を2つ挙げている[2]。「トップダウン型」「ボトムアップ型」である[2]。
ここで言う「トップダウン型」とは、経営陣が一方的に各部門の予算を決める予算の立て方である。これはは、現場の意見が反映されていないので、現場の人から見ると予算がノルマと感じられてしまう傾向があり、現場の人の動機づけが難しくなるという面がある[2]。いわゆるモチベーションや士気が下がってしまうのである。
「ボトムアップ型」は、各現場が自主的に予算を設定し、これを部門ごとに集計することを積み上げて、最終的に全社予算を設定する予算の立て方である。こちらのほうは、各現場の予算を合算しただけでは、会社全体としての利益目標とかけ離れてしまうといった側面がある。
どちらも大きな難点があるわけである。したがって、健全な経営が行われている企業では、しばしば問題点を減らし、両方の良い特徴を持つ予算が立てられるようにと調整作業が行われる。
例えば、経営陣は経営陣で企業として必要だと思われる予算原案・素案をつくり、現場側・各部門側は現場の視点で見た可能な予算原案・素案をつくり、相方がそれらを持ち寄って顔をつきあわせて議論を重ねるための場を設け、互いに、各数字を算定した事情を説明したり、相手の説明を聞いて相手側の事情の理解すべく努め、その上で、相方が納得できる数字を見出すべく調整作業を行うのである。
企業の「収入」というのは、(行政組織のように、住民・国民から税金を強制的に取り立てるようなやり方、「棚からボタ餅」のような状態で収入が発生するわけではなく)、ある意味で非常に不確定・不安定で、各営業職が顧客に対して地道で忍耐強い営業活動を行うことで、ようやく自社商品が売れ(売れないことがほとんどだが、稀に売れることがあり)、そうした膨大な活動の中においてある頻度で起きる売買成立によって個々の小さな売上が生じ、その積み重ねで企業としての売上、(帳簿上の「収益」)が生まれる、というしくみになっている。
企業においてしばしば、経営者の指揮のもと、経理部(あるいは財務部および経理部)、営業部 等々等々、収入・支出にかかわるあらゆる部署の責任者が協力し予算が立てられる。
政府、特に首長等の行政責任者の側(大統領、内閣など)は、毎年度、あるいは個々の事業を行うにあたってまず予算を立てる。
議会制民主主義においては、一般に、その予算を承認するか不承認とするか、ということは議会の側が決定することになっている。 よって、予算の承認・不承認は、議会が政府の行政を統制する手段のひとつ、中でも重要な手段となりうる。
特に議院内閣制の議会においては、年度の予算の否決は当該内閣に対する不信任を意味することが一般的である。
日本では、国や地方公共団体等の政府の予算については、憲法・法律(財政法等)で定められている。単式簿記方式になってしまっており、PDCAサイクルの「D 実行」「C チェック」「A 改善」がきちんと行えなえないずさんな状態が放置されている。[3]
航空/陸上運送量や隣国の軍事力等、客観的・統計的基準によって各行政部局の担当する行政サービス需要の前年対比伸長率を算定し、それを元に各行政部局への予算配分枠を決定し、部局予算枠内で内部留保と各部局の裁量権を許容する制度を言う。
実際問題として各部局への配分予算枠は歳出化経費を割り込む事はできないので、歳出化経費予算と新規事業予算を分け、基準年度歳出化経費と行政需要伸長率に基いて当該年度の歳出化経費枠ガイドラインを定め、行政需要が縮小して歳出化経費がガイドラインを超過している部局については、超過額に応じた法定率での人員削減や耐用年数延長を行い削減した上で超過を認め、残額を新規事業予算として基準年度新規事業費と行政需要伸長率に応じて各部局に配分する事になる。
複数年度で予算を策定し、各部局が単年度で使い残した予算を当該部局の次年度の新規事業に充当する事を認める制度である。
通常、国家予算の審議は立法府によって行われる。
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通常、国家予算の議決は立法府によって行われる。
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通常、国家予算の執行は行政府によって行われる。
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予算は、予算総則、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為とする(財政法第16条)。
現行法下での予算の法的性格について学説は分かれている。
予算行政説、予算承認説:旧通説
予算法律説
予算法形式説、予算法規範説、予算国法形式説:通説
予算の期間(会計年度)は、基本的に4月1日~翌年の3月31日である。
単一予算主義に基き、全ての歳入や歳出は単位の会計において処理するのが原則である(一般会計予算)。例外的に独立した会計を有するものとして、特別会計予算と政府関係機関予算がある。
単年度予算の種類は以下の通り。
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。(憲法86条)
予算を国会に提出する権利は、内閣にあり(憲法73条第5号)、財務省が各省庁と協議の上作成し、閣議決定された後、1月中に国会に提出される(財政法第27条)。
予算は、衆議院に先に提出しなければならない(憲法60条第1項)。
衆議院事務局が予算案の提出を受けると、議長および議院運営委員長に通達されて委員会の場で各会派と調整し趣旨説明としての財政演説を行う日程を決める。当初予算であれば財政演説は政府四演説の一環として行われるため、通常国会の召集日取りおよび全体スケジュールと合わせて調整が行われる。
なお補正予算を提出する場合でも趣旨説明たる財政演説を行う必要がある。第2次安倍内閣では、通常国会の冒頭に補正予算を提出して財政演説のみ行い、成立後に改めて本予算の説明を兼ねた財政演説を含めた形で政府四演説を行うというスタイルを採っている。
当初・補正のどちらの予算であっても、財政演説に対する代表質問を経て、衆議院予算委員会に付託し冒頭の総括質疑を行う。財務大臣は委員会冒頭の趣旨説明において、本会議での財政演説よりも踏み込んだ内容を話さなければならない。その後、一般的な法律案と同様に一般質疑、締め括り質疑を経て委員会・本会議それぞれの採決に掛ける形を取る。この時に、年度内成立ないしは暫定予算回避のタイミングを計った上で強行採決が行われることもある。
参議院で衆議院と異なった議決をした場合に両院協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が衆議院の可決した予算を受け取った後に国会休会中の期間を除いて30日以内に議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる(日本国憲法第60条第2項)。 つまり、衆議院で予算が議決されてしまえば、参議院の審議が終了しなくとも30日後には自動的に成立する。予算が3月初めに衆議院を通過してしまえば、暫定予算を策定する必要もないので、政府と与党にとっては予算の衆議院通過が重要視される。
一般的には、「法律案→可決→法律」の例に倣い国会議決前の状態を予算案と、議決後のものを予算と呼ぶことが多いが、法律上は、議決の前後にかかわらず「予算」という。国会の審議においても、「一般会計予算ほか2案」のように議案の単位としては「案」を用いるが個別の題名は議決前でも「予算」と呼び「案」は付さない。
これは
のに対し、
との規定となっていることによる。
予算が成立したときは、内閣は、国会の議決したところに従い、各省各庁の長に対し、その執行の責に任ずべき歳入歳出予算、継続費及び国庫債務負担行為を配賦する(財政法第31条)。
予算については部局・予算の性質などにより項目(予算科目)が設けられる。
日本の国家予算は、一般会計の歳出(2008年度83.1兆円)だけを国家予算と呼ぶ場合があるが、これは誤りであり、特別会計も加えて、一般会計・特別会計で重複する部分を除外した数値が日本の全ての歳出となる。
戦後、特に旧大蔵省時代は政府予算案の公開とともに、予算総額の数字の並びを用いて、旧大蔵省が語呂合わせを発表するのが恒例行事であった。好印象の言い回しで希望的な意味合いを持たせ、予算の広報と話題作りを狙ったものである。さらに、このニュースに合わせて報道機関各社が別途独自に語呂合わせを作ることもある。こちらの場合は、皮肉を込めたものが多い。現在でも、地方自治体のなかには、予算決定とともに語呂合わせを発表する所がある。
地方公共団体の予算の考え方については、国の予算とほぼ同じである。
以下、第二次世界大戦前、特に大日本帝国憲法下における日本の予算について述べる。
明治6年、大蔵大輔井上馨、大蔵省出仕渋沢栄一が財政制度改革建議書を提出したのに対して、大蔵省事務総裁大隈重信が歳入出見込会計表を公表したが、これが日本の予算の最初であるとされる。 明治14年に会計法が制定され、22年に憲法が発布されるなどして、予算制度が確立した。
収入支出の総括的協賛主義がとられ、したがって収支はまとめて協賛を求める。
予算としては、総予算、特別予算、追加予算があり、総予算とは一般会計の予算である。 予算分割主義が行われ、後に国庫統一主義が採られた。 特別予算とは特別会計の予算で、その目的は次の通りであり、
追加予算とは他の予算の協賛の後またはその審議中に追加として提出される。
純計予算または予算の純計とは、国の全ての予算を総合したものであるが、しかし総予算、特別予算、追加予算の合計が直ちに予算の純計にはならない。 例えば、一般会計から朝鮮特別会計に補助金が支給されるが、この金額は双方の会計の収入および支出の欄に現れるから、両会計の金額を機械的に合計すると、重複が起こる。 このような重複を控除して計算されるのが予算の純計である。
会計期間は1箇年(4月1日から翌年3月31日まで)である。 ただし、戦時に限り、臨時軍事費の特別会計に限り、閉戦までを1会計期間とし、日清戦争のとき1年10か月間、日露戦争のとき3年4か月間、日独戦争のとき7年9か月間である。
予算は歳出と歳入に、それぞれがさらに経常部と臨時部に区分される。 歳出は各省予算に区分される。 皇室費は別項目であり、また内閣費、帝国議会費は大蔵省所管に編入される。 歳入は大蔵省が統轄し、各省は雑収入を取り扱う。 歳入は省別されない。
予算は款、項、目、節に区分される。 一例を挙げると次のとおり。
帝国議会は款および項の金額について議定する。 款および項を議決項目または法律科目と言い、予算の執行にあたって款と款、項と項との間の金額の流用は禁止されている。
目、節の金額の流用は許可されている。 上の例で言えば奏任俸給の金額を減じてこれを勅任俸給に流用してもよいが、事務費を減じてこれを俸給に流用することは許可されていない。
総予算は、各省から歳出概算書および歳入概算書が作成され、これらが大蔵大臣に送付される。 うち歳入のは主として大蔵省が作るが、過去3箇年の実収の平均を求め、これに増減の傾向率が加味されて推算される。 うち歳出のは各省で作られるが、諸般の理由から各省からは多額の要求が行われることが多く、大蔵大臣は全ての省の要求を認容することは不可能であるから、査定によって各省からの要求額を削減して収支の均衡を図り、歳入歳出概算書を作成し閣議に提出し、確定されて、各省において改めてこの決定を基礎として歳入は歳入予定計算書、歳出は予定経費費要求書をそれぞれ作成し、大蔵大臣に提出する。
これは前年の9月30日までに提出するべきであることとなっているが、実際は2ヶ月余、遅れる。 大蔵大臣はこれをまとめて歳入予算明細書および歳入歳出総予算を作って、閣議に提出し、決定の上議会に提出する。
特別会計は歳入歳出予定計算書に基いて、大蔵大臣は直ちに各特別会計の予算を作成する。
予算提出権は政府のみが有する。 議会は、希望する予算を政府が提出するよう建議するのにとどまる。 議会では政府提出の予算案について数字だけでなく政府の政策について審議する。 議会は予算の削減をすることができるが、増加する権能は無い。
予算外の国庫負担となるべき契約については政府はあらかじめ議会の協賛を必要とする。 例えば会社に政府が利益保証の契約をする場合その他である。
国家の歳出歳入は毎年予算をもって帝国議会の協賛を経ることとなっていた(大日本帝国憲法第64条1項)。 他の議案とは異なって予算について衆議院は先議権を有する(大日本帝国憲法第65条1項)。 衆議院を通過した予算は貴族院で議定される。 貴族院が、衆議院を通過した予算をそのまま承認する場合に、両院の意見の一致となり、上奏裁可を経て予算案は確定予算となる。 この協賛を経た予算を成立予算または決定予算という。 貴族院、衆議院両院の意見が不一致であるときは両院協議会が開かれ、協議会の案の全体を一括して、まず衆議院で可否を問い、可決したときは貴族院に回付する。 この際いずれもその案の全体について可否を決するのであり、一部修正あるいは一部承認は許されない。 両院の意見が不一致であるときは予算は不成立となる。 なお、衆議院では1891年の第一議会において、第67条関連の予算削減を審議する際には事前に政府の了解を得るとする趣旨の決議が採択されている、これは予算修正の範囲を衆議院自らが狭める一方で、合意された修正予算案は実質的には政府と衆議院による共同提案の形となり、貴族院における異論の提示を困難にすることになった。
総予算は成立し、特別予算または追加予算の一部が不成立であるときは問題が無いが、総予算が不成立となり、特別予算、追加予算が成立した場合、この成立予算が有効であるかどうか疑義があるとされた。 各個の予算は別個の法律案であり、予算の不可分の原則は各予算別々について行われるという形式的立場から、成立予算は全て有効であるという議論があって、これは大正3年(1914年)以降、日本で慣例として認められた。 しかし、特別予算および追加予算は総予算を基礎として運営されるのだから総予算が不成立であるにもかかわらず、他の予算が成立するのは事務の執行の上で不便が多いという実質的な立場から反対する議論がある。
両院の意見の不一致、議会の解散その他によって、予算が不成立である場合は前年度の予算が踏襲される(大日本帝国憲法第71条)。 この予算を成立予算に対して施行予算という。 この場合、既定の継続費に対してはその年度割当高について変更を加えることが認められている。 施行予算の範囲内で実際に施行するべき予算を標準予算または実行予算という。 実行予算という用語は、ほかに、議会を通過した決定予算があるにもかかわらず政府が行政上成立予算の範囲内で自制的に実行するために作る予算についても用いられる。 例えば浜口内閣の成立直後に井上蔵相が作った実行予算はこれである。
国庫金の取扱は収入機関として日本銀行の本支店、代理店、税務署、出納官吏その他があり、支出は各省大臣またはこれから委託代理を受けたものが行う。
国庫委託金制度が行われていたが、後に国庫金預金制度が行われ、日本銀行は国庫金を預金として取り扱い、これに利子を付すると共にこれを他に貸付運用することが認められる。
予算に不足がある場合の処置は次のようなものがある。
実際3月31日までに歳出入を完了することは不可能であるため、会計法においては7月31日までを整理期間として、これまでにすべてを決済させることになっている。 ただし会計規則においては、行政各部における実際の取扱期間をなおいっそう短縮する。
予算外の収入は、財政上の緊急処分、非常税の徴収、公債の募集その他によって、また過年度の歳入が現年度に入ることによって、起こることがある。 これらはいずれも現年度の歳入として取り扱われる。 ただし過払または誤払によってひとたび支出された金が返納される場合、すなわち支出済歳出の返納金はただちにその年度の歳入としないで、かつてこれを支払った経費の部に戻り入れる規定である。
アメリカ合衆国では予算は法律として定められる。憲法の規定上、下院の先議が定められている他は通常の法律案と同様の手続きで審議される(支出権限法案という扱いとなる)。したがって大統領は提出権を持たないものの教書による勧告権および拒否権を有し、上院による法案可決も必須となる。
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