トラスツズマブ

出典: meddic

trastuzumab
ハーセプチン Herceptinトラツズマブ
分子標的薬剤乳癌



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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/07/30 16:47:59」(JST)

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和文文献

  • ラパチニブ+カペシタビン療法及び放射線療法により長期生存が得られた乳癌多発脳転移の一例
  • 山田 雅史 [他]
  • 長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi 87(2), 65-68, 2012-06-25
  • … 多発肝転移が認められたことから切除不能と判断し、まずFEC100療法を導入し、その後トラスツズマブ+パクリタキセル療法を施行した。 …
  • NAID 110009456146
  • HERファミリーと乳がん治療 (抗がん剤治療の最前線 : 分子標的薬剤の使用による進歩(前篇)) -- (治療につながる診断の新規技術と分子生物学の進歩)
  • 鈴木 栄治
  • 最新医学 67(-) (851増刊), 1358-1366, 2012-06
  • NAID 40019367860

関連リンク

トラスツズマブ(英: Trastuzumab)はヒト癌遺伝子HER2/neu(c-erbB-2)の遺伝子産物 であるHER2蛋白に特異的に結合する事で抗腫瘍効果を発揮する抗がん剤。癌の増殖 などに関係する特定の分子を狙い撃ちする分子標的治療薬の一種である。
トラスツズマブ(ハーセプチン)はがんの細胞表面のHER2と呼ばれるたんぱく質だけに 作用して、がん細胞の増殖を阻害する分子標的薬です。乳がん患者の25~30%は HER2が過剰に存在するといわれています。

関連画像

図2http://kazganyobou.cocolog-nifty.com/blog トラスツズマブの効き方適応となるがんトラスツズマブの画像 p1_31ラパチニブの作用機序

添付文書

薬効分類名

  • 抗HER2注1)ヒト化モノクローナル抗体 抗悪性腫瘍剤
    注1)HER2:Human Epidermal Growth Factor Receptor Type 2(ヒト上皮増殖因子受容体2型、別称:c-erbB-2)

販売名

ハーセプチン注射用60

組成

成分・含有量(1バイアル中)
有効成分

  • トラスツズマブ(遺伝子組換え)注3) 60mg

添加物

  • トレハロース 54.48mg、L-塩酸ヒスチジン 1.34mg、L-ヒスチジン 0.86mg、ポリソルベート20 0.24mg
  • 注3)本剤は、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。製造工程の培地成分としてブタの胃組織由来成分(ペプトン)を使用している。

禁忌

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能または効果

  • ○HER2過剰発現が確認された転移性乳癌
  • ○HER2過剰発現が確認された乳癌における術後補助化学療法
  • ○HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌
  • HER2過剰発現の検査は、十分な経験を有する病理医又は検査施設において実施すること。

HER2過剰発現が確認された乳癌の場合

  • 本剤による術前補助化学療法の有効性及び安全性は確立していない。

HER2過剰発現が確認された胃癌の場合

  • 本剤による術後補助化学療法の有効性及び安全性は確立していない。
  • 接合部領域における原発部位、組織型等に関して【臨床成績】の項の内容を熟知し、適応患者の選択を行うこと。
  • HER2過剰発現が確認された転移性乳癌にはA法を使用する。HER2過剰発現が確認された乳癌における術後補助化学療法にはB法を使用する。HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌には他の抗悪性腫瘍剤との併用でB法を使用する。

A法

  • 通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブとして初回投与時には4mg/kg(体重)を、2回目以降は2mg/kgを90分以上かけて1週間間隔で点滴静注する。

B法

  • 通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブとして初回投与時には8mg/kg(体重)を、2回目以降は6mg/kgを90分以上かけて3週間間隔で点滴静注する。
  • なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
  • HER2過剰発現が確認された乳癌における術後補助化学療法においては、以下の点に注意すること。
  • 1年を超える投与の有効性及び安全性は確立していない。
  • 術後放射線療法との併用における有効性及び安全性は確立していない。
  • 本剤は【臨床成績】の項を熟知した上で投与すること。
  • HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌においては、以下の点に注意すること。
  • 本剤は、他の抗悪性腫瘍剤との併用により開始すること(【臨床成績】の項参照)。本剤と併用する抗悪性腫瘍剤は、【臨床成績】の項の内容を熟知した上で、選択すること。
  • 併用する抗悪性腫瘍剤の添付文書を熟読すること。
  • 本剤をB法にて投与する場合に、何らかの理由により予定された投与が遅れた際には、以下のとおり投与することが望ましい。
  • 投与予定日より1週間以内の遅れで投与する際は、6mg/kgを投与する。
  • 投与予定日より1週間を超えた後に投与する際は、改めて初回投与量の8mg/kgで投与を行う。なお、次回以降は6mg/kgを3週間間隔で投与する。
  • 本剤の投与時には、添付の日局注射用水(注射用60:3.0mL、注射用150:7.2mL)により溶解してトラスツズマブ21mg/mLの濃度とした後、必要量を注射筒で抜き取り、直ちに添付の日局生理食塩液250mLに希釈し、点滴静注する(「適用上の注意」の項参照)。

慎重投与

  • アントラサイクリン系薬剤を投与中の患者又はその前治療歴のある患者[心不全等の心障害があらわれやすい。]
  • 胸部へ放射線を照射中の患者[心不全等の心障害があらわれやすい。]
  • 心不全症状のある患者又はその既往歴のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
  • 左室駆出率(LVEF)が低下している患者、コントロール不能な不整脈のある患者、臨床上重大な心臓弁膜症のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
  • 冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者[症状が悪化するおそれがある。又は心不全等の心障害があらわれやすい。]
  • 高血圧症の患者又はその既往歴のある患者[心不全等の心障害があらわれやすい。]
  • 安静時呼吸困難(肺転移、循環器疾患等による)のある患者又はその既往歴のある患者[Infusion reactionが重篤化しやすい(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)。]
  • 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

重大な副作用

心障害

(頻度不明)

  • 心不全(症候:呼吸困難、起座呼吸、咳嗽等、症状・異常:S3ギャロップ、駆出率低下、末梢性浮腫等)、心原性ショック、肺浮腫、心嚢液貯留、心筋症、心膜炎、不整脈、徐脈等が報告されているので、本剤投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて必ず心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察すること。また、アントラサイクリン系薬剤を投与中の患者では本剤投与により心障害の発現頻度が上昇することが報告されているので、特に注意すること。
    異常が認められた場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与継続を検討し、適切な処置を行うこと。
    ただし、症状が重篤な場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

アナフィラキシー様症状

(頻度不明)

  • 低血圧、頻脈、顔面浮腫、眩暈、耳鳴、呼吸困難、喘息、喘鳴、血管浮腫、咽頭浮腫、気管支痙攣、呼吸不全、非心原性肺浮腫、胸水、低酸素症等があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと(【警告】、「重要な基本的注意」の項参照)。

間質性肺炎・肺障害

(頻度不明)

  • 間質性肺炎、肺線維症、肺炎(アレルギー性肺炎等を含む)、急性呼吸促迫症候群等の肺障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと(【警告】、「重要な基本的注意」の項参照)。

白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血

(以上頻度不明)

  • このような症状があらわれることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。

肝不全、黄疸、肝炎、肝障害

(以上頻度不明)

  • このような症状があらわれることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。

腎障害

(頻度不明)

  • 腎障害があらわれることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。

昏睡、脳血管障害、脳浮腫

(以上頻度不明)

  • このような症状があらわれることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。

敗血症

(頻度不明)

  • 敗血症があらわれることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。

薬効薬理

  • ヒト癌遺伝子HER2/neu(c-erbB-2)の遺伝子産物であるHER2蛋白は、ヒト上皮増殖因子受容体ファミリーに属する増殖因子受容体であり、その細胞質側にチロシンキナーゼ活性領域を有する分子量約185kDaの膜貫通型蛋白質である22)。ヒト乳癌細胞において、HER2の高発現が認められているものもある23)。HER2遺伝子を導入しHER2蛋白が高発現したヒト乳癌細胞MCF7では、親株に比べ腫瘍増殖速度の亢進が観察されている24)

抗腫瘍効果24,25,26,27)

  • HER2高発現のヌードマウス可移植性ヒト乳癌(MCF7-HER2、BT-474(細胞当たりのHER2レセプター数=1.0×106))、ヒト胃癌(NCI-N87)及び卵巣癌(CAOV3-HER2)注11)に対し抗腫瘍効果が認められた。また、NCI-N87において、他の抗悪性腫瘍剤との併用により、抗腫瘍効果の増強が認められた。
    MCF-7-HER2、CAOV3-HER2に対しては総投与量3?100mg/kg(3回投与)の範囲で、NCI-N87に対しては総投与量70?280mg/kg(6回投与)の範囲で用量依存的に増殖抑制効果を示した。一方、BT-474に対しては、1日投与量0.1?30mg/kg(8?10回投与)の範囲で用量依存的に増殖抑制効果を示し、1mg/kg以上の高用量投与群では腫瘍の完全退縮も観察された。
    注11)承認された効能・効果は、HER2過剰発現が確認された転移性乳癌、HER2過剰発現が確認された乳癌における術後補助化学療法及びHER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌である。

作用機序23,28,29)

  • 本薬はHER2に特異的に結合した後、NK細胞、単球を作用細胞とした抗体依存性細胞障害作用(ADCC)により抗腫瘍効果を発揮する。ヒトInterleukin-2で処理したヒト末梢血単核球を作用細胞として、Na51CrO4で予めラベルした下記の標的細胞を作用細胞:標的細胞=25:1、12.5:1、6.25:1、3.13:1の比率で混合し、0.1μg/mLのトラスツズマブを添加し、4時間培養した(37℃、5%CO2)。chrome release assayによりADCC活性を測定した。
  • ヒト乳腺上皮細胞184A1株(HER2発現レベル注12)=0.3)
    ヒト乳癌細胞MCF7株(HER2発現レベル=1.2)
    ヒト大腸癌細胞COLO201株注11)(HER2発現レベル=8.3)
    ヒト胃癌細胞MKN7株(HER2発現レベル=16.7)
    ヒト乳癌細胞SK-BR-3株(HER2発現レベル=33.0)
  • 注12)ヒト乳腺上皮細胞184株のHER2発現レベルを1.0としたときの相対値
  • その結果、いずれの作用細胞:標的細胞比率においても、細胞障害活性とHER2発現レベルの間には高い相関が認められ(作用細胞:標的細胞=25:1、12.5:1、6.25:1、3.13:1の時、それぞれR2=0.93、0.92、0.87、0.66)、トラスツズマブはHER2高発現細胞に、より強い細胞障害活性を発揮することが示された。
    また、ヒト乳癌細胞SK-BR-3(HER2高レベル発現株(細胞当たりのHER2レセプター数=9.0×105))及びMCF7(HER2低レベル発現株(細胞当たりのHER2レセプター数=2.2×104))を本薬150μg/mLの存在、非存在下で1日あるいは5日間培養した後、細胞のHER2数を求めたところ、いずれの細胞でもHER2のレベルが低下した。この結果より、HER2分子数を低下させることにより細胞増殖シグナルが低減し、その結果本薬が直接的に細胞増殖を抑制するとの機序も考えられる。
    ただし、HER2低発現の腫瘍株(MCF7)では、in vitroの試験において、トラスツズマブ惹起のADCC活性は極めて微弱であり、また、直接的な細胞増殖抑制作用(トラスツズマブのマウス親抗体である4D5を用いて行われた)は認められなかった。


有効成分に関する理化学的知見

一般名

  • トラスツズマブ(遺伝子組換え)
    (Trastuzumab(Genetical Recombination))(JAN)

分子式

  • 軽鎖(C1032H1603N277O335S6)
    重鎖(C2192H3387N583O671S16)

分子量

  • 148,000


★リンクテーブル★
先読み乳癌」「分子標的薬剤」「Herceptin
国試過去問106A036」「107I030
リンク元カドサイラ」「trastuzumab

乳癌」

  [★]

brest cancer (M), breast carcinoma
乳がん
carcinoma mammae
乳房男性乳癌

リスクファクター

エストロゲンの暴露の期間と正の相関
  • 高リスク:早い初潮、遅い閉経、出産・授乳の経験がない、初産が遅い、閉経後の肥満
  • 低リスク:初産が早い、複数の出産を経ている

組織型

乳癌
 非浸潤癌(10%)
  非浸潤性乳管癌
  非浸潤性小葉癌
 浸潤癌(90%)
  通常型(浸潤性乳管癌)(大多数を占める)
   乳頭線管癌:腺腔形成を伴い乳頭状増殖 or 面皰癌
   充実腺管癌:充実性の髄様/小腺管様構造を呈す
   硬癌(前乳癌の25-30%を占める):浸潤性発育、間質の著明な増殖。リンパ行性転移多い。予後比較的不良。
  特殊型
   粘液癌
   髄様癌:間質にリンパ球浸潤を伴う。予後は比較的良好
   浸潤性小葉癌:両側性の頻度が高い。
   腺様嚢胞癌
   扁平上皮癌
   紡錘細胞癌
   アポクリン癌
   骨・軟骨化生を伴う癌
   管状癌
   分泌癌
   浸潤性微小乳頭癌
   器質産生癌
   その他
 Paget病:乳管癌の上皮内進展により乳頭に湿疹~びらんが認められる。表皮の基底層に明るい胞体の大型Paget細胞を認める。予後良好

検査

  • マンモグラフィ:濃淡不均一な腫瘤陰影。辺縁の放射状棘状影
  • 超音波エコー検査:不整腫瘤
[show details]

治療

  • 外科手術
  • 遠隔転移例の治療:ホルモン療法、化学療法、放射線療法など。

術式

  • 乳房温存手術
  • 腫瘤摘出術
  • 乳房円状部分切除術
  • 乳房扇状部分切除術
  • 胸筋温存乳房切除術
  • 胸筋合併乳房切除術

進展の特徴

  • 進行が比較的遅い。stage Iなら5年生存率90%以上
  • 微小転移しやすい

進展形式

  • 直接浸潤
  • 血行性転移
  • リンパ行性転移

転移

  • 肺(33%)、骨(骨転移)(26%)、皮膚・胸壁(19%)、肝臓(8%)、脳(3%)

ガイドライン

  • 1. 乳癌 癌診療ガイドライン - 日本癌治療学会
[display]http://jsco-cpg.jp/item/16/index.html

参考

  • 1. 乳がんができやすい部位 乳癌の好発部位
[display]http://www.bms.co.jp/nyugan/info/02_03_01.html




分子標的薬剤」

  [★]

molecular target drug
分子標的治療薬分子標的薬


Herceptin」

  [★]

ハーセプチン

trastuzumab


106A036」

  [★]

  • 48歳の女性。 1か月前からの全身倦怠感を主訴に来院した。 42歳時に右乳癌の治療を受けている。乳癌はエストロゲン受容体陰性、 HER2陰性であった。
  • 身長158cm、体重54kg。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧120/60mmHg。眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝の辺縁を触知する。
  • 血液所見:赤血球324万、 Hb9.6g/dl、 Ht34%、白血球6,700、血小板36万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dl、アルブミン4.0g/dl、尿素窒素16mg/dl、クレアチニン0.7mg/dl、総ビリルビン0.6mg/dl、 AST68IU/l、 ALT80IU/l。 CA15-3 150U/ml(基準30以下)。腹部造影CT(別冊No. 13)を別に示す。治療として適切なのはどれか。



[正答]


※国試ナビ4※ 106A035]←[国試_106]→[106A037

107I030」

  [★]

  • 乳癌の治療薬として適切でないのはどれか。


[正答]


※国試ナビ4※ 107I029]←[国試_107]→[107I031

カドサイラ」

  [★]

会社名

  • 中外製薬(株)

成分名

  • トラスツズマブエムタンシン(トラスツズマブ)

薬効分類

trastuzumab」

  [★] トラスツズマブ

herceptin&breast cancer treatment




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