Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/08/19 01:18:09」(JST)
[Wiki ja表示]
グリセルアルデヒド-3-リン酸 |
|
IUPAC名 |
(2-ヒドロキシ-3-オキソプロポキシ)リン酸 |
別名 |
トリオースリン酸
3-ホスホグリセルアルデヒド
GAP |
分子式 |
C3H7O6P |
分子量 |
170.05846 |
CAS登録番号 |
[142-10-9
591-57-1(D体)] |
SMILES |
C(C(C=O)O)OP(=O)(O)O |
グリセルアルデヒド-3-リン酸(グリセルアルデヒド-3-リンさん、Glyceraldehyde 3-phosphate、G3P)は、全ての生物の代謝中間体となる有機化合物である。グリセルアルデヒドの3位の炭素のリン酸エステルである。
目次
- 1 解糖系及び糖新生
- 2 光合成
- 3 トリプトファン合成
- 4 チアミン合成
- 5 外部リンク
解糖系及び糖新生
生成
G3PのD体は次の3つの経路で可逆的に生成する。
- フルクトース-1,6-ビスリン酸を基質としてアルドラーゼの作用により生成
- β-D-フルクトース-1,6-ビスリン酸 D-グリセルアルデヒド-3-リン酸 + ジヒドロキシアセトンリン酸
- ジヒドロキシアセトンリン酸を基質としてトリオースリン酸イソメラーゼの作用により生成
- ジヒドロキシアセトンリン酸 D-グリセルアルデヒド-3-リン酸
- 1,3-ビスホスホグリセリン酸を基質としてグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼの作用により生成
- 1,3-ビスホスホグリセリン酸 D-グリセルアルデヒド-3-リン酸
基質として
- 糖新生過程で、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼの作用により1,3-ビスホスホグリセリン酸を生成
- D-グリセルアルデヒド-3-リン酸 1,3-ビスホスホグリセリン酸
D-グリセルアルデヒド-3-リン酸はペントースリン酸経路にも現れる。
光合成
光合成の初期段階では、リブロース-1,5-ビスリン酸(RuBP)と二酸化炭素からリブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼの作用によって2分子の3-ホスホグリセリン酸が暗反応で生成される。3-ホスホグリセリン酸はATPのエネルギーとNADPHの還元力を使って、カルビン回路でG3Pに変換される。この過程でADP、リン酸イオン、NADP+が生成し、RuBPは再びカルビン回路に戻る。
G3Pは光合成の主要な最終産物であり、グルコースなどの単糖に変換されて他の細胞へ運ばれたり、デンプンなどの多糖として貯蔵されたりしていると考えられている。
バランスシート
6 CO2 + 6 RuBP (+ 12 ATP + 12 NADPH) → 12 G3P
10 G3P (+ 6 ATP) → 6 RuBP
2 G3P → グルコース
トリプトファン合成
G3Pはトリプトファンの生合成の副産物として生成する。トリプトファンは必須アミノ酸の1つで、人体では合成できない。
チアミン合成
G3Pはチアミンの生合成の反応産物の1つとして生成する。チアミンは人体では合成できない。
外部リンク
- D-Glyceraldehyde 3-phosphate and the reactions and pathways it participates in, from the KEGG PATHWAY Database
- Glyceraldehyde 3-phosphate and the reactions and pathways it participates in, from the KEGG PATHWAY Database
解糖系 |
グルコース - グルコース-6-リン酸 - フルクトース-6-リン酸 - フルクトース-1,6-ビスリン酸 - ジヒドロキシアセトンリン酸 - グリセルアルデヒド-3-リン酸 - 1,3-ビスホスホグリセリン酸 - 3-ホスホグリセリン酸 - 2-ホスホグリセリン酸 - ホスホエノールピルビン酸 - ピルビン酸 - アセチルCoA
|
クエン酸回路→
|
|
カルビン回路 |
物質 |
リブロース-1,5-ビスリン酸 - 3-ホスホグリセリン酸 - 1,3-ビスホスホグリセリン酸 - グリセルアルデヒド-3-リン酸
ジヒドロキシアセトンリン酸 - フルクトース-1,6-ビスリン酸 - フルクトース-6-リン酸
エリトロース-4-リン酸 - セドヘプツロース-1,7-ビスリン酸 - セドヘプツロース-7-リン酸
キシルロース-5-リン酸 - リボース-5-リン酸
|
酵素 |
リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ - ホスホグリセリン酸キナーゼ - グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ - トリオースリン酸イソメラーゼ - アルドラーゼ - フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ - トランスケトラーゼ - セドヘプツロース-1,7-ビスホスファターゼ - トランスケトラーゼ - リボース-5-リン酸イソメラーゼ - リブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼ - ホスホリブロキナーゼ
|
|
ペントースリン酸経路 |
物質 |
グルコース-6-リン酸 - 6-ホスホグルコノ-1,5-ラクトン - 6-ホスホグルコン酸 - リブロース-5-リン酸 - キシルロース-5-リン酸 - リボース-5-リン酸 - グリセルアルデヒド-3-リン酸 - セドヘプツロース-7-リン酸 - フルクトース-6-リン酸 - エリトロース-4-リン酸 - フルクトース-6-リン酸
|
酵素 |
グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ - 6-ホスホグルコノラクトナーゼ - ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ (脱炭酸) - リボース-5-リン酸イソメラーゼ - リブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼ - トランスケトラーゼ - トランスアルドラーゼ
|
|
非メバロン酸経路 |
物質 |
ピルビン酸 - グリセルアルデヒド-3-リン酸 - 1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸 - 2-C-メチルエリトリトール-4-リン酸 - 4-ジホスホシチジル-2-C-メチルエリトリトール - 4-ジホスホシチジル-2-C-メチル-D-エリトリトール-2-リン酸 - 2-C-メチル-D-エリトリトール-2,4-シクロピロリン酸 - (E)-4-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブテニル二リン酸 - イソペンテニル二リン酸 - ジメチルアリル二リン酸
|
酵素 |
DXPシンターゼ - 1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸レダクトイソメラーゼ - 4-ジホスホシチジル-2-C-メチル-D-エリトリトールシンターゼ - 4-ジホスホヂチジル-2-C-メチル-D-エリトリトールキナーゼ - 2-C-メチル-D-エリトリトール-2,4-シクロ二リン酸シンターゼ - HMB-PPシンターゼ - HMB-PPレダクターゼ
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 乳がん細胞におけるグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼの低酸素応答機構の解析(研究論文紹介)
- 2-III-33 NAD依存性酵素であるグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼの低酸素誘導機構の解析(一般演題要旨,日本ビタミン学会第63回大会講演要旨)
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase, GAPDH
- 同
- グリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ
- 関
- [[]]
[★]
グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素
- 同
- GAPDH
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義
[★]
- 英
- phosphoric acid
- 関
- PO4
- pKa1=2.12
- pKa2=7.21
- pKa3=12.67