脳波
概念
- 頭皮上に電極をおいて記録される脳の電気活動。
- ニューロンにおけるEPSPとIPSPにより発生する。
電極の配置法
- 国際10-20法
脳波の種類
- 周波数の変化:1-25Hz、振幅の変化:10-150μV
- 周波数で分類:14-25Hzのβ波、8-13Hzのα波、4-7Hzのθ波、0.5-3.5Hzのδ波
- 振幅はβ波が最も小さくδ波が大きい。
| 名称 | 周波数(Hz) | |
| ベータ波 | β波 | 13< |
| アルファ波 | α波 | 8< <13 |
| シータ波 | θ波 | 4< <8 |
| デルタ波 | δ波 | <4 |
beta > alpha > theta > delta ; BATD
脳波の生理的変化
- 年齢:幼若児:δ波のような徐波。4-5歳:α波出現。10-12歳:成人の脳波
- 覚醒と睡眠:覚醒時にはβ波を主とする低振幅速波が優勢。睡眠時にはδ波を伴う高振幅徐波が優勢。α波は覚醒安静時の閉眼状態でみられ、β波は開眼状態ないし精神的活動が高まった時に現れ、δ波とθ波は睡眠時やその他の状態でみられる。
脳波の年齢的変化
- 新生児 :覚醒時と睡眠時の脳波区別がつかず、低い振幅で3Hz以下の周波数の波が連続して見られるのみ。
- 1~2週目:紡錘波様の10Hz前後の短時間波が片側性(+,-のみ)に見られる。覚醒と睡眠は脳波の筋電図に混入しているかによる。
- 2ヶ月前後:入眠時に全般性の徐波が頭部後半を主に見られるようになる。
- 6ヶ月以後:瘤波が中心領付近に2相性で高振幅に鋭い形で出現。中心領から前頭部にかけて13~15Hzの紡錘波がみられる。
- 1歳まで :非対称、非同期性。深い睡眠時には瘤波や紡錘波が消失し、不規則でやや高振幅の徐波が見られる。覚醒時にはδ範囲徐波が高振幅の群波で出現。
- 2~3歳 :浅眠時に中心瘤波が両半球同期性にみられるようになる。また、前頭部を中心に12~15Hzの紡錘波が出現する。深眠時は1歳と変わらない。
- 4~5歳 :傾眠時に平坦化や高振幅の徐波がみられる。浅眠時や深眠時は2~3歳とかわらない。
- 5~7歳 :浅眠時に高振幅の瘤波が両側同期性に中心領、頭頂部を中心に出現する。紡錘波は13~15Hzで頭頂-後頭部優位。他は特に変化はない。
- 8~10歳 :傾眠時には平坦となり成人に近い脳波を示す。瘤波は浅眠時に必ずみられ中心領、頭頂部にはっきり現れる。14Hzの紡錘波は頭頂部に12Hzの紡錘波は前頭部を中心に現れる。
- 11~14歳 :傾眠時には平坦化がみられ、ときに5~7Hzのサインカーブ様の波が中等度の振幅で前頭部にみられる。浅眠時には、瘤波が高振幅で頭頂部にみられ、12Hzの紡錘波が前頭部優位に出現する。深眠時などには変化はない。
- 14歳以降 :成人とほとんど同じような睡眠脳波を示すようになる。
脳波の測定
- 安静時脳波
- 静かな脳波検査室で、覚醒・閉眼状態で記録する。正常な成人の覚醒時脳波はα波が主体の基礎律動である。速波が多少混在することはあるが、徐波はほとんどでない。
- 脳波賦活法:安静時の脳波では小さく隠れている脳波異常を顕著に出現させる方法。
- (1) 開閉眼賦活法
- 正常では安静閉眼時には後頭部優位にα波が出現し、開眼によりα波が減衰する(α-blocking)。α-blockingに問題がある時は、覚醒機構の障害が疑われる。
- (2) 過呼吸賦活法
- (3) 睡眠賦活法
- 自然もしくは薬剤を使用して睡眠状態で行う。てんかんの複雑部分発作の誘発に有効。
- (4) 光賦活法/閃光刺激法
- 閉眼下、眼前30cmの場所で光の点滅による刺激を、周波数を変えながら行う。正常では、光刺激の周波数と同じかその倍の周波数の脳波が頭頂後頭部に出現する光駆動反応がみられる。また、異常反応として光けいれん反応や光ミオクローヌス反応がある。
脳波が発生するメカニズム
脳波 (臨床脳波と脳波解析 第1版 新興医学出版 p.1-2)
- ニューロンの中で脳波に最も密接な電気活動を生じるのは、大脳皮質第V層に細胞体が存在する大錐体細胞である。
- 大錐体細胞は皮質第5層にある細胞体から皮質表面に向かって垂直方向に長い樹状突起を伸ばしている。先端樹状突起のうち深層部第4層に位置する部位には、感覚中継核などの視床特殊核ニューロンの軸索終末部が直接または間接的にシナプスを形成し、また浅層部の第II,III層には主として視床非特殊核ニューロンの終末部がシナプスを形成している。
- ここで、深層部にEPSPが起こると、深層部は電気的に陰性、浅層部は陽性となるためにニューロン内部に電流が生じ、電場が形成される。これが脳波として観察される。
医学大辞典
- 脳波の発生機序は全て明らかとなっていない。
- 大脳皮質の錐体細胞群に発生する興奮性シナプス電流が主因と考えられている。
- 錐体細胞は皮質表面に向かって尖端樹状突起を伸ばし、これに対して視床からの豊富な興奮性投射終末が終わる。
- これらの終末に視床からのインパルスが達すると、その部位にはシナプス電流が流れ込んで吸い込みsinkを形成し、離れたところには受動的な湧き出しsourceが形成される。
- その結果として、吸い込み部分が陰性となり湧き出しが陽性となる電位勾配が生じ、多数の電気的双極子electric dipoleが大脳皮質*に一時的に出現することになる。
- このようにして、皮質錐体細胞をもとにして開かれた電場がつくられることになるので、遠く離れた頭皮上の記録電極に電場電位の変動が及び、その記録が可能になると考えられる。
判読方法
- 背景脳波(基礎律動)と突発波に分けて判読する。
背景脳波
- その電極下の神経細胞群が示す基本的律動:安静時 = α律動を、活動時 = 低振幅のβ律動、睡眠時 = stageに応じた脳波
- 高振幅徐波化は、一般にその領域における神経細胞群の機能低下・抑制ないし未成熟の状態を示す
突発波
- 一過性の律動変化:突発・群発
脳波測定上の注意点
- 検査室の周囲を安静に保つ。
- 前日はなるべく洗髪し、きれいにしておく
- 乳幼児の場合、安静を保つため眠ってもらう。