B型肝炎
- (→B型肝炎ウイルス)
まとめ
- DNAウイルスでありながら逆転写酵素をもつヘパドナウイルスでエンベロープをもつB型肝炎ウイルスの感染により起こる肝炎。感染経路は経皮的?、妊娠母子、性的接触があり、発症は若年者に多い。潜伏期は2-3ヶ月であり、急性・潜行性に発症する。慢性化することは1-10%程度(但し、新生児例がほとんど)あり、劇症化することは比較的多い(0.1-1.0%)。キャリアー化することは母子感染例ではみられるが、成人感染例では稀である。慢性化した場合、(ゲノムに組み込まれる性質も相まってか?)比較的若年で、また肝臓の状態が良好な段階でも肝細胞癌を発症しうる。日本人に多いC型は慢性化しにくいものの、重症感が強く、インターフェロンが奏功しにくく、また肝細胞癌を発症しやすい。治療はインターフェロン、ラミブジン、アデフォビル、エンテカビルがある。予防は免疫グロブリン注射と組換えHBsワクチン接種がある。
病原体
感染経路
- 母子感染、性的接触
潜伏期
- 2-3ヶ月
検査
血清学的検査
- 消化器疾患ビジュアルブック p176
- HBs抗原:現在HBVに感染している
- HBs抗体:HBV感染既往。既にHBVに免疫がある。
- IgM型HBc抗体:感染の急性期に作られる抗体。急性肝炎にかかっているか、慢性肝炎の急性増悪。
- IgG型HBc抗体:慢性期に作られる抗体で、高ければB型肝炎キャリア、低ければ過去にB型肝炎に感染既往がある状態
- HBe抗原:HBVが多量に存在し、他人に感染しやすい状態
- HBe抗体:HBVは減少し、感染力が弱まっている状態
- HBV-DNA:HBVに感染していて、ウイルスが増殖している状態
HBVキャリアの病期とその病態
| 病期 | 肝炎 | 血中 | 肝臓 | ||||
| DNA量 | HBe抗原 | HBs抗原 | cccDNA | ||||
| 免疫寛容期 | 無症候性キャリア | ー | 8~11 | ++ | +++ | +++ | |
| 免疫排除期 | 慢性肝炎 | HBe抗原陽性 | 持続 | 6~10 | + | ++ | ++ |
| HBe抗原陰性 | 変動 | 3~8 | ー | +~++ | +~++ | ||
| 免疫監視期 | 非活動性キャリア | ー | <4 | ー | + | + | |
| 回復期 | ー | ー | ー | ー | + | ||
経過
B型ウイルス抗原・抗体
- HBs抗原:早期(4週)に上昇。28週までに低下
- HBs抗体:28週から上昇
- HBc抗原:測定が非常に困難。
- HBc抗体:HBs抗原に遅れて上昇
- HBe抗原:HBs抗原、HBc抗体に遅れて検出される
- HBe抗体:16-20週ごろにHBe抗原より優位となる
B型肝炎ウイルスの母子感染と予防
- G10M.176
B型肝炎ウイルスの母子感染
- B型肝炎母子感染防止事業(1985年)に基づいて講じられている予防策である。妊娠初期の全妊婦に対してHBs抗原検査を行い、感染が確認されればHBe抗原検査を行いリスクに応じた感染予防対策を実施する。HBe抗原陰性のローリスク群では産道感染の起こる確率は10%であり、新生児が無症候性キャリアとなるのは稀なのに対し、ハイリスク群では産道感染する確率は90%であり、無症候性キャリアとなるのは80%である。従って、ローリスク群には児に対する感染予防対策を、ハイリスク群には強力な感染予防対策を行う。
母子感染の予防
- G10M.176 B型肝炎ウイルス#母子感染の予防
| ローリスク群 | ハイリスク群 | 意義 | |
| HBIG筋注 | 0ヶ月 | 0ヶ月 | ウイルス粒子に対する防御 |
| 2ヶ月 | |||
| HBワクチン | 2ヶ月 3ヶ月 5ヶ月 |
2ヶ月 3ヶ月 5ヶ月 |
防御抗体の付与 |
| HBs抗原検査 | 1ヶ月 | HBV感染の確認 | |
| 6ヶ月 | 6ヶ月 | ||
| HBs抗体検査 | 6ヶ月 | 6ヶ月 | 防御抗体獲得の確認 |
- どうにかして覚えたい
- 予防は0,2 & 2,3,5
- 検査は1,6
B型肝炎とC型肝炎の比較
| B型肝炎 | C型肝炎 | ソース | |
| 感染の特徴 | 慢性の肝細胞障害、 integrationによる変異誘発? |
慢性の肝細胞障害 | 根拠なし |
| 劇症化 | 0.1-1% | 0.1% | HIM |
| 慢性化率 | 1-10% | 85% | HIM |
| キャリア化 | 稀。通常、母子感染でおこる | 医学辞書 | |
| 肝細胞癌患者中 | 約20% | 約70% | QB.B-281 |
| 肝細胞癌患者年齢 | 若年発症 | QB.B-281 | |
| 肝細胞癌発症形式 | 突発あり | 緩徐進展 | QB.B-281 |
| 遺伝子型 | B型肝炎ウイルス#遺伝子型 | ||
| A型、C型 | 1b型、2a型,、2b型 | ||
| 日本ではC型多く、重症化しやすいが、慢性化しにくい。しかし、インターフェロン奏効しにくく、肝細胞癌発症しやすい。 | 日本では1b型多い。インターフェロン奏効しづらい(15%)。平均は2型は奏効しやすい(80%以上でウイルス排除) | ||
| 治療 | インターフェロン ラミブジン アデフォビル エンテカビル テルビブジン |
ペグインターフェロン+リバビリン |
参考
- 1.
- 2. IDWR:感染症の話 B型肝炎