HELLP症候群

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HELLP syndrome hemolysis, elevated liver enzymes, low platelets
ヘルプ症候群


概念

  • 溶血、肝臓酵素上昇、血小板減少を伴う。(NGY.399)
  • 本疾患の溶血は微小血管障害性に起因する(参考6)ものであり、これで肝臓酵素上昇、血小板減少が説明できると思われる。
  • 放置するとDICを発症する。(NGY.399)
  • 妊娠高血圧症候群に伴うことが多い(NGY.399)。しかし15-20%の本疾患の患者では発症前に高血圧や蛋白尿を示していないため、妊娠高血圧腎症とは別の疾患概念と考える専門家もいる。(参考6)

疫学

  • 発生頻度:0.021%、妊娠高血圧症候群の約2%(NGY.399)

臨床所見

  • 右上腹部圧痛 80%
  • 浮腫を伴う体重増加 60%
  • 高血圧(重症 50%, 軽症 30%, なし 20%)

症状(NGY.399)

  • 右季肋部または心窩部痛、悪心・嘔吐で発見される。
上腹部痛・心窩部痛(90%)、疲労感・倦怠感(90%)、嘔気・嘔吐(50%)

合併症

  • DIC 20%
  • 常位胎盤早期剥離 16%
  • 腎不全 7%
  • 肝破裂
  • (子癇発作を起こしやすい)

診断

参考5
  • 1)Sibai の基準
  • 1. 肝機能:血清AST(GOT)値70U/l 以上、血清LDH 値600U/l 以上
  • 2. 溶 血:血清間接ビリルビン値1.2mg/dl 以上、血清LDH 値600U/l 以上。病的赤血球の出現
  • 3. 血小板数減少:血小板数10 万/μ l 以下
  • 2)Sibai の基準を全て満たさなくても以下のような基準をひとつでも満たす場合には、HELLP 症候群発症を警戒し、注意を喚起する(妊娠中毒症学会HELLP 症候群検討小委員会)
  • 1. 肝機能:血清AST(GOT)値、血清LDH 値が各施設の正常域を越えて高値の場合
  • 2. 溶 血:血清間接ビリルビン値、血清LDH 値が各施設の正常域を越えて高値の場合
  • 3. 血小板数減少:血小板数15 万/μ l 以下の場合
  • 4. その他:血中アンチトロンビン活性が正常値の80% 未満の低下を示した場合やハプトグロビン値の低下した場合

鑑別疾患

治療

参考6
  • 初期治療の方針:母体の安定化と胎児の評価を行い、急速遂娩の必要性を評価
  • 1. termination:最良の治療法
  • 以下に当てはまれば急速遂娩の適応:(1)妊娠34週以降である、(2)胎児の状態がnon-assureing statusである、(3)重篤な母体状態(多臓器不全、DIC、肝梗塞、肝出血、腎不全、早期胎盤剥離)である。

治療の禁忌

参考5
  • 病態に交感神経活性化があるために、β受容体拮抗薬(リトドリン)、副交感神経遮断薬(ブスコパン)は血管攣縮を助長するため禁  ←  前者はα受容体の相対的活性化、後者は交感神経優位となるため、と思う。

予後

  • 周産期死亡率:30-40%

資料

  • 1. HELLP, TTP, HUS の診断およびその管理
http://www.jsog.or.jp/PDF/51/5102-31.pdf
  • 2. 妊娠高血圧症候群 - 日本産科婦人科学会 - 日産婦誌58巻5号
http://www.jsog.or.jp/PDF/58/5805-061.pdf
  • 3. 2)妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群) HELLP 症候群 - 日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/PDF/57/5709-257.pdf
  • 4. HELLP症候群の診断と対応(児娩出後の悪化への対応) - 日本産科婦人科学会 - 日産婦誌62巻9号
http://www.jsog.or.jp/PDF/62/6209-273.pdf
  • 5. C.産科疾患の診断・治療・管理 6.異常分娩の管理と処置 - 日産婦誌56巻6号
http://www.jsog.or.jp/PDF/56/5606-107.pdf
  • 6. [charged] HELLP syndrome - uptodate [1]