出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/05/03 00:48:47」(JST)
ミトコンドリア病(ミトコンドリアびょう)は、細胞小器官の一つであるミトコンドリアの異常による病気である。1980年代から脚光を浴びるようになった。障害の起こる部位に因んで、ミトコンドリア脳筋症、ミトコンドリアミオパチーとも呼ばれる。
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ミトコンドリアの変異が原因になって、十分な好気的エネルギー産生が行えなくなることによって起こる。昔の推定と違い、最近の研究では必ずしもミトコンドリアDNAの異常が原因でないことがわかってきた。ミトコンドリア病は、このエネルギー需要の多い、脳、骨格筋、心筋が異常を起こすことが多い。体内全てのミトコンドリアが一様に異常をきたすわけではないため、多彩な病態を示す。また、嫌気的エネルギー産生機構が異常に酷使されるため、代謝産物の乳酸やピルビン酸の蓄積を来すことがある。糖尿病様の病態を示すこともあり、実際、糖尿病の1%はミトコンドリア病であると考えられている。ミトコンドリア病にはまれに核遺伝子の変異によるものもある(チトクロームc酸化酵素欠損の一部)。
多くの場合、孤発性(遺伝関係がはっきりしない)であるが、殆どのミトコンドリアDNAは母親の卵細胞から受け継がれるので、点突然変異(一塩基が置き換わるもの)の場合は母系を伝わり遺伝することがある(細胞質遺伝、または母系遺伝)。核遺伝子の異常によるものは多くの場合常染色体劣性遺伝である。
現時点では根治法のない難病であり、対症療法が主となる。電子伝達系(ミトコンドリアが利用する反応経路の一つ)を補うため、ユビキノンやコハク酸の投与を行う場合もある。2006年現在、モデルマウスを用いた研究が行われている。日本では、特定疾患に指定されている。
ミトコンドリア病では筋生検を行うとしばしば、筋鞘膜下に異常なミトコンドリアがたくさん集積した赤色ぼろ線維(ragged red fiber: RRF)と呼ばれるものが見える。
代表的なミトコンドリア病としては、慢性進行性外眼筋麻痺、MELAS、MERRFの3つがあるが、このうちMELASとMERRFが母系遺伝するのに対し、慢性進行性外眼筋麻痺の多くは孤発例である。
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ミトコンドリア内膜にはNADH輸送タンパク質がない!!(FB.333) 解糖系で得られたNADHは、リンゴ酸-アスパラギン酸シャトルにより還元力がミトコンドリア内に送られる。(FB.309 図15-27,333)
CO2 O2 クエン酸 トリカルボン酸輸送経路 ピルビン酸 輸送体により制御 ATP 輸送体により制御 ADP 輸送体により制御 Pi 輸送体により制御 Ca2+ 輸送体により制御 リンゴ酸 輸送体により制御 アスパラギン酸 輸送体により制御
アセチルCoA (トリカルボン酸輸送経路に乗せるために、クエン酸に変換) オキサロ酢酸 (リンゴ酸かアスパラギン酸に変換)
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