アイクルシグ
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ポナチニブ
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IUPAC命名法による物質名 |
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IUPAC名 3-(2-Imidazo[1,2-b]pyridazin-3-ylethynyl)-4-methyl-N-[4-[(4-methylpiperazin-1-yl)methyl]-3-(trifluoromethyl)phenyl]benzamide |
臨床データ |
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発音 |
poe-NA-ti-nib |
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販売名 |
Iclusig |
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ライセンス |
US FDA:リンク |
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胎児危険度分類 |
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法的規制 |
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投与方法 |
By mouth (tablets) |
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薬物動態データ |
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生物学的利用能 |
Unknown |
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血漿タンパク結合 |
>99% (in vitro) |
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代謝 |
Liver (CYP3A4, 2C8, 2D6, 3A5) |
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半減期 |
12–66 hours |
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排泄 |
Feces (87%), urine (5%)[1] |
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識別 |
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CAS番号
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943319-70-8 |
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ATCコード |
L01XE24 (WHO) |
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PubChem |
CID: 24826799 |
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ChemSpider |
24747381 |
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UNII |
4340891KFS |
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KEGG |
D09950 |
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ChEBI |
CHEBI:78543 |
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ChEMBL |
CHEMBL1171837 |
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別名 |
AP24534 |
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化学的データ |
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化学式 |
C29H27F3N6O |
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分子量 |
532.56 g/mol |
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SMILES
Cc1ccc(cc1C#Cc2cnc3n2nccc3)C(=O)Nc4ccc(c(c4)C(F)(F)F)CN5CCN(CC5)C
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InChI
InChI=1S/C29H27F3N6O/c1-20-5-6-22(16-21(20)8-10-25-18-33-27-4-3-11-34-38(25)27)28(39)35-24-9-7-23(26(17-24)29(30,31)32)19-37-14-12-36(2)13-15-37/h3-7,9,11,16-18H,12-15,19H2,1-2H3,(H,35,39) Key:PHXJVRSECIGDHY-UHFFFAOYSA-N
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ポナチニブ (商品名 アイクルシグ Iclusig 以前の名称は AP24534)は、 ARIAD製薬(en:ARIAD Pharmaceuticals)が開発した慢性期慢性骨髄性白血病 (CML)およびフィラデルフィア染色体陽性(Ph+) 急性リンパ性白血病 (ALL) 治療のための経口薬で、多標的のチロシンキナーゼ阻害剤。2017年現在、日本では大塚製薬が国内製造販売承認申請を行い、販売を行っている[2]。
作用機序
イマチニブ、ダサチニブと同様であるが、これらの前治療薬に対して抵抗性を示すT315i変異などを含む変異型BCL-ABLに対しても、効果を示すように設計されている。
脚注
- ^ “Iclusig (ponatinib) Tablets, for Oral Use. Full Prescribing Information”. ARIAD Pharmaceuticals, Inc. 26 Landsdowne Street, Cambridge, MA 02139-4234. 2016年10月2日閲覧。
- ^ “大塚製薬 白血病治療薬「アイクルシグ®錠15mg」国内で新発売”. 2017年9月9日閲覧。
関連項目
UpToDate Contents
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- 1. 初期治療不奏効後の慢性期における慢性骨髄性白血病の治療treatment of chronic myeloid leukemia in chronic phase after failure of initial therapy [show details]
…treatment with ponatinib and simultaneously initiate evaluation for allogeneic HCT. We closely monitor the patient cytogenetic and molecular status while administering ponatinib and titrate ponatinib to the …
- 2. 移行期における慢性骨髄性白血病の治療treatment of chronic myeloid leukemia in accelerated phase [show details]
…manufacturer suspended marketing and sales of ponatinib in October 2013 because of the risk of life-threatening blood clots and severe narrowing of blood vessels. Ponatinib was rereleased in January 2014 with narrowed …
- 3. 急性転化期の慢性骨髄性白血病の治療treatment of chronic myeloid leukemia in blast crisis [show details]
…patients. Five patients died, one death was thought to be related to ponatinib (gastric hemorrhage). Data regarding the use of ponatinib in chronic phase or accelerated phase CML are presented separately …
- 4. アントラサイクリン系以外の抗がん剤の心毒性cardiotoxicity of non anthracycline cancer chemotherapy agents [show details]
…arteries and veins) in at least 20 percent of patients taking ponatinib for CML. In addition, approximately 4 percent of patients treated with ponatinib have developed serious heart failure or left ventricular …
- 5. 抗腫瘍療法関連肺毒性:分子標的剤pulmonary toxicity associated with antineoplastic therapy molecularly targeted agents [show details]
…CML. PAH has been rarely reported in patients receiving ponatinib. In a case report, PAH developed after six months of treatment with ponatinib for CML, and marked improvement in PAP followed drug cessation …
Japanese Journal
- ポナチニブ(Ph+ALL) (特集 造血器腫瘍に対する新しい標準治療・開発中の治療薬) -- (急性リンパ性白血病(ALL))
- 慢性骨髄性白血病治療薬チロシンキナーゼ阻害剤の血中濃度を用いた治療マネジメントupdate
- 三浦 昌朋,高橋 直人
- 臨床血液 60(9), 1140-1147, 2019
- … ポナチニブは21.3 ng/m<i>l</i>をターゲットに投与量を調節することで,血管閉塞性有害事象を回避した継続的治療の可能性が考えられている。 …
- NAID 130007724692
- CMLおよびPh陽性ALLに対するポナチニブの効果 (特集 血液疾患に対する新規治療薬の現状と今後の課題)
Related Links
- ポナチニブ(アイクルシグ)の作用機序 ポナチニブは野生型BCR-ABLと、他の治療薬に対して抵抗性となる変異型BCR-ABLを含むBCR-ABLに対して阻害作用を示します。BCR-ABLとは、慢性骨髄性白血病とフィラデルフィア染色体陽性急性
- 通常、成人にはポナチニブとして45mgを1日1回経口投 与する。なお、患者の状態により適宜減量する。《用法・用量に関連する使用上の注意》 A˙本剤を漫然と投与しないよう、定期的に血液検査、 骨髄検査、染色体検査等を行い、本剤
- 大塚製薬 白血病治療薬として「ポナチニブ」を国内製造販売承認申請 「ポナチニブ」(一般名)は、米国アリアド社が開発したチロシンキナーゼ阻害薬で、慢性骨髄性白血病とフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対する新規経口治療薬として国内で初の申請
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
アイクルシグ錠15mg
組成
有効成分
- 1錠中 ポナチニブ塩酸塩16.03mg(ポナチニブとして15mg)
添加物
- 乳糖水和物、結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、マクロゴール4000、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、酸化チタン
効能または効果
- ●前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病
- ●再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
- 染色体検査又は遺伝子検査により慢性骨髄性白血病又はフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病と診断された患者に使用すること。
- 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、〔臨床成績〕の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと。
- 前治療に不耐容の患者に本剤を使用する際には、慎重に経過観察を行い、副作用の発現に注意すること。
- 通常、成人にはポナチニブとして45mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
- 本剤を漫然と投与しないよう、定期的に血液検査、骨髄検査、染色体検査等を行い、本剤の投与継続の要否を検討すること。
- 他の抗悪性腫瘍薬との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
- 血管閉塞性事象又はGrade 3以上の心不全が発現した場合は、直ちに本剤を投与中止すること。なお、副作用が消失し、治療継続が患者にとって望ましいと判断された場合は、本剤投与を再開できるが、再開する際には、本剤の減量を考慮すること。
- 血管閉塞性事象及びGrade 3以上の心不全以外の副作用が発現した場合には、以下の基準を参考に、本剤を休薬、減量又は投与中止すること。
血液系の副作用と投与量調節基準
非血液系の副作用と投与量調節基準
慎重投与
- 肝機能障害のある患者[肝機能障害が悪化するおそれがある。](「重要な基本的注意2.」の項参照)
- 膵炎又はその既往歴のある患者[膵炎が悪化又は再発するおそれがある。](「重要な基本的注意5.」の項参照)
- 心疾患又はその既往歴のある患者[心疾患が悪化又は再発するおそれがある。](「重要な基本的注意3.」の項参照)
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 虚血性疾患(心筋梗塞、末梢動脈閉塞性疾患等)の既往歴のある患者[血管閉塞性事象の発現リスクが高くなるおそれがある。](「重要な基本的注意1.」の項参照)
- 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症等)の既往歴のある患者[血管閉塞性事象の発現リスクが高くなるおそれがある。](「重要な基本的注意1.」の項参照)
- 心血管系疾患の危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症等)のある患者[血管閉塞性事象の発現リスクが高くなるおそれがある。](「重要な基本的注意1.」の項参照)
- 他のチロシンキナーゼ阻害剤に不耐容の患者[同様の副作用が起こるおそれがある。](「重要な基本的注意10.」の項参照)
重大な副作用
冠動脈疾患(3.3%)
- 心筋梗塞(1.6%)、狭心症(0.9%)、急性冠症候群(0.4%)、心筋虚血(0.4%)、不安定狭心症(頻度不明)等の冠動脈疾患があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、徴候や症状が認められた場合には速やかに検査を行い、本剤を投与中止する等の適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意1.」の項参照)
脳血管障害(2.9%)
- 脳梗塞(1.1%)、脳血管発作(0.9%)、脳動脈狭窄(0.4%)、一過性脳虚血発作(0.2%)、大脳動脈狭窄(0.2%)、脳虚血(0.2%)、脳幹梗塞(頻度不明)等の脳血管障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤を投与中止する等の適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意1.」の項参照)
末梢動脈閉塞性疾患(2.9%)
- 間欠性跛行(1.3%)、末梢動脈狭窄(0.4%)、四肢壊死(0.2%)、網膜動脈閉塞症(0.2%)、腎動脈狭窄(頻度不明)等の末梢動脈閉塞性疾患があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、疼痛、冷感、しびれ等が認められた場合には、本剤を投与中止する等の適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意1.」の項参照)
静脈血栓塞栓症(1.8%)
- 網膜静脈血栓症(0.7%)、深部静脈血栓症(0.4%)、肺塞栓症(0.4%)、静脈塞栓症(0.2%)等の静脈血栓塞栓症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤を投与中止する等の適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意1.」の項参照)
骨髄抑制(47.4%)
- 血小板数減少(37.6%)、好中球数減少(19.8%)、貧血(14.5%)、白血球数減少(4.2%)、汎血球減少症(1.8%)、発熱性好中球減少症(1.6%)、リンパ球数減少(1.3%)、骨髄機能不全(0.2%)等の骨髄抑制があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与中止等の適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意6.」の項参照)
高血圧(12.5%)
- 高血圧クリーゼ(頻度不明)を含む高血圧があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。なお、コントロールできない高血圧が認められた場合には本剤を休薬、減量又は投与中止すること。また、高血圧クリーゼがあらわれた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意4.」の項参照)
肝機能障害(16.9%)
- ALT(GPT)、AST(GOT)、ビリルビン、γ-GTP等の上昇を伴う肝機能障害(16.9%)、黄疸(0.4%)、肝不全(頻度不明)があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与中止等の適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意2.」の項参照)
膵炎(6.5%)
- 膵炎があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与中止等の適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意5.」の項参照)
体液貯留(10.9%)
- 末梢性浮腫(6.0%)、胸水(4.0%)心嚢液貯留(2.4%)、肺うっ血(0.2%)、肺水腫(頻度不明)等の体液貯留があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与中止等の適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意7.」の項参照)
感染症(11.8%)
- 肺炎(1.6%)、敗血症(0.9%)等の感染症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与中止等の適切な処置を行うこと。
重度の皮膚障害(1.8%)
- 剥脱性皮膚炎(1.1%)、多形紅斑(0.9%)等の重度の皮膚障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤を投与中止する等の適切な処置を行うこと。
出血(2.2%)
- 鼻出血(2.2%)、胃腸出血(0.2%)、咽頭出血(0.2%)、出血性胃炎(0.2%)、硬膜下血腫(頻度不明)、性器出血(頻度不明)等の出血があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与中止等の適切な処置を行うこと。
心不全(1.8%)、うっ血性心不全(0.9%)
- 心不全、うっ血性心不全があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与中止等の適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意3.」の項参照)
不整脈(4.0%)
- 心房細動(1.8%)、QT間隔延長(0.9%)、徐脈(0.9%)、頻脈(0.4%)、心室性不整脈(0.2%)、心停止(0.2%)、房室ブロック(頻度不明)等の不整脈があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与中止等の適切な処置を行うこと。
腫瘍崩壊症候群(0.2%)
- 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。
ニューロパチー(2.9%)
- 末梢性ニューロパチー(2.0%)、末梢性感覚ニューロパチー(0.4%)、多発ニューロパチー(0.2%)、末梢性運動ニューロパチー(0.2%)、末梢性感覚運動ニューロパチー(0.2%)等のニューロパチーがあらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤の休薬、減量又は投与中止等の適切な処置を行うこと。
肺高血圧症(1.3%)
- 肺高血圧症があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤を投与中止するとともに、他の病因(胸水、肺水腫等)との鑑別診断を実施した上で、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
作用機序15)
- ポナチニブはin vitroにおいて、T315I等の変異型を含めABLのチロシンキナーゼ活性を阻害した。
抗腫瘍効果
In vitro試験16)
- ポナチニブは、BCR-ABLを発現するヒト慢性骨髄性白血病由来K562、KY01及びLAMA細胞株並びにT315I等の変異を有するBCR-ABLを発現させたマウスpro-B細胞由来Ba/F3細胞株の増殖を抑制した。
In vivo試験17, 18)
- ポナチニブは、K562細胞株及びT315I変異を有するBCR-ABLを発現させたBa/F3細胞株を皮下移植したマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ポナチニブ塩酸塩〔Ponatinib Hydrochloride(JAN)〕
化学名
- 3-[2-(Imidazo[1,2-b]pyridazin-3-yl)ethynyl]-4-methyl-N-{4-[(4-methylpiperazin-1-yl)methyl]-3-(trifluoromethyl)phenyl}benzamide monohydrochloride
分子式
分子量
性 状
- 白色〜黄色の粉末で塊を含む。ジメチルスルホキシドにやや溶けやすく、エタノール及び水に溶けにくい。
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商品名
会社名
成分
薬効分類
薬効
- 前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病、再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病を効能・効果とする新有効成分含有医薬品
【希少疾病用医薬品】