- 英
- fasudil
- 化
- 塩酸ファスジル水和物 fasudil hydrochloride hydrate、塩酸ファスジル fasudil hydrochloride
- 商
- エリル
- 脳動脈瘤破裂後の脳血管攣縮の予防や脳虚血改善のために用いられる。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 瀬戸 実
- 日本薬理學雜誌 = Folia pharmacologica Japonica 139(6), 251-255, 2012-06-01
- 肺高血圧症は肺動脈圧および肺血管抵抗が進行性に上昇し右心肥大,右心不全に至る疾患である.発症頻度は国内において年間100万人に1~2人であり,治療薬としてはエンドセリン受容体拮抗薬,プロスタサイクリン(PGI2)およびその誘導体,フォスホジエステレース5(PDE5)阻害薬などが使用される.しかしながらその予後はいまだ極めて不良であり,5年生存率は約55%である.既存治療薬では効果が不充分であり,新 …
- NAID 10030760627
- 肺高血圧症治療におけるRhoキナーゼ経路を知る (特集 肺高血圧症診療の進歩をみる)
- 福本 義弘,下川 宏明
- Vascular medicine : journal of vascular medicine 8(1), 8-13, 2012-04
- NAID 40019304663
- Industrial Info. 循環器疾患治療薬としてのRhoキナーゼ阻害薬
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
エリル点滴静注液30mg
組成
*成分・含量
(1アンプル2mL中)
- ファスジル塩酸塩水和物 30.8mg
(塩酸ファスジルとして30mg)
添加物
禁忌
- 出血している患者:頭蓋内出血[「警告」の項参照]
- 頭蓋内出血の可能性のある患者:出血した動脈瘤に対する十分な止血処置を術中に施すことができなかった患者[「警告」の項参照]
- 低血圧の患者[本剤の投与により低血圧があらわれることがある。]
効能または効果
- くも膜下出血術後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状の改善
- 通常、成人には、塩酸ファスジルとして1回30mgを50〜100mLの電解質液または糖液で希釈し、1日2〜3回、約30分間かけて点滴静注する。
本剤の投与は、くも膜下出血術後早期に開始し、2週間投与することが望ましい。
慎重投与
- 術前から糖尿病を合併している患者、術中所見で主幹動脈に動脈硬化がみられた患者[頭蓋内出血を起こした例がある(「2.重要な基本的注意」の項参照)。]
- 腎機能障害のある患者[排泄が遅延して、血中濃度が持続する可能性があり、低血圧が認められることがあるので、低血圧が観察された場合には減量(例えば1回10mg)すること。]
- 肝機能障害のある患者[代謝が遅延して、血中濃度が上昇し、作用が強くあらわれる可能性がある。]
- 重篤な意識障害のある患者[使用経験が少なく、有効性が確立されていない。]
- 70歳以上の高齢者[機能予後の改善がみられない可能性があり、有効性が確立されていない。]
- くも膜下出血に重症の脳血管障害(モヤモヤ病、巨大脳動脈瘤など)を合併している患者[使用経験がなく、有効性及び安全性が確立されていない。]
重大な副作用
頭蓋内出血
(1.72%)
- 頭蓋内出血があらわれることがある。[「2.重要な基本的注意」の項参照]
消化管出血、肺出血、鼻出血、皮下出血
(0.27%)
- 消化管出血、肺出血、鼻出血、皮下出血等の出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
ショック
(0.02%)
- ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
麻痺性イレウス
(0.04%)
- 麻痺性イレウスがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、著しい便秘、腹部膨満感等の症状があらわれた場合には、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 本剤の以下の作用は、蛋白リン酸化酵素であるRhoキナーゼの阻害作用によるものと考えられている。Rhoキナーゼは、ミオシンホスファターゼを阻害しリン酸化したミオシン軽鎖の脱リン酸化を阻害する。Rhoキナーゼは、血管の収縮、炎症性細胞の活性化、血管内皮細胞の損傷など、くも膜下出血に伴う脳血管攣縮および脳虚血障害発生の原因となっている生体内での諸反応に関与している。
脳血管攣縮の予防および緩解作用
- イヌ遅発性脳血管攣縮モデルにおいて、攣縮を予防9)および緩解10)した。
脳循環改善作用
- イヌ遅発性脳血管攣縮モデルにおいて、大脳皮質血流を改善した11)。
- ラット脳虚血モデルにおいて、血液粘度を改善した12)。
- ヒト血管内皮細胞において、低酸素負荷による内皮細胞障害を改善した(in vitro)13)。
好中球浸潤抑制作用
- イヌ遅発性脳血管攣縮モデルにおいて、くも膜下腔への好中球浸潤を抑制した14)。
脳梗塞巣発生抑制作用
- スナネズミ脳虚血モデルにおいて、遅発性神経細胞死を抑制した15)。
- ラット脳虚血モデルにおいて、脳浮腫および脳梗塞巣の発生を抑制し、神経症状を改善した16)。
作用機序
- Rhoキナーゼを阻害し、ミオシンホスファターゼ阻害を抑制し、ミオシン軽鎖のリン酸化体生成を阻害した(in vitro)17,18,19)。
- ヒト好中球および単球の遊走を抑制した(in vitro)20,21)。
- ヒト好中球の活性酸素産生を抑制した(in vitro)22)。
有効成分に関する理化学的知見
*一般名
- ファスジル塩酸塩水和物(fasudil hydrochloride hydrate)(JAN)
化学名
- hexahydro-1-(5-isoquinolinesulfonyl)-1H-1,4-diazepine monohydrochloride hemihydrate(IUPAC)
分子式
分子量
融点
性状
- 本品は白色の結晶性の粉末又は塊で、においはない。
本品は水、ギ酸又は酢酸(100)に溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
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