出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/05/30 04:00:52」(JST)
ネズミイルカ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) |
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Phocoena phocoena (Linnaeus, 1758) |
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和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ネズミイルカ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Harbour Porpoise |
ネズミイルカ(鼠海豚、Phocoena phocoena) はクジラ目ハクジラ亜目ネズミイルカ科ネズミイルカ属に属する小型のイルカである。 英語ではHarbour Porpoise(港のイルカ)と呼ばれ、名前の通り海洋の沿岸域あるいは河口に棲息する。 ホエールウォッチングを行う人々にとっては、ネズミイルカ科の中で最も馴染みのあるイルカである。 河川を遡上することがあり、河口から数百kmも遡上した例が知られている。
以前はCommon Porpoise(普通のネズミイルカ)と呼ばれることもあったが、この名前は元々はイギリスで使われていた呼名であった。
ネズミイルカは、ネズミイルカ属の中でも小型の部類に属する。成長すると雌の方が雄よりも大きく、雄の体長は1.6m、体重は60kg程度であるのに対し、雌は体長1.7m、体重75kg程度になる。生まれた直後の体長は約75cmである。
体格はがっしりしており、三角形の背びれの直前での胴回りが最も大きい。この背びれの前縁には多数の小突起を持つ[1]。口吻は突出していない。
胸びれ、背びれ、尾びれ、背中は濃い灰色である。側面は明るい灰色であり、斑(まだら)模様になっている。腹側はクリーム色で、口から胸びれにかけての喉の部分に灰色の筋状の模様がある。
野生寿命は20年程度である[2]。
ヒトとの大きさ比較
頭部
普段は海面近くで、おおよそ25秒程度でくしゃみのような独特の音を立てて潮を吹き、呼吸をする[2]。水深200メートル以上まで潜れる[2]。
ネズミイルカは北半球の寒冷な沿岸域に棲息する。
多くは平均水温が15℃程度の海域である。 大西洋については、北アメリカ東岸の北部から、ニューファンドランド島、グリーンランド、アイスランド、ノルウェー、イギリス、アイルランド、フランス、スペイン、北アフリカ西岸にかけての沿岸域に棲息する。 太平洋については、日本海から、ウラジオストック、ベーリング海峡、アラスカ、バンクーバー、シアトルにかけての沿岸域に棲息する。 黒海、バルト海での生息数は減少している。
多くの国で、ネズミイルカ(Porpoise)は食用あるいは餌として消費されている。
中世の西洋では、ネズミイルカの肉は珍味であり、ごちそうとされていた[2]。 イルカ漁は小舟で網によって捕えていた。 北米でも先住民であるインディアンが食べるために捕えていた[3]。 カヌーを使ってネズミイルカを浅瀬に追い込み、石で作った武器で射止めた[3]。 これはアメリカでのはじめての捕鯨業ともされている[3]。
近現代では、ネズミイルカは、その小ささ故に、積極的な捕鯨の対象とはなっていない。 全生息数は数十万頭と考えられており、さしあたっては絶滅の心配はない。 現時点での懸念点は、刺し網やその他の漁具による混獲によって死亡する個体数が、決して少なくはないことである[2]。 特に黒海やバルト海などの漁業の盛んな海域においては、個体数の減少が顕著である。1990年代初期のアメリカ東部メーン湾海域では、年間3000頭が刺し網などにかかっておぼれ死んだ[2]。 反響定位(エコーロケーション)により、漁網の存在を識別することが可能であることはわかっているが、その能力は漁網に絡まないようにするための役には立っていないようである。 化学汚染や騒音も生息数の減少の原因になっている[2]。
日本では、おたる水族館や鴨川シーワールドの飼育がしられ、また、おたる水族館では、2008年まで生存した「次郎吉」(ジロキチ)が24年の世界最長飼育記録を持っている[4]。
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