出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/03/01 18:49:24」(JST)
遠隔測定法(えんかくそくていほう)は、観測対象から離れた地点から様々な観測を行い、そのデータを取得する技術である。観測地点に常駐することが物理的・経済的あるいは安全上困難な場合や、観測対象が移動する場合に使用される。テレメトリー (telemetry) あるいはテレメタリング (telemetering) ということもある。 装置そのものは、テレメータ (telemeter) と呼ばれる。
基本的な技術として、無線(ワイヤレス)方式と有線方式がある。通常、前者の方式が使われる例が多い。
無線遠隔測定を行うためには、観測地に
を置き、受信側に
を設置する。伝送方法としては、対象が移動する場合には無線通信が主要な通信手段で、場合によって光通信技術も使用される。対象が固定されている場合にも無線伝送が使用されるほか、電線や光ケーブルによる有線通信も低コストあるいは伝送帯域が広いことから用いられる。伝送されるデータは、今日ではほぼデジタルデータであり、伝送中の劣化や喪失に備えている。多ヶ所のデータを長時間測定する手法として無線センサネットワークが利用されることもある。
テレメトリー/テレメータと併用して、手元から遠方の機器を操作するための手法を遠隔制御あるいは遠隔操作(リモコン、テレコマンド)という。宇宙開発分野では人工衛星・宇宙船の位置把握を含めた管制機能をテレメトリ・トラッキング・コマンド(TT&C)という。
遠隔測定技術を用いてデータを取得することはリモートセンシングの重要な技術要素である。
飛行中のロケットや軌道上の人工衛星・無人宇宙船などは、近くで測定することができないためテレメトリ技術が早くから発達した。
原子力発電所または原子力研究所において原子炉の格納容器内など、動作状態の監視が常時必要だが人体に有害な放射線が存在する環境下では、継続的なデータ取得を行うために遠方からの観測が不可欠である.
野生動物の保護、生態研究、害獣駆除などの目的で動物の個体にGPS受信機を組み込んだテレメトリー送信機を装着し、位置などを観測することが行われている。絶滅の危機に瀕した動物の生態研究や渡り鳥の移動に対する適用例などがある。
工場、ビル、住宅などにおいて、各部位のエネルギー使用状況とその結果(温度など)を一ヶ所で遠隔集中監視し、無駄な消費を削減する為に用いられている[1]。
雨量・河川・落雷・地すべり・火山の噴火などを常時あるいは危険な状況下で継続的に観測するため観測機器を関係機関が設置している。よく知られた適用例としてはアメダスなど。
病院では、入院中の患者に対し常時モニタリングが必要な場合、無線テレメトリー方式の生体情報モニタにより、心電図・脈拍・血圧・体温・パルスオキシメトリーなどのデータを医師・看護師が待機する場所まで送り、非常時の即応体制をとっている。
課金のための都市ガスなどの使用量測定は、地区ごとに配置した検針員が一軒一軒を回って直接メーターを読み取っているが、近年ではISDN回線のDチャネルなどを用いて使用量データを直接ガス会社に伝送可能な使用量測定器(ガスメーター)が普及している。これにより検針コストの削減・ミスの防止などの効果を得ている。また、自動販売機に携帯電話やPHSのパケット通信を用いてデータを送信するテレメータ装置を装備し、商品の在庫切れやつり銭の不足解消、売り上げ管理などに用いる例がある。
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