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酢酸 | |
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IUPAC名
酢酸(許容慣用名) |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 64-19-7 |
KEGG | C00033 |
SMILES
|
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特性 | |
化学式 | C2H4O2, CH3COOH |
モル質量 | 60.05 |
外観 | 無色の液体 |
密度 | 1.049(液体) |
相対蒸気密度 | 2.1 |
融点 |
16.7 |
沸点 |
118 |
酸解離定数 pKa | 4.76 |
屈折率 (nD) | 1.3715 |
危険性 | |
NFPA 704 |
2
2
0
|
出典 | |
ICSC | |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
酢酸(さくさん、醋酸、英: acetic acid)は、化学式は示性式 CH3COOH、分子式 C2H4O2と表される簡単なカルボン酸の一種である。IUPAC命名法では酢酸は許容慣用名であり、系統名はエタン酸 (ethanoic acid) である。純粋なものは冬に凍結することから氷酢酸(ひょうさくさん)と呼ばれる。2分子の酢酸が脱水縮合すると別の化合物の無水酢酸となる。
食酢(ヴィネガー)に含まれる弱酸で、強い酸味と刺激臭を持つ。遊離酸・塩・エステルの形で植物界に広く分布する。酸敗したミルク・チーズのなかにも存在する。
試薬や工業品として重要であり、合成樹脂のアセチルセルロースや接着剤のポリ酢酸ビニルなどの製造に使われる。全世界での消費量は年間およそ6.5メガトンである。このうち1.5メガトンが再利用されており、残りは石油化学原料から製造される[1]。生物資源からの製造も研究されているが、大規模なものには至っていない。
酢の歴史は文明と同程度に古く、酢酸産生菌はいたるところに存在する。そして、ビールやワインなど酒を醸造する文明は、アルコール飲料を大気にさらすと、自然に酢ができることを発見することになる[2]。紀元前、ギリシャの哲学者テオプラストスやローマのウィトルウィウス、プリニウスは酢が金属に作用して芸術に有用な顔料、たとえば鉛白(塩基性炭酸鉛)やビリジリス(酢酸銅(II) を含む銅塩の緑色の混合物)となることについて著述している[3][4]。また、酢はその時代にはローマでは治療の目的[2]、エジプトでは死体の保存[5]に用いられていたともされている。古代ローマ人は酸っぱくなったワインを鉛の壷で煮沸すると、サパあるいはデフルタム(英語版)と呼ばれる非常に甘いシロップができることを見出している。サパやデフルタムの甘さは含まれる酢酸鉛(II) によるもので、その物質は鉛糖 (sugar of lead) とか土の糖 (sugar of saturn) と呼ばれ好まれたが、ローマ貴族の間で鉛中毒を引き起こした[6]。
8世紀にジャービル・イブン=ハイヤーン(ゲベル)は初めて酢の蒸留によって酢酸を得ている[7]。またルネサンス時代には、錬金術師たちは酢酸銅(II) などの金属酢酸塩を乾留して氷酢酸を製造した[8]。最初にそのような製法で酢酸を作り出したのはバシル・バレンティン(英語版)とされている[2]。16世紀のドイツの化学者アンドレアス・リバビウス(英語版)は、氷酢酸の製法と、得られた氷酢酸と酢との物性の比較について著述している[8]。そのように、酢の中には水が存在するため物性が酢酸と異なることから、氷酢酸と酢の中の酸は別の物質であると長く信じられていたが[9]、18世紀になるとフランス人化学者のピエール・エディ(英語版)により両者が同一であることが示された[10][11]。
1845年にドイツ人化学者のヘルマン・コルベは無機物から有機物である酢酸を合成できることを示した[12]。その反応は、まず二硫化炭素から四塩化炭素への塩素化で始まり、次いでテトラクロロエチレンへの熱分解、そしてトリクロロ酢酸への水性塩素化、最後に電解還元による酢酸の生成、というものだった[13]。この結果はフリードリヒ・ウェーラーの尿素合成による生気論の否定を決定付けた[14]。一方ルイ・パスツールは1862年に酢酸菌を発見し、酢の醸造に利用されるようになったが、得られる濃度が低いため工業用の酢酸の製造には適していなかった[15]。
1910年頃までは、氷酢酸は大部分が木材の乾留で得られる木酢液から作られていた[16]。イギリスでは1820年ごろから[17]、日本では明治時代に[15]、この方法による酢酸の製造が始められていた。木酢液を水酸化カルシウム(石灰乳)で処理して生成する酢酸カルシウムを硫酸で酸性化することにより、酢酸が分離される[16]。1917年頃のドイツは年間およそ1万トンの氷酢酸を生産していたが、その30%はインディゴの製造に充てられていた[16]。1910年代の半ば以降からは、ドイツとカナダでカルシウムカーバイドから得られるアセチレンを原料とした酢酸の製造が始められた[18]。カルシウムカーバイドはコークス(石炭の乾留物)を酸化カルシウム(生石灰)とともに電気炉で加熱することにより得られるが、ドイツは石油に乏しいが石炭を産出すること、カナダは水力発電による電力を有することが有利な点であった[19]。日本でも水力発電の発達に伴い、1928年以降この製法で酢酸が作られるようになった[20][21]。1937年に日本窒素肥料(現チッソ)も同法による酢酸の製造を開始したが、アセチレンの酸化に用いられる硫酸水銀(II) がのちに水俣病の原因となった[22]。
やがて石油化学工業が発展すると、酢酸の製造法はエチレンやアルカンを原料とするものに変わっていった[23]。さらに1960年代にドイツのBASFによってコバルト触媒、1970年にアメリカ合衆国のモンサントによってロジウム触媒を用いたメタノールのカルボニル化反応が開発・実用化され、それ以降はこれらが工業的に主要な氷酢酸の製造法となった[24]。
日本語の「酢酸」は江戸時代後期に宇田川榕菴が著書舎密開宗で用いたのが最初である[25]。オランダ語 azijnzuur の訳語であり、これはさらにドイツ語 Essigsäure、英語 acetic acid の訳語であった。これらの名称はそのまま現代でも使われ、acetic acid や「酢酸」はIUPAC命名法における許容慣用名[26]かつ優先IUPAC名 (PIN)[27] およびその訳語である。IUPAC系統名は「エタン酸」ethanoic acid であり[28]、これは母体化合物「エタン」 ethane にカルボン酸官能基を表す接尾辞「酸」 -oic acid を付加したものである。
有機化学ではアセチル基 CH3C(=O)− の略号 Ac を用いて文章や化学式中で AcOH または HOAc と略記される。酢酸のエステルや塩は英語ではアセテート(アセタート) acetate と呼ばれる。たとえばエチルエステルの酢酸エチルは ethyl acetate、アンモニウム塩の酢酸アンモニウムは ammonium acetate である。
純粋な酢酸は室温が低いと固体になり、外見が氷に似ていることから「氷酢酸」(glacial acetic acid) とも呼ばれる[29]。古くは単に vinegar (酢)、 酢の蒸留によって得られたことから acetous acid (酢の酸)、木材の乾留で得られることから pyroligneous acid (火木酸)、ほか spilit of verdigris (ビリジリスの精)や wood vinegar (木酢)とも呼ばれた[5]。
英語 acetic acid の語源は酢を意味するラテン語 acetum と「鋭い」を意味する acer に由来する[30][31]。ここから派生して「アセト」acet(o)- の語は酢酸から得られたり構造が類似する化合物などにも用いられる。たとえばアセトン、アセトニトリル、アセトイン、アセトフェノン、アセチル基がそうである[31]。また炭素原子の数が同じく2個であるビニル基(ビニルラジカル)も古くは acetic acid を語源としてアセチルラジカル acetyl radical と呼ばれており[31]、これに由来する名称を持つ化合物としてアセチレンやアセナフテンなどがある[31][32]。
濃度 (重量%) | 比重 (25 °C/4 °C) |
---|---|
100 | 1.0553 |
90 | 1.0713 |
80 | 1.0748 |
70 | 1.0733 |
60 | 1.0685 |
50 | 1.0615 |
40 | 1.0523 |
常温では酸味と刺激臭を持つ無色透明の液体であり、融点は約 16.6 °C、沸点は約 118 °C である[29]。水と共沸しない[33]。酢酸に少量の水を加えると融点が大きく下がり[2]、水の割合が40%のとき最低値 −26.75 °C となる[29]。冷却したとき、これよりも水が少ないと酢酸が、多いと氷が晶出する[29]。また水との混合により比重が増加し、酢酸の濃度が約80%のとき最も大きくなり[16]、43%のとき純粋な酢酸と同じになる[29]。蒸気を燃やすとき、炎は淡青色である[29]。
酢酸は水、アセトニトリル、エタノール、酢酸エチル、クロロホルム、ベンゼン、エーテル、石油エーテルと任意の割合で混和する[34][35]。オクタンなど長鎖炭化水素には溶けにくく、溶解度は鎖が長くなるほど低くなる[36]。二硫化炭素には不溶である[35]。比誘電率は約6であり、あまり高くはないが[37]、無機塩や糖といった極性化合物を溶かすことができる[38]。また単体硫黄 S8、ヨウ素 I2 など無極性の分子も酢酸に溶ける[38]。ほかにゼラチン、フィブリン、アルブミン、樟脳、ニトロセルロースも溶ける[2]。酢酸の純度を知る古い方法としてレモン油を加えるというものがあり、これは純粋な酢酸であれば重量で10%のレモン油を完全に溶かすことによる[2]。
酢酸を構成する炭素原子と酸素原子は平面上に位置し、結合角は C−C=O と C−C−OH が119°、O=C−OH が122°で、結合距離は C−C が 152 pm、C=O が125 pm、C−OH が131 pm である[39]。
酢酸は水素結合を介して2分子が結合した、環状の二量体を形成する[39]。気体状態では電子回折により[40]、固体状態ではX線結晶構造解析により[41]、それぞれ構造が確認されている。純粋な液体状態ではほとんど単量体としては存在しないが、二量体となっているか、もしくは直鎖状あるいは環状の多量体となっているとされる[42]。希薄な溶液の場合、四塩化炭素[43]やベンゼンなどの非プロトン性溶媒中では二量体を形成するが、水などプロトン性の溶媒中では単量体として存在する[44][45]。
この二量体を形成するという性質のため、酢酸(分子量60.05)の沸点は水素結合を作らない酢酸メチル(分子量74.08、沸点 57 °C[46])よりも高く、分子量が2倍程度のオクタン(分子量114.23、沸点 125 °C)に近い[47]。
酢酸のカルボキシル基 −COOH は溶液中でプロトン (H+) を放出し、解離して酢酸イオン(カルボキシラートイオン)となる[48]。
この性質のため、酢酸は酸性を持つ。酢酸は弱酸であり、水溶液中でのpKaはおよそ4.76である[49]。すなわち、1.0 mol/L の水溶液のpHは2.4となり、全体の0.4%が解離していることになる[50]。酢酸は塩酸や硫酸などの無機酸よりは弱く、炭酸やフェノール、アルコールよりは強い酸である[48][49]。
塩基である炭酸カリウムと混合すると、中和により酢酸カリウムが生成する。これを単離し酢酸に溶かして加熱すると脱水して二酢酸カリウムとなり、200 °C 以上でさらに反応して無水酢酸と酢酸カリウムに分離する[51]。
酢酸はアルミニウム、銅、銀、チタン、ジルコニウムを腐食しないので、これらの金属は酢酸の容器として利用できる。一方、鉛やステンレスは酢酸によって侵される[52]。また、酢酸はマグネシウムと反応して水素と酢酸マグネシウムを生じる[53]。
酢酸はカルボン酸として一般的な反応性を示す。たとえば硫酸を触媒としてアルコールと共に加熱すると酢酸エステルが生成する。これはフィッシャーエステル合成反応と呼ばれる方法である。可逆反応(平衡反応)であるため、エステル生成物を効率よく得るには出発物質を過剰に使用する必要があり、イソペンチルアルコールとの反応による酢酸イソペンチルの合成では、過剰量の酢酸が用いられる[54]。
酢酸からのエステル合成法としては他にアルケンへの付加があり、ヘテロポリ酸を触媒としてエチレンから酢酸エチルが得られる[55]。
炭酸アンモニウムと混合して加熱すると、酢酸アンモニウムの生成と脱水を経てアセトアミドが得られる。この反応は蒸留によって酢酸を除きながら行い、さらに沸点のより高い残渣を引き続いて蒸留し、純粋な目的物を得る[56]。アンモニアを使っても同様な反応が起きる[56]。
カルボン酸塩化物である塩化アセチルは、酢酸と三塩化リンや塩化チオニルなどの反応で得られる[57]。塩化チオニルは過剰量を用いるが、蒸留では塩化アセチルと分離しづらいため、余ったぶんはギ酸と反応させて分解する[57]。
加熱により2分子間で脱水縮合を起こし、無水酢酸を与える。環状の酸無水物を生成する場合を除き、このような反応はほかのカルボン酸では起こらない[58]。
また、リン酸エステルの存在下に 700–800 °C に加熱すると、分子内脱水によりケテン(エテノン)を生じる[59]。
さらに、酢酸はケテンに付加して無水酢酸を与える[60]。
日光を当てながら酢酸と塩素を反応させると、水素原子と塩素原子が交換したクロロ酢酸が生成する[61]。この反応はラジカルの発生を含む機構で進行し、ジクロロ酢酸やトリクロロ酢酸が副生成物となるが、触媒の使用によりそれらの生成を抑えることもできる[62]。
同様にして臭素とリン触媒を使って酢酸からブロモ酢酸を作ることができる[63]。この合成法はヘル・ボルハルト・ゼリンスキー反応と呼ばれる。
酢酸は生体内で活性化体であるアセチルCoA(アセチル補酵素A)としてさまざまな役割を果たす。アセチルCoAは活性酢酸とも呼ばれる[64]酢酸のチオエステル体であり、CoASHはよい脱離基として働くため酢酸そのものよりも置換反応が起こりやすい[65]。
アセチルCoAは体内での代謝経路、すなわち、解糖系による糖からのピルビン酸の生成とそれに続く補酵素Aとの結合[66]、脂肪酸のβ酸化の繰り返しによる逐次分解[67]、そしてアミノ基転移を経るアミノ酸の異化[68]によって生成する。また、アセチルCoAリガーゼ(アセチルCoA合成酵素)により酢酸と補酵素Aから直接合成される。2種類のアセチルCoAリガーゼにより以下の反応が起こる。
酢酸 + ATP + CoA → アセチルCoA + AMP + 二リン酸 | アセチルCoAリガーゼ (EC 6.2.1.1)[69] |
酢酸 + ATP + CoA → アセチルCoA + ADP + リン酸 | アセチルCoAリガーゼ (ADP生成) (EC 6.2.1.13)[70] |
生成したアセチルCoAはクエン酸回路でのエネルギー生産や、脂肪酸の合成、メバロン酸経路によるテルペノイド・ステロイドの生合成などに利用される[64][71][72]。クエン酸回路による代謝では、酢酸は最終的に二酸化炭素と水になる[73]。
アセチルコリンはコリンとアセチルCoAとから合成される神経伝達物質であり、神経細胞の末端において小胞体に蓄えられる。刺激を受けると放出され、受容体に結合することによって信号を伝達する。役目を終えるとすぐにアセチルコリン加水分解酵素によってコリンと酢酸とに分解される[74]。
また、アルコール飲料を摂取すると人体では酢酸が生産される。エタノールはアセトアルデヒドを経て酵素アルデヒドデヒドロゲナーゼにより酢酸に変換される(「エタノールと人体」も参照)。
メタン生成古細菌(メタン菌)と呼ばれる古細菌のうち、メタノサエタ属やメタノサルキナ属は酢酸を代謝してメタンを生成することが知られており、汚水処理やバイオマス生産への利用が検討されている[75][76]。
サソリモドキというクモ綱の節足動物は、後腹部から酢酸を噴射して身を守るとされている[77]。
化学合成とバクテリアによる発酵の両方によって作られる。今日では発酵法は全世界での生産量の10%を占めるに過ぎないが、食品の品質に関する法律は食用の酢として用いられる場合に生物由来であることを求めるものが多いため[78]、依然として食酢の製造には重要である[79]。化学工業で用いられる酢酸のおよそ8割はメタノールのカルボニル化によって作られている[80]。
全世界での酢酸の純生産量はおよそ年5メガトンと見積もられ、その半分はアメリカ合衆国によるものである。ヨーロッパでの生産量は年に約1メガトンだが減少傾向にあり、日本では年0.7メガトンである(酢酸の2008年度日本国内生産量は500,211トン、消費量は181,799トンである[81])。残り1.5メガトンは毎年再利用されており、都合、全世界での市場流通量は年6.5メガトンとなる[82][83]。
大部分の酢酸はこの方法によって生産されている。メタノールと一酸化炭素を下記の反応式に従って反応させる[84]。
この方法は中間体としてヨードメタンを含む3段階の過程である。2段階目の反応は触媒を必要とし、通常これには第9族元素の金属錯体が用いられる。
メタノールと一酸化炭素は共に簡単に得られる原料であるため、メタノールのカルボニル化は長らく酢酸製造の魅力的な方法であった。セラニーズ社のヘンリー・ドレフュス (Henry Drefyus) は本法の試験プラントを1925年頃に既に開発していた[85]。しかし、腐食性の混合物を200気圧という高圧下で反応させることができる装置の材料が金やグラファイトのほかになかったため、当時は工業化することができなかった[86]。最初の工業化はコバルト触媒を用いる方法で、ドイツの化学会社 BASF社によって1960年に小型プラントが開発された[84]。材質の問題はハステロイの登場により解決されている[84][86]。1968年にロジウム触媒 (cis-[Rh(CO)2I2]−) が発見され、より低圧でほとんど副生物を発生させずに反応を進行させることが可能になった。この触媒を使用した最初のプラントは1970年にアメリカの化学会社モンサント社によって建設され、ロジウム触媒によるメタノールのカルボニル化が酢酸製造の主要な方法になった(モンサント法)[87]。1990年代後期、化学会社BPケミカルズ社がロジウムをイリジウムで置き換えたカティバ触媒 ([Ir(CO)2I2]−) を開発した[88]。この触媒はよりグリーン・高効率であり[89]、同じプラントで利用できるモンサント法にとって代わった。
モンサント法が工業化される以前には、大部分の酢酸はアセトアルデヒドの酸化によって製造されていた。メタノールのカルボニル化と競合するほどではないが、依然として第2の重要な製造法である。アセトアルデヒドはブタンや軽ナフサの酸化[90]、あるいはエチレンの酸化(ワッカー法)によって作られる[91]。
酢酸コバルトや酢酸マンガンを触媒とした、アセトアルデヒドの空気酸化によって酢酸が得られる[92]。
反応は過酢酸の生成を経るが、条件を調整することにより、これを主生成物とすることもできる。副生成物として二酸化炭素、メタノール、酢酸メチル、ギ酸、ギ酸メチル、ホルムアルデヒドが含まれるが、蒸留により精製される[93]。
ブタンや軽ナフサを空気中でマンガン、コバルト、クロムなどの金属イオンの存在下に加熱すると、ヒドロペルオキシドが生成したのちに分解し、酢酸を与える[90]。
一般的に、ブタンが液体状態である限界の高温で反応を進行させられるように温度と圧力を設定する。典型的には 160–200 °C、4–8メガパスカルである。メチルエチルケトン、酢酸エチル、ギ酸、プロピオン酸などが副生物として得られる[94]。これらの副生物も市場価値があるため、分離の手間も含めて十分に採算が取れれば、これらがより多く生成するように条件が変更されることもある。
アセトアルデヒドはワッカー法によりエチレンから作ることができ、これを上記の方法で酸化する。より安価な1段階のエチレンからの酢酸の製造法が昭和電工によって工業化され、1997年に大分県でエチレン酸化プラントが開業された[95]。その方法ではタングストケイ酸などのヘテロポリ酸上に担持されたパラジウム触媒を用いる[96]。エチレンの価格によっては、小さめのプラント(100–150キロトン/年)でメタノールのカルボニル化と競合する。しかしながら2009年に昭和電工は大分での酢酸製造設備を停止し、メタノール法の酢酸をマレーシア、中国などから輸入するようになった。これはナフサ価格上昇にともない、エチレン価格も高騰したため、メタノール法酢酸製造プラントに対抗できなくなったためである[97]。これにより現在日本で酢酸を製造するプラントは協同酢酸の1社のみとなった。
人類の歴史の大部分において、酢酸は酢の形でアセトバクター属 (Acetobacter) の細菌によって作られてきた。十分な量の酸素を与えられれば、それらのバクテリアは様々なアルコールを含む食材から酢を作り出す。普通に使われるのはリンゴ酒、ワイン、発酵させた穀物、麦芽、米、すりつぶしたジャガイモである。バクテリアによって促進される化学反応は、全体として以下のようなものである。
薄いアルコールの溶液にアセトバクター属を接種して保温すると、空気に触れている部分が数か月後に酢になる。工業的な酢の製造過程では、酸素を供給することによってバクテリアによる酸化を促進する。
発酵によって酢が初めて作られたのは、おそらくワインの製造の失敗によるものである。マスト(must, 発酵中のブドウ果汁)の熟成時に温度が高すぎると、アセトバクター属が自然にブドウに付着している酵母を圧倒してしまう。料理、医療、保健衛生における酢の需要が増すと、ワイン製造者たちはすぐに、ブドウが熟してワインの製造に適するようになる前の暑い夏季に他の有機物を使って酢を作ることを学んだ。しかし、ワイン製造者たちは発酵の過程を理解していなかったため、その方法は時間がかかる上にいつも成功するとは限らなかった[98]。
最初の近代的な工業的生産過程の1つは「促成法」あるいは「ジャーマン法」と呼ばれるもので、1823年にドイツで使われ始めた。この方法では、発酵は木の削り屑や炭を詰めた塔の中で行われる。アルコールを含んだ原料が塔の頂上から流し込まれ、新鮮な空気を自然に、または人為的な対流によって供給する。空気の供給量を増やすことによって、数ヶ月かかった酢の製造は数週間に短縮された[99]。
今日における酢の製造には1949年にオットー・ホロマツカとハインリヒ・エプナーによって考案された[100]浸水形の培養槽が用いられている。この方法では、発酵は撹拌されるタンクの中で溶液に酸素を通じさせながら行われ、15%の酢酸を含んだ酢が24時間で、流加培養法を使うと20%の濃度のものが60時間ででき上がる[98]。
クロストリジウム属 (Clostridium) のある種の嫌気性バクテリアは糖類を直接酢酸に変換させることができ、中間体としてエタノールを必要としない。これらのバクテリアによる化学反応は全体として次のようなものである
これらの酢酸産生菌の多くはメタノール、一酸化炭素、または二酸化炭素と水素の混合物など、1炭素の化合物から直接酢酸を作り出すことができる[102]。
糖類またはより安価な原料を直接酢酸の製造に利用できるクロストリジウム属の能力は、アセトバクター属のようなエタノール酸化菌より効率的に酢酸を作り出せる可能性があることを示している。しかしながら、クロストリジウム属は酸に弱く、最も酸に強いクロストリジウム属でも数%の酢酸を含む酢しか作れない。一方、アセトバクター属には酢酸濃度20%までの酢を作ることができるものがある。アセトバクター属を使う酢の製造はクロストリジウム属で作った酢を濃縮するよりも価格面でより効率的である。その結果、酢酸産生菌は1940年からその存在が知られているものの、工業的な利用はニッチな用途に限られている[103]。
多くの化合物を作る際に試薬として用いられる。主に酢酸ビニルモノマーの製造に使われ、無水酢酸や他の酢酸エステルがこれに次ぐ。酢として利用される酢酸は比較的少ない。
酢酸の主要な用途は酢酸ビニルモノマーの製造である[83]。2003年、全世界で消費される酢酸のうち43.5%がこの目的で消費された[104]。酸素の存在下、エチレンと酢酸をパラジウム触媒で反応させることで得られる[105]。
酢酸ビニルは重合させてポリ酢酸ビニルなどのポリマーとしたのち、塗料や接着剤として使われる[106]。
2分子の酢酸を脱水縮合させると無水酢酸が得られる。これは酢酸ビニルモノマー用途に次ぐ酢酸の主要な用途であり、2009年には世界の全消費量のうち18 %が無水酢酸の製造に使用されている[83]。酢酸メチルのカルボニル化によって直接得ることもでき[107]、カティバ法のプラントをこの目的に使うこともできる。
無水酢酸は強力なアセチル化試剤であり[108]、写真フィルムや合成繊維などの用途があるアセチルセルロースの製造などに用いられる[109]。またアスピリン[110]やヘロイン[111]などの合成にも使われる。
酢酸のエステル類はインク、塗料、上塗の溶媒として使用される。酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピルが一般的で、これらは対応するアルコールとの触媒反応によって合成される。
しかしながら、酢酸エステルの製造法としてはアルデヒドを原料としたティシチェンコ反応による合成が主流となっており、これは原料となるアルデヒドがアルコールよりも安価なためである[112]。また、エーテル類の酢酸エステルはニトロセルロース、アクリル塗料、ワニスの洗浄剤、木材用塗料の溶媒として使われる。まずグリコールのモノエーテルをエチレンオキシドやプロピレンオキシドとアルコールの反応で作り、これを酢酸でエステル化する。主なものはエチレングリコールモノエチルエーテル酢酸エステル (EEA)、エチレングリコールモノブチルエーテル酢酸エステル (EBA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル酢酸エステル (PMA) の3つである。この用途には全生産量の17 %が消費される[83]。これらのエステルのうちいくつかは動物実験において生殖・発生毒性が示されており、例えばEEAではラットに対してEEAを経口投与した試験において受胎率の低下やオスの精子数の減少といった生殖毒性や、胎児の骨格奇形のような発生毒性などが確認されている[113]。そのため、EEAはリスクフレーズにおいてR60/R61(生殖毒性、胎児毒性)が指定されている[114]。
酢には通常4-8 %、最大18 %の濃度の酢酸が含まれており、調味料や防腐剤として古くから利用されてきた[115]。2010年の日本の食酢の生産量は醸造酢が約41万キロリットル、合成酢が1400キロリットルであった[116]。また韓国では、氷酢酸がのり巻きや刺し身のたれを作る材料として食用に販売されている[117]。
氷酢酸は優れた極性プロトン性溶媒であり、有機化合物の再結晶溶媒としてしばしば使われる。純粋な酢酸は、ポリエチレンテレフタラート (PET) の原料であるテレフタル酸の製造の際に溶媒として用いられる。2009年のPET製造用途における酢酸の消費量は世界の全消費量のうちの17 %を占めており、無水酢酸製造や酢酸エステル製造用途における消費量と同程度である[83]。
フリーデル・クラフツ反応などのようにカルボカチオンを含む反応にしばしば用いられる。例えば、樟脳の工業的製造の1工程はカンフェンのワーグナー・メーヤワイン転位による酢酸イソボルニルの生成だが、酢酸はこの際に転位生成物であるカルボカチオンのトラップ剤兼溶媒として働く[118]。パラジウム炭素を用いたベンジル基の脱保護においても、反応を促進させるための酸性溶媒として酢酸が選択される[119]。
分析化学においては、アニリンなどの弱い塩基の定量の際に用いられる。通常、アニリンのような弱塩基は水溶液中での解離度が低いため強酸による中和滴定を行うことができないが、水よりもプロトン供与能の高い酢酸中であれば強い塩基としてふるまい完全に解離することができる。一方で、過塩素酸は酢酸溶媒中においても強酸としてふるまうことができるため、酢酸溶媒中で弱塩基を過塩素酸で滴定することができる。このような酢酸を溶媒として用いた中和滴定は日本薬局方において多くの弱塩基性医薬品の定量方法として利用されている[120]。
酢酸は代表的な弱酸である[121]。写真の現像において現像処理と定着処理の間で使われるが、これは現像液がアルカリ性であるから、弱い酸性を示す酢酸で現像処理を停止させるためである[122]。他に、カルシウムやマグネシウムなどによる水垢を除去するための洗浄剤[123]、クラゲに刺された場合すぐに塗布する事によって刺胞を不活性化し症状を和らげる治療薬[124]、軽度の外耳炎の治療[125]、といった用途があげられる。また、家畜用の牧草を保管するために作られるサイレージにおいては、牧草が酢酸発酵することで生成される酢酸によってpHが4程度まで低下することでバクテリアやカビの増殖が抑えられる[126]。コルポスコピー・上部消化管内視鏡においては粘膜を刺激し、正常粘膜と異常粘膜の反応の差異を判断に用いることがある[127]。氷酢酸、ピクリン酸、ホルマリンの混合溶液はブアン固定液として細胞の固定に利用される[128]。
様々な無機塩・有機塩類が酢酸から合成される。
酢酸の誘導体には以下のようなものがある。
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|isuue=
ignored (help)ウィキメディア・コモンズには、酢酸に関連するカテゴリがあります。 |
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Names | |||
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IUPAC name
Acetic acid[3][4]
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Systematic IUPAC name
Ethanoic acid[5]
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Other names
Vinegar (when dilute); Hydrogen acetate; Methanecarboxylic acid[1][2]
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Identifiers | |||
3DMet | B00009 | ||
Abbreviations | AcOH | ||
ATC code | G01AD02 S02AA10 |
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Beilstein Reference
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506007 | ||
CAS Registry Number
|
64-19-7 Y | ||
ChEBI | CHEBI:15366 Y | ||
ChEMBL | ChEMBL539 Y | ||
ChemSpider | 171 Y | ||
DrugBank | DB03166 Y | ||
EC number | 200-580-7 | ||
Gmelin Reference
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1380 | ||
InChI
|
|||
IUPHAR ligand | 1058 | ||
Jmol-3D images | Image | ||
KEGG | D00010 N | ||
MeSH | Acetic+acid | ||
PubChem | 176 | ||
RTECS number | AF1225000 | ||
SMILES
|
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UNII | Q40Q9N063P Y | ||
UN number | 2789 | ||
Properties | |||
Chemical formula
|
C2H4O2 | ||
Molar mass | 60.05 g·mol−1 | ||
Appearance | Colourless liquid | ||
Odor | Pungent/Vinegar-like | ||
Density | 1.049 g cm−3 | ||
Melting point | 16 to 17 °C; 61 to 62 °F; 289 to 290 K | ||
Boiling point | 118 to 119 °C; 244 to 246 °F; 391 to 392 K | ||
Solubility in water
|
Miscible | ||
log P | -0.322 | ||
Acidity (pKa) | 4.76 | ||
Basicity (pKb) | 9.198 (basicity of acetate ion) | ||
Refractive index (nD)
|
1.371 | ||
Viscosity | 1.22 mPa s | ||
Dipole moment | 1.74 D | ||
Thermochemistry | |||
Specific
heat capacity (C) |
123.1 J K−1 mol−1 | ||
Std molar
entropy (S |
158.0 J K−1 mol−1 | ||
Std enthalpy of
formation (ΔfH |
-483.88--483.16 kJ mol−1 | ||
Std enthalpy of
combustion (ΔcH |
-875.50--874.82 kJ mol−1 | ||
Hazards | |||
Safety data sheet | See: data page | ||
GHS pictograms | |||
GHS signal word | Danger | ||
GHS hazard statements
|
H226, H314 | ||
GHS precautionary statements
|
P280, P305+351+338, P310 | ||
EU Index | 607-002-00-6 | ||
EU classification | C | ||
R-phrases | R10, R35 | ||
S-phrases | (S1/2), S23, S26, S45 | ||
NFPA 704 |
2
3
0
|
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Flash point | 40 °C (104 °F; 313 K) | ||
Autoignition
temperature |
427 °C (801 °F; 700 K) | ||
Explosive limits | 4-16% | ||
LD50 (Median lethal dose)
|
3.31 g kg−1, oral (rat) | ||
LC50 (Median lethal concentration)
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5620 ppm (mouse, 1 hr) 16000 ppm (rat, 4 hr)[7] |
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US health exposure limits (NIOSH): | |||
PEL (Permissible)
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TWA 10 ppm (25 mg/m3)[6] | ||
REL (Recommended)
|
TWA 10 ppm (25 mg/m3) ST 15 ppm (37 mg/m3)[6] | ||
IDLH (Immediate danger)
|
50 ppm[6] | ||
Related compounds | |||
Related carboxylic acids
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Formic acid Propionic acid |
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Related compounds
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Acetaldehyde Acetamide |
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Supplementary data page | |||
Structure and
properties |
Refractive index (n), Dielectric constant (εr), etc. |
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Thermodynamic
data |
Phase behaviour solid–liquid–gas |
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Spectral data
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UV, IR, NMR, MS | ||
Except where otherwise noted, data are given for materials in their standard state (at 25 °C [77 °F], 100 kPa).
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N verify (what is: Y/N?) | |||
Infobox references | |||
Acetic acid /əˈsiːtɨk/, systematically named ethanoic acid /ˌɛθəˈnoʊɨk/, is an organic compound with the chemical formula CH3COOH (also written as CH3CO2H or C2H4O2). It is a colourless liquid that when undiluted is also called glacial acetic acid. Vinegar is roughly 3-9% acetic acid by volume, making acetic acid the main component of vinegar apart from water. Acetic acid has a distinctive sour taste and pungent smell. Besides its production as household vinegar, it is mainly produced as a precursor to polyvinylacetate and cellulose acetate. Although it is classified as a weak acid, concentrated acetic acid is corrosive and can attack the skin.
Acetic acid is the second simplest carboxylic acid (after formic acid) and is an important chemical reagent and industrial chemical, mainly used in the production of cellulose acetate for photographic film and polyvinyl acetate for wood glue, as well as synthetic fibers and fabrics. In households, diluted acetic acid is often used in descaling agents. In the food industry, acetic acid is used under the food additive code E260 as an acidity regulator and as a condiment. As a food additive it is approved for usage in many countries, including Canada,[8] the European Union,[9] the United States,[10] and Australia and New Zealand.[11]
The global demand of acetic acid is around 6.5 million tonnes per year (Mt/a), of which approximately 1.5 Mt/a is met by recycling; the remainder is manufactured from petrochemical feedstock.[12] As a chemical reagent, biological sources of acetic acid are of interest, but generally uncompetitive. Vinegar is dilute acetic acid, often produced by fermentation and subsequent oxidation of ethanol.
The trivial name acetic acid is the most commonly used and preferred IUPAC name. The systematic name ethanoic acid, a valid IUPAC name, is constructed according to the substitutive nomenclature.[5] The name acetic acid derives from acetum, the Latin word for vinegar, and is related to the word acid itself.
Glacial acetic acid is a name for water-free (anhydrous) acetic acid. Similar to the German name Eisessig (ice-vinegar), the name comes from the ice-like crystals that form slightly below room temperature at 16.6 °C (61.9 °F) (the presence of 0.1% water lowers its melting point by 0.2 °C).[13]
A common abbreviation for acetic acid is AcOH, where Ac stands for the acetyl group CH3−C(=O)−. Acetate (CH3COO−) is abbreviated AcO−. The Ac is not to be confused with the abbreviation for the chemical element actinium.[14] To better reflect its structure, acetic acid is often written as CH3–C(O)OH, CH3–C(=O)OH, CH3COOH, and CH3CO2H. In the context of acid-base reactions, the abbreviation HAc is sometimes used,[15] where Ac instead stands for acetate. Acetate is the ion resulting from loss of H+ from acetic acid. The name acetate can also refer to a salt containing this anion, or an ester of acetic acid.[16]
Vinegar was known early in civilization as the natural result of exposure of beer and wine to air, because acetic acid-producing bacteria are present globally. The use of acetic acid in alchemy extends into the 3rd century BC, when the Greek philosopher Theophrastus described how vinegar acted on metals to produce pigments useful in art, including white lead (lead carbonate) and verdigris, a green mixture of copper salts including copper(II) acetate. Ancient Romans boiled soured wine to produce a highly sweet syrup called sapa. Sapa that was produced in lead pots was rich in lead acetate, a sweet substance also called sugar of lead or sugar of Saturn, which contributed to lead poisoning among the Roman aristocracy.[17]
In the 16th-century German alchemist Andreas Libavius described the production of acetone from the dry distillation of lead acetate, ketonic decarboxylation. The presence of water in vinegar has such a profound effect on acetic acid's properties that for centuries chemists believed that glacial acetic acid and the acid found in vinegar were two different substances. French chemist Pierre Adet proved them identical.[17][18]
In 1845 German chemist Hermann Kolbe synthesized acetic acid from inorganic compounds for the first time. This reaction sequence consisted of chlorination of carbon disulfide to carbon tetrachloride, followed by pyrolysis to tetrachloroethylene and aqueous chlorination to trichloroacetic acid, and concluded with electrolytic reduction to acetic acid.[19]
By 1910, most glacial acetic acid was obtained from the "pyroligneous liquor" from distillation of wood. The acetic acid was isolated from this by treatment with milk of lime, and the resulting calcium acetate was then acidified with sulfuric acid to recover acetic acid. At that time, Germany was producing 10,000 tons of glacial acetic acid, around 30% of which was used for the manufacture of indigo dye.[17][20]
Because both methanol and carbon monoxide are commodity raw materials, methanol carbonylation long appeared to be attractive precursors to acetic acid. Henri Dreyfus at British Celanese developed a methanol carbonylation pilot plant as early as 1925.[21] However, a lack of practical materials that could contain the corrosive reaction mixture at the high pressures needed (200 atm or more) discouraged commercialization of these routes. The first commercial methanol carbonylation process, which used a cobalt catalyst, was developed by German chemical company BASF in 1963. In 1968, a rhodium-based catalyst (cis−[Rh(CO)2I2]−) was discovered that could operate efficiently at lower pressure with almost no by-products. US chemical company Monsanto Company built the first plant using this catalyst in 1970, and rhodium-catalyzed methanol carbonylation became the dominant method of acetic acid production (see Monsanto process). In the late 1990s, the chemicals company BP Chemicals commercialized the Cativa catalyst ([Ir(CO)2I2]−), which is promoted by iridium[22] for greater efficiency. This iridium-catalyzed Cativa process is greener and more efficient[23] and has largely supplanted the Monsanto process, often in the same production plants.
Acetic acid was discovered in the interstellar medium in 1996 by a team led by David Mehringer[24] who detected it using the former Berkeley-Illinois-Maryland Association array at the Hat Creek Radio Observatory and the former Millimeter Array located at the Owens Valley Radio Observatory. It was first detected in the Sagittarius B2 North molecular cloud (also known as the Sgr B2 Large Molecule Heimat source). Acetic acid has the distinction of being the first molecule discovered in the interstellar medium using solely radio interferometers; in all previous ISM molecular discoveries made in the millimeter and centimeter wavelength regimes, single dish radio telescopes were at least partly responsible for the detections.[24]
The hydrogen center in the carboxyl group (−COOH) in carboxylic acids such as acetic acid can separate from the molecule by ionization:
Because of this release of the proton (H+), acetic acid has acidic character. Acetic acid is a weak monoprotic acid. In aqueous solution, it has a pKa value of 4.76.[25] Its conjugate base is acetate (CH3COO−). A 1.0 M solution (about the concentration of domestic vinegar) has a pH of 2.4, indicating that merely 0.4% of the acetic acid molecules are dissociated.[26]
In solid acetic acid, the molecules form pairs (dimers), being connected by hydrogen bonds.[27] The dimers can also be detected in the vapour at 120 °C (248 °F). Dimers also occur in the liquid phase in dilute solutions in non-hydrogen-bonding solvents, and a certain extent in pure acetic acid,[28] but are disrupted by hydrogen-bonding solvents. The dissociation enthalpy of the dimer is estimated at 65.0–66.0 kJ/mol, and the dissociation entropy at 154–157 J mol−1 K−1.[29] Other lower carboxylic acids dimerize in a similar fashion.[30]
Liquid acetic acid is a hydrophilic (polar) protic solvent, similar to ethanol and water. With a moderate relative static permittivity (dielectric constant) of 6.2, it dissolves not only polar compounds such as inorganic salts and sugars, but also non-polar compounds such as oils and elements such as sulfur and iodine. It readily mixes with other polar and non-polar solvents such as water, chloroform, and hexane. With higher alkanes (starting with octane), acetic acid is not completely miscible anymore, and its miscibility continues to decline with longer n-alkanes.[31] This dissolving property and miscibility of acetic acid makes it a widely used industrial chemical, for example, as a solvent in the production of dimethyl terephthalate.[12]
Acetic acid undergoes the typical chemical reactions of a carboxylic acid. Upon treatment with a standard base, it converts to metal acetate and water. With strong bases (e.g., organolithium reagents), it can be doubly deprotonated to give LiCH2CO2Li. Reduction of acetic acid gives ethanol. The OH group is the main site of reaction, as illustrated by the conversion of acetic acid to acetyl chloride. Other substitution derivatives include acetic anhydride; this anhydride is produced by loss of water from two molecules of acetic acid. Esters of acetic acid can likewise be formed via Fischer esterification, and amides can be formed. When heated above 440 °C (824 °F), acetic acid decomposes to produce carbon dioxide and methane, or to produce ketene and water:[32][33][34]
Acetic acid is mildly corrosive to metals including iron, magnesium, and zinc, forming hydrogen gas and salts called acetates:
Because aluminium forms a passivating acid-resistant film of aluminium oxide, aluminium tanks are used to transport acetic acid. Metal acetates can also be prepared from acetic acid and an appropriate base, as in the popular "baking soda + vinegar" reaction:
A color reaction for salts of acetic acid is iron(III) chloride solution, which results in a deeply red color that disappears after acidification.[35] A more sensitive test uses lanthanum nitrate with iodine and ammonia to give a blue solution.[36] Acetates when heated with arsenic trioxide form cacodyl oxide, which can be detected by its malodorous vapors.[37]
At physiological pHs, acetic acid is usually fully ionized to acetate. The acetyl group, derived from acetic acid, is fundamental to all forms of life. When bound to coenzyme A, it is central to the metabolism of carbohydrates and fats. Unlike longer-chain carboxylic acids (the fatty acids), acetic acid does not occur in natural triglycerides. However, the artificial triglyceride triacetin (glycerine triacetate) is a common food additive and is found in cosmetics and topical medicines.[38]
Acetic acid is produced and excreted by acetic acid bacteria, notable ones being the Acetobacter genus and Clostridium acetobutylicum. These bacteria are found universally in foodstuffs, water, and soil, and acetic acid is produced naturally as fruits and other foods spoil. Acetic acid is also a component of the vaginal lubrication of humans and other primates, where it appears to serve as a mild antibacterial agent.[39]
Acetic acid is produced industrially both synthetically and by bacterial fermentation. About 75% of acetic acid made for use in the chemical industry is made by the carbonylation of methanol, explained below.[12] Alternative methods account for the rest. The biological route accounts for only about 10% of world production, but it remains important for the production of vinegar, as many food purity laws stipulate that vinegar used in foods must be of biological origin. As of 2003–2005, total worldwide production of virgin acetic acid was estimated at 5 Mt/a (million tonnes per year), approximately half of which was then produced in the United States. European production stood at approximately 1 Mt/a and was declining, and 0.7 Mt/a were produced in Japan. Another 1.5 Mt were recycled each year, bringing the total world market to 6.5 Mt/a.[40][41] Since then the global production has increased to 10.7 Mt/a (in 2010), and further, however, slowing increase in production is predicted.[42] The two biggest producers of virgin acetic acid are Celanese and BP Chemicals. Other major producers include Millennium Chemicals, Sterling Chemicals, Samsung, Eastman, and Svensk Etanolkemi.[43]
Most acetic acid is produced by methanol carbonylation. In this process, methanol and carbon monoxide react to produce acetic acid according to the equation:
The process involves iodomethane as an intermediate, and occurs in three steps. A catalyst, metal carbonyl, is needed for the carbonylation (step 2).[44]
Two related processes for the carbonylation of methanol: the rhodium-catalyzed Monsanto process, and the iridium-catalyzed Cativa process. The latter process is greener and more efficient[23] and has largely supplanted the former process, often in the same production plants. Catalytic amounts of water are used in both processes, but the Cativa process requires less, so the water-gas shift reaction is suppressed, and fewer byproducts are formed.
By altering the process conditions, acetic anhydride may also be produced on the same plant using the rhodium catalysts.[45]
Prior to the commercialization of the Monsanto process, most acetic acid was produced by oxidation of acetaldehyde. This remains the second-most-important manufacturing method, although it is usually uncompetitive with the carbonylation of methanol.
The acetaldehyde may be produced via oxidation of butane or light naphtha, or by hydration of ethylene. When butane or light naphtha is heated with air in the presence of various metal ions, including those of manganese, cobalt, and chromium, peroxides form and then decompose to produce acetic acid according to the chemical equation:
The typical reaction is conducted at temperatures and pressures designed to be as hot as possible while still keeping the butane a liquid. Typical reaction conditions are 150 °C (302 °F) and 55 atm.[46] Side-products may also form, including butanone, ethyl acetate, formic acid, and propionic acid. These side-products are also commercially valuable, and the reaction conditions may be altered to produce more of them where needed. However, the separation of acetic acid from these by-products adds to the cost of the process.[47]
Under similar conditions and using similar catalysts as are used for butane oxidation, the oxygen in air to produce acetic acid can oxidize acetaldehyde.[47]
Using modern catalysts, this reaction can have an acetic acid yield greater than 95%. The major side-products are ethyl acetate, formic acid, and formaldehyde, all of which have lower boiling points than acetic acid and are readily separated by distillation.[47]
Acetaldehyde may be prepared from ethylene via the Wacker process, and then oxidized as above. In more recent times, chemical company Showa Denko, which opened an ethylene oxidation plant in Ōita, Japan, in 1997, commercialized a cheaper single-stage conversion of ethylene to acetic acid.[48] The process is catalyzed by a palladium metal catalyst supported on a heteropoly acid such as tungstosilicic acid. It is thought to be competitive with methanol carbonylation for smaller plants (100–250 kt/a), depending on the local price of ethylene. The approach will be based on utilizing a novel selective photocatalytic oxidation technology for the selective oxidation of ethylene and ethane to acetic acid. Unlike traditional oxidation catalysts, the selective oxidation process will use UV light to produce acetic acid at ambient temperatures and pressure.
For most of human history, acetic acid bacteria of the genus Acetobacter have made acetic acid, in the form of vinegar. Given sufficient oxygen, these bacteria can produce vinegar from a variety of alcoholic foodstuffs. Commonly used feeds include apple cider, wine, and fermented grain, malt, rice, or potato mashes. The overall chemical reaction facilitated by these bacteria is:
A dilute alcohol solution inoculated with Acetobacter and kept in a warm, airy place will become vinegar over the course of a few months. Industrial vinegar-making methods accelerate this process by improving the supply of oxygen to the bacteria.[49]
The first batches of vinegar produced by fermentation probably followed errors in the winemaking process. If must is fermented at too high a temperature, acetobacter will overwhelm the yeast naturally occurring on the grapes. As the demand for vinegar for culinary, medical, and sanitary purposes increased, vintners quickly learned to use other organic materials to produce vinegar in the hot summer months before the grapes were ripe and ready for processing into wine. This method was slow, however, and not always successful, as the vintners did not understand the process.[50]
One of the first modern commercial processes was the "fast method" or "German method", first practised in Germany in 1823. In this process, fermentation takes place in a tower packed with wood shavings or charcoal. The alcohol-containing feed is trickled into the top of the tower, and fresh air supplied from the bottom by either natural or forced convection. The improved air supply in this process cut the time to prepare vinegar from months to weeks.[51]
Nowadays, most vinegar is made in submerged tank culture, first described in 1949 by Otto Hromatka and Heinrich Ebner.[52] In this method, alcohol is fermented to vinegar in a continuously stirred tank, and oxygen is supplied by bubbling air through the solution. Using modern applications of this method, vinegar of 15% acetic acid can be prepared in only 24 hours in batch process, even 20% in 60-hour fed-batch process.[50]
Species of anaerobic bacteria, including members of the genus Clostridium or Acetobacterium can convert sugars to acetic acid directly, without using ethanol as an intermediate. The overall chemical reaction conducted by these bacteria may be represented as:
These acetogenic bacteria produce acetic acid from one-carbon compounds, including methanol, carbon monoxide, or a mixture of carbon dioxide and hydrogen:
This ability of Clostridium to utilize sugars directly, or to produce acetic acid from less costly inputs, means that these bacteria could potentially produce acetic acid more efficiently than ethanol-oxidizers like Acetobacter. However, Clostridium bacteria are less acid-tolerant than Acetobacter. Even the most acid-tolerant Clostridium strains can produce vinegar of only a few per cent acetic acid, compared to Acetobacter strains that can produce vinegar of up to 20% acetic acid. At present, it remains more cost-effective to produce vinegar using Acetobacter than to produce it using Clostridium and then concentrate it. As a result, although acetogenic bacteria have been known since 1940, their industrial use remains confined to a few niche applications.[53]
Acetic acid is a chemical reagent for the production of chemical compounds. The largest single use of acetic acid is in the production of vinyl acetate monomer, closely followed by acetic anhydride and ester production. The volume of acetic acid used in vinegar is comparatively small.[12][41]
The major use of acetic acid is for the production of vinyl acetate monomer (VAM). In 2008, this application was estimated to consume one third of the world's production of acetic acid.[12] The reaction is of ethylene and acetic acid with oxygen over a palladium catalyst, conducted in the gas phase.[54]
Vinyl acetate can be polymerized to polyvinyl acetate or to other polymers, which are components in paints and adhesives.[54]
The major esters of acetic acid are commonly used solvents for inks, paints and coatings. The esters include ethyl acetate, n-butyl acetate, isobutyl acetate, and propyl acetate. They are typically produced by catalyzed reaction from acetic acid and the corresponding alcohol:
Most acetate esters, however, are produced from acetaldehyde using the Tishchenko reaction. In addition, ether acetates are used as solvents for nitrocellulose, acrylic lacquers, varnish removers, and wood stains. First, glycol monoethers are produced from ethylene oxide or propylene oxide with alcohol, which are then esterified with acetic acid. The three major products are ethylene glycol monoethyl ether acetate (EEA), ethylene glycol monobutyl ether acetate (EBA), and propylene glycol monomethyl ether acetate (PMA, more commonly known as PGMEA in semiconductor manufacturing processes, where it is used as a resist solvent). This application consumes about 15% to 20% of worldwide acetic acid. Ether acetates, for example EEA, have been shown to be harmful to human reproduction.[41]
The product of the condensation of two molecules of acetic acid is acetic anhydride. The worldwide production of acetic anhydride is a major application, and uses approximately 25% to 30% of the global production of acetic acid. The main process involves dehydration of acetic acid to give ketene at 700-750 °C. Ketene is thereafter reacted with acetic acid to obtain the anhydride:[55]
Acetic anhydride is an acetylation agent. As such, its major application is for cellulose acetate, a synthetic textile also used for photographic film. Acetic anhydride is also a reagent for the production of heroin and other compounds.[55]
Glacial acetic acid is an excellent polar protic solvent, as noted above. It is frequently used as a solvent for recrystallization to purify organic compounds. Acetic acid is used as a solvent in the production of terephthalic acid (TPA), the raw material for polyethylene terephthalate (PET). In 2006, about 20% of acetic acid was used for TPA production.[41]
Acetic acid is often used as a solvent for reactions involving carbocations, such as Friedel-Crafts alkylation. For example, one stage in the commercial manufacture of synthetic camphor involves a Wagner-Meerwein rearrangement of camphene to isobornyl acetate; here acetic acid acts both as a solvent and as a nucleophile to trap the rearranged carbocation.[56]
Glacial acetic acid is used in analytical chemistry for the estimation of weakly alkaline substances such as organic amides. Glacial acetic acid is a much weaker base than water, so the amide behaves as a strong base in this medium. It then can be titrated using a solution in glacial acetic acid of a very strong acid, such as perchloric acid.[57]
Diluted acetic acid is used in physical therapy using iontophoresis.[58]
Vinegar is typically 4-18% acetic acid by mass. Vinegar is used directly as a condiment, and in the pickling of vegetables and other foods. Table vinegar tends to be more diluted (4% to 8% acetic acid), while commercial food pickling employs solutions that are more concentrated. The amount of acetic acid used as vinegar on a worldwide scale is not large, but is by far the oldest and best-known application.[59]
Organic or inorganic salts are produced from acetic acid, including:
Substituted acetic acids produced include:
Amounts of acetic acid used in these other applications together (apart from TPA) account for another 5–10% of acetic acid use worldwide. These applications are, however, not expected to grow as much as TPA production.[41]
Concentrated acetic acid is corrosive to skin and must, therefore, be handled with appropriate care, since it can cause skin burns, permanent eye damage, and irritation to the mucous membranes.[60][61] These burns or blisters may not appear until hours after exposure. Latex gloves offer no protection, so specially resistant gloves, such as those made of nitrile rubber, are worn when handling the compound. Concentrated acetic acid can be ignited with difficulty in the laboratory. It becomes a flammable risk if the ambient temperature exceeds 39 °C (102 °F), and can form explosive mixtures with air above this temperature (explosive limits: 5.4–16%).
Acetic acid is a strong eye, skin, and mucous membrane irritant. Prolonged skin contact with glacial acetic acid may result in tissue destruction. Inhalation exposure (eight hours) to acetic acid vapours at 10 ppm could produce some irritation of eyes, nose, and throat; at 100 ppm marked lung irritation and possible damage to lungs, eyes, and skin might result. Vapour concentrations of 1,000 ppm cause marked irritation of eyes, nose and upper respiratory tract and cannot be tolerated. These predictions were based on animal experiments and industrial exposure. Skin sensitization to acetic acid is rare, but has occurred.
It has been reported that, 12 workers exposed for two or more years to an estimated mean acetic acid airborne concentration of 51 ppm, there were symptoms of conjunctive irritation, upper respiratory tract irritation, and hyperkeratotic dermatitis. Exposure to 50 ppm or more is intolerable to most persons and results in intensive lacrimation and irritation of the eyes, nose, and throat, with pharyngeal oedema and chronic bronchitis. Unacclimatized humans experience extreme eye and nasal irritation at concentrations in excess of 25 ppm, and conjunctivitis from concentrations below 10 ppm has been reported. In a study of five workers exposed for seven to 12 years to concentrations of 80 to 200 ppm at peaks, the principal findings were blackening and hyperkeratosis of the skin of the hands, conjunctivitis (but no corneal damage), bronchitis and pharyngitis, and erosion of the exposed teeth (incisors and canines).[62]
The hazards of solutions of acetic acid depend on the concentration. The following table lists the EU classification of acetic acid solutions:[63]
Concentration by weight |
Molarity | Classification | R-Phrases |
---|---|---|---|
10–25% | 1.67–4.16 mol/L | Irritant (Xi) | R36/38 |
25–90% | 4.16–14.99 mol/L | Corrosive (C) | R34 |
>90% | >14.99 mol/L | Corrosive (C) Flammable (F) | R10, R35 |
Solutions at more than 25% acetic acid are handled in a fume hood because of the pungent, corrosive vapor. Dilute acetic acid, in the form of vinegar, is practically harmless. However, ingestion of stronger solutions is dangerous to human and animal life. It can cause severe damage to the digestive system, and a potentially lethal change in the acidity of the blood.
Due to incompatibilities, it is recommended to keep acetic acid away from chromic acid, ethylene glycol, nitric acid, perchloric acid, permanganates, peroxides and hydroxyls.[64]
Look up acetic in Wiktionary, the free dictionary. |
Wikimedia Commons has media related to Acetic acid. |
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リンク元 | 「acetic」「AcOH」 |
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