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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/24 12:50:14」(JST)
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頬が無ければ、口にした食物は噛み砕くほどに口の脇からこぼれ落ちてしまう。咀嚼を行おうとする動物にとって頬は欠くことのできない部位である。
画像のイヌは木の枝を咥えているが、物を食べるときには頬を閉める。
頬(ほお、ほほ、ラテン語:buccae、英語:cheek)は、咀嚼(もしくは、それに近い行為)を行う動物(ヒトを含む)の顔の構成部位の一つ。特に哺乳類は母乳を吸う必要性から、必ず備えている。眼窩・口・耳の間に位置し、口器を膜状に包み込んでいる肉(外側は皮膚、内側は筋肉・粘膜など)のことである。
目次
- 1 生物的特徴
- 2 頬嚢
- 3 ヒトの頬
- 4 頬の言語学
- 5 化粧、装飾、キャラクター性、ほか
- 6 「頬」の字を名に持つ生物
- 7 その他の関連事象
- 8 脚注・出典
- 9 関連項目
生物的特徴
カモノハシ恐竜の一種であるハドロサウルス(生態復元想像図)
頬嚢を具える動物(画像はハムスター[キヌゲネズミ科])
咀嚼は、口に入れた食物がこぼれ落ちないようにする覆いとしての頬と、適切な噛み位置に食物を移動させる役割を担う舌が、ともに正しく機能して初めて可能となる。 咀嚼を行う動物を哺乳類に限定して説明がなされる場合が多いが、厳密には、哺乳類の祖先系統にあたる絶滅動物群[1]も該当する。また、植物食性の恐竜などといった他系統の動物にもそのような例はある(例えばカモノハシ恐竜の類いなどの生態復元想像図は、頬を具えた姿で描かれることが多い)。 なお、頬を持たない動物は、海鳥やヘビがそうであるように食物を丸呑みにするか、猛禽類やデスロール[2]を行うワニがそうであるように引きちぎることによって適当な大きさに加工した上で呑み込むという方法を執る。
頬の上部には頬骨(ほおぼね、きょうこつ)があり、ヒトの場合、皮膚の上からも突出部として見える。頬の内側には頬筋(きょうきん)がある。[3]
頬嚢
齧歯類の多くの種(ネズミ、リス、など)や霊長類の一部の種(マカク、ヒヒ、など)は、食物を一時的に保持するための伸縮性に富んだ頬を具えている。 この頬に物が詰め込まれたとき、皮膚の伸びきった様子が袋のように見えることをもって、漢字文化圏の動物学用語で「頬嚢(日本語読み:ほほのう、ほおのう、ほほぶくろ、ほおぶくろ。中国語読み[拼音]:jiá-náng〈キョウノウ〉)」と呼び、日本語の通俗語では「頬袋(ほおぶくろ、ほほぶくろ)」とも呼ぶ。なお、英語では「cheek pouch (仮名転写:チークパウチ、意訳:頬小袋)」、ドイツ語では「Backentasche [4](仮名転写:バッケンタッシェ、意訳:頬袋)」と言う。
ヒトの頬
ヒトおよびヒトに近縁の霊長類(類人猿、ヒト上科)は、頬の内側にあってよく発達した頬筋を動かすことによって喜怒哀楽の感情を巧みに表現する。特に、左右非対称の形を作ることで不満や怒りを表現することは可動性の高い頬筋があってこそである。
また、ヒトは、口を閉じて頬を膨らませることを感情表現の一つの型(膨れ面、ふくれっ面(つら))としており、それは幼児性を帯びた不満の表現手段となっている場合が多い。
他の動物とは違って、ヒトの頬は体毛が無い(ごく薄い体毛しか無い)ため、感情や体調が表面化しやすい部位、あるいは、感情や体調を表すにきわめて有効な部位となっている。頬を赤らめること(あるいは解釈によっては、赤くなってしまうこと、もしくは、結果的に赤く充血する働きがあること)は感情の発露として機能し、他者との意思疎通に大きく影響している。相手の愛情や性的欲望、ときに怒りや悲しみといった激しい感情の応酬につながる場合もあれば、赤面症や赤面恐怖症があるように対人関係を阻害する場合もある。
ヒトの頬は外気に直接触れる部位であるから、寒気に晒されて霜焼けになることがある。とりわけ子供ではそのような症状が多く見られ、暖房設備が整っていない社会環境下では顕著である。
頬の言語学
日本語
方言として、「ほっぺた」系統は東日本、「ほーべた(ら)」系統は西日本に多く見られる用例であった。「ほっぺた」のほうが新しく、江戸時代において江戸を中心に用いられ始めたと推定されている。また、稀な用例としては「びんた」がある。[3]
古語で「頬」をあたるのは「つら」であり[3]、「つらの皮が厚い」「つら汚し」「横っつら」「つらを貸せ」などのかたちで現代にも引き継がれている。
頬の関連語
- 頬杖(ほおづえ) :腕を杖に代えて頬の部分で頭を支えること。
- 頬張る :頬が大きく膨らむほどに口内に物を詰め込む。
- 頬が落ちる、頬が蕩(とろ)ける :食物の美味しさで至福の状態にあることを、頬の肉が蕩け落ちることに譬える。
- 頬が扱(こ)ける :痩せて頬肉が減じる。
- ビンタ :頬を平手打ちすることを言う。
- 歌詞の「頬」:「頬」のところを「ほお」と言わずに「ほほ」と言うのが多い[要出典]。
日本語以外
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ウィクショナリーにen:cheekの項目があります。 |
化粧、装飾、キャラクター性、ほか
- 赤く丸い頬 :ペコちゃんやアンパンマンがそうであるように、現代的なマスコットキャラクターや子供用アニメキャラクターなどには血色の良い健康的な頬を強調するものが多い。また、そのような特徴は幼児性を描写するにあたって典型的表現の一つともなっている。
- 頬に描かれる渦巻き模様 :頬に渦巻き模様などが描かれること(例:天才バカボン)は、漫画文化の影響下では「馬鹿」や「間抜け」を意味する記号的表現である。ただし、世界には凝った化粧を顔面に施す文化を持つ民族も存在し、格好がよいなど肯定的意味のある記号として渦巻き模様やそれに近い模様が用いられる場合もある。
- 頬紅 :頬に施される化粧の代表的一種。
- おかめ :女性の健康的な頬を福々しく強調した造形に由来する、日本の民俗。その文化的源流は古く、アメノウズメ信仰とのつながりを指摘される。
- 道化師(クラウン、ピエロ)
- 頬に行うピアッシング
- チーク(en) :頬に行うピアッシング。ファッションとしてのピアッシングだけでなく、インドなどでは古来、宗教儀式の一環として顔面にピアッシングを行うことがあり、そのような場合、頬へのピアッシングは通常的である。
- アンチ・アイブロウ :眼の下辺りの頬に行うピアッシング。
- 頬被り(ほおかぶり、ほおかむり) :「ほっかぶり」「ほっかむり」とも称。防寒や顔を隠すことを目的として頬を覆う布。頭巾、覆面、など。
- 面頬 :武士の鎧の一部位で、頬を覆って守る機能を持つ防具。
「頬」の字を名に持つ生物
- ホホジロザメ(頬白鮫) :ネズミザメ科のサメ。
- ホオジロ(頬白) :スズメ目- ホオジロ科の鳥。成鳥の顔は喉・頬・眉斑が白く目立ち、これが「頬白」の名の由来となっている。
- ホオズキ :ナス目 - ナス科の双子葉植物。果実を鳴らして遊ぶ子供の頬の様子から「頬突き」と呼ばれるようになったとの語源説がある。
その他の関連事象
- 頬肉 :頬を形成している肉の部分。日常生活の中では食肉としての頬の肉を指すことが多いが、日本語でこのように言った場合、実際に頬を有する動物だけでなく、顔を持つ動物の口周りの肉をも範疇に入れることがある。
脚注・出典
- ^ キノドン類や初期哺乳形類など、かなりの進化を遂げた単弓類。
- ^ ワニに特有の捕食行動で、獲物に噛み付いたまま激しく体を回転させる。
- ^ a b c 佐藤亮一 『方言の地図』 小学館、1991年、56頁。
- ^ ただし、有袋類の育児嚢も同じ綴り。
関連項目
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ウィキメディア・コモンズには、頬に関連するカテゴリがあります。 |
- 咀嚼 - 頬 - 舌
- 動物解剖学
- 解剖学 - 頬骨 / 頬筋 / 咀嚼筋 / 口筋
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