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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」
組成
製法の概要
- 本剤は、弱毒生水痘ウイルス(岡株)をヒト二倍体細胞(MRC-5)で培養増殖させ、得たウイルス浮遊液を精製し、安定剤を加え充填した後、凍結乾燥したものである。
- なお、本剤は製造工程でウシの血液由来成分(血清)及びブタの膵臓由来成分(トリプシン)を使用している。
組成
- 本剤を添付の溶剤(日本薬局方注射用水)0.7mLで溶解した時、液剤0.5mL中に次の成分を含有する。
有効成分
緩衝剤
- 塩化ナトリウム 1.14mg
- 塩化カリウム 0.03mg
- りん酸二水素カリウム 0.29mg
- リン酸水素ナトリウム水和物 3.14mg
安定剤
- 精製白糖 25.0mg
- L-グルタミン酸ナトリウム 0.36mg
抗菌剤
- カナマイシン硫酸塩 7μg(力価)以下
- エリスロマイシンラクトビオン酸塩 2μg(力価)以下
- エリスロマイシンラクトビオン酸塩:ウシの乳由来成分。
- 抗菌剤は細胞培養に用いるBME培地中に含有する。
禁忌
(予防接種を受けることが適当でない者)
- 被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合には、接種を行ってはならない。
- 明らかな発熱を呈している者
- 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
- 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者
- 妊娠していることが明らかな者
- 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者
効能または効果
- 本剤は、水痘の予防に使用する。
- 本剤を添付の溶剤(日本薬局方注射用水)0.7mLで溶解し、通常、その0.5mLを1回皮下に注射する。
接種対象者
- 接種の対象となるのは、生後12月以上の水痘既往歴のない者及び下記(1)〜(6)に該当するものである。
- なお、接種時に下記(1)〜(6)に該当していても、接種後2週間以内に治療等により末梢血リンパ球数の減少あるいは免疫機能の低下が予想される場合は、接種を避けること。〔播種性の症状を呈するなどワクチンウイルスの感染を増強させる可能性がある。〕
- 水痘の罹患が特に危険と考えられるハイリスク患者(急性白血病などの悪性腫瘍患者及び治療により免疫機能に障害をきたしている者及びそのおそれのある者)
- 急性リンパ性白血病患者の場合には、I)完全寛解後少なくとも3カ月以上経過していること。II)リンパ球数が500/mm3以上であること。III)原則として遅延型皮膚過敏反応テストすなわち精製ツベルクリン(PPD)、ジニトロクロロベンゼン(DNCB)又はフィトヘモアグルチニン(PHA、5μg/0.1mL)による反応が陽性に出ること。IV)維持化学療法としての6-メルカプトプリン投与以外の薬剤は、接種前少なくとも1週間は中止し、接種後1週間を経て再開すること。V)白血病の強化療法、あるいは広範な放射線治療などの免疫抑制作用の強い治療を受けている場合には、接種を避けること。
- 悪性固形腫瘍患者の場合には、摘出手術又は化学療法によって腫瘍の増殖が抑制されている状態にある症例に接種する。その場合の条件は白血病に準ずる。
- 急性骨髄性白血病、T細胞白血病、悪性リンパ腫の場合には、原疾病及び治療薬によって一般に続発性免疫不全状態にあり臨床反応が出やすく抗体価の上昇も悪いので、本剤の接種は推奨されない。
- ネフローゼ、重症気管支喘息などでACTH、コルチコステロイドなどが使用されている場合は、原則として症状が安定している症例が接種対象となる。薬剤などによる続発性免疫不全が疑われる場合には、細胞免疫能遅延型皮膚過敏反応テスト等で確かめた後に接種を行う。
- 緊急時(例えば感受性白血病児が水痘患者と密に接触した場合等)で、帯状ヘルペス免疫グロブリンが利用できない場合には、上記(1)、(2)に該当しなくても、接触後72時間以内に接種を行うこと。ただし、このような場合においても、免疫機能が特に障害を受けていると思われる場合(例えばリンパ球数500/mm3以下)は接種を避けること。
- 〔過去の成績では本剤の副反応の程度に比較して自然水痘に罹患した場合の症状がより重篤で危険性が高いものと判断できる。〕
- 上記(1)〜(3)のハイリスク患者の水痘感染の危険性を更に減じるために予防接種を受けたハイリスク患者と密に接触する感受性者も接種対象となる。これにはハイリスク患者の両親、兄弟などの同居者及び各患者の医療に関係する者が該当する。
- 成人では水痘が重症になる危険性が高いので、水痘に感受性のある成人、特に医療関係者、医学生、水痘ウイルスに対する免疫能が低下した高齢者1)及び妊娠時の水痘罹患防止のため成人女子は接種対象となる。
- 本剤は病院の病棟若しくは学校の寮など閉鎖共同体における感受性対象者の予防または蔓延の終結ないしは防止に使用できる。
不活化ワクチン製剤との接種間隔
- 不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、6日以上間隔を置いて本剤を接種すること。
輸血及びガンマグロブリン製剤投与との関係(「相互作用」の項参照)
他の生ワクチン製剤接種との関係(「相互作用」の項参照)
重大な副作用
- アナフィラキシー様症状:まれにアナフィラキシー様症状(蕁麻疹、呼吸困難、口唇浮腫、喉頭浮腫等)があらわれることがあるので、接種後は観察を十分に行うこと。
- 急性血小板減少性紫斑病:まれに(100万人接種あたり1人程度)急性血小板減少性紫斑病があらわれることがある。通常、接種後数日から3週ごろに紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等があらわれる。本症が疑われる場合には、血液検査等の観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 水痘ウイルスは、飛沫感染により眼球結膜、上気道又はこの両部位に初感染し、局所リンパ節で増殖して第一次ウイルス血症を起こし、全身臓器に運ばれる。各臓器で再増殖の後、第二次ウイルス血症を経て発症すると考えられている。皮膚細胞で増殖した水痘ウイルスは水疱を形成するが、そのウイルスは知覚神経を上行性に伝わって三叉神経節や脊髄後根神経節の細胞に感染し、そこに長期間潜在すると考えられている11)。
- 予め水痘ワクチンが接種されていると、液性及び細胞性免疫が獲得され、ウイルスの増殖は阻害されて、水痘の発症は防御される。また、この免疫は長期間にわたり持続するものと推定されている12)。
- しかし、加齢等により水痘ウイルスに対する免疫、特に細胞性免疫が低下した場合、神経節に潜在したウイルスが再活性化し、逆行性・遠心性に知覚神経を伝わって帯状疱疹を発症することがある。この皮膚病変は、末梢神経に沿って帯状に形成された疼痛をともなう小水疱群としてみられる11)。
- 本剤を接種すると、水痘ウイルスに対する免疫、特に細胞性免疫が増強されることが認められている1)。
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