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- solar radiation、insolation
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- incident solar radiation
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- 日光にさらすこと,日光浴 / 日謝病
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/11/01 18:26:42」(JST)
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宇宙から撮影した可視光部分の太陽放射(PD NASA)
太陽放射(たいようほうしゃ)とは、太陽が出す放射エネルギーのこと。日射とも呼ばれる。特に電磁波の放射を指すことが多い。太陽放射のスペクトルから、太陽の黒体放射温度は約5800 Kと見積もられる。太陽放射の約半分は電磁スペクトルでいう可視光線であり、残り半分は赤外線や紫外線が占める[1]。光とも呼ばれるこれら3つの電磁波が太陽放射の大部分を占めるため、太陽放射により放出される電磁波のことを太陽光とも言う。
太陽放射は主に、日射計や日照計で観測・測定される。
目次
- 1 太陽放射のメカニズム
- 2 太陽定数
- 3 太陽放射と地球の気候
- 4 脚注
- 5 関連項目
太陽放射のメカニズム
太陽から電磁波が放射される仕組みは以下のとおりである。
- 太陽中心部で水素の核融合がおこり、ガンマ線が発生する。
- 太陽中心部では1500万Kという高温のために電子や陽子が固定されずに飛び交っており、これらがガンマ線の直進を阻害するため外に放射されない。
- 直進を阻害されたガンマ線は近くのガスに吸収されてエックス線として放出されるが、エックス線も電子や陽子に直進を阻害される。
- 再びガスに吸収され放出される事を繰り返し、だんだんと波長が長い電磁波に変わっていく。紫外線や、それより波長が長い可視光線、赤外線に変わると、外側部(光球)に到達できるようになり太陽光として放たれる。
太陽放射の組成
地表面と地球大気表面における太陽放射スペクトルの比較
太陽放射のうち、ほぼ全てを光が占めるが、そのほかの放射も微量ある。前述のとおり、核融合によって発生したガンマ線・エックス線はほとんどが外に放射されず波長が伸びていくが、ごく微量は外側部に到達し、放射されている。また、核融合や太陽フレアなどによって粒子や粒子線も発生し、放射されている。 ただし、地表に到達する太陽放射は、大気の成分による吸収により組成が少し変わり、紫外線が減少するなどする。
- 太陽からの放出時における太陽放射の組成
- ガンマ線 - ごく微量
- エックス線 - ごく微量
- 紫外線(~0.4μm) - 約7%
- 可視光線(0.4μm~0.7μm) - 約47%
- 赤外線(0.7μm~100μm) - 約46%
- 電波(100μm~) - ごく微量
- ニュートリノ - 核融合によって発生するニュートリノは、電子や陽子などに直進を阻害されないため、ほぼ全て外に放射されており、地球にも到達している。
このほか、アルファ線、ベータ線、電子、ヘリウム原子核、陽子などが太陽フレアなどによって発生する。
太陽定数
詳細は「太陽定数」を参照
太陽定数とは、地球の大気表面に垂直に入射する単位面積当たりの太陽放射の量である。これは可視光線だけではなく、あらゆる波長の電磁波を全て含めた値である。人工衛星の測定によれば、太陽定数は1平方メートルあたり約1366Wである[1] 。この値は、数年~数十年の長期的な周期で多少変動しているほか、約27日周期の太陽黒点の活動によっても変化する。この変化は0.1%程度であり、地球の平均気温に与える影響は0.1~0.2℃程度である[2]。
太陽から見た地球の角直径は1/11,000ラジアンなので、立体角は1/154,000,000ステラジアンとなる。このことから、太陽が放出しているエネルギーの総量は約3.37 × 1026Wと見積もることができる[3] 。
太陽放射と地球の気候
「日照」も参照
太陽が地平線よりも上にあるとき(日中)、太陽放射は日照や日射として地表に届く。太陽放射のほとんどは太陽から直接地球に降り注ぐため、太陽高度が地表に届く太陽放射の量を左右する。そのため、時間、季節、緯度によってその量は異なる。また、雲やエアロゾル、大気の成分などは、太陽放射を反射・吸収するほか、散乱によっても量が変わる。このうち残った太陽放射が地表面や地表面にある物体、生物などに降り注ぐことになる。地表への太陽放射は気温を上昇させるが、最高気温が正午を過ぎた午後を中心に観測されるなど、気温の変動は太陽放射以外のさまざまな要因によっても左右される。
地球へ届く太陽放射の量は、太陽と地球との距離の二乗に反比例し、この距離が遠くなるほど太陽放射の量は少なくなる。地球の軌道は楕円なので, 太陽と地球の距離は1年間の間でも変化する(近点・遠点)。また, 地球の軌道や赤道傾斜角は時間とともに少しずつ変化しており、変化の幅は軌道においては5%程度、赤道傾斜角においては2.4度程度ある。これらの変化に伴い、数万年から数百万年の複雑な周期で地球への太陽放射も440W/m2~540W/m2(北緯65度における値)と大きく変化している(ミランコビッチ・サイクル参照)。
地球に届いた太陽放射のうち、約65%が熱となり、地球の気候に大きな影響を及ぼしている(地球のエネルギー収支参照)。
脚注
- ^ “Construction of a Composite Total Solar Irradiance (TSI) Time Series from 1978 to present”. 2005年10月5日閲覧。
- ^ Solar Variability: Striking a Balance with Climate Change, NASA,05.07.2008
- ^ “太陽 って どんな星?”. 2007年4月9日閲覧。
関連項目
- 太陽光 - 太陽放射を視覚的に捉えた表現。特に太陽から出る光(紫外線・可視光線・赤外線)のことを指す。
- 太陽熱 - 太陽放射によって発生する熱
- 太陽ニュートリノ問題 - 太陽から放出されるニュートリノの観測値に関する問題
- 太陽変動 - 太陽活動の周期的変化
- 太陽風 - 太陽から放出される粒子
- コロナ質量放出 - 太陽から電子・陽子が大量に放出される現象
- オーロラ - 太陽から放出される電子が地球の大気に入って起こる現象
- 太陽フレア - 太陽の表面で起こる爆発
- 太陽陽子現象 - 太陽から放出される陽子が地球の大気に入って起こる現象
- 日射計 - 太陽放射を観測する計器
- フラウンホーファー線 - 太陽放射の中の、可視光スペクトル中に存在する暗線のこと
外部リンク
- 「Solar radiation」 - Encyclopedia of Earthにある「太陽放射」についての項目(英語)。
- Total solar irradiance data archive 1978-2007 国立地球物理学データセンターのウェブサイト (英語)
- A Comparison of Methods for Providing Solar Radiation Data to Crop Models and Decision Support Systems, Rivington et al. (英語)
- Evaluation of three model estimations of solar radiation at 24 UK stations, Rivington et al. (英語)
- High resolution spectrum of solar radiation パリ天文台のウェブサイト (英語)
- Solar Position Calculator 太陽の位置などを計算 (英語)
- Measuring Solar Radiation National Science Digital Libraryのレッスン内容 (英語)
- Websurf astronomical information 太陽、月の位置や高度などを計算 (英語)
- Daylength 日照時間を計算 (英語)
- An Excel workbook 太陽の位置と太陽放射量を計算。 (英語) Greg Pelletierによる。
- DOE information 太陽スペクトルの観測や測定について
- ASTM Standard アメリカ合衆国各地の太陽スペクトル
- Solar radiation basics University of Oregon Solar Radiation Monitoring Laboratory, Last revised: March 16, 2002
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- 水稲の収量・品質予測手法としてのサポートベクターマシーンの評価
- 髙城 大地,猿田 恵輔,平井 康丸,井上 英二,岡安 崇史,光岡 宗司,Takajyo Daichi,Saruta Keisuke,Hirai Yasumaru,Inoue Eiji,Okayasu Takashi,Mitsuoka Muneshi
- 九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 67(2), 47-52, 2012-09-20
- … 今回作成したモデルは, 出穂期以降の稲体の状態量(窒素栄養, 収量キャパシティ)および頴花分化終期(出穂14日前)以降の気象環境(気温, 日射)の7変数から収量およびタンパクのパターンを予測するものである. …
- NAID 120004710903
- 建物開口部位の温熱実験とシミュレーション : 光学特性,放射率の違いによる室温への影響検証
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- 「年間時別日射量データベース(METPV-11)」「年間月別日射量データベース(MONSOLA-11)」「全国日射量マップ」のアプリケーションをリニューアルして公開いたします。WEBからのアクセスによる利用と、従来通りのダウンロードに ...
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- 日光による熱、紫外線、疲労、睡眠不足、筋への血流増加による循環血欠乏
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- 体温38℃以下にとどまる軽症例に用いられる用語である。