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リンク元 | 「観念奔逸」 |
百聞は一見にしかずなので,具体例を挙げましょう。 ただし,わざわざ皆さんの脳裏に染み込むように作った架空の症例です。 [観念奔逸の具体例] 「今の横浜ベイスターズは,昔は大洋ホエールズという名前だったんですよ。あの時代には,左門盗作というすごいバッターがいて,王や長島の技術をみんな盗んで,あっという間に盗塁王になっちゃったんですよ。私は彼の盗塁を見る度に,倒錯状態に陥りましたね。盗作というのも変な名前ですが,彼は熊本県の貧しい農家の生まれで,親は豊作を願って,最初に左門豊作という名前をつけたのですが,小作人のくせに生意気だと地主に言われ、無理やり盗作という名前をつけられたんです。何だって? それじゃ「夜鷹の星」と同じだって? とんでもない。もともと私の作った小説を宮沢賢治が盗作したんですよ。実にけしからん話で,私は花巻市長に訴えたんです。そしたら,市長はイーハトーブ村なんてものを作ったんですよ。これもけしからん話で,まるで東武鉄道の回し者ですよ。私が市長だったら,東武鉄道じゃなくて,銀河鉄道でも誘致しますね。そして,駅前で注文の多い料理店を開いて,ゴーシュにセロを弾かせますよ。先生も隣で,銀河クリニックでもやりませんか。私は大金持ちだから,資金ならいくらでも出しますよ。そうだ。銀河じゃなくて,金河クリニックにしましょう。そして,関節リウマチの患者を集めて,どんどん金を投与しましょう。のべ棒ごと与えれば,きっと即効性ですよ。だいたいけちけちして錠剤なんかにするから,効果がなかなか出てこないんです。あの治療法も私が足の裏を見て発明したんですけど,ノーベルに嫌われたもんで,受賞しそこねたんだよね。それが,いつの間にか盗作されて,STEP内科にまで載ってるんだから,怒りたくもなるよね。こういうやつらはみんな月に代わっておしおきしてもらわなくちゃね。そのためにも銀河鉄道が必要だよね。何たって,最初の停車駅は月なんだから。」 引用元:STEP精神科 第2版/海馬書房
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