出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/22 16:43:02」(JST)
心理学 |
---|
|
基礎心理学 |
|
応用心理学 |
|
一覧 |
|
|
プロジェクト 心理学 |
心理学(しんりがく、ラテン語: psychologia プシューコロギア、英語: psychology サイコロジー)とは、人の心のはたらき、あるいは人や動物の行動を研究する学問のことである。ギリシャ文字のΨ(英:PSI)が心理学のシンボルとして、しばしば用いられる。 また心理学は“心の科学”と言われ、占いとは別である。したがって、心理学を学んでも相手の心のことはわからない。
一般に心と呼ばれるもの(古代ギリシアでψυχή プシュケーと呼ばれたもの)の様々な働きである心的過程と、それに基づく行動を探求する学問である。現在[いつ?]の心理学は、環境と生活体(人を含む動物)の相互作用としての認知と行動を研究する学問である。
科学的経験主義の立場から観察・実験・調査等の方法によって一般法則の探求を推し進める基礎心理学と、基礎心理学の知見を活かして現実生活上の問題の解決や改善に寄与することを目指す応用心理学に大別される。
また別の角度からの分類では、現在[いつ?]の心理学は、実験心理学(人間をあくまで対象と見なし、観察・実験によって知識の探求を推し進めようとするもの)、臨床心理学(精神に不調を来した人々の理解、および彼らにとって実際に役立つ援助を行おうとするもの)の2種に大別することも可能である。
例えば、心を脳で行われている情報処理と解釈しそれに関する知識の集積を目指す認知心理学や行動分析は実験心理学に含まれ、一方、人間ひとりひとりを異なった独自の存在と見なし、主体性・創造性・自己実現といった人間の肯定的側面を強調しつつ具体的・臨床的な援助を提供する人間性心理学は、臨床心理学の中に含まれる代表的な立場である。
その研究領域は広範囲に及ぶため、隣接する他の学問との相互連携が多様な形で行なわれてきた(学際)。例えば、心理学では仮説の域を超えられなかったものが、脳科学の知見によってその妥当性が検証できるのではないかという期待がある。また、ヒューマンエラーについての知見が、人間工学分野で取り入れられたりするなどの試みがある。プロスペクト理論などの行動経済学も盛んに研究されている。こうした動きは今後も加速すると思われる[1]。
現在[いつ?]、心理学と呼ばれる、あるいは関連するとみなされる学問分野が、多岐にわたる分野で独立に、ないし相互に影響しあって「心理学」と呼びうる共通のドグマを志向している。これらの学問分野はいずれも認知、行動、知能、感情などを扱っているが、それぞれ独立に機能しているのではなく「心」を構成する要素として不可分であり、これらの一部を研究対象とする学問は心理学の範疇に含まれるとみなされることが多い[2]。
心の研究の歴史について解説する時、アリストテレスの『Περὶ Ψυχῆς ペリ・プシュケース』が最初期の研究のひとつとして引き合いに出されることがある。
1912年刊の『心理學概論』(大槻快尊・述 1912)では、古くはタレスの哲学でも心について付言されているが、心理学の開祖と呼べる哲学者は「心は脳髄にあり」と述べたアリストテレスである。哲学から心理学へ独立した学問へと小径を開いたのはルネ・デカルトである。そして、心理学という全く別の科学的な学問を成立させたのはジョン・ロックであると云ってよい、とした[3]。
大槻快尊はジョン・ロックだとしたわけである。ただし「心理学を1つの独立した科学分野として創成したのは、ドイツのヴィルヘルム・ヴントで、19世紀後半のこと(一般的には1879年とされる)」としばしば解説されている。
この心理学は、感覚や知覚など比較的「低次」な機能を扱う知覚心理学と、記憶や言語など比較的「高次」と言われる機能を扱う認知心理学に大別される。
脳を損傷すると精神機能に異変が生じる事から、「脳が感情や思考などの精神現象を生み出す中枢である、とみなし、脳を構成する神経系を調べることで精神現象を解明できる可能性がある」との発想が生まれた。これは、古くはデカルトが心身合一の問題として言及しているが、実験的に調べられるようになったのは19世紀以降である。
19世紀のポール・ピエール・ブローカやカール・ウェルニッケらの失語症と脳損傷の関係調査により、ブローカ野やウェルニッケ野などの言語中枢とされる脳部位 (言語野) が推定された。この研究により、言語を扱う精神機能が脳という生理学的土台によって生じることが明らかにされた。脳損傷と精神機能失調との関係調査は20世紀初頭の第一次世界大戦以降、戦争で脳を損傷した患者の治療の過程で大きく進んだ。1960年代からは、CTにより脳血管障害患者の脳を非侵襲的に調べられるようになり、さらに進展した。
イワン・パブロフは1902年に唾液腺の研究過程で俗にパブロフの犬とよばれる条件反射を発見した。この研究を嚆矢として、正常な動物における生理的現象と精神現象の関係が論じられるようになった。この分野はパブロフの犬のような巨視的なものから薬物投与、神経細胞の分子生物学的解析など様々なものがあるが、全体的には神経細胞の振る舞いを調べるものが多い。
1960-70年代にかけて急速に進展した視覚伝導路の神経細胞の特性研究は知覚心理学に重大な影響を与えた。両者は視覚刺激を提示し反応を測定するという共通の手法を持ち、測定対象が神経細胞という微視的なものか、ヒトなどの動物全体という巨視的なものか、という点で違うと見ることもできる。 また海馬の神経細胞で発見された長期増強などのシナプス可塑性は、記憶の生理的基盤であると期待され、認知心理学に少なからぬ影響を与えた。
1980年代以降、神経活動を観測する脳機能イメージングの手法が発展するにつれて、脳機能局在論による神経機構の解明が試みられており、少なからず成功を収めている。その一方、こうした研究は現代的骨相学に陥る危険もはらんでおり、それを克服する試みとして計算論的神経科学などとの協力がある。神経機構の数理的解析は情報工学に影響を与えてもいる。
医学の分野において、精神疾患患者の治療という応用的な要請から、疾患の原因となる精神の構造の解明を試みる精神病理学が起こった。
米国ではベトナム帰還兵の中に精神疾患となる人が多数出て社会問題となった。特に快楽殺人などセンセーショナルな事件が起こったため、広義の精神疾患が広く社会に認知されるとともに、「PTSD」などの概念が確立し、研究が急速に発展した。
1970年代より精神疾患に対する薬物療法の研究が進み、統合失調症・双極性障害に著効を顕した。これは神経細胞における受容体を介したシグナル伝達研究と並列に進展し、てんかん治療での外科的病巣切除とあわせて精神病理学を生理学と結びつける土台が作られた。
高齢化が現実の問題となった1980年代から1990年代以降、認知症に関する研究も数が多くなった。この分野でも神経の可塑性減少や細胞死など生理学的知見と密接に対応をつけた上で研究が進んでいる。
精神分析学はジークムント・フロイトによって創始された。人間心理や深層心理や無意識と治療技法の体系を指す。広義にはフロイト以降の分派を含めた理論体系全体を指す。 広義の精神分析学は深層心理学の分野の範囲との共通性がある。
ヒト以外の動物の行動の研究である動物行動学は、実験心理学と手法の一部や生理学に対する関係を共有して発展してきた。特に(ヒトの)心理学(と動物の行動学)との対比において、「比較行動学」という訳語が当てられることもある。
狭義の動物行動学である、野外で野生の状態を観察する生態学については、心理学とは直接の関係を持たず、ヒトの機能の進化の過程における生態学的妥当性の検討、あるいは社会的行動の人間との対比において関連づけられる。
広義の動物行動学である、研究室内でラットやチンパンジーなどを用いる研究は心理学と密接な関係を持ち、多くの手法を共有する。こうした研究手法は他分野にも輸出され、医学などでも用いられるようになった。この分野はパブロフの条件反射研究に強く影響され発展してきたもので、動物の研究では古典的条件づけやオペラント条件づけの研究に発展し、ヒトを対象とした実験心理学でも内観法を徹底的に排除するなどの影響を与え、行動主義心理学と呼ばれる一派が成立した。ただしこのアプローチは極端であるとして、行動を重視する点では同様でもより生体の内部状態にも注目する新行動主義も出現した。現在の実験心理学の手法は基本的にこの影響下にあるものが多い。
ノーム・チョムスキーは経験主義や極端な行動主義を批判し、人間が言語を獲得できるのはそれに専門化された生得的な器官(言語獲得装置)を脳の中に持っているためだと主張した。チョムスキーに始まるこの議論は現在でも継続中であり、言語獲得と概念獲得は発達心理学の中心的なトピックである。
言語や思考の能力及びその成長発展を評価する必要から、現在の心理学の領域へと踏み込んだ。
近年は[いつ?]、学童の精神保健に関する領域においても教育心理学の立場から扱われるが、前述の思考能力に関するものとは元々の系統が異なっていることに留意が必要である。
教育現場では、心理学を使ったコーチングを導入している学校もある。
脳を一種のコンピュータとみなし、精神を脳の機能として情報工学的に解析するという立場が現れた。認知心理学では、この立場をとる。
[ヘルプ] |
出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明示してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2012年8月) |
ウィキブックスに心理学関連の解説書・教科書があります。 |
|
|
この項目は、心理学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(PJ 心理学)。 |
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
リンク元 | 「心理学」「心理的」「心理学的」「精神的」「mentality」 |
拡張検索 | 「心理的適応」「心理的順応」「集団心理療法」 |
.