- 英
- breast fibroadenosis、fibroadenoma of breast
- 同
- 乳腺線維腺腫症、線維腺腫
- 乳腺良性腫瘍の中で最も高頻度。思春期から30歳前半に好発。多くは単発(多発もありうる)の腫瘤を形成する。乳房のしこりが主訴となることが多い。
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/18 21:06:52」(JST)
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乳腺線維腺腫 (にゅうせんせんいせんしゅ、英: Fibroadenoma)は、性成熟期の女性の乳房に発生する良性乳腺腫瘍である(ICD10コード:D24 乳房の良性新生物 ICD-Oコード:9010/0)。自己触診で乳腺の弾力のあるしこり(英: lump)として触れることができる。乳がん検診でもマンモグラフィーで境界明瞭な類円形透亮像または粗石灰化を伴う腫瘤として検出されることが多い。線維腺腫から癌が発生することはほとんどない。画像診断で癌との鑑別が困難な例では,穿刺吸引細胞診や針生検による病理検査の対象となる。大多数は未治療のまま経過し閉経期を過ぎると自然退縮することが多い。
目次
- 1 疫学
- 2 症状
- 3 病理組織学的特徴
- 4 腫瘍発生論
- 5 鑑別疾患リスト
- 6 参考文献
- 7 外部リンク
疫学
良性病変であり正確な有病率は把握できないが、良性乳腺疾患の中では乳腺症と並んで最も頻度の高い疾患である。一般的に触知可能な腫瘤は20-30歳代に多く、マンモグラフィーで偶然発見される非触知腫瘤は40歳代から閉経期以後に多い。
症状
弾性に富み可動性良好な乳腺腫瘤として触知される。両側乳腺に複数の腫瘤が同時または異時性に発生することもある。長径2cm内外の腫瘤がほとんどだが,若年者では長径5cmを超える大型の線維腺腫(英: Giant fibroadenoma)も認められる。妊娠や授乳期には腫瘤の増大が認められる。閉経期前後では自然退縮し長径1cm前後の円形ないしポップコーン形の石灰化腫瘤としてマンモグラフィーで検出される。
病理組織学的特徴
周囲の乳腺組織との境界明瞭な円形ないし分葉状の病変を形成する。紡錘系から星芒形の間質細胞(fibroblastic stroma cell)の増殖が主体で、不規則に分岐した終末乳管や腺葉が島状に分布するパターンを示す。間質細胞には稀に大型多形細胞が出現する。乳管上皮は筋上皮細胞との二相性が明瞭である。月経周期に応じて乳管上皮の機能形態が修飾されるので、臨床医には月経周期の記載を求めるのが望ましい。
組織像の多様性に基づいて、管内性・管外性・乳腺症性の3亜型に分類する場合がある。特に乳腺症性線維腺腫は穿刺吸引細胞診で複雑な細胞組成を示す例が多く、癌との鑑別困難な例もある。
腫瘍発生論
乳腺線維腺腫のような上皮と間質細胞の両方が同調性に増殖する疾患では、どの細胞成分が腫瘍性増殖(クローン性増殖)の主体であるかが問われる。遺伝子再構成などの結果では間質細胞が単クローン性、乳管上皮成分は多クローン性という研究結果が報告されている。今後の研究動向に注目する必要がある。
鑑別疾患リスト
- 乳腺症
- 葉状腫瘍
- 乳管内乳頭腫
- 乳頭下腺腫
- 乳腺線維症
- 肉芽腫性小葉乳腺炎
- 乳癌
参考文献
- Cotran RS, Kumar VK, Collins T (ed.) Robbins’ Pathologic Basis of Disease. 6th ed, W.B.Saunders Co. ISBN 072167335X (1999)
外部リンク
- メルクマニュアル乳腺腫瘍
- [1]NCIの乳腺疾患啓蒙文書(PDFファイル、1.65MB)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 同一腫瘍内に線維腺腫の混在を認めた乳腺管状腺腫の1例
- 西野 豪志,田中 隆,片山 和久,高橋 裕兒
- 日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association 73(6), 1342-1347, 2012-06-25
- NAID 10030989222
- Mucocele-like tumor 様所見を伴った乳腺線維腺腫の1例
- P-206 若年性乳腺線維腺腫の11才女児例(ポスター 腫瘍4,Better Life for Sick Children, Better Future for Pediatric Surgery,第45回日本小児外科学会学術集会)
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- 乳腺線維腺腫の概要。若年の女性に最も多い乳腺腫瘤です。乳腺の分泌腺が増殖するタイプ(管内型)と乳腺周囲の間質が増殖するタイプ(管周囲型)、あるいは両者が混在しているものとがあります。近年の研究で、腫瘍ではなく ...
- 乳腺線維腺腫に関する情報を詳しく解説 ... 年齢的に若くて、しこりも小さいうちは治療の必要はありません。定期的な診察で、経過をみていきます。しかし、しこりが大きくなれば手術して切除します。
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★リンクテーブル★
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- 50歳の女性。右乳房のしこりを主訴に来院した。2年前から右乳房の2cm大の腫瘤に気付いていたが、あまり変化がないため医療機関を受診していなかった。4か月前から増大し痛みを伴ってきたため心配になり受診した。右乳房腫瘤は長径17cmで、弾性軟、胸壁への固定を認めない。皮膚には発赤や腫瘤の浸潤を認めない。腋窩リンパ節を触知しない。胸部CT(別冊No. 25)を別に示す。
- 最も可能性が高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113D057]←[国試_113]→[113D059]
[★]
- 22歳の女性。右乳房のしこりを主訴に来院した。右乳房に長径約2cmの卵形の腫瘤を触知する。腫瘤は表面平滑、弾性硬および可動性良好で圧痛を認めない。乳頭からの分泌物を認めない。乳房超音波像(別冊No.23)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107D047]←[国試_107]→[107D049]
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- 22歳の女性。右乳房のしこりを主訴に来院した。右乳房に長径約2cmの卵形の腫瘤を触知する。腫瘤は表面平滑で弾性硬、可動性は良好で圧痛を認めない。乳頭からの分泌物を認めない。乳房超音波像(別冊No. 8)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D021]←[国試_112]→[112D023]
[★]
- 49歳の女性。1週前からの右乳房乳頭からの分泌を主訴に来院した。右乳房に腫瘤は触知しないが、圧迫すると乳頭から血性の分泌液を認める。マンモグラムで異常を認めない。超音波検査で拡張した乳管像を認める。
[正答]
※国試ナビ4※ [103A045]←[国試_103]→[103A047]
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- 左乳頭直下の母指頭大の腫瘤を主訴とする患者で、腫瘤を指で圧迫したところ乳頭から分泌物を認めた。そのときの乳房の写真(別冊No. 8)を別に示す。
- 考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [110I032]←[国試_110]→[110I034]
[★]
- 43歳の女性。左乳頭からの血性分泌を主訴に来院した。左乳房に腫瘤は触知しない。圧乳房エックス線単純写真で腫瘤像と微細石灰化像とを認めない。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097A015]←[国試_097]→[097A017]
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- a. 20、30歳代に好発する。
- b. 多くは単発性である。
- c. 乳頭から血性分泌がみられる。
- d. えくぼ徴候がみられる。
- e. 圧痛を認める。
[正答]
※国試ナビ4※ [101F019]←[国試_101]→[101F021]
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[正答]
※国試ナビ4※ [098H019]←[国試_098]→[098H021]
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[正答]
※国試ナビ4※ [110D001]←[国試_110]→[110D003]
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[正答]
※国試ナビ4※ [100B023]←[国試_100]→[100B025]
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- 英
- fibroadenoma, FA
- 同
- 乳腺線維腺腫
- 関
- 乳房
特徴
- 乳腺内に発生し、上皮および間質線維性結合組織の両成分で構成される良性腫瘍(悪性化はきわめてまれで、悪性の場合は上皮成分のみ)
- 良性腫瘍であり、境界は明瞭であり可動性は保たれている。限局性充実性の腫瘤病変である。単発することも多発することもある。
- ホルモン依存性(エストロゲン)
疫学
- 20-40歳台に多い ⇔ 乳腺症(30歳~)、乳癌(40-60歳)
病理
症状
身体所見
検査
- マンモグラフィー:乳腺と等濃度であり、粗大な石灰化像を認めることがある。
- 超音波エコー:辺縁明瞭な腫瘤陰影で低エコーである。
治療
- 経過観察でよいが、急激に大きくなるものや既に大きい者は腫瘍核出術を行う。
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- 英
- mammmary gland (KH)
- ラ
- glandula mammaria
- 関
- 乳房
臨床関連
- 乳腺疾患
- 炎症性疾患
- 乳性乳腺炎
- 急性化膿性乳腺炎
- 慢性乳腺炎
- 乳腺脂肪壊死
- モンドール病
- 乳腺症
- 腫瘍性疾患
- 良性腫瘍
- 乳腺線維腺腫
- 乳管内乳頭腫
- 葉状腫瘍
- 悪性腫瘍
- 乳癌
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- 関
- がん、腫瘍、腫瘤、良性新生物
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- 英
- adenoma
- 同
- アデノーマ
- 関
- 腫瘍、癌腫 carcinoma