出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/09/12 21:39:24」(JST)
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ロゼット(英: rosette[1])は、地表に葉を平らに並べた植物の状態を現す言葉である。
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ロゼットという言葉は、元来はバラの花から由来する言葉で、八重咲きのバラの花びらのような配列を現す言葉である。したがって、やや細長くて多少とも平らな構造や器官が一か所に集まり、放射状や螺旋状に配列するもののことをロゼット、あるいはロゼット状と表現する。
その用途として、最もよく聞かれるのが植物の茎と葉のようすを表す植物用語である。茎がほとんど節間成長しないため、地上茎が無いか極端に短く、葉が放射状に地中から直接出ていること、あるいはそれに近い状態をいう。そのような葉を根出葉というが、つまり、ロゼットと言うのは、根出葉が円盤状に並んだような植物体を現す言葉である。個々の葉をロゼット葉とも言う。
オオバコ
セイヨウタンポポ
シロイヌナズナ
ロゼットからなる植物として、身近な植物では、オオバコやタンポポがそうである。これらの植物は終生ロゼット葉だけしか出さない。このような植物は背が高くなれないから、他の植物と背伸び競争をすれば簡単に負ける。つまり、薮になれば生存できない。このような植物が生活を続けられる場所は、背が高くなる植物が、少なくとも恒久的には生活できない場所である。
ロゼット型植物の成育できる環境として、最も身近なのは、人間の手による攪乱が頻繁に起きる場所である。したがって、そこに生えるのは雑草と呼ばれる草である。すなわち、まめに刈り入れが行なわれる場所、家畜によって背の高い草が齧られる場所、踏みつけによって背が高くなれない場所などである。オオバコの場合、踏みつけへの耐性の高さによって、そのような場所での生存が可能になっている。
このほか、背が高くならない植物群落には、ロゼット葉のみからなる植物の例が若干ある。
熱帯の高山帯では、大型ロゼット植物という、特殊な姿の植物が知られる。
また、森林内でも着生植物には似た姿になる例がある。熱帯多雨林に成育するオオタニワタリやアナナスであるが、これはむしろ、落ち葉や水をためるための適応のようである。
より多く見られるのは、冬季にのみロゼットの姿を取るものである。
温帯域では、前年の終わりに発芽し、冬を越して春から成長する、いわゆる越年草には、ロゼット葉をつける例が多い。冬の間は、寒さに耐えられるように地表に張り付き、しかも光を受けられるように広く葉を広げる。この形がロゼットである。このような種は、春になるとその中央から茎が伸びて、背が高くなり、花をつける。このとき、伸びた茎にも葉をつけるものが多い。この、伸びた茎につく葉を茎葉という。茎葉が発達すると、根出葉をなくしてしまうものが多いが、いつまでもそれをつけているものもある。ヒメジョオンとハルジオンの違いのひとつが、成長の後に根出葉をなくすかどうかである。
また、根出葉と茎葉が大きく形の違うものもある。そのようなものでは、外見上ではっきりと姿を変えるために、別の種に見えるものが少なくない。
日本で見られる代表的なものとしては、以下のようなものがある。
作物にみられる、ダイコンやキャベツなど、冬は根出葉のみで、春になると茎を延ばす(トウが立つ)のも、このような姿からの変形とみなしえる。
また、植物のモデル生物として解析の進められているシロイヌナズナもロゼット型植物である。
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