出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/02/03 21:32:26」(JST)
記事に即した画像を募集中
(2010年8月)
|
この項目では、植物について説明しています。その他の用法については「レモン (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
レモン | ||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レモン
|
||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||
Citrus limon (L.) Burm.f. |
||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
レモン | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
lemon |
100 gあたりの栄養価 | |
---|---|
エネルギー | 121 kJ (29 kcal) |
炭水化物
|
9.32 g
|
糖分 | 2.50 g |
食物繊維 | 2.8 g |
脂肪
|
0.30 g
|
タンパク質
|
1.10 g
|
ビタミン | |
チアミン (B1) |
(3%)
0.040 mg |
リボフラビン (B2) |
(2%)
0.020 mg |
ナイアシン (B3) |
(1%)
0.100 mg |
パントテン酸 (B5)
|
(4%)
0.190 mg |
ビタミンB6 |
(6%)
0.080 mg |
葉酸 (B9) |
(3%)
11 μg |
ビタミンC |
(64%)
53.0 mg |
ミネラル | |
カルシウム |
(3%)
26 mg |
鉄分 |
(5%)
0.60 mg |
マグネシウム |
(2%)
8 mg |
リン |
(2%)
16 mg |
カリウム |
(3%)
138 mg |
亜鉛 |
(1%)
0.06 mg |
|
|
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
レモン(檸檬、英語: lemon、学名: Citrus limon)は、ミカン科ミカン属の常緑低木、またはその果実のこと。柑橘類のひとつであり、なかでも主に酸味や香りを楽しむ、いわゆる香酸柑橘類に属する。
レモンの近縁種の一つ、シトロンの別名がクエン(枸櫞)で、クエン酸の名はこれに由来する。
原産地はインド北部(ヒマラヤ)。樹高は3mほどになる。枝には棘がある。葉には厚みがあり菱形、もしくは楕円形で縁は鋸歯状。紫色の蕾を付け、白ないしピンクで強い香りのする5花弁の花を咲かせる。果実は紡錘形(ラグビーボール形)で、先端に乳頭と呼ばれる突起がある。最初は緑色をしているが、熟すと黄色になり、ライムにもよく似ている。
ただし、レモンと名は付いていても他の柑橘類と交雑した品種(マイヤーレモンやサイパンレモンなど)では栽培環境で果実の形が変わり易く球形に近いものや、熟すとオレンジ色になるものもある。
レモンは柑橘類の中では四季咲き性の強い品種である。鉢植え・露地植えのいずれでも栽培が可能であるが、早期の収穫を目指す場合は鉢植えの方が早く開花結実する。栽培品種の増殖は主に接木・挿し木で行なわれる。
レモンの香りを有する植物の名前に、「レモン~」と付けられる事がある。
この項目はその主題が日本に置かれた記述になっており、世界的観点からの説明がされていない可能性があります。ノートでの議論と記事の発展への協力をお願いします。(2012年10月) |
日本での栽培地は主に、蜜柑などの柑橘類の栽培地と同じである。耐寒性は-2~-4度までだが、風の強い地域や霜の降りる地域では防寒対策が必要となる。トゲの多い品種ではかいよう病の原因となり易いので風の少ないところで栽培するか長いトゲを切ってしまう必要がある。潮風に強いため、海岸沿いでの栽培も可能となっている(広島県や愛媛県で生産量が多い。温州みかんの生産量が多い和歌山県でも栽培されている)。国内での生産量1位は、広島県であり、国内生産シェアの51%を有する。しかし、全国的には、あまり知られてないため、県では各企業とのコラボ商品開発等に力を入れている。瀬戸内・広島レモンとして、全国に出荷されている[1]。
1本で100個から150個ほどの果実が採れる。栽培される種類も比較的豊富である。栽培本数が少ないため、日本国産のほとんどは地産地消されている。日本国産は日本国外産のようにポストハーベスト農薬の心配がなく、特に無農薬物は日本国外産に比べて2倍から4倍の高値で取引される。
レモンは本来、気候や場所により短径が10cmを超える大きさに成長する大型の果実である。ただし、日本の場合、大半がレモンティーなど生食に用いられることもあり、ティーカップの大きさを超えるような大きさの果実は調整、選別されており、大型のレモンが流通することはあまりないが、日本国外では、ジュースなどの加工用途も多いことから、大きさが不揃いのまま出荷され、流通している。
順位 | 国 | 生産量 (トン) |
世界生産 に占める割合 |
---|---|---|---|
1 | 中国 | 2,318,833 | 16.70% |
2 | メキシコ | 2,147,740 | 15.46% |
3 | インド | 2,108,000 | 15.18% |
4 | アルゼンチン | 1,228,656 | 8.85% |
5 | ブラジル | 1,126,736 | 8.11% |
6 | アメリカ合衆国 | 834,610 | 6.01% |
7 | トルコ | 790,211 | 5.69% |
8 | スペイン | 773,620 | 5.57% |
9 | イラン | 560,052 | 4.03% |
10 | イタリア | 483,088 | 3.48% |
— | その他 | 1,516,348 | 10.92% |
— | 世界合計 | 13,887,894 | 100% |
ソース: 国際連合食糧農業機関[2] | |||
*注記: すべての数字はレモンとライムの両方を含む |
日本の主な輸入国はアメリカ合衆国であり、アメリカとチリの2国からの輸入が97%を占める[3]。果実として輸入されるほか、レモン汁という形での輸入もある。柑橘類であるためポストハーベスト農薬が問題視されている。
世界では、1位から順番に、中国、インド、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、アメリカ、トルコ、スペイン、イラン、イタリアとなっている。アジアの方でも栽培されている。(ライムも順位に含む)。レモンの世界生産は、1位の中国、2位のインド、3位のメキシコの上位3か国で世界生産の47.3%を占め、ほぼ世界生産の半分を占める形となっている。
レモンのもっとも重要な用途は、果汁を食用に利用することである。レモンは非常に酸味が強く、pHは2を示す。レモンを絞るには手で直接絞るほか、専用のレモン絞り(スクイザー)が用いられ、山型のほか末広型(扇型)やウグイス型などの種類がある。また、てこの原理を応用しハンドルを握って果汁を絞るレモンプレスが用いられることもある。果汁を絞ってジュースやレモネード、レモンスカッシュなどの清涼飲料水に加工したり、味に強みを持たせる目的で調理や製菓に使われる。果実のまま料理に添えて、食べる際に果汁を絞り、豚カツなどの揚げ物や生ガキにかけたりされる。近年の研究でレモン果汁中に豊富に含まれるフラボノイド、特にエリオシトリンが食後の脂質代謝に非常に有効にかかわることが明らかになっており[4]、油ものに添えることの意義がはっきりしてきた。
薄く輪切りにした果実は、紅茶の風味付けにしたり(レモンティー)、切り込みを入れてグラスの縁に差し、コーラなどの炭酸飲料やカクテルの飾りにされる(ただしコカ・コーラ社のコカコーラレモンは無果汁である)。
レモンは香りの強い果実のように思われがちだが、香りそのものは皮の部分に大きく依存しており、皮を充分に除去してから得た果汁は純粋な酸味料として利用できる。これを生かして、クワ酒やバナナ酒のように酸味を持たない果実を用いた果実酒の製造の際に、皮むきレモンの輪切りを添加して酸味を加える。神奈川県小田原市では、焼酎の水割りにレモンをカットしたものを入れる「水れもん」があり、水れもんバルが毎年開催されている[5]。
ビタミンCを含んでいる。飲料水や菓子、サプリメントなどでレモン何個分のビタミンC含有などと単位のように使われることがある。「レモン1個分のビタミンC」は20mgを基準とするよう1987年に農林水産省の「ビタミンC含有菓子の品質表示ガイドライン」によって定められたが、このガイドラインは2008年に廃止され現在では効力を持たない。ビタミンCを大量に含むことから、壊血病対策として船にレモンを積み込むことがかつては盛んに行われていた。
調味料として用いられることがある。広東料理の蛇スープでは定番の薬味となっている。
レモンの葉はやわらかいので虫がつきやすい。アゲハチョウなどの幼虫には、レモンの葉を食性とする種がある。
レモンには大量のクエン酸が含まれており、これを利用して水垢や汚れを落とすことができるため、家庭内で掃除に用いられることがある。また、リンゴなどの切り口が褐色に変色しやすいものにレモン汁をかければ、変色を抑えることができる。
酸性を示すことと、還元作用のあるビタミンCを多く含むことから美白、美顔用の材料にも用いられることがあるが、効果は不明である。むしろ、皮膚炎を起こすリスクもある。
レモンの皮にはd-リモネン (limonene) というテルペン系炭化水素が含まれており、レモンの香りの重要な成分となっている。レモン以外にも、温州みかんやオレンジなど他の柑橘類の皮からもとることができ、香料や天然物由来の溶剤として利用されている。具体的には、油汚れを落とすための洗浄剤や、ガム剥がし用の溶剤の成分として使用されるほか、発泡スチロールをよく溶かすため、発泡スチロールのリサイクルに利用される。
果皮を低温圧搾、または水蒸気蒸留することで精油を抽出する。抽出法によって成分組成は異なる[6]。低温圧搾法で得られる精油の香りは、非常に短時間しか持続しない。精油は、芳香アンモニアスピリットや合成オレンジスピリットのような湿布薬や、咳止め薬の成分として利用されている[6]。レモン油、脱テルペン処理がされたレモン油は、食品、飲料に香料として添加される。市販品は非常に偽和が多く、組成、活性(効能)は大きな差があり、偽和の横行で感作性も高まっている。圧搾法の精油にはフロクマリンを含有し、感作性、光毒性の可能性があり、皮膚への使用は推奨されない。香りだけ楽しむのなら有害作用はなく、リラックス作用があることが脳波で示されている。非常に多くの薬効が喧伝されているが、レモンのハーブとしての効能やレモンジュースに関する情報が混同されており、喧伝される多くの症状を軽減させる作用がレモン油にあるとは考えにくい[6]。
古くから地中海沿岸において盛んに栽培されてきたが、近代においてはその医療効果が着目された。1753年、イギリス海軍省のジェームズ・リンドは壊血病が食生活から来ると推測し、実験によってこれを証明した。この実験の中で、レモンやレモンジュースが壊血病に効果的であることが発見された。もっとも、リンドの実験はあくまで食生活と壊血病との関係性を立証するものであって、レモンのほかにも多くの食物が推薦されていた。1768年のジェームズ・クックの第1回航海において、クックはこの結果をもとにザワークラウトを大量に積み込み、またレモンなど柑橘類を食べることを奨励することによって、3年間の長期航海にもかかわらず壊血病で一人も命を失うことなく航海を終了し、この実験の正しさが認められた。その後、1795年にはこれらの結果をもとに、イギリス海軍は自国の艦船にレモンジュースを積み込み船員に配給することを義務付け、これによってイギリス船員の壊血病患者は、1780年-1795年の24%から1798年-1806年の11%にまで激減した[7]。
[ヘルプ] |
ウィキメディア・コモンズには、レモンに関連するメディアがあります。 |
|
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
調剤用 パンビタン末
リンク元 | 「lemon」 |
拡張検索 | 「レモングラス」 |
.