- 英
- laninamivir
- 化
- ラニナミビルオクタン酸エステル
- 商
- イナビル Inavir
- 関
- 長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤、インフルエンザウイルス
- 抗ウイルス剤
作用機序
- ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の活性代謝物ラニナミビルは、A型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害し(IC50:1.29~38.8nM)、新しく形成されたウイルスの感染細胞からの遊離を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制する。
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ラニナミビル
|  | 
| IUPAC命名法による物質名 | 
| (4S,5R,6R)-5-acetamido-4-carbamimidamido-6-[(1R,2R)-3-hydroxy-2-methoxypropyl]-5,6-dihydro-4H-pyran-2-carboxylic acid | 
| 臨床データ | 
| 胎児危険度分類 | ? | 
| 法的規制 | ? | 
| 投与方法 | 吸入 | 
| 識別 | 
| CAS登録番号 | 203120-17-6 | 
| ATCコード | None | 
| PubChem | CID 502272 | 
| 化学的データ | 
| 化学式 | C13H22N4O7 | 
| 分子量 | 346.33638 g/mol | 
| 
SMILES 
O=C(C)NC1C(NC(N)=N)C=C(C(=O)O)OC1C(OC)C(O)CO | 
ラニナミビル(Laninamivir)は、インフルエンザ治療薬。第一三共により開発名「CS-8958」として研究開発されていた。2010年9月日本での製造承認が認められた。商品名は「イナビル」。
| 
 目次
1 薬理2 効能・効果3 投与方法4 用法・容量5 脚注 | 
薬理[編集]
剤形はザナミビルと同じく吸入薬である。プロドラッグとして上気道に付着し、加水分解を受け、活性型となる。ノイラミニダーゼ阻害薬として、細胞膜でのシアル酸切断によるインフルエンザ・ウイルス遊離を阻害し、インフルエンザ・ウイルスの増殖を防ぐ。ペラミビルと同様長時間作用し、単回投与で5日間程度作用する。
効能・効果[編集]
抗インフルエンザ薬としてA型、B型のインフルエンザに作用する[1]。
投与方法[編集]
専用のパッケージに入った粉末体を気道から吸入することによって投与する。吸入での投与が困難な認知症患者、小児、重症者には不向きな薬剤であり、その場合はペラミビル等を検討することになる。
用法・容量[編集]
10歳以上の日本人に対しては、通常40mg(つまりパッケージ2つ)を一度吸入すれば、それで治療は終了となる。10歳未満の日本人に対しては、20mgの投与となる。妊婦についての安全性は確認されていない。また母乳中への移行が確認されており、授乳婦においても安全性は確認されていない[2]。
脚注[編集]
- ^ Yamashita M, Tomozawa T, Kakuta M, Tokumitsu A, Nasu H, Kubo S (January 2009). “CS-8958, a prodrug of the new neuraminidase inhibitor R-125489, shows long-acting anti-influenza virus activity”. Antimicrobial Agents and Chemotherapy 53 (1): 186–92. doi:10.1128/AAC.00333-08. PMC 2612152. PMID 18955520. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=2612152. 
- ^ 第一三共株式会社の公開資料
 
| 
| インフルエンザ |  
|  |  
| 主要項目 | 研究 - ワクチン - 治療 - ゲノム解読 - 遺伝子再集合 - 重複感染 - シーズン |  
|  |  
| ウイルス | オルトミクソウイルス科 - A型 - B型 - C型 |  
|  |  
| A型の亜型 | H1N1(ソ連型) - H1N2 - H2N2 - H2N3 - H3N1 - H3N2(香港型) - H3N8 - H5N1 - H5N2 - H5N3 - H5N8 - H5N9 - H7N1 - H7N2 - H7N3 - H7N4 - H7N7 - H7N9 - H9N2 - H10N7 |  
|  |  
| H1N1 | 
| パンデミック | 1918年の世界的流行 - 2009年の世界的流行 |  
|  |  
| 科学 | 2009 H1N1 |  |  
|  |  
| H5N1 | 
| 流行 | クロアチア(2005年) - インド(2006年) - イギリス(2007年) - 西ベンガル州(2008年) |  
|  |  
| 科学 | 構造 - 感染経路 - 世界的感染 - 治験 - ヒトの致死率 - 社会的影響 |  |  
|  |  
| 治療 | 
| 抗ウイルス薬 | 塩酸アルビドール - アダマンタン化合物(アマンタジン、リマンタジン) - ノイラミニダーゼ阻害薬(ザナミビル(リレンザ)、オセルタミビル(タミフル)、ペラミビル(ラピアクタ)、ラニナミビル(イナビル)) |  
|  |  
| ワクチン | フルミスト - フルゾーン |  |  
|  |  
| 流行・ パンデミック
 | 
| 流行 | ソ連かぜ(1977-1978年) - 福建かぜ(H3N2) - 2013年H7N9インフルエンザの流行 |  
|  |  
| パンデミック | ロシアかぜ(1889-1890年) - スペインかぜ - アジアかぜ - 香港かぜ - 2009年新型インフルエンザの世界的流行 |  |  
|  |  
| ヒト以外 | 
| 哺乳類 | イヌ - ネコ - ウマ(2007年オーストラリアでの流行) - ブタ |  
|  |  
| 哺乳類以外 | トリ - 福建かぜ(鳥類間で流行したH5N1) |  |  
|  |  
| 関連項目 | インフルエンザ様疾患 - 新型インフルエンザ - パンデミック |  | 
 
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 福岡医学雑誌 102, 341-348, 2011-12-25
- … と比べるとその治療成績には目をみはるものがあり,注目を集めた.このようなインフルエンザ治療の先進国である本邦において,さらに治療薬として,これまでのオセルタミビル,ザナミビルに加えて,点滴のペラミビルと吸入のラニナミビルが使用可能となり,治療の幅が広がった年でもあった.このような背景の中,特別講演としては,池松秀之先生に「インフルエンザ診療の展望」と題して御講演いただいた. …
- NAID 120003678724
 
 
- Extracorporeal membrane oxygenationにより救命しえた新型インフルエンザによる呼吸不全の1例
- 仁科 雅良/佐藤 孝幸/石井 真佐隆/須賀 弘泰/横山 利光/西久保 俊士/増田 崇光/中川 隆雄
- 東京女子医科大学雑誌 81(5), 377-380, 2011-10-25
- … 簡易検査が陽性となったので、ラニナミビルを吸入した。 …
- NAID 110008672491
 
 
Related Links
- イナビルとは?ラニナミビルの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。 すべての副作用を掲載しているわけではありません。
- イナビル(ラニナミビル)の作用機序:抗インフルエンザ薬 毎年、冬になると流行を繰り返す感染症にインフルエンザがあります。ウイルスによって引き起こされる病気であり、インフルエンザウイルスが原因ウイルスです。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
イナビル吸入粉末剤20mg
組成
有効成分
- ラニナミビルオクタン酸エステル水和物
 20.76mg(ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mg)
添加物
禁忌
効能または効果
成人:
- ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する。
小児:
- 10歳未満の場合、ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与する。
 
10歳以上の場合、ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する。
- 症状発現後、可能な限り速やかに投与を開始することが望ましい。[症状発現から48時間を経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。]
- 本剤は、1容器あたりラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを含有し、薬剤が2箇所に充てんされている。成人及び10歳以上の小児には2容器(計4箇所に充てんされた薬剤をそれぞれ吸入)、10歳未満の小児には1容器(計2箇所に充てんされた薬剤をそれぞれ吸入)を投与すること(「適用上の注意」の項参照)。
- 抗ウイルス薬の投与が全てのA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療に必須ではないことを踏まえ、本剤の使用の必要性を慎重に検討すること。
- 本剤はC型インフルエンザウイルス感染症には効果がない。
- 本剤は細菌感染症には効果がない(「重要な基本的注意」の項参照)。
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー様症状
(頻度不明注))
- ショック、アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、蕁麻疹、血圧低下、顔面蒼白、冷汗等の異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- ラニナミビルオクタン酸エステル水和物はプロドラッグであり、加水分解により活性代謝物ラニナミビルに変換された後、抗ウイルス作用を示す。
In vitro 抗ウイルス作用
- ラニナミビルはin vitro でのA型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを低濃度(実験室株IC50:2.32〜38.8nM、臨床分離株IC50:1.29〜26.5nM)で阻害した5)。また、ラニナミビルは、オセルタミビルリン酸塩耐性株(IC50:5.62〜48.9nM)や、新型インフルエンザA型(H1N1)ウイルス(IC50:0.41nM)及び高病原性鳥インフルエンザA型(H5N1)ウイルス(IC50:0.28〜2.1nM)に対してもin vitro で抗ウイルス作用(ノイラミニダーゼ阻害活性)を示した5,6,7)。
In vivo 抗ウイルス作用
- A型インフルエンザウイルスのマウス感染モデルでは、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与により、6.6〜660μg/kgで有意な肺中ウイルス力価の減少、21〜190μg/kgで有意な生存数の増加といった治療効果が認められた8)。また、B型インフルエンザウイルスのフェレット感染モデルで、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与(24μg/kg及び240μg/kg)は、鼻腔洗浄液中のウイルス力価を低下させた9)。
 
また、新型インフルエンザA型(H1N1)ウイルスのマウス感染モデルにおいて、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物700μg/kgの単回経鼻投与で有意な肺中ウイルス力価の減少が認められた6)。
高病原性鳥インフルエンザA型(H5N1)ウイルスのマウス感染モデルにおいても、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与は、75μg/kg以上の投与量で感染3日後の、750μg/kg以上の投与量で感染6日後までの肺中ウイルス力価を減少させた7)。
作用機序
- ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の活性代謝物ラニナミビルは、A型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害し(IC50:1.29〜38.8nM)5)、新しく形成されたウイルスの感染細胞からの遊離を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制する。
耐性
- インフルエンザウイルス感染症に対するラニナミビルオクタン酸エステル水和物の効果を検討した国内臨床試験8試験(国際共同試験の1試験含む)で、1,917例の患者から分離したインフルエンザウイルス株において活性代謝物ラニナミビルに対する感受性が低下した株は認められなかった。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(Laninamivir Octanoate Hydrate)
化学名
- (2R ,3R ,4S )-3-Acetamido-4-guanidino-2-[(1R ,2R )-2-hydroxy-1-methoxy-3-(octanoyloxy)propyl]-3,4-dihydro-2H -pyran-6-carboxylic acid monohydrate
 
(2R ,3R ,4S )-3-Acetamido-4-guanidino-2-[(1S ,2R )-3-hydroxy-1-methoxy-2-(octanoyloxy)propyl]-3,4-dihydro-2H -pyran-6-carboxylic acid monohydrate
分子式
分子量
性状
ジメチルスルホキシド及びメタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水に極めて溶けにくく、アセトニトリル及びヘキサンにほとんど溶けない。
わずかに吸湿性である。
融点
分配係数
- log Pow=0.0(pH7.0、オクタノール/水系)
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