出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/07/29 18:28:01」(JST)
キャッサバ | ||||||||||||||||||||||||
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キャッサバ
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Manihot esculenta Crantz |
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和名 | ||||||||||||||||||||||||
イモノキ(芋の木) | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Cassava |
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価 | |
エネルギー | 667 kJ (159 kcal) |
炭水化物 | 38.06 g |
- 糖分 | 1.7 g |
- 食物繊維 | 1.8 g |
脂肪 | 0.28 g |
- 飽和脂肪酸 | 0.074 g |
- 一価不飽和脂肪酸 | 0.075 g |
- 多価不飽和脂肪酸 | 0.048 g |
タンパク質 | 1.36 g |
- トリプトファン | 0.019 g |
- トレオニン | 0.028 g |
- イソロイシン | 0.027 g |
- ロイシン | 0.039 g |
- リシン | 0.044 g |
- メチオニン | 0.011 g |
- シスチン | 0.028 g |
- フェニルアラニン | 0.026 g |
- チロシン | 0.017 g |
- バリン | 0.035 g |
- アルギニン | 0.137 g |
- ヒスチジン | 0.02 g |
- アラニン | 0.038 g |
- アスパラギン酸 | 0.079 g |
- グルタミン酸 | 0.206 g |
- グリシン | 0.028 g |
- プロリン | 0.033 g |
- セリン | 0.033 g |
水分 | 59.68 g |
ビタミンA相当量 | 1 μg (0%) |
- βカロテン | 8 μg (0%) |
- ルテインおよびゼアキサンチン | 0 μg |
ビタミンB1 | 0.087 mg (7%) |
ビタミンB2 | 0.048 mg (3%) |
ビタミンB3 | 0.854 mg (6%) |
パントテン酸(ビタミンB5) | 0.107 mg (2%) |
ビタミンB6 | 0.088 mg (7%) |
葉酸(ビタミンB9) | 27 μg (7%) |
コリン | 23.7 mg (5%) |
ビタミンB12 | 0 μg (0%) |
ビタミンC | 20.6 mg (25%) |
ビタミンD | 0 IU (0%) |
ビタミンE | 0.19 mg (1%) |
ビタミンK | 1.9 μg (2%) |
カルシウム | 16 mg (2%) |
鉄分 | 0.27 mg (2%) |
マグネシウム | 21 mg (6%) |
マンガン | 0.384 mg (19%) |
セレン | 0.7 μg (1%) |
リン | 27 mg (4%) |
カリウム | 271 mg (6%) |
塩分 | 14 mg (1%) |
亜鉛 | 0.34 mg (4%) |
%はアメリカにおける成人向けの 栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
キャッサバ(学名:Manihot esculenta)は、トウダイグサ目トウダイグサ科イモノキ属の熱帯低木。マニオク、マンジョカとも呼ばれる。
芋はタピオカの原料であり、世界中の熱帯にて栽培される。葉は5~10小葉からなり、茎は垂直に立ち上がる。茎の根元にはゆるい同心円を描いて数本の芋(根)が付く。芋は両端が尖った細長い形状である。
栽培はとても簡単である。茎を地中に挿すだけで発根し、そのまま生育する。
作付面積あたりのカロリー生産量はあらゆるイモ類、穀類より多くデンプン質の生産効率は高い。しかし食用とするためには毒抜き処理が必要なことや、毒抜きのために皮や芯を除去した芋はその場で加工しなければ腐ってしまうなど、利用の制約が大きい作物でもある。利用範囲は広く、葉を発酵させて毒抜きし飼料として利用したり、アルコール発酵によりバイオ燃料(バイオマスエタノール)を製造するなどの用途も注目を浴びている。農作物としてみれば、悪環境下(乾燥地、酸性土壌、貧栄養土壌)でも生育可能など、これまで農地とされなかった場所での栽培ができ、「食糧問題」や「温暖化問題」の解決への期待が大きい[3]。
なお、熱帯の都市では緑地帯の植え込みにも利用され、室内での観葉植物としても利用価値がある。観賞用の斑入りの葉の品種もある。
大きく分けて、苦味種と甘味種がある。
苦味種は、シアン化合物(青酸配糖体)のリナマリン(linamarin) とロトストラリン(lotaustralin)を外皮に多く含むが、大きな塊根を作るため、デンプン源作物として栽培される。甘味種は、毒抜きを行いふかしたり茹でたりすることで、食用にされる。味と食感は甘味の少ないサツマイモに似ている。
2002年時点の全世界の生産量は1億8000万トンで、穀物以外のヒトの食料用のデンプン源作物(いも類など)としてはジャガイモに続いて世界第2位である。州別ではアフリカ州が1/2強、アジア州が1/4強を占め、残りが南アメリカ州である。
上位10カ国の気候区分はほとんどがケッペンの気候区分でいう熱帯のサバナ気候 (Aw) 、インドネシアのみ熱帯雨林気候 (Af) である。アンゴラ南部のように温暖冬季少雨気候 (Cw) の地域では栽培されていない。
他のイモ類と比較すると、同年におけるジャガイモの全世界生産量は3億1000万トン、サツマイモは1億4000万トン、ヤムイモは4000万トン、タロイモは900万トンである(以上の統計数値は、FAO Production Yearbook 2002による)。
現在栽培されているキャッサバの原型となったことが分かっているM. e. flabellifolia亜種の分布は中央ブラジル西部を中心としており、ここで少なくとも1万年前には栽培が始まった[4]。しかし種全体としてはブラジル南部とパラグアイのあたりで発生したらしい。現存するキャッサバの全ては栽培種を祖先としている。メキシコ、タバスコ州のサンアンドレス遺跡から出土したキャッサバの花粉から、6600年前までにはそこでキャッサバが生育していたことが分かっている[5]。現存する最も古いキャッサバ栽培の証拠は、エルサルバドルにある1400年前のマヤ遺跡ホヤ・デ・セレンで見つかった[6]。食料用の作物としての有用性から、スペインによるアメリカ大陸の植民地化が始まる15世紀末までには南アメリカ北部、中央アメリカ南部、西インド諸島の人々の主食となっており、モチェ文化の鐙型注口土器など、コロンブス以前に作られた工芸品のモチーフともされた。スペイン人とポルトガル人による植民地化後も栽培が続けられた。
17世紀に奴隷貿易が盛んになると、アフリカから新大陸までの月単位を要する輸送期間、奴隷を船内で生かしておく必要があった。ブラジルを支配していたポルトガル人は栽培が容易なキャッサバを奴隷貿易用の食料として採用し、アフリカを中心に全世界に広めた。ブラジル先住民はキャッサバやトウモロコシを主食としていたがポルトガル人が米を導入し、ブラジルでは17世紀頃初めて栽培され、キャッサバやトウモロコシともにブラジル人の主食となっていった。地域によるが、現在もキャッサバはブラジル人の食生活に欠かせない食材である。
また、ブラジル以外の南米諸国ではユカと呼ばれ、アマゾン川流域を中心に重要な食材となっている。
有毒品種を含むキャッサバを安全に食べるために様々な方法があり、5つに大別される。
そのうち 1. は甘味種の有毒な皮や芯を除くやり方で、生食されることも多い。またここでは 5. は除毒法として不完全なので扱わない。2. はアフリカの熱帯域で見られるやり方で、芋を加熱してから小さく切り水にさらす方法である。南米では 3. がよく見られ、生芋をすり潰して一晩置き絞って除毒する。現在工業的な除毒法としても、伝統的な方法としても多く利用されているのは 4. である。好気発酵や嫌気発酵によって除毒するのだが、多種多様なやり方が知られている[7]。
キャッサバが栽培されている地域では、甘味種は根菜として扱われている。調理法は蒸す、茹でる、揚げるなど。薄くスライスしたキャッサバを揚げて、キャッサバチップスも作られる。アフリカでは火を通したキャッサバをつぶしてウガリやフフが作られる。ブラジルでは、キャッサバの粉を炒めたファリーニャ(「製粉」という意味)といわれる粉を香ばしい食材として用いたり、同じくキャッサバの粉をバターやきざみベーコンで炒めたファロファ(farofa)を肉料理のつけあわせによく添える。
また、キャッサバの粉を用いたパン(例:ブラジルのポン・デ・ケイジョ、ボリビアのクニャペやパラグアイのチパ)など、キャッサバ粉を用いた料理が庶民の食べ物として親しまれている。
根茎から製造したデンプンはタピオカと呼ばれ、球状の「タピオカパール」に加工してデザートの材料や飲み物のトッピングとして使われる。
東南アジア(タイが主要国)などで栽培されたキャッサバは乾燥工程を経てキャッサバチップとして中国などに輸出される。その後中国では発酵工程を経てエタノール(バイオエタノール)となる。そのエタノールを原料に氷酢酸とエステル化した酢酸エチルが大量に生産されている(約80万MT/年)。中国で生産された酢酸エチルは年間約30万MT程度海外に輸出されており、有機化学分野では貴重な外貨獲得手段となっている。
理化学研究所の櫻井らはキャッサバをつかった実験により10,577種類のcDNAからなるcDNAライブラリを作成した。これは、様々な環境ストレスを与えたキャッサバから19,968種類のcDNAを単離し、その中から同定されたものである。ライブラリの中で4,621種類のcDNAはそれまでキャッサバでは知られていなかったcDNAで、環境ストレスを与えられたことにより獲得したものと考えられた[8][3]。
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リンク元 | 「キャッサバ」「マニホット属」「manioc」 |
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