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ボランティア(英: volunteer)とは、ボランティア活動に携わる人のことである。一般的に、自主的に無償で社会活動などに参加し、奉仕活動をする人を指す。
volunteer の語の原義は志願兵であり(反語がdraft―徴集兵)、歴史的には騎士団や十字軍などの宗教的意味を持つ団体にまで遡ることができる。語源はラテン語のVolo(ウォロ、英語のwillの語源)志願者である。
英語圏では、現在も本来の語義どおり志願兵あるいは義勇兵の意味でもこの語が使われている。なお、ボランタリー(voluntary)とは自発的であるさまのことである。
冒頭で述べたように、ボランティア活動の原則として挙げられる要素は一般に自発性、無償性、利他性、先駆性の4つである。1980年代以降、無償性の原則に関して「無償」の範囲をより柔軟に考えることによって実費の弁済や一定の謝礼を受ける「有償」ボランティアが出現し、受け入れられてきているのが現状である[1]。
先駆性や補完性といった概念は、ボランティア活動が既存の社会システム、行政システムに存在しない機能を創造的な自由な発想で補完するという役割を担うことから発生したものである[2]。
一方、ボランティア活動がそれに参加する個人の自己実現の場として機能する自己実現性を持つことも知られている。
ここでは無償ボランティアについて述べる。無償ボランティアは被雇用者のように組織から強い拘束を受けず、また自発性に基づく行動である為、組織が強制してボランティアを動かすことは難しい。また無償ボランティア活動に参加する者は、通常、職場や家庭などで緊急の用件が発生した際はそちらを優先する。無償ボランティアにはこれらの特徴がある為、会社組織とは異なるマネジメント手法が必要となる。
なお、平成14年に厚生労働省が全国のボランティア活動者を対象として実施した調べでは、最大のボランティア人材源となっているのは主婦層および高齢者層である[3]。
ボランティアには「素人集団」というステレオタイプもあるが、医師、弁護士、看護師、臨床心理士、教師をはじめ、各分野の専門家がそれぞれの高度な技能を生かしてボランティア活動を行うこともある。こうした専門家によるボランティア活動をプロフェッショナル・ボランティア(プロボラ)と呼ぶ。特定非営利活動法人のなかには、専門性を必要とする具体的な活動内容を明記して左記のような専門家たちを募集していることもある。
災害などが起こった時に自身をボランティアと称して被災地に入り窃盗行為を行い、被災者などから金品を得た上で救援活動を行う偽ボランティアと呼ばれる者が存在する[1]。
超高齢社会に向かいつつある社会背景の中でアメリカでは定年退職者や高齢者の社会参加の一環として、若者の開発途上国でのボランティアを平和部隊として組織した先例に倣って、高齢者が学校や障害者、引きこもりの児童などに社会的なボランティアを展開するのをアメリコー(AmeriCorps、アメリカ部隊)と名づけて、連邦政府から経済支援を与えることにした。アメリコーの中でも最大規模のボランティア組織はティーチ・フォー・アメリカで、エリート学生の卒業後の進路としても2007年には全米で10位に入るほどの人気となっている[要出典]。
World Community Grid、Open Directory Project、ウィキペディア、the Virtual Library、青空文庫、MylingualといったWorld Wide Web上のボランティアも存在する。
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動員・勧誘・強制を受けての活動への参加は本人の純粋な自由意志に基づかないのでボランティアとは言えないが、日本では奉仕活動の同義語、無償労働の意でボランティアという語を用いる場合もある。
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日本では古くより五人組・町内会・自治会・消防団など地縁・血縁によって強固に結びついた相互扶助の慣習があったため、外部からのボランティアを広く呼びかけ受け入れる仕組みや必要性は少なかった。また地域では民生委員など無給で社会奉仕活動を行う制度が以前から構築されてきた。
しかし財政の悪化から行政コストの一層の低減が叫ばれ、一方では都市化・核家族化による人口の隔たり・流動化が起きているため、有事の対応が迅速かつ的確に行える仕組みを維持することが困難になってきた。ボランティアは上記の状況を改善する新たな相互扶助の仕組みとしても注目されている。
日本のボランティア活動の始まりとしては、1989年のロマ・プリータ地震がある。この時、NGOの支援を得て大学生を中心に38人のボランティアが現地で活躍している[要出典]。これは、大学の講演会の後に講師がボランティアの呼びかけをしたところ、大学側の予想に反しその場で30人以上の参加申し出があり実現した。現地では遠い日本からボランティアが来たと感謝され、またその様子を現地の新聞が大きな写真入りで取り上げ、「救援はお金しか出さない」と言われていた日本がお金ではなく人的活動をしたと評価された。その際、当時のサンフランシスコ領事・柳井俊二から感謝状がそのNGOに送られた[要出典]。日本の国際的な災害援助活動として大きな意味があった。
その後 1990年に起きた雲仙普賢岳の噴火にもボランティアが数多く参加した。当初「日本では政府が対策を取るからボランティアは必要ないでしょう」との声もあったが、現地では島原市役所と連携し「来てくれて本当に助かった。」と役に立った[要出典]。
また、その翌年の湾岸戦争にも多くのボランティアが現地に行き活動した。その際、現地の声を直接聞きそれを日本の一般の方々へ呼びかけ、食料や毛布、粉ミルクや生理用品等の善意の救援物資が多く集まった。そしてその日本の救援物資を、日本人のボランティアの手で直接現地の人々へ配る活動となった(この時も外務大臣から感謝状が送られている)。そして、1995年の阪神・淡路大震災では全国から大勢のボランティアが被災地に駆けつけたことから、「ボランティア元年」とも呼ばれる。当該震災の日(1月17日)を「防災とボランティアの日」としている。その後の地震や水害などにおいても、ボランティアが活躍している。
一方で、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震において、阪神・淡路大震災等において駆けつけたボランティアが現地の「迷惑」であったとの以下のような書き込みがツイッター等でなされ、インターネットで拡散した。
こうした「ボランティア迷惑論」が拡散したこともあり、専門家によれば阪神淡路大震災よりも規模が大きいにもかかわらず、ボランティア活動は低調であった[7]。 東北地方太平洋沖地震においては、被災地が広範囲に拡大し、津波による被害も大きかったことから、ボランティアがいくらいても足りないという事態に陥った。このため文部科学省は全国の大学に対し、学生のボランティア活動を大学の単位として認めるよう要請した [8]。また、インターネット上でも震災ボランティアに関するサイトが災害発生直後から多く開設され、被災地と個人を直接つなぐ取り組みが見られた。
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ボランティアに取り組むことで自己成長の可能性が高められるなど、人生を充実する活動の一つでもある。高校生の交換留学などはもともとはボランティアによるものである。またアメリカでは、州によって高校生、大学生の時期に5000時間ほどボランティアに従事するとキャリア形成につながるというシステムがある。ボランティアを募集する機関とボランティアをしたことを認定する機関や認定資格者が制度的に確立していて、一定の活動条件を満たした場合に本人にボランティア認定証が発行される。この認定証がホスピタリティの高い人材であることの証明となり、大学への進学や就職活動において、ホスピタリティが必要とされる学部、職種に従事したいものへの能力評価の一定条件となっている。これは元々、キリスト教の教えがベースとなっているといわれ、神父や牧師、教師、医師など「師」を司る職業には、必ずホスピタリティが要求されるので、十代のうちからその素養と実践が重視されている。日本の大学受験や国家試験において、たとえば医師になるのにホスピタリティの軽重よりも、ペーパー試験の成績が重視されるのとは大きな違いがある。
現在、日本でも高校受験などに際してボランティア活動を行ったことでその経験が調査書に記載されていると評価点を高くする学校がある。このために、受験での利益を第一目的としてボランティア体験を志望する学生も出ているが、全体としてはまだまだ少ない。
高等学校の場合、上級学校への進学や就職における自己アピールの材料として使われるなど、卒業後の進路内定という「対価」を得るための手段とされる傾向がある。大学など高等教育の課程においても、ボランティアが就職活動でのアピールや単位取得の手段として使われることもある。
また、福祉活動を課程の中に組み込むなどして義務化している学校もある。例えば東京都では2007年度から都立高校で「奉仕の時間」が義務化されることとなった。このケースでは全員1単位以上の履修が求められているため自発性に基づく活動とは言えず強制であり(単位を取得しなければ卒業は出来ない)、厳密な意味でのボランティアではないとする意見もある(教育再生会議では奉仕、奉仕活動、ボランティア体験、としてボランティアとの誤用を避けた表現となっている)。
今の首相・安倍晋三が大学の入学時期を国際基準の9月に合わせ、4月~9月までの間、ボランティアをさせるという構想を示した。しかし2009年夏、自民党が下野したため構想は幻となった。
ボランティアは歴史的に宗教団体に遡ることができるが、現在の日本でも(欧米ほどではないにせよ)宗教団体によるボランティア活動は活発である。慣習的には(専従の聖職者ではない)信者による無償の奉仕活動が一般にボランティアとされる。
たとえば軍隊を模した組織を取って活動するキリスト教(プロテスタント)の教派団体である救世軍は非常に活発な社会奉仕活動で知られているが、他の教派団体の牧師に相当する士官の階級の者は法人の専従職員でありボランティアではないものの、一般信徒である下士官・兵士の階級の者の活動は原則的に無償のボランティアである。
企業の元年(フィランソロピー元年)と言われた1990年に富士ゼロックスが「ソーシャル・サービス・リーブ」として開始した休暇制度が「ボランティア休暇」「活動休暇」などの名称で、主に大企業を中心に普及した。単発的に取得する場合を「ボランティア休暇」と呼ぶのに対し、一定期間連続して休暇を取得する場合は「ボランティア休職」と呼ぶ場合が多く、「ボランティア休暇」が有給休暇扱いであるのに対し「ボランティア休職」の場合は雇用保障だけで無給対応となる場合が多い。阪神・淡路大震災におけるボランティアの役割が広く認知されたことから、国家公務員にも「ボランティア休暇」が導入されることになり、その後、自治体の多くも「ボランティア休暇」を設けるようになってきた。しかし職員が休暇を取得することで業務進行や業績に影響するような場合、制度があっても取得しにくいという課題がある。業務の特性から、年次有給休暇ですら取得しにくい企業・自治体もあり、ボランティアは有意義な活動としながらも、ボランティア休暇はあまり取得されていない。
ちょっとしたボランティアの略。街頭で偶発的に遭遇した事象(例:困った人)に手をさしのべることで、社会的人間性の向上を促すキャンペーンで用いられた。ボランティアの持つ言葉のニュアンスを利用したものであって、チョボラ自体はボランティアの定義外である。
「ボランティア」、「NPO」は2002年1月18日に株式会社角川グループホールディングス(当時は、株式会社角川書店)が商標登録出願、2003年4月25日に登録されたが、2005年5月10日に商標登録を取消されている。
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