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薬効
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ホメピゾール |
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識別情報 |
CAS登録番号 |
7554-65-6 |
PubChem |
3406 |
ChemSpider |
3289 |
UNII |
83LCM6L2BY |
DrugBank |
DB01213 |
KEGG |
D00707 |
ChEBI |
CHEBI:5141 |
ChEMBL |
CHEMBL1308 |
ATC分類 |
V03AB34 |
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- InChI=1S/C4H6N2/c1-4-2-5-6-3-4/h2-3H,1H3,(H,5,6)
Key: RIKMMFOAQPJVMX-UHFFFAOYSA-N
InChI=1/C4H6N2/c1-4-2-5-6-3-4/h2-3H,1H3,(H,5,6)
Key: RIKMMFOAQPJVMX-UHFFFAOYAT
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特性 |
化学式 |
C4H6N2 |
モル質量 |
82.1 g mol−1 |
密度 |
0.99 g/cm3 |
沸点 |
204-207 ºC (at 97.3 kPa)
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危険性 |
引火点 |
96.0 ºC |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ホメピゾール(Fomepizole、別名:4-メチルピラゾール)は、エチレングリコール[1]またはメタノール[2]中毒ならびにその疑い例の解毒に用いる医薬品である。単独投与又はダイアライザーによる透析と並行して用いる。それとは別に、錯体化学での4-メチルピラゾールの挙動が研究されている[3]。WHO必須医薬品モデル・リストに収載されている[4]。
目次
- 1 効能・効果
- 2 副作用
- 3 薬物動態
- 4 参考資料
- 5 外部リンク
効能・効果
ホメピゾールは肝臓のアルコールデヒドロゲナーゼ[5]を競合阻害する。アルコールデヒドロゲナーゼはエチレングリコールやメタノールを代謝する主要酵素であるので、その阻害に因り蓚酸やホルムアルデヒドといった有害物質の生成を妨げる事が出来る。
- エチレングリコールはアルコールデヒドロゲナーゼにより酸化されて先ずグリコールアルデヒドになり、更に酸化されてグリコール酸、グリオキシル酸を経て蓚酸となる。グリコール酸や蓚酸は代謝性アシドーシスを引き起こし、同時に腎毒性を持つ。
- メタノールはアルコールデヒドロゲナーゼにより酸化されてホルムアルデヒドとなり、更にホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼに因り酸化されて蟻酸となる[6]。蟻酸は代謝性アシドーシスの原因となる他、視神経毒性を持つ。
エチレングリコールやメタノールの最初の代謝酵素を競争的に阻害する事で、ホメラゾールは有毒物質の生成を遅延させる事が出来る。それに因り肝臓での処理(有毒物質の分解)および排泄が相対的に優位となり、腎臓や眼への有毒物質の蓄積を回避することが出来る[7]。
ホメピゾールはエチレングリコール/メタノール暴露後直ちに投与した場合に最も有効である。投与が遅れると毒性物質が生成してしまう[7]。
アルコールとの相互作用
ホメピゾールはエタノールの半減期を延長するので、併用禁忌とされている場合が有る。半減期の延長に因りエタノールの酩酊効果が増強され、より低濃度で酩酊作用を齎すので危険性が増す。ホメピゾールはアルコールデヒドロゲナーゼを阻害してアセトアルデヒドの生成を遅延させ、アセトアルデヒド脱水素酵素に因ってアセトアルデヒドが酢酸に酸化する事をも遅滞させる。その結果、酩酊の度合いが深く長くなり、二日酔い症状が残る。アルコール依存症でアルコール耐性が亢進している場合、より少量のエタノールで二日酔いするために、ホメピゾールはエタノール摂取の意欲を削ぐ(負の強化)効果が期待できる。依存症患者がエタノールを過量摂取すると死に至る可能性もあるが、代謝の低下を見極めて摂取量を慎重に漸減した場合は、より少量のエタノールで心地よく酔い、二日酔いも少なく、満足感を得、慢性中毒症状を低減し、危害の最小化(英語版)に結び付ける事が出来得る。これは本質的に、ジスルフィラムを用いてアセトアルデヒドを増加させて中毒患者に罰(英語版)を与える治療法(服薬コンプライアンスが重要な問題となる)の発想とは逆のものである。
副作用
投与患者の5%以上に発現する副作用は、頭痛および注射部位反応(灼熱感、疼痛、炎症)である[8]。嘔気が発現するとする資料もある[9]。
薬物動態
吸収・分布
ホメピゾールは全身の水分(0.6〜1.02 L/kg)中に速やかに溶解、分布する。治療域は8.2〜24.6 mg/L(100〜300 μM)である。単回経口投与時のCmaxは7〜50 mg/kgで、tmaxは1〜2時間である。t1/2は投与量によって異なる。
代謝・排泄
肝臓での主要代謝産物(投与量の80〜85%)は4-カルボキシピラゾールである。他にはピラゾール、4-ヒドロキシメチルピラゾール、ならびに4-カルボキシピラゾールおよび4-ヒドロキシメチルピラゾールのグルクロン酸抱合体である。
繰り返し投与すると、シトクロムP450が誘導されてホメピゾールの代謝消失が加速される。
健康成人に投与した場合、尿中への排泄は1〜3.5%である。代謝産物も同程度尿中に排泄される。
ホメピゾールは人工透析で除去できる。
参考資料
- ^ Velez LI, Shepherd G, Lee YC, Keyes DC (September 2007). “Ethylene glycol ingestion treated only with fomepizole”. J Med Toxicol 3 (3): 125–8. doi:10.1007/BF03160922. PMID 18072148. http://jmt.pennpress.org/strands/jmt/pdfHandler.pdf?issue=20070303&file=20070303_125_128.pdf.
- ^ International Programme on Chemical Safety (IPCS): Methanol (PIM 335), [1], retrieved on March 1, 2008
- ^ Vos, Johannes G.; Groeneveld, Willem L. (1979). “Pyrazolato and related anions. Part V. Transition metal salts of 4-methylpyrazole”. Transition Metal Chemistry 4 (3): 137. doi:10.1007/BF00619054.
- ^ “WHO Model List of EssentialMedicines”. World Health Organization (2013年10月). 2014年4月22日閲覧。
- ^ Casavant MJ (January 2001). “Fomepizole in the treatment of poisoning”. Pediatrics 107 (1): 170. doi:10.1542/peds.107.1.170. PMID 11134450.
- ^ “Forensic Pathology”. 2015年1月28日閲覧。
- ^ a b “Fomepizole for Ethylene Glycol and Methanol Poisoning”. 2015年1月28日閲覧。
- ^ “ホメピゾール点滴静注1.5g「タケダ」添付文書”. 2015年1月28日閲覧。
- ^ Lepik, KJ; Levy, AR; Sobolev, BG; Purssell, RA; DeWitt, CR; Erhardt, GD; Kennedy, JR; Daws, DE et al. (Apr 2009). “Adverse drug events associated with the antidotes for methanol and ethylene glycol poisoning: a comparison of ethanol and fomepizole.”. Annals of Emergency Medicine 53 (4): 439–450.e10. doi:10.1016/j.annemergmed.2008.05.008. PMID 18639955.
外部リンク
- Antizol
- Antizol Product Monograph
- Advanced Consumer Drug Information
UpToDate Contents
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- 1. メタノールおよびエチレングリコール中毒:マネージメントmethanol and ethylene glycol poisoning management [show details]
…approach . When both are available, we prefer fomepizole over ethanol. When there is insufficient fomepizole to treat all victims, we suggest using fomepizole preferentially for the more seriously ill, pregnant …
- 2. 成人におけるアセトアミノフェン(パラセタモール)中毒:治療acetaminophen paracetamol poisoning in adults treatment [show details]
…dehydrogenase, fomepizole is a potent inhibitor of CYP 2E1. Animal studies report that early administration of fomepizole prevents acetaminophen oxidation and limits hepatic injury . Fomepizole may also inhibit …
- 3. メタノールおよびエチレングリコール中毒:薬理、臨床症状、診断methanol and ethylene glycol poisoning pharmacology clinical manifestations and diagnosis [show details]
…nine hours . If hepatic oxidation is inhibited ("blocked") by an ADH antagonist such as ethanol or fomepizole, several changes occur : For methanol, elimination shifts to the pulmonary and renal routes ,…
- 4. 代謝性アシドーシスにおける尿のアニオンギャップおよび浸透圧ギャップurine anion and osmolal gaps in metabolic acidosis [show details]
…toxic alcohols are significantly excreted in the urine, especially during treatment with ethanol or fomepizole. Thus, measurement of the UOG as well as the plasma osmolal gap can be helpful in the diagnosis…
- 5. アルコール使用障害:薬理学的管理alcohol use disorder pharmacologic management [show details]
…hypotension; diphenhydramine for flushing). Fomepizole has been suggested for life-threatening symptoms of acetaldehyde in patients with severe presentations. Fomepizole (4-methylpyrazole), administered as a…
Japanese Journal
- 遠藤 容子,波多野 弥生,黒木 由美子 [他]
- The Japanese journal of clinical toxicology 28(1), 31-36, 2015
- NAID 40020391582
Related Links
- 武田薬品工業株式会社が提供する医療関係者向け「製品情報ページ」です。ホメピゾール点滴静注1.5g「タケダ」の添付文書、インタビューフォーム、製剤写真などの各種製品情報を掲載しています。
- エチレングリコール・メタノール中毒治療剤ホメピゾールに関する日本における共同事業化契約の締結について Paladin Labs Inc.(本社:カナダ ケベック州モントリオール、以下「Paladin社」)と武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ホメピゾール点滴静注1.5g「タケダ」
組成
1バイアル(1.5mL)中の有効成分
本剤の組成はホメピゾールのみであり、添加物や保存剤を含まない。
禁忌
効能または効果
- エチレングリコール中毒、メタノール中毒
- 通常、ホメピゾールとして初回は15mg/kg、2回目から5回目は10mg/kg、6回目以降は15mg/kgを、12時間ごとに30分間以上かけて点滴静注する。
なお、血液透析を併用する場合は、以下に従い投与する。
透析開始時 |
直前の本剤投与から6時間未満の場合は、透析直前には投与しない。 |
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直前の本剤投与から6時間以上経過している場合は、透析直前に投与する。 |
透析中 |
透析開始時から4時間ごとに投与する。 |
透析終了時 |
直前の本剤投与から1時間未満の場合は、透析終了時には投与しない。 |
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直前の本剤投与から1時間以上3時間以内の場合は、通常用量の1/2量を透析終了直後に投与する。 |
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直前の本剤投与から3時間超経過している場合は、透析終了直後に投与する。 |
透析終了後 |
直前の本剤投与から12時間ごとに投与する。 |
- 本剤は日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液にて、1.0〜15.0mg/mLとなるように希釈し、30分間以上かけて静脈内に点滴投与すること(本剤を5分間で静脈内投与した場合に静脈の灼熱感及び静脈硬化症が認められたとの報告がある)。(「適用上の注意」の項参照)
重大な副作用
アナフィラキシー(頻度不明)
- アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、喘鳴、潮紅等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
作用機序
- ホメピゾールは、肝臓アルコールデヒドロゲナーゼによるエチレングリコールあるいはメタノールの代謝を阻害し、それらから生成される有害な代謝物の生成を抑制することにより、エチレングリコール中毒あるいはメタノール中毒における中毒症状を改善する。
肝臓アルコールデヒドロゲナーゼ阻害活性7)
- ヒト肝臓アルコールデヒドロゲナーゼを阻害し、Ki値は0.21μMである(in vitro)。
エチレングリコール中毒に対する作用8)
- ホメピゾールを各種エチレングリコール中毒モデルに投与した時、中毒症状や代謝性アシドーシスの改善作用及びグリコール酸産生を抑制した。
メタノール中毒に対する作用9)
- ホメピゾールをメタノール中毒モデル(サル)に投与した時、中毒症状や代謝性アシドーシスの改善作用及びギ酸産生を抑制した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
分子式
分子量
融点
性状
- ホメピゾールは融解するとき無色〜黄色澄明の液である。0.1mol/L塩酸試液、エタノール(99.5)、エタノール(95)及びジクロロメタンに極めて溶けやすく、水に溶けやすい
。