ネビラピン
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Japanese Journal
- 抗HIV治療薬Nevirapineの薬理作用および臨床効果
- 武内 正吾,大杉 武
- 日本薬理学雑誌 114(4), 205-211, 1999-10-01
- Nevirapine (NVP) is a potent noncompetitive inhibitor of the reverse transcriptase enzyme, which is necessary for HIV replication. NVP selectively inhibits HIV-1 but not HIV-2 and any of the human DNA …
- NAID 10005709371
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ビラミューン錠200
組成
成分・含量
添加物
- 結晶セルロース、乳糖水和物、ポビドンK25、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 本剤の投与により重篤な発疹、又は全身症状を伴う発疹が発現した患者(「警告」の項参照)
- 重篤な肝機能障害のある患者
- 本剤の投与により肝機能障害が発現した患者(「警告」の項参照)
- ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
- 経口避妊薬を投与中の患者(避妊を目的とするホルモン療法も含む)(「相互作用」の項参照)
効能または効果
HIV-1感染症
- 無症候性HIV感染症に関する治療開始の指標はCD4リンパ球数500/mm3以下もしくはHIV RNA量5000copies/mL(RT-PCR法)以上との国際的な勧告がある。従って、本剤の使用にあたってはCD4リンパ球数及びHIV RNA量を確認すること。
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、本剤は他の抗HIV薬と併用すること。
- 通常、成人にはネビラピンとして1回200mgを1日1回、14日間経口投与する。その後、維持量として1日400mgを2回に分割して経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。
- 本剤は少なくとも1種類の抗レトロウイルス剤(ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤又はHIVプロテアーゼ阻害剤)と必ず併用投与し、単独投与しないこと。
[単独投与すると、いずれの症例においても本剤に耐性を示すウイルスが急速に出現することが報告されている。](「重要な基本的注意」の項参照)
- HIV治療に対して種々の国際的なガイドラインが出されており、現時点では、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤である本剤でHIV治療を行う際には、2種類のヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤との併用が推奨されている。
[ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤との2剤併用(ネビラピン+ジドブジン)より、3剤併用(ネビラピン+ジドブジン+ジダノシン)で優れた臨床効果が得られている。]
- ネビラピンは他の非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤と交叉耐性を示すことがある。
[非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤に対して交叉耐性を示すHIVウイルス株が認められたとの報告がある。]
- 本剤の投与は1日200mgより開始し、1日400mgの維持量に増量するが、発疹が発現した場合には、発疹が完治するまで本剤の投与量を増量しないこと。
- 7日間以上本剤を中止した患者に対して投与を再開する場合には、導入期の用法・用量から始めること。
慎重投与
- 肝機能障害又はその既往歴のある患者
[肝機能障害を増悪させることがある。また、本剤の血中濃度に影響を与えるおそれがある。](薬物動態の項参照)
- 腎障害又はその既往歴のある患者
[本剤の血中濃度に影響を与えるおそれがある。](薬物動態の項参照)
- HIVプロテアーゼ阻害剤を投与中の患者
[併用投与により、これらの薬剤の血中濃度が低下した(AUCの低下:インジナビル28%、サキナビル24%、リトナビル10%)との報告がある。](「相互作用」の項参照)
- CD4値が高く(女性:250/mm3以上、男性:400/mm3以上)、血漿中にHIV-1 RNAが検出される(概ね50copies/mL以上)患者あるいは抗レトロウイルス剤による治療経験がない患者(「重要な基本的注意」の項参照)
- 女性の患者(「重要な基本的注意」の項参照)
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
- 小児等(「小児等への投与」の項参照)
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重大な副作用
中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.81%)
- これらの重篤な発疹は本剤投与開始後概ね6週までに発現する場合が多いので、この期間は特に観察を十分に行い、重篤な発疹、又は以下の症状を伴う発疹が発現した場合には、本剤の投与を中止すること。また、このような患者には再投与しないこと。
- 発熱、水疱、口内病変、結膜炎、顔面や四肢等の腫脹、筋肉痛、関節痛、又は全身倦怠感
- なお、必要に応じ、専門医を受診させるなど適切な処置を行うこと。また、投与中止後も症状が増悪するおそれがあるので患者の状態を十分観察すること。
過敏症症候群(頻度不明)
- 初期症状として発疹、発熱がみられ、さらにリンパ節腫脹、肝機能障害、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状(薬剤性過敏症症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
肝炎(劇症肝炎を含む)、肝機能障害(AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-P、総ビリルビン等の上昇)、黄疸、肝不全(11.40%)
- 定期的、かつ必要に応じて検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
顆粒球減少、うつ病、幻覚、錯乱、脱水症、心筋梗塞、出血性食道潰瘍、全身痙攣、髄膜炎(3.77%)
- これらの症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー様症状(0.36%)
- アナフィラキシー様症状(発疹、蕁麻疹、血管浮腫等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
作用機序6〜8)
- ネビラピンは非ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害剤で、HIVのタイプ1(HIV-1)の逆転写酵素を阻害し、ウイルス増殖を阻害する。ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤とは作用様式が異なり、核酸とは競合せず、逆転写酵素の疎水ポケット部分に結合し、逆転写酵素の触媒活性を阻害する。HIV-2逆転写酵素やヒトDNAポリメラーゼの活性は阻害しない。また本薬はヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤に対して耐性を獲得したHIV-1の突然変異株に対しても有効であり、またヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤やHIV-1プロテアーゼ阻害剤と併用することにより、HIV-1逆転写酵素阻害に対する相加・相乗効果が認められた。
HIV-1増殖阻害作用(in vitro)6、9)
- ネビラピンはHIV-1増殖に伴うヒトT細胞株c8166の細胞変性及びCD4+HeLa細胞におけるプラーク形成を阻害し、そのIC50値はそれぞれ40nM及び15nMであった。
免疫系及び造血系に対する影響(in vitro)
- ネビラピンのヒトT細胞に対する細胞毒性作用9)、骨髄由来細胞の増殖抑制作用、免疫抑制作用は本薬の抗ウイルス作用に比べて極めて弱かった。
耐性及び交叉耐性(in vitro)6、10)
- ネビラピンの使用によりHIV-1の耐性株が発現する。この耐性は主にHIV-1の逆転写酵素の181番目及び(または)106番目のアミノ酸の変異による。
ネビラピン単独及びネビラピンとジドブジンの併用による治療を行った患者から単離したHIV-1では、治療開始直後からネビラピンに対する感受性の低下が観察され、8週間以内にすべての患者から単離したHIV-1に耐性及び変異が観察された。また、ネビラピン耐性患者から単離したHIV-1では、79%に逆転写酵素の181番目のアミノ酸に変異が認められ、それ以外にも103、106、108、188、190番目のアミノ酸に変異が認められた。一方、ネビラピンとジドブジンの両薬耐性患者から単離したHIV-1では、アミノ酸の変異パターンが異なり、181番目のアミノ酸に変異は認められず、103、106、188、190番目のアミノ酸に変異が認められた。ネビラピンとジドブジンの併用治療は、ネビラピン耐性株またはジドブジン耐性株の出現に影響を与えなかった。
ネビラピン+ジドブジンの2剤併用治療、ジダノシン+ジドブジンの2剤併用治療、ネビラピン+ジダノシン+ジドブジンの3剤併用治療を行った患者において、6カ月間薬物治療を行った後で血漿中からHIV-1を単離できた(HIV-1が増殖した)のは42%の患者であった。その内訳は、ネビラピン+ジドブジンが69%(11/16)、ジダノシン+ジドブジンが47%(9/19)、ネビラピン+ジダノシン+ジドブジンが21%(5/24)であり、3剤併用した方が2剤併用よりHIV-1の増殖が観察された割合は低かった。ネビラピン+ジドブジン群及びネビラピン+ジダノシン+ジドブジン群の患者でそれぞれ増殖し単離することができたHIV-1については、すべてネビラピンに対する耐性が認められた。ネビラピンに耐性を示したHIV-1では逆転写酵素アミノ酸にK103N、Y181Cの変異が最も多く共通して認められた。なお、ジドブジンに対する耐性を持ったHIV-1が単離できた割合は、ジダノシン+ジドブジン群よりネビラピン+ジドブジン群の方が低く、ネビラピン+ジダノシン+ジドブジン群では認められなかった。また、ジダノシンに対する耐性はいずれの投与群から単離できたHIV-1においても認められなかった。すなわち、HIV-1耐性株発現の進展は、ネビラピン単剤よりも2剤併用、2剤併用より3剤併用治療の方が遅らせることができた。なお、ネビラピン投与によるHIV-1逆転写酵素遺伝子変異とネビラピン感受性の臨床的相関は確立されていない。
ネビラピンと他の非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤との交叉耐性が観察されている。ネビラピンとヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤やHIV-1プロテアーゼ阻害剤とは作用部位が異なり、両者の間には交差耐性は生じにくい。ジドブジン耐性株に対してネビラピンは効果を示し、逆にネビラピン耐性株はジドブジンに対して感受性を持つことが観察されている。
有効成分に関する理化学的知見
分子式
分子量
性状
- ・白色の粉末で、においはない。
・アセトニトリル、メタノール又はエタノール(95)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
融点
分配係数
★リンクテーブル★
[★]
- 同
- nevirapine, NVP
- 商
- ビラミューン [[Viramune」」