ビクタルビ配合
Japanese Journal
- 新薬の紹介 抗ウイルス化学療法剤 ビクテグラビルナトリウム/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩配合剤(ビクタルビ配合錠)
- 中瀬 彩子
- 日本病院薬剤師会雑誌 = Journal of Japanese Society of Hospital Pharmacists 55(10), 1239-1241, 2019-10
- NAID 40022043451
- 新薬紹介委員会
- ファルマシア 55(10), 965-969, 2019
- 本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.<br>今回は,55巻6号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.<br>なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しま …
- NAID 130007722330
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- 通常、成人には1回1錠(ビクテグラビルとして50mg、エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル アラフェナミドとして25mgを含有)を1日1回経口投与する。 STR:single tablet regimen(1日1回1錠レジメン) ビクタルビ ® 配合錠添付 ...
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ビクタルビ配合錠
組成
有効成分・含量(1錠中)
- ビクテグラビルナトリウム52.5mg(ビクテグラビルとして50mg)、エムトリシタビン200mg及びテノホビル アラフェナミドフマル酸塩28mg(テノホビル アラフェナミドとして25mg)
添加物
- 結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、黒酸化鉄、三二酸化鉄、マクロゴール4000、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、タルク、酸化チタン
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 次の薬剤を投与中の患者:リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、ホスフェニトイン、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
(「相互作用」の項参照)
効能または効果
- 以下のいずれかのHIV-1感染症患者に使用すること。
- 抗HIV薬による治療経験がない患者
- ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前3ヵ月間以上においてウイルス学的抑制(HIV-1 RNA量が50copies/mL未満)が得られており、ビクテグラビル、エムトリシタビン又はテノホビルに対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される抗HIV薬既治療患者
- 本剤による治療に当たっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
- 通常、成人には1回1錠(ビクテグラビルとして50mg、エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル アラフェナミドとして25mgを含有)を1日1回経口投与する。
- 本剤はビクテグラビルナトリウム、エムトリシタビン及びテノホビル アラフェナミドフマル酸塩の3成分を含有した配合錠である。これらの成分を含む製剤と併用しないこと。また、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む製剤についても併用しないこと。
- 投与開始時に、クレアチニン・クリアランスが30mL/分以上であることを確認すること。本剤投与後、クレアチニン・クリアランスが30mL/分未満に低下した場合は、投与の中止を考慮すること。
慎重投与
- 重度の腎機能障害のある患者[エムトリシタビンの血中濃度が上昇する(「薬物動態」の項参照)。]
- 重度の肝機能障害のある患者[重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。]
重大な副作用
腎不全又は重度の腎機能障害
(頻度不明)
- 腎機能不全、腎不全、急性腎障害、近位腎尿細管機能障害、ファンコニー症候群、急性腎尿細管壊死、腎性尿崩症又は腎炎等の重度の腎機能障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行う等、観察を十分に行い、臨床検査値に異常が認められた場合には、投与を中止する等、適切な処置を行うこと。特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤が投与されている患者では注意すること。
乳酸アシドーシス
(頻度不明)
- 乳酸アシドーシスが現れることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
作用機序
- ビクテグラビル46-49):ビクテグラビルはインテグラーゼ阻害剤であり、インテグラーゼの活性部位と結合し、HIVの複製サイクルに必要なレトロウイルスDNAの組込み過程におけるDNA鎖のトランスファーを阻害する。
エムトリシタビン50-52):エムトリシタビンは、核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)であり、細胞内酵素によりリン酸化されエムトリシタビン5’-三リン酸となる。エムトリシタビン5’-三リン酸は、HIV逆転写酵素によるウイルスDNAへの取込みを介してHIV複製を阻害し、DNA鎖の伸長を停止させる。
テノホビル アラフェナミド20-22, 53-56):テノホビル アラフェナミドは、NRTIであり、テノホビルのプロドラッグである。テノホビル アラフェナミドは、PBMC及びマクロファージ中のカテプシンAにより加水分解を受けて細胞内にテノホビルを送達する。その後、細胞内でリン酸化を受け、テノホビル二リン酸となり、HIV逆転写酵素によるウイルスDNAへの取込みを介してHIV複製を阻害し、DNA鎖の伸長を停止させる。
抗ウイルス活性
- ビクテグラビル、エムトリシタビン及びテノホビル アラフェナミドを細胞培養系で評価した結果、相乗的な抗ウイルス活性が認められた。
ビクテグラビル46, 47, 57, 58):ヒトTリンパ芽球様細胞株、PBMC、単球/マクロファージ初代培養細胞及びCD4陽性Tリンパ球を用いて、HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するビクテグラビルの抗ウイルス活性を評価した。ビクテグラビルの50%効果濃度(EC50値)は0.05nmol/L未満〜6.6nmol/Lの範囲であった。野生型HIV-1に対するビクテグラビルのタンパク質補正EC95値は361nmol/L(0.162μg/mL)であった。HIV-1グループM、N及びO(サブタイプA〜Gを含む)に対するビクテグラビルのEC50値は0.05nmol/L未満〜1.71nmol/Lの範囲であった。HIV-2に対するEC50値は1.1nmol/Lであった。
エムトリシタビン59-61):ヒトTリンパ芽球様細胞株、MAGI-CCR5細胞株及びPBMCを用いて、HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するエムトリシタビンの抗ウイルス活性を評価した。エムトリシタビンのEC50値は0.0013〜0.64μmol/Lの範囲であった。HIV-1サブタイプA〜Gに対するエムトリシタビンのEC50値は0.007〜0.075μmol/Lの範囲であった。HIV-2に対するEC50値は0.007〜1.5μmol/Lの範囲であった。
テノホビル アラフェナミド62):ヒトTリンパ芽球様細胞株、PBMC、単球/マクロファージ初代培養細胞及びCD4陽性Tリンパ球を用いて、HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するテノホビル アラフェナミドの抗ウイルス活性を評価した。テノホビル アラフェナミドのEC50値は2.0〜14.7nmol/Lの範囲であった。HIV-1グループM、N及びO(サブタイプA〜Gを含む)に対するテノホビル アラフェナミドのEC50値は0.10〜12.0nmol/Lの範囲であった。HIV-2に対するEC50値は0.91〜2.63nmol/Lの範囲であった。
薬剤耐性
In vitro試験
- ビクテグラビル63, 64):ビクテグラビルに対する感受性が低下したHIV-1株では、M50I、R263K及びS153F変異が認められた。
エムトリシタビン65):エムトリシタビンに対する感受性の低下は、HIV-1逆転写酵素のM184V/I変異と関連が認められた。
テノホビル アラフェナミド66):テノホビル アラフェナミドに対する感受性が低下したHIV-1分離株では、K65R変異が発現しており、K70E変異も一過性に認められた。
臨床試験
- 抗HIV薬による治療経験のないHIV-1感染症患者:1489試験及び1490試験の併合解析では、ウイルス学的失敗と判定された時点、投与48週後又は早期に試験中止となった時点のHIV-1 RNA量が200copies/mL以上であった8例の遺伝子型及び表現型解析において、新たな耐性変異の発現は認められなかった。
抗HIV薬による治療経験があり、ウイルス学的に抑制されているHIV-1感染症患者:1878試験では、ウイルス学的失敗と判定された時点、投与48週後又は早期に試験中止となった時点のHIV-1 RNA量が200copies/mL以上であった1例の遺伝子型及び表現型解析において、新たな耐性変異の発現は認められなかった。
交差耐性
- ビクテグラビル67, 68):G140A/C/S及びQ148H/R/Kの両変異を有するHIV-1株(14株)は、ビクテグラビルに対する感受性が2.5倍を超えて低下した。これら14株のうち9株では、さらにL74M、T97A又はE138A/Kの変異が認められた。また、G118R及びT97A+G118Rの部位特異的変異を導入したHIV-1株では、ビクテグラビルに対する感受性がそれぞれ3.4倍及び2.8倍に低下した。INSTI耐性関連変異(E92Q、T97A、Y143C/R、Q148R、N155H等)を有するHIV-1株では、ビクテグラビルに対する感受性が2倍未満に低下した。
エムトリシタビン69, 70):M184V/I変異を有するエムトリシタビン耐性株はラミブジンに対する交差耐性を示した。また、アバカビル、ジダノシン及びテノホビルの投与により出現したK65R変異を有するHIV-1株は、エムトリシタビンに対する感受性の低下を示した。
テノホビル アラフェナミド71, 72):K65R及びK70E変異を持つHIV-1株は、アバカビル、ジダノシン、ラミブジン、エムトリシタビン及びテノホビルに対する感受性の低下を示したが、ジドブジンに対する感受性を維持した。T69S二重挿入変異又はK65Rを含むQ151M複合変異を持ち、NRTIに多剤耐性を示すHIV-1は、テノホビル アラフェナミドに対する感受性の低下を示した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ビクテグラビルナトリウム
Bictegravir sodium(JAN)
化学名
- Monosodium(2R,5S,13aR)-7,9-dioxo-10-{[(2,4,6-trifluorophenyl)methyl]carbamoyl}-2,3,4,5,7,9,13,13a-octahydro-2,5-methanopyrido[1',2':4,5]pyrazino[2,1-b][1,3]oxazepin-8-olate
分子式
分子量
性状
溶解性
- 酢酸に溶けやすく、N-メチルピロリジノンにやや溶けにくく、ジメチルスルホキシドに溶けにくく、水(pH8.8)又はメタノールに極めて溶けにくく、水(pH1.8-7.8)、エタノール又はジクロロメタンにほとんど溶けない。
融点
分配係数
- Log P=1.45(1-オクタノール/pH6.0の緩衝液)
一般名
- エムトリシタビン
Emtricitabine(JAN)
化学名
- 4-Amino-5-fluoro-1-[(2R,5S)-2-(hydroxymethyl)-1,3-oxathiolan-5-yl]pyrimidin-2(1H)-one
分子式
分子量
性状
溶解性
- 水、メタノールに溶けやすく、アセトニトリルに溶けにくく、酢酸イソプロピルに極めて溶けにくい。
融点
分配係数
一般名
- テノホビル アラフェナミドフマル酸塩
Tenofovir alafenamide fumarate(JAN)
化学名
- 1-Methylethyl N-[(S)-{[(1R)-2-(6-amino-9H-purin-9-yl)-1-methylethoxy]methyl}phenoxyphosphinoyl]-L-alaninate hemifumarate
分子式
分子量
性状
溶解性
- メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、水又は2-プロパノールにやや溶けにくく、アセトニトリル又はアセトンに溶けにくく、トルエンに極めて溶けにくい。
融点
分配係数
- Log P=1.6(1-オクタノール/pH7のリン酸塩緩衝液)
★リンクテーブル★
[★]
商品名
ビクタルビ配合
会社名
ギリアド・サイエンシズ
成分
薬効分類
エイズ
薬効
HIV-1感染症を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤
【希少疾病用医薬品】
[★]
- 英
- building
- 関
- 建物