- 英
- soysterol
- 商
- トコオール
- 関
- 大豆油不鹸化物、高脂血症用剤
- 植物ステロールで高脂血症の治療に用いられるらしい。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/01/04 23:27:08」(JST)
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フィトステロール (英: phytosterol) または植物ステロール(しょくぶつステロール、英: plant sterol)はステロール(ステロイドアルコール)に分類される一群の化合物で、植物に含まれるフィトケミカルの一種である。特有の臭気のある白色固体で、水に溶けないがアルコールには可溶である。食品添加物、医薬品、あるいは化粧品として多様な用途を持つ。
目次
- 1 構造
- 2 利用
- 2.1 植物組織
- 2.2 有機物の検出
- 2.3 混ぜ物の検出
- 2.4 コレステロールの低減
- 3 参考文献
- 4 外部リンク
構造
- β-シトステロール(スチグマスタ-5-エン-3β-オール)は図に示した構造を持つ。これはコレステロールの24位に炭素が2つ加えられた形である。
- β-シトステロールから242位の炭素を取り除くとカンペステロール(カンペスタ-5-エン-3β-オール)になる。
- 一方22位と23位の水素原子を取り除き、C=C二重結合とするとスティグマステロール((22E)-スチグマスタ-5,22-ジエン-3β-オール)となる。
- 242位の炭素および22位と23位の水素原子を取り除けばブラシカステロール((22E)-エルゴスタ-5,22-ジエン-3β-オール)である。
利用
植物組織
植物には様々なフィトステロール類が含まれており、それらは細胞膜の構成要素である。哺乳動物ではコレステロールが同様な役割を果たす。
有機物の検出
陸生植物体には存在するが単細胞の藻類にはほとんどみられないことから、β-シトステロールはサンプル中に含まれる陸生植物由来の有機物の量を示す生物マーカーとして利用することができる。ステロールは一般に水に不溶であるから、懸濁液または沈殿として分離する。粒径の及ぼす表面効果のため、泥は砂などのより細かい堆積物よりも沈みやすい。この影響を避ける目的で、全ステロール量に対する各種ステロールもしくはコレステロール量の比が土壌有機物量の指標として用いられる。
混ぜ物の検出
ブラシカステロールが存在するということは、α-リノレン酸やエルカ酸など補助的な化合物と共に、大豆油やヒマワリ油に菜種油が混入していることを示す。大豆油・ヒマワリ油にはブラシカステロールは含まれないが、菜種油にはおよそ1400mg/kgほど含有されるので、添加された菜種油の量を計算することができる[1]。
コレステロールの低減
コレステロールが摂取量の40%以上が小腸から吸収されるのに対し、植物ステロールは吸収率が5%以下でありコレステロール吸収を阻害する[2]。食品の成分や添加物として、フィトステロールはコレステロールを減少させる(腸でのコレステロール吸収を抑える)作用を持つとされ[3]、また、がんの予防に効果がある可能性があるとされる。フィトステロールは天然には植物油中、特にシーバックソーン油 (1640mg/100g)[4] や大豆油 (327mg/100g)[5] に存在する。植物油から取り出されるフィトステロール混合物としてコレスタチン (cholestatin) が知られる。これはβ-シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール(英: Stigmasterol)、ブラシカステロールからなり、サプリメントとして販売されている。ステロールはヒトのコレステロールを最大15%減少させるとされている。
フィトステロールがコレステロールを減少させる作用は、消化器中のミセルにコレステロールが取り込まれるのを防ぎ、その吸収量を減らすことによっておこる。これにより血中のコレステロール濃度やLDL濃度の低下を助ける[6]。こんにち、コレステロールを減らしたい人向けに、マーガリン、バターなどのスプレッドやシリアル食品にフィトステロールを添加したものが販売されている。
ただしシトステロール血症と呼ばれる極めて稀な遺伝性代謝疾患のあるヒトは植物ステロールを添加した食品を避けたほうが良い。なぜならばこの疾患をもつヒトは植物ステロールの吸収率が高く、早期のアテローム性動脈硬化症と心臓病を引き起こす可能性があるためである。もっとも2011年現在、世界中で報告されているシトステロール血症例はわずか45例で、その全ては厳密な医療監視下にある[7]。
参考文献
- ^ [1]
- ^ http://www.fdsc.or.jp/AnnualReport/AR27/AR27_49_60Naito.pdf
- ^ Ostlund, R. E.; Racette, S. B.; Stenson, W. F. (2003). "Inhibition of cholesterol absorption by phytosterol-replete wheat germ compared with phytosterol-depleted wheat germ". Am. J. Clin. Nutr. 77 (6): 1385–1589.
- ^ Li, T. S. C.; Beveridge, T. H. J.; Drover, J. C. G. (2007). "Phytosterol content of sea buckthorn (Hippophae rhamnoides L.) seed oil: Extraction and identification". Food Chem. 101 (4): 1633–1639. doi:10.1016/j.foodchem.2006.04.033
- ^ The Marketing Edge: Phytosterols Qualisoy
- ^ VWY Lau, M Journoud, PJH Jones (2005). "Plant sterols are efficacious in lowering plasma LDL and non-HDL cholesterol in hypercholesterolemic type 2 diabetic and nondiabetic persons". Am. J. Clin. Nutr. 81 (6): 1351-1358.
- ^ オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)、植物ステロールについてのファクトシートを公表 食品安全委員会、2011年11月28日
外部リンク
- 植物ステロール - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- 植物ステロールの啓発 (植物ステロール研究会)
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Japanese Journal
- 72)ソイステロールの高リポ蛋白質血症におよぼす効果 : 日本循環器学会第36回中国・四国地方会
- 半田 洋治,尾崎 正治,岡部 光久,部坂 浩二,池園 徹,高橋 徹郎,狩野 稔久,大田 宣弘,武田 勇
- Japanese circulation journal 46(SupplementI), 202, 1982-06-01
- NAID 110002577184
Related Links
- 【ソイステロール】大豆油不鹸化物のこと。腸管でのコレステロールの吸収を抑制する ことにより、高コレステロール改善作用を示し、高コレステロール改善薬に配合される。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
組成
有効成分(1カプセル中)
添加物
- (カプセル内容物)ダイズ油
- (カプセル本体)ゼラチン、グリセリン、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、黄色5号
効能または効果
- 高コレステロール血症
- 通常、成人には大豆油不けん化物として1日1,200mg(6カプセル)を3回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
薬効薬理
- コレステロール負荷試験(ヒヨコ及びネズミ)で、植物ステロールを投与することにより、血漿及び肝臓のコレステロール値の低下が認められている。
- コレステロール負荷試験(ラット)で、大豆油不けん化物中のトコフェロールは大豆油ステロールによる血漿コレステロールの減少効果を増強することが認められている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- 大豆油不けん化物(Unsaponifiable Matter of Soybean Oil)
植物ステロール40.0?50.0%及び天然トコフェロール18.0?22.0%を含む。
性 状
- ・褐色で、室温で不透明な半固体、約80℃以上で半透明な油状の液体となる。
- ・特異なにおいがあり、わずかに甘味を有する特異な味がある。
- ・クロロホルムに極めて溶けやすく、ジエチルエーテルに溶けやすく、アセトンに溶けにくく、エタノール(95)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
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