出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/02/16 20:10:34」(JST)
サイボーグ(cyborg)は、サイバネティック・オーガニズム(Cybernetic Organism)の略で、広義の意味では生命体(organ)と自動制御系の技術(cybernetic)を融合させたものを指す。具体例として、人工臓器などの人工物を身体に埋め込むなど、身体の機能を電子機器をはじめとした人工物に代替させたものがある。日本では漫画『サイボーグ009』の出版以降、一般に知られるようになったため、人間や動物が身体機能の補助や強化を行った場合を言うことが多い。
アメリカ合衆国の医学者、マンフレッド・クラインズとネイザン・S・クラインらが1960年に提唱した概念[要出典]。当初は人類の宇宙進出と結び付けて考案されたものである[要出典]。また、この提唱よりも前にSF小説でこのアイディアは使用されていた。
小説や映画ではアンドロイドとの区別が曖昧である場合が多い。アンドロイドとは、人間の姿形によく似せた「人間型ロボット」である。例えば映画『ロボコップ』は人間をベースに改造したためサイボーグであるがアンドロイドではない。しかし映画『ターミネーター』は生体部品として人間の皮膚組織を持つのでサイボーグでもありアンドロイドでもある。
現在、サイボーグ技術と呼ぶことができて、程度の差こそあれ実用化に達しているものには、ペースメーカーや人工心臓、筋電義手、人工内耳、人工眼(眼球・網膜・視神経などの代替)などが挙げられる。
近年、この分野はめざましい発展を遂げており、従来SFの中でしか語られて来なかった各種のサイボーグ技術が現実の物となりつつある。筋電の信号を読み取ることで義手を使用者の意のままに動かしたり、義手に取り付けた圧力センサの情報を逆に神経へ送り返して感覚を取り戻したりする筋電義手などの技術は、すでに実用段階に入りつつある[1][2]。
また、脳へ直接電極を差し込み、聴覚・視覚の情報を直接脳へ送り込んだり[3]、脳へ部分的に電気刺激を送りパーキンソン病等の症状を和らげたり[4]、うつ病を治療したり[5]する技術(脳深部刺激療法)も発達しつつある。
主に、失われた四肢や臓器・感覚器の機能を代替・回復させるために用いられる。代表的なものには、義肢や人工関節のほか、人工臓器である人工内耳、人工網膜、人工腎臓、人工心臓などが挙げられる。手足の震えを和らげたり、うつ病の治療に用いられる脳深部刺激療法もこれに含まれる。人工臓器のうち、古くからあるものには義歯や眼鏡のような単純な器具もあるが、サイボーグの場合は何らかの機構を持つ部品を人体に取り付けるという意味合いから、単なる器物(単体では機能しない)である義歯・眼鏡などはサイボーグの範疇からは外される。
健常者に用い、人間本来の機能を強化するために用いられる。代表的な物には、パワードスーツ(人工外骨格)、追加四肢(3本目、4本目の手足)、追加感覚器(より鋭敏な感覚が得られたり、後方や遠隔地の情報が得られる目鼻)など。
機能追加を目的とする埋め込み型の機器に関しては、RFIDに代表されるID機能(カルテ・クレジットカードなど)の無線通信機能を持ったカプセル状機器の埋め込みが実際に行われているが、さらにブレイン・マシン・インタフェースのような、現在は道具を手などで操作しているものを直接的に身体の一部のように扱えるようにするなどの利便性を高めるものまでもが想定され、一部には以下に述べる非侵襲型のインターフェイスを備えた装置も開発・利用されている。
人体の外部に取り付けて動作するタイプ。取り外し可能な義手や義足、パワードスーツなど。侵襲型のような危険性がないため、比較的実用化しやすく、倫理面での問題もクリアしやすい。
人体の内部に埋め込まれて動作するタイプ。人工心臓やペースメーカー、人工眼球、人工内耳、脳深部刺激療法など。これらのタイプは、故障や誤動作の際に使用者に危険が及ばないように、十分な対策を取る必要がある。このタイプのものをインプラントと呼ぶことがある[6]。装置の接続のために人為的に人体を傷つける(侵襲)ため、感染や拒絶反応を起こす危険があり、技術的課題や倫理的問題が多い。
組織生体工学の発達により、生体の失った、あるいは弱体化した機能を補完するために、身体に機械を組み込んだ人間は今後とも増えるとみられるが、これはさまざまな危険性を抱えている。生体内の異物は感染のリスクが高く、一度感染すると重症化しやすく治癒しにくい。さらに、機械には自己修復性がなく、故障時は致命的事態になりかねないなどの問題があるからである。
また、脳刺激療法では患者の本来の性格を変えてしまいかねないという倫理的問題もある。素材そのものに対する危険性も否定できない。現段階では体内インプラントRFIDチップに発ガンの危険性が指摘されている。[7]
これらの技術は人間の尊厳を犯す可能性が指摘されており、研究者達は倫理的な面でも議論を進めている[6]。
アメリカ合衆国では、サイボーグ技術の軍事利用への研究もDARPAを中心にして活発に行われている[6]。兵士の身体能力を大きく強化する、戦闘において手足を失った兵士に義手義足を適用することで素早い戦場復帰を可能とする、ブレイン・マシン・インタフェースの導入により戦闘機パイロットの脳と戦闘機のコントロール機能を接続することで、反応速度の向上を図る、などが考えられている。
他にも、小動物の脳を制御し、遠隔操作で偵察・自爆を行わせたりする動物兵器への応用や、ブレイン・マシン・インタフェースによる無人航空機・無人戦車などの無人兵器(軍事ロボット)を遠隔制御する、などの研究も進められている[6]。
フィクション作品(サイエンス・フィクション)ではしばしば好まれて用いられる概念のひとつである。日本では「サイボーグ009」など人間としてのアイデンティティを持った改造人間がほとんどだが、欧米では「ターミネーター」など生体の一部を単純な部品として使用したアンドロイドというようなキャラクターもサイボーグとして存在している。
こういったフィクション作品では単に「超人」を登場させるための理由付けである場合も多いが、「人間性の喪失」のほか「最新技術と人間の調和」という現代的な文学的・社会的テーマを「人間なのか、機械なのか」と言う極端な形で提示できることから、物語の主要テーマに関わる形で取り扱われることも又多い。
ただ前述のロボコップも作中では「死亡した人間の臓器の一部を流用したロボット(人権を持たない装置)」として、またターミネーターも『ターミネーター2』で学習にもより人間らしさを獲得していく途上が描かれるなど、この境界が持つ曖昧性を作中のエッセンスとして強調する作品も見られる。
ことさら航空機などの乗り物は、腕や脚のある動物や人間型の機械よりも構造が単純なため、乗り物などの機械装置を直接脳からの信号で操作しようと言う構想は、しばしば小説や映画などに見られる。
映画『ファイヤーフォックス』では上記のブレイン・マシン・インタフェース技術によりパイロットと機体を接続し、手足を使うことなくパイロットの思考で操縦や機器の操作ができる新型戦闘機が登場する。これはパイロットの肉体を機械化したり侵襲機器を着けているわけではないので、サイボーグと呼べるかは疑問であるが、その技術はサイボーグの基礎的なものであろう。
また、タイトーのゲーム『レイフォース』シリーズでは「サイバネティック・リンク・システム(略称C.L.S)」と呼ばれる技術が登場する。これはサイボーグの究極形とも言うべきもので、脳だけを攻撃機に組み込み、反応速度や加速、旋回の際の慣性力の問題を解決している。ただ、作品中においても、上述のように倫理面の問題が指摘されている。同様の技術が映画『ロボコップ2』にも登場している。また、テレビアニメ『UFOロボ グレンダイザー』では敵であるベガ星人は、捕縛した他の惑星人を同様の技術を使って惑星侵略の尖兵としている(桜多吾作版では地球侵略用の「円盤獣」にはフリード星人の脳が組み込まれている)。
これらの楽曲が演奏された『Requiem et Reminiscence』、『Requiem et ReminiscenceⅡ』に登場するプロト、ゼロが第二次世界大戦中のナチス武装親衛隊第2SS装甲師団ダス・ライヒ内の架空の部隊「特務師団:第四独立遊撃部隊」に所属するサイボーグ兵士という設定
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