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エンバク | |||||||||||||||||||||
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エンバクの小穂
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Avena sativa L. | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
エンバク(燕麦) | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Oat |
エンバク(燕麦、学名:Avena sativa)はイネ科カラスムギ属の穀物。一年草。別名、オートムギ、オーツ麦、オート、マカラスムギ。また、同属の野生種 A. fatua と同名でカラスムギとも呼ばれる。
目次
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稈長は 60 - 150 cm となり、止葉の上の節間が長い[1]。葉は幅広く、葉耳を欠く[1]。穂長は 20 - 25 cm 程度で、穂型は一般的には散穂型であるが、片穂型の品種もある[1]。1個の小穂は2個の苞頴を有し、小花 1 - 4 を包む[1]。
栽培は秋蒔きと春蒔きとに分かれる。ライムギと異なり、エンバクは冷涼を好むものの耐寒性は高くないため、寒冷地では凍害を受け冬を越せないことが多い。そのため、温暖な土地では秋蒔き、寒冷地では春蒔きを行うことが通例である。
コムギやオオムギ畑の雑草であった雑草型エンバクが約 5,000 年前中央ヨーロッパで作物となった[2]。初期鉄器時代に本格的に栽培されるようになり、厳しい気候の北ヨーロッパで作物のエンマーコムギに置き換わって栽培されるようになってから、栽培型の普通エンバクが成立した[2]。このような成立過程によりヴァヴィロフは二次作物と分類している[2]。
また、裸性栽培型エンバクの起源は中国山岳地域と考えられている[2]。
中世ヨーロッパにおいて三圃式農業が成立すると、エンバクはオオムギとともに1年目の春耕地に蒔かれ、主に飼料用として利用された。以後も19世紀にいたるまで、利用は馬の飼料用が中心であり、主に食用とするのはスコットランドなどいくつかの地域に限られていた。北アメリカ大陸には17世紀にはすでに移入されていたものの、スコットランド移民中心の地域を除き食用とはされていなかった。18世紀に入ると気候の寒冷化と人口増加により食生活に変化が起き、スコットランドでは肉の消費量の急減と軌を一にしてエンバクの消費量が急増した。エンバクの薬効は古くから知られていたものの、19世紀まではアメリカの料理本にはオートミールはほとんど載っていないほどであったが、1870年代にエンバクを工業的にフレーク化する技術が開発されると、食品会社がオートミールの大量生産に乗り出し、19世紀末以降アメリカ中に急速に普及した。[3]
エンバクの生産量上位10ヶ国 — 2005年 (100万トン) |
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ロシア | 5.1 |
カナダ | 3.3 |
アメリカ合衆国 | 1.7 |
ポーランド | 1.3 |
フィンランド | 1.2 |
オーストラリア | 1.1 |
ドイツ | 1.0 |
ベラルーシ | 0.8 |
中国 | 0.8 |
ウクライナ | 0.8 |
世界総生産量 | 24.6 |
Source: FAO | |
2005年の全世界生産は2460万トンで、小麦、稲、トウモロコシ、大麦、ソルガムについで6番目に生産高の多い穀物である。世界で最も生産高が多いのはロシアで510万トンとなっており、以下カナダ330万トン、アメリカ170万トン、ポーランド130万トン、フィンランド120万トンと続く。冷涼で湿潤な夏の気候に適応しているため、高緯度地帯で多く生産される。
現在はロシアを除いてどの主要生産国でも生産量は減少を続けており、1965年から1994年までの間に生産量は世界全体で23%、作付面積は27%も減少した。生産減少の理由としては、大豆やトウモロコシとの競合による飼料用需要の減少などがあげられる[4]。
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価 | |
エネルギー | 1,628 kJ (389 kcal) |
炭水化物 | 66.3 g |
- 食物繊維 | 10.6 g |
脂肪 | 6.9 g |
タンパク質 | 16.9 g |
パントテン酸(ビタミンB5) | 1.3 mg (26%) |
葉酸(ビタミンB9) | 56 μg (14%) |
カルシウム | 54 mg (5%) |
鉄分 | 5 mg (40%) |
マグネシウム | 177 mg (48%) |
β-glucan (soluble fiber) | 4 g |
%はアメリカにおける成人向けの 栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
種子は飼料または食用として、また、藁は飼料として利用される。畑で生育中のエンバクをそのまま土壌に鋤きこみ、緑肥としても利用される。緑肥として用いられるエンバクのうち、野生種エンバクとよばれるものはセイヨウチャヒキ(Avena strigosa)であり、ネグサレセンチュウなど土壌病害虫を防除する手段として栽培され、コンパニオンプランツやバンカープランツとしても利用される。
食用とする場合、エンバクは利用しやすいよう押し麦や引き割り麦とするか、製粉される。脱穀し乾燥させて粒としたあと、加熱してローラーをかけるとフレーク(ロールドオーツ)となる。エンバク粉にする場合、粒としたあと、加熱して製粉をおこなう。この粉をふるいにかけ、エンバク粉とフスマ(オートブラン)とに分けて、どちらも食用とする。[5]
穀物食品の中ではミネラル・タンパク質・食物繊維を最も豊かに含むが、ビスケットなどには使われるものの、グルテンを持たないため小麦ほどパンの原料には向かない。 粗挽きもしくは圧扁したもの(オートミール)を水や牛乳などで炊いたポリッジは、代表的朝食用シリアルである。またビールやウィスキーの材料としても使われる。また、エンバクのフスマをオートブランと呼び、欧米では水溶性食物繊維の代表格として健康食品となっている。また、オートミールに玄米や麦などを混ぜ、蜂蜜や油を混ぜて焼き、さらにドライフルーツを混ぜてできあがったものがグラノーラであり、フレーク状で食される。またそれを固めて棒状にしたグラノーラ・バーもおやつや健康食品として市販されている。また、ふやかしたオートミールに果物やナッツを混ぜたミューズリーもシリアル食品となっている。
エンバクの新芽を食べる猫がいることから、飼い猫用に猫草栽培キットとして、またはすでに10数cm程発育したものがペットショップやDIYショップなどで売られている事もある。[6]
また最近ではカドミウムをはじめとする重金属の吸着にすぐれている性質を利用して、稲やソルガム(モロコシ)とともにカドミウムによる土壌汚染の修復(バイオレメディエーション)に利用される。
日本には明治時代初期に導入され、特に北海道において栽培された。日本での利用は馬の飼料、特に軍馬の飼料として栽培が奨励されたため、戦前には栽培面積が10万ヘクタールを割り込むことはなく、特に第二次世界大戦中の1940年から1944年にかけては131080ヘクタールを数え最高を記録したが、戦後は栽培面積が激減した。[7]
人間の食用とされる例は少ない。その数少ない例として、昭和天皇の洋食タイプの朝食にはいつもオートミールが供されており[8]、映画『日本のいちばん長い日』によると、1945年8月15日の朝食もオートミールであり、思いのほか質素な食事であると作中で言及されている。
現在、日本においては北海道で生産されており、国内向けのオートミール用に出荷されている。ほかに日本各地で栽培はおこなわれているが、輪作の一環として飼料用や緑肥用とされるのがほとんどであり、食用としての収穫はほぼなされていない。
イングランドでは小麦は食用、燕麦は飼料用のイメージが強かった。一方でその北にあるスコットランドにおいては、エンバクは主食としての地位を確立していた。
スコットランド人嫌いの詩人・批評家サミュエル・ジョンソンが同時代の辞書に残した燕麦の有名な定義がある。
Oats : A grain, which in England is generally given to horses, but in Scotland appears to support the people. (Samuel Johnson, 1755, A Dictionary of the English Language)
- 訳:燕麦 穀物の一種であり、イングランドでは馬を養い、スコットランドでは人を養う
これにはスコットランド人も激怒し、サミュエル・ジョンソンの弟子でもあったジェイムズ・ボズウェルはお返しに、ユーモアを込めて次のように反論したという。
Which is why England is known for its horses and Scotland for its men.
- 訳:それ故に、イングランドはその産する馬によって名高く、スコットランドは人材において名高い
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リンク元 | 「Avena sativa」「オートムギ」「カラスムギ」「マカラスムギ」 |
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