- ラ
- Nostoc commune
- 関
- ノストック・コミュン
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/17 05:12:41」(JST)
[Wiki ja表示]
イシクラゲ |
イシクラゲ
|
分類 |
ドメ
イン |
: |
真正細菌 Bacteria |
門 |
: |
藍色細菌 Cyanobacteria |
目 |
: |
ネンジュモ目 Nostocales |
科 |
: |
ネンジュモ科 Nostocaceae |
属 |
: |
ネンジュモ属 Nostoc |
種 |
: |
イシクラゲ
Nostoc commune |
|
学名 |
Nostoc commune Vauch. |
イシクラゲ(学名:Nostoc commune)は、ネンジュモ属に属する陸棲藍藻の一種で、食用にされることもある。
同じ名を持つきのこのイシクラゲは子嚢菌門に属する別種の生物である。
概要
世界各地の裸地の土の上に生育し、寒天状の群体を形成する。群体の寒天質の基質の中に細胞が1列に連なり数珠状の細胞糸が埋もれている。ネンジュモ(念珠藻)の名称はこの細胞糸の形態に由来する。なお、この細胞列には通常の細胞より一回り大きく、窒素固定をするために分化した異型細胞(ヘテロシスト)を交える。イシクラゲに近縁なネンジュモ属の食用藻に清流の浅瀬の石や草に付着するアシツキ(カワタケ)(Nostoc verrucosum)や、北方ユーラシアの乾燥した草原地帯の地表に生育する変種の髪菜(Nostoc commune var. flagelliforme、はっさい)が知られている。
日本では、北海道、本州、四国、九州に広く分布する[1]。庭先や道ばたなど様々な裸地の地表、コンクリート面などで見られ、雨が降った後に藍緑色寒天質の膨潤した群体が突然目立つようになる。乾燥状態では地面にへばりついた黒いかさぶたのように見え、手で揉めば小片-粉末状に壊れる。
イシクラゲは休眠胞子(アキネート)を分化せず、乾燥状態で無代謝状態となり生命を維持する能力(クリプトビオシス)を示すことが知られている[2]。100年以上乾燥状態で保存されていた標本を培養液にひたすと増殖しはじめたという報告がある[3][4]。乾燥したイシクラゲのコロニーにはトレハロースが蓄積しており[5]、細胞外多糖とともに極限的な乾燥耐性に深く関わっていると考えられている[6]。
15世紀の錬金術師 パラケルススがNostrhylとNasenloch(ともに「鼻孔」を意味する古い英語と独語)から造語をつくり「Nostoch」と名付け、これがNostocという属名の由来である[7]。
利用
日本で古来から食用にもされ、付着した土や枯れ葉などを丁寧に除去して湯通しし、酢の物などにして食べる[8]。別名はイワキクラゲ(岩キクラゲ)や姉川クラゲ(滋賀県姉川に因む)。沖縄県ではモーアーサ(毛アオサ・毛は芝生の意)、ハタカサ(畑アオサ)などと呼ばれる。
中国では変種で細長い髪菜(はっさい)が煮込み料理の素材として珍重されてきた。主に、「発財」(財を成す)との語呂合わせによるものであるが、乱獲が環境破壊を進めるとして、2000年に採取や輸出が禁止された。また、本種は葛天米、或いは天仙菜と呼ばれて古くは漢方で生薬として用いられた事もあり、試験管レベルで抗腫瘍作用や抗ウイルス作用も確認されている。
外部リンク
脚注
- ^ Arima H et al. (2012) Molecular genetic and chemotaxonomic characterization of the terrestrial cyanobacterium Nostoc commune and its neighboring species. FEMS Microbiol Ecol 79:34-45.
- ^ 光合成の科学 (2007) 東京大学光合成教育研究会編 東京大学出版会 など
- ^ Lipman CB (1941) The successful revival of Nostoc commune from a herbarium specimen eighty-seven years old. Bull Torr Bot Club 68: 664-666.
- ^ Cameron RE (1962) Species of Nostoc vaucher occurring in the Sonoran Desert in Arizona. Trans Amer Microsc Soc 81: 379-384.
- ^ Sakamoto T et al. (2009) Accumulation of trehalose in response to desiccation and salt stress in the terrestrial cyanobacterium Nostoc commune. Phycological Res 57: 66-73.
- ^ Tamaru Y et al. (2005) Crucial role of extracellular polysaccharides in desiccation and freezing tolerance in the terrestrial cyanobacterium Nostoc commune. Appl Environ Microbiol 71: 7327-7333.
- ^ Potts M (2000) Nostoc. The Ecology of Cyanobacteria. (Whitton BA & Potts M, eds), pp. 465-504. Kluwer Academic Publishers, Netherlands.
- ^ 加藤真也 (2010) 「日本の山菜100」栃の葉書房
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 実験/観察のページ 失敗しないイシクラゲ(ネンジュモ)の観察
- Percoll密度勾配を用いた遠心分離によるイシクラゲの細胞外多糖(EPS)除去細胞の単離法
- 小杉 真貴子,菓子野 康浩,工藤 栄 [他],伊村 智
- 南極資料 56(3), 285-293, 2012-11-30
- … 陸生ラン色細菌のイシクラゲ(Nostoc commune)は南極や日本にも生育する汎存種である.イシクラゲの細胞の周りに存在する細胞外多糖(EPS)は,水分保持や細胞の保護に役立つと共に遮光性物質を蓄積しており,これが苛酷な環境への適応に重要な役割を果たしていると考えられている.南極産の貴重なイシクラゲを材料にしてこの仮説を検証するためには,EPSを除去した細胞を高収率で回収 …
- NAID 110009573541
- 陸生藍藻イシクラゲNostoc communeによる土壌からのセシウムの吸収・蓄積の可能性
Related Links
- 4 4.藍藻が葉緑体の起源(共生説) イシクラゲの属する藍藻は,真核生物の葉緑体の元となった生物であると考えられている。 その根拠であるが,まず,単細胞性の藍藻には,葉緑体の大きさとほぼ同じ大きさの種類が
- その正体は、動物でもなく、植物でもなく、鉱物でもなく、クラゲでもない、イシクラゲ です。 ド・アップで、中味を透かして見たイシクラゲです。粒々が連なった様子が、念珠に似ているので、念珠藻と呼ばれて、藍藻 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
イシクラゲ、((学名))ストック・コミュン
[★]
- ラ
- Nostoc commune
- 関
- イシクラゲ
[★]
- 英
- jellyfish、medusa、medusae、jelly fish