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- anthraquinone
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9,10-アントラキノン |
|
|
IUPAC名
アントラキノン(許容慣用名)
アントラセン-9,10-ジオン(系統名)
|
別称
9,10-anthracenedione, anthradione, 9,10-anthrachinon, anthracene-9,10-quinone, 9,10-dihydro-9,10-dioxoanthracene, Hoelite, Morkit, Corbit
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
84-65-1 |
ChemSpider |
6522 |
日化辞番号 |
J294A |
KEGG |
C16207 |
ChEMBL |
CHEMBL55659 |
- O=C1c2ccccc2C(=O)c3ccccc13
|
特性 |
化学式 |
C14H8O2 |
モル質量 |
208.21 g mol−1 |
外観 |
黄色固体 |
密度 |
1.308 g/cm3 |
相対蒸気密度 |
7.16 |
融点 |
286 °C
|
沸点 |
379.8 °C
|
水への溶解度 |
不溶 |
危険性 |
Rフレーズ |
R36/37/38 |
引火点 |
185°C |
関連する物質 |
関連物質 |
キノン、
アントラセン |
出典 |
ICSC |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
アントラキノン (anthraquinone) は芳香族に属する有機化合物で、アントラセンの誘導体である。黄色から薄い灰色、もしくは緑がかった灰色をしており、結晶性の粉末である。IUPAC系統名はアントラセン-9,10-ジオン anthracene-9,10-dione だが、別名として9,10-アントラセンジオン、アントラジオン、アントラセン-9,10-キノンなどがある。
水やアルコールには不溶であるが、ニトロベンゼンやアニリンには可溶である。通常の条件下で、化学的に極めて安定である。
アロエやセンナ、ダイオウやカスカラといった、ある種の植物に含まれている。また菌や藻類、昆虫などにも存在しており、着色の原因となっている物質である。天然のアントラキノン誘導体は下剤として働くものが多いとされている。また、生物に寄らない生成方法で産出することもあり、鉱物としてはヘール石 (Hoelite) として登録されているが、産出は珍しい[1]。
目次
- 1 化学的性質
- 2 工業的な応用
- 3 脚注
- 4 外部リンク
化学的性質
いくつかの合成法が知られている。
- アントラセンの酸化。
- 塩化アルミニウムを用いたベンゼンと無水フタル酸の縮合(フリーデル・クラフツ反応)。o-ベンゾイル安息香酸が生成した後に自発的に環化し、アントラキノンが生成する。
- ナフトキノンと1,3-ジエンを用いたディールス・アルダー反応。
アントラキノンの古典的な反応としてバリー・スコール合成 (Bally-Scholl synthesis) が知られている[2][3]。これはグリセロールとアントラキノンの反応によりベンズアントロンを生成するというものである[4]。この反応は銅と硫酸の存在下でキノンが還元され(ケトン基の1つがメチレンになる)、次いでグリセロールが付加するというものである。
工業的な応用
多くの天然色素はアントラキノン骨格を持っているため、アリザリンなどの色素の原料として用いられている。また製紙業でパルプ製造の触媒としても用いられている。また、鳥除けに用いられたりもする。
誘導体である2-エチルアントラキノンは工業的に過酸化水素を製造するために用いられている。
脚注
- ^ Hoelite mindat.org
- ^ Bally, O. (1905). “Ueber eine neue Synthese in der Anthracenreihe und über neue Küpenfarbstoffe”. Ber. 38: 194-196. doi:10.1002/cber.19050380137.
- ^ Bally, O.; Scholl, R. (1911). “Einwirkung von Glycerin und Schwefelsäure auf amidierte und auf stickstofffreie Verbindungen der Anthracen-Reihe: Benzanthron und seine Reduktionsprodukte, nebst Bemerkungen über Namenbildung und Ortsbezeichnung hochgegliederter Ringsysteme der Anthracen-Reihe”. Ber. 44: 1656. doi:10.1002/cber.19110440264.
- ^ Macleod, L. C.; Allen, C. F. H. (1934), “Benzathrone”, Org. Synth. 14: 4, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=CV2P0062 ; Coll. Vol. 2: 62 .
外部リンク
- 日本国 国立環境研究所 Webkis-plus アントラキノン
- 国際化学物質安全性カード アントラキノン - 国立医薬品食品衛生研究所
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 塩基反応性アントラキノン前駆体の合成と光をトリガーとする高分子膜中でのアントラキノンの再生
- 有光 晃二,戸田 順子,郡司 天博 [他]
- 材料技術 = Material technology 31(4), 94-99, 2013-07
- NAID 40020100022
- 1-アミノ-9,10-アントラキノンとO-フェニレンジアミンの電解酸化およびその共重合体が修飾電極特性に及ぼす影響
- HERNANDEZ Loreto A.,DEL VALLE Maria Angelica,ARMIJO Francisco Juan [他],DIAZ Fernando R.,LOUARN Guy
- 電気化学および工業物理化学 81(12), 954-960, 2013
- Poly(1-amino-9,10-anthraquinone-co-o-phenylenediamine) (P1AAQ-co-POPD) was synthesized by electrochemical methods on stainless steel electrodes (SS) using equal monomer concentration in acetonitrile/a …
- NAID 130003387721
- 大気中ガス態多環芳香族炭化水素及びオキシ化多環芳香族炭化水素の高速溶媒抽出法を用いた同時迅速前処理法の開発
- 小林 由典,大河内 博,緒方 裕子 [他],名古屋 俊士
- 分析化学 62(10), 879-889, 2013
- … 高速溶媒抽出装置と固相抽出を用いて,ポリウレタンフォームに捕集されたガス態の多環芳香族炭化水素(PAHs),1,4-ナフトキノン,9-フルオレノン,9,10-アントラキノン,1,8-ナフタル酸無水物,ベンズアントロンのオキシ化PAHsの迅速かつ省溶媒の前処理法について検討した.洗浄済みのポリウレタンフォームにPAHsとオキシ化PAHsの標準溶液を添加し,ヘキサンとジクロロメタンの混合溶媒(9 : 1)で抽出したところ,低 …
- NAID 130003382321
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