出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/08/19 19:43:19」(JST)
「アンテナ」のその他の用法については「アンテナ (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
アンテナ(英: antenna)とは、高周波エネルギーを電波(電磁波)として空間に放射(送信)したり、逆に空間の電波(電磁波)を高周波エネルギーへ相互に変換(受信)する装置のことで、日本語だと空中線と呼ばれ、英語における本来の意味だと昆虫の触角を意味している。
アンテナは、その用途から送信用と受信用に分けられるが、可逆性を備えている物なら送受信の兼用が可能である。
電波の周波数や用途により、大きさも形状も異なる。
指向性を持つアンテナにおいては、放射が最大となる放射角におけるエネルギーの強さをアンテナの利得(ゲイン)としてデシベル(dB)で表す。表記には2通りあり、半波長ダイポールアンテナを基準とするdBまたはdBd表記と全ての方向に均等に電波を放射する仮想的な等方向性(アイソトロピック)アンテナを基準とするdBi表記がある。dBi表記はdBd表記より2.14dB(又は2.15dB)大きな値となるため、利得の比較には注意が必要である。
電波の放射方向と放射強度との関係を指向性という。指向性は放射角と放射強度の関係をレーダーチャートにした図で表される。ダイポール・アンテナは2つの円を並べた「8の字特性」、ブラウン・アンテナ(垂直面内)は2つの半円を並べた特性となる。ブラウン・アンテナ(水平面内)のように特定の面では360°均等に電波が放射される無指向性のアンテナもある。
利得の大きなアンテナほど指向性は鋭く、特定の方向へ強く電波を放射する。指向性は高周波電流を電波に変換する場合(送信)とも、電波を高周波電流に変換する場合(受信)でも同じ特性となる。八木・宇田アンテナなど鋭い指向性を持つアンテナでは、放射が最大となる方向(メインローブ)と逆方向の利得(F/B比)やそれに直交する方向(サイドローブ)の利得(F/S比)も性能を示す重要な指標である。
電波(電磁波)の空間に対する向きを偏波という。
電界が常に一つの平面内に存在する場合を直線偏波といい直線偏波の中で電界が大地と平行な場合を水平偏波、大地と垂直な場合を垂直偏波という。例えば素子が大地に対して平行ならば水平偏波、垂直ならば垂直偏波となり首都圏のテレビ放送では水平偏波が多い。
直線偏波とは異なり、電界が伝播方向に向かって回転する場合を円偏波といい電波の進行方向に向かって右に回転する場合を右旋円偏波、左に回転する場合を左旋円偏波という。円偏波は回転する電界の大きさが一定の場合を言うが実際のアンテナでは電界の大きさが一定とならず楕円の形になり、その場合を楕円偏波という。楕円偏波において、楕円の長軸と短軸の比を軸比という。円偏波は衛星放送やGPS等の衛星通信で使用されることが多く、また円偏波は電波の周囲からの不要な反射(マルチパス)の影響を受けにくいためETCなどでも使われている。
良好な通信を行うには送信アンテナが水平偏波の場合は受信アンテナも水平偏波、送信アンテナが右旋円偏波の場合は受信アンテナも右旋円偏波というように偏波を一致させる必要がある。
効率よく通信を行うには、アンテナと送信機又はアンテナと受信機を整合させる必要がある。整合の程度を表すものとして定在波比がある。(定在波比を参照のこと)
高周波電力を供給するためアンテナと給電線とを接続する点を給電点という。給電点の電流と電圧の関係により、次のように分類できる。
接地(アース)を必要とするアンテナでは、大地に直接接続して接地するのが基本である。ただし、この場合アンテナの地上高は0mになる。地上高を高くするために大地の代わりに波長に対して十分長い導線を四方八方に複数、水平に張ることで電気的に接地型アンテナと同じにできる。この導線をラジアルと言う。ラジアルは1/4波長まで短くできるが、その場合は指向性が上向きになる。またラジアルの本数が1本の場合は、もはや接地アンテナとは言えない。砂地や岩の多い大地では十分に接地抵抗を低くできない。そこで大地に平行に導線を展張することがある。これをカウンターポイズ(counterpoise)と言い、大地との間にコンデンサを形成させることで高周波的に接地と同じ効果を狙ったものである。
アンテナの接続・設置のために用いる関連器具を、アマチュア無線あるいは家庭用テレビ受信アンテナ工事では総称してアンテナパーツあるいはアンテナアクセサリーという。主なアンテナパーツには次のようなものがある。
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