出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/03/07 18:15:53」(JST)
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アルファベット(英: alphabet)とは、ひとつひとつの文字が原則としてひとつの子音または母音という音素をあらわす表音文字の一種であり、また、それを伝統的な配列で並べたものをいう。「アルファベット」という語は、ギリシア文字の最初の2文字 α, β の読み方である「アルファ」(ἄλφα)、「ベータ」(βήτα) に由来する。
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文字体系の類型としては、アルファベットはアブギダやアブジャドとともに音素文字に属する[1]。ただし欧米では、これら3つをまとめて「アルファベット」と呼ぶことがある。また日本では「アルファベット」という言葉は、世界でもっとも広く通用している代表的なアルファベットであるラテン文字のことを指すことがある。
アルファベットでは、原則として、音声言語の音素のうち子音と母音の両方をそれぞれ別の字母で表記する。対してアブジャドでは、子音だけを表記し、母音は大抵表記しない。アブギダでは、子音の字母を書くと特定の母音が伴った音節を表し、それ以外の母音が伴った音節を表す場合などは補助的な記号を付加することで表記する。
アルファベットのほとんどは、セム諸語のための文字として中東で誕生したアブジャドから発展してきたと考えられている。一方、アブギダはかつて音節文字とアルファベットの中間段階と考えられたこともあったが、今日では、アルファベットとは別個にアブジャドから発展してきたものだと考えられている(原シナイ文字から派生した文字体系も参照)。
現在の研究で知られている最初のアルファベットは、紀元前1700年~紀元前1500年頃に地中海東部の沿岸地域で発達したと一般に考えられている。このアルファベットは北セム文字と呼ばれ、楔形文字とヒエログリフを組み合わせてできたものであるが、クレタ文字やヒッタイト文字のような類縁関係にあるアルファベットから採られたものもあるようだ。北セム文字には子音をあらわす文字しかなく、単語の中の母音は補って読まなければならなかった。紀元前1000年頃に北セム文字が、南セム文字、カナン文字、アラム文字、ギリシア文字の4つの系統に分かれたと考える学者は多い。ただし、南セム文字だけは北セム文字とは独立に発達したか、両者が共通の祖先から発達したのだという説もある。南セム文字は、アラビア半島でかつて用いられていた諸言語や、現代のエチオピアの諸言語のアルファベットの起源である。
ギリシャ人はセム文字系統のフェニキア文字を採用し、もともと子音字22文字だったものを、24文字(方言によってはこれより多いものもある)に増やし、母音を表す文字と子音を表す文字を区別するようにした。紀元前500年頃からは、ギリシャ文字は左から右に書かれる規則が成立した。ギリシャ文字は、地中海地域全体に広まり、エトルリア文字、オスク文字、ウンブリア文字、ラテン文字などのもととなった。中でもラテン文字は、ローマ帝国の言語であるラテン語を記すための文字だったため、西ヨーロッパで話されているすべての言語のアルファベットの基礎となった。
どんなアルファベットでも、異なる言語を話す民族によって使われていれば、それぞれ改変が加えられるものである。アルファベットの数や文字の形も異なり、文字の上下に記号をつけて、その文字が本来あらわす音とは違った音を表すこともある。例えば、"c"の下に小さな"s"をつけた「セディーユ」という文字は、フランス語、ポルトガル語、トルコ語などではごく一般的に使われるが、英語では外来語を除いてほとんど使用されない。また、セディーユは、フランス語とポルトガル語では"s"の音をあらわすが、トルコ語では"tʃ"の音を表し、古いスペイン語では"ts"の音を表していた。
アルファベットは、1つの文字が1つの音をあらわすようにしようとして発展してきたものではあるが、アルファベットを用いるほとんどの言語では、このような原則が守られていることはあまりない。その大きな理由は、話し言葉が変化するのに対して、つづり字は変化しないからである。例えば、英語で「騎士」を意味する単語のつづりが"knight"であるにもかかわらず発音が"nait"なのは、古い英語では"k"も"gh"も発音されていたが、現代の英語ではそれが発音されなくなったからである。英語のようにつづり字と発音の間の違いの大きな言語では、つづり字改革運動が起きることがある。
アルファベットの例を挙げる。
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