- 英
- amoxapine
- 商
- アモキサン
- 関
- 抗精神病薬、抗うつ薬
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/06/18 19:06:35」(JST)
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アモキサピン
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IUPAC命名法による物質名 |
8-chloro-6-piperazin-1-ylbenzo[b][1, 4]benzoxazepine |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
? |
法的規制 |
? |
投与方法 |
経口投与 |
薬物動態的データ |
血漿タンパク結合 |
90.0 |
半減期 |
8 hour |
排泄 |
Urine 47% |
識別 |
CAS登録番号 |
14028-44-5 |
ATCコード |
N06AA17 |
PubChem |
CID 2170 |
DrugBank |
APRD00142 |
KEGG |
D00228 |
化学的データ |
化学式 |
C17H16ClN3O |
分子量 |
313.7810 |
SMILES
- C1CN(CCN1)C2=NC3=CC=CC=C3OC4=C2C=C(C=C4)Cl
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物理的データ |
融点 |
178 °C (352 °F) |
アモキサピン (Amoxapine) は、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種。分子式は C17H16ClN3O、CAS登録番号は [14028-44-5] で、白色または淡黄白色の結晶。無味で、無臭または特異臭。水にはほとんど不溶。
日本ではワイス(現ファイザー)製造販売元、武田薬品販売でアモキサン®の商品名で唯一販売されている。特許は切れているが、ジェネリックは発売されていない。
脳内神経末端へのノルアドレナリン、セロトニンの再取り込み阻害作用を有すが、活性代謝物である7-hydroxy体は強力なドパミン2受容体遮断作用をもつ。 この代謝物の作用により、抗精神病薬に類似した錐体外路症状(EPS)や悪性症候群が現れることがある。
第二世代の三環系抗うつ薬として知られ、抗コリン作用が軽減されている。うつ病、抑うつ状態、パニック障害、過食症、線維筋痛症などの治療に用いられる。 従来の三環系抗うつ剤に対し、妄想性うつ病に効果発現が早いとされるが、一般的に効果の発現には2~3週間かかるとされる。 抗うつ作用はSSRIやSNRIと比較して強力とされるが、すぐに効果が現れないからといって服用を中止することなく、服用を継続したうえで治療効果について医師と相談していくべきである。また突然の服用中止は重大な副作用を誘発する危険性があるため、薬剤師による服薬指導を遵守すべきである。
目次
- 1 適応症
- 2 禁忌
- 3 併用禁忌
- 4 副作用
- 5 種類
- 6 用法・用量
適応症
うつ病、うつ状態
禁忌
抗コリン作用による散瞳により発作を誘発するおそれがある。
心伝導障害などの心毒性により容態が増悪するおそれがある。
- モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を投与中、もしくは投与中止後2週間以内の患者
併用禁忌
相互に作用を増強し、脳内のモノアミン濃度が高まるおそれがある。
また、併用注意として、SSRIなどが挙げられる。 これらはアモキサピンの代謝を阻害し、相互に血中濃度が上昇して作用が増強される場合がある。
肝臓で代謝される薬物の殆どに言えることだが、アルコールとの併用は予期せぬ副作用を招くおそれがあるので、飲酒を控えるか主治医と相談の上での適度な量に抑えるべきである。
副作用
- 倦怠感、脱力感、集中力低下、眠気、頭痛、めまい、立ちくらみ、便秘、肝機能障害
抗コリン性副作用は三環系抗うつ剤に多くみられる症状である。
末梢では、口渇、便秘、麻痺性イレウス、尿閉、急性狭隅角緑内障の誘発などが挙げられ、
中枢では、記憶障害、錯乱、せん妄、幻覚、異常高熱などが挙げられる。
アモキサピンの活性代謝物はドパミンD2受容体を遮断するため、EPSが現れることがある。
早発性では、パーキンソニズム、ジストニア(ADt)、アカシジア、ジスキネジアなどが挙げられるが、臨床では特別な問題視はされていない。
非常に稀ではあるが、高用量で長期間の服用をした場合は遅発性パーキンソニズム(TP)、遅発性アカシジア(TA)、遅発性ジストニア(TDt)、遅発性ジスキネジア(TDk)(口の周辺の異常な不随意運動や舌の震え)などが起きる可能性がある。
非常に稀ではあるが、高熱を伴うEPS、意識障害などが起きる可能性がある。
種類
- カプセル: 10mg, 25mg, 50mg
- 細粒: 10%
用法・用量
- 1日25から75mgを数回に分け経口投与する。症状、年齢により適宜増量し最大で1日300mgまで増量できる。
抗精神病薬 (N05A) |
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定型抗精神病薬 |
ブチロフェノン系: アザペロン Benperidol ブロムペリドール Droperidol Fluanisone ハロペリドール Lenperone Moperone ピパンペロン スピペロン Trifluperidol; Diphenylbutylpiperidines: Clopimozide Fluspirilene Penfluridol Pimozide; フェノチアジン系: アセプロマジン Acetophenazine Butaperazine Carphenazine Chlorproethazine クロルプロマジン Cyamemazine Dixyrazine フルフェナジン レボメプロマジン Mesoridazine Perazine プロペリシアジン ペルフェナジン Piperacetazine Pipotiazine Prochlorperazine プロマジン プロメタジン Propiomazine Sulforidazine Thiethylperazine Thiopropazate Thioproperazine Thioridazine Trifluoperazine Triflupromazine; Thioxanthenes: Chlorprothixene Clopenthixol Flupentixol Thiothixene Zuclopenthixol; Tricyclics: アモキサピン Butaclamol Carpipramine Loxapine Metitepine/Methiothepin Octoclothiepin; Others: Molindone Oxypertine Prothipendyl
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非定型抗精神病薬 |
Azapirones: ペロスピロン Tiospirone; ベンザミド系: Amisulpride Levosulpiride ネモナプリド Remoxipride スルピリド スルトプリド Tiapride Veralipride; ブチロフェノン系: Cinuperone Setoperone; Tricyclics: Asenapine Clotiapine クロザピン Fluperlapine Metitepine/Methiothepin モサプラミン オランザピン クエチアピン Tenilapine ゾテピン; Others: Amperozide アリピプラゾール Bifeprunox ブロナンセリン Cariprazine Iloperidone ルラシドン Ocaperidone パリペリドン Pardoprunox Pimavanserin リスペリドン Sertindole Ziprasidone
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Others |
Cannabidiol D-Cycloserine Mifepristone Reserpine Rimcazole Secretin Talnetant Tetrabenazine Vabicaserin
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抗うつ薬 (N06A) |
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再取り込み阻害薬 |
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選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)
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フルオキセチン フルボキサミン パロキセチン セルトラリン
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セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (SNRIs)
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デュロキセチン ミルナシプラン ヴェンラファキシン
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ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (NRIs)
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アトモキセチン
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ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬 (NDRIs)
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ブプロピオン
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受容体拮抗薬 / 再取り込み阻害薬 |
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セロトニン2受容体拮抗・再取り込み阻害薬 (SARIs)
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トラゾドン
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ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSAs)
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ミアンセリン ミルタザピン セチプチリン
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ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬 (NDDIs)
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アゴメラチン フリバンセリン
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三環系抗うつ薬 と 四環系抗うつ薬 (TCAs/TeCAs) |
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三環系: アミトリプチリン クロミプラミン イミプラミン ノルトリプチリン アモキサピン 四環系: マプロチリン ミアンセリン ミルタザピン セチプチリン
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アザピロン と 5-HT1A阻害薬 |
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アリピプラゾール タンドスピロン
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サプリメント (ビタミン, ミネラル, アミノ酸など) |
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アスコルビン酸 (Vitamin C) 魚油 葉酸 (Vitamin B9) L-5-HTP (Oxitriptan) レボドパ (Levodopa) L-Methionine フェニルアラニン トリプトファン チロシン マグネシウム メラトニン ナイアシン/Niacinamide (Vitamin B3) ω-3脂肪酸 ピリドキシン (Vitamin B6) S-アデノシルメチオニン 亜鉛
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- PP-174 逆行性射精症例に対する三環系抗うつ薬「アモキサピン」の効果(発表・討論,一般演題ポスター,第99回日本泌尿器科学会総会)
- 異なる原因の射精障害2症例に対するアモキサピンによる治療経験
- 松田 洋平,小林 皇,加藤 隆一,久末 伸一,橋本 浩平,山下 慎一,栗村 雄一郎,舛森 直哉,塚本 泰司
- 日本性機能学会雑誌 = The japanese journal of Impotence Research 24(2), 278-279, 2009-08-15
- NAID 10025186715
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
アモキサンカプセル10mg
組成
有効成分
(含量)
添加物
- 乳糖水和物、ステアリン酸マグネシウム
(カプセル本体)
酸化チタン、三二酸化鉄、ラウリル硫酸ナトリウム
禁忌
- 緑内障のある患者[抗コリン作用により緑内障を増悪させるおそれがある。]
- 三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者
- 心筋梗塞の回復初期の患者[循環器系に影響を及ぼすことがあるので、心筋梗塞を増悪させるおそれがある。]
- モノアミン酸化酵素阻害剤を投与中又は投与中止後2週間以内の患者[発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれることがある。「相互作用」の項参照]
効能または効果
うつ病・うつ状態
- 抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。
- アモキサピンとして、1日25〜75mgを1〜数回に分割経口投与する。効果不十分と判断される場合には1日量150mg、症状が特に重篤な場合には1日300mgまで増量することもある。
慎重投与
- 排尿困難又は眼内圧亢進等のある患者[抗コリン作用によりこれらの症状を増悪させるおそれがある。]
- 心不全・心筋梗塞・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患のある患者又は甲状腺機能亢進症の患者[循環器系に影響を及ぼすことがあるので、これらの症状を増悪させるおそれがある。]
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすことがある。]
- 躁うつ病患者[躁転、自殺企図があらわれることがある。]
- 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。]
- 脳の器質障害又は統合失調症の素因のある患者[精神症状を増悪させることがある。]
- 衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状を増悪させることがある。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 小児[小児に対する安全性は確立されていない(使用経験が少ない)。]
重大な副作用
悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明)
- 無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
なお、他の三環系抗うつ剤の投与中、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡した例が報告されている。
痙攣、精神錯乱、幻覚、せん妄(いずれも0.1%未満)
- 痙攣、精神錯乱、幻覚、せん妄があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には減量又は休薬等適切な処置を行うこと。
無顆粒球症(頻度不明)
- 無顆粒球症、白血球減少等の血液障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常(前駆症状として発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等があらわれる場合もある。)が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
麻痺性イレウス(頻度不明)
- 腸管麻痺(食欲不振、悪心、嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心、嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
遅発性ジスキネジア(頻度不明)
- 長期投与により、遅発性ジスキネジア(口周部等の不随意運動)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症(いずれも頻度不明)
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- アモキサピンのうつ病・うつ状態に対する作用機序の一つとして、脳神経細胞への遊離カテコールアミンの再取り込みを阻害することにより、シナプスにおけるカテコールアミンの濃度を上昇させることが挙げられている。
セロトニン、ノルアドレナリンの神経終末顆粒への取り込み阻止作用5)
- アモキサピンはラットの中脳、間脳から得た神経終末顆粒へのセロトニン、ノルアドレナリンの取り込みを阻害する(in vitro)。
脳内モノアミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン)に及ぼす作用6)
- アモキサピンはマウスの脳内のドーパミン、ノルアドレナリンの含量を低下させるがセロトニンには影響がない(マウス、腹腔内投与)。
抗テトラベナジン作用7〜9)
- アモキサピンはテトラベナジンによる自発運動量の低下、眼瞼下垂を抑制する(マウス、腹腔内投与)。
電気生理学的にはアモキサピンはテトラベナジンの作用を逆転又は遮断するが、イミプラミンは誘発電位の低下又はテトラベナジンの誘発電位低下作用を促進する(脊髄ネコ、静脈内投与)。
抗レセルピン作用7,8)
- アモキサピンはレセルピンによる体温低下、眼瞼下垂を抑制する(マウス、腹腔内投与)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 2-Chloro-11-(piperazin-1-yl)dibenzo[b,f ][1,4]oxazepine
分子式
分子量
融点
性状
- 本品は白色〜淡黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。
本品は酢酸(100)に溶けやすく、エタノール(95)又はジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。