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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/05/22 12:59:29」(JST)
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ろ紙(ろし、濾紙、沪紙、filter paper)は、主としてろ過をするときに使われる紙、あるいは紙状のもの。
目次
- 1 概要
- 2 化学実験用具
- 2.1 材質
- 2.2 JIS規定
- 2.2.1 種類
- 2.2.2 寸法
- 2.2.3 品質
- 2.3 折り方
- 2.4 メーカー
- 3 脚注
- 4 参考文献
- 5 外部リンク
概要
家庭用のものはコーヒーフィルターをはじめ、油こし、簡易的な掃除機、自動車のオイルフィルターやエアフィルター等、多くの場所で使用されている。化学実験では固体と液体を分離するために用いられる。
化学実験用具
化学実験においてろ紙は、ろ過をする際に漏斗と共に使用される。液体と混合している固体を分離する、ミクロな「ふるい」の役割を果たすものである。通常は円形のものが使用される。綿繊維を原料として作られ、大きさ・目の細かさなどが異なる様々なものが市販されている。
ろ紙は「目の細かさ」が異なる幾つかの種類がつくられており、目的に応じて適切なものを選択できるようになっている。混ざっている固体の粒子が小さい場合は、目の細かいろ紙を使用しなければ、粒子がろ紙をすり抜けろ液に混ざってしまう。一方、不必要に目の細かいろ紙を使用すると、ろ過の速度が遅くなり時間を余分に要することとなる。
材質
また、ろ紙は定性分析用と定量分析用の2種類がある。分析化学では、無機化合物の沈殿をろ取した後、そのままろ紙ごと焼却し、残った物質の重量から定量することがある。そのため定量分析用のろ紙は、焼却した場合に後に残る物質(灰分)がきわめて少ないように製造されている。
ろ紙は一般的には綿繊維(セルロース)からできており、酸や塩基、有機溶媒などへの耐性は高い。しかし、強力な脱水剤(濃硫酸など)や酸化剤では分解されるため使用できない。このような場合はガラスフィルターなどを使用する。
他にも、ガラス繊維ろ紙、疎水性を高め有機溶媒のみを通過させる液相分離ろ紙なども必要に応じて用いられる。
JIS規定
ろ紙の種類・寸法・品質等については、JIS P3801によって細かく規定されている。以下概略を示す。
種類
種類は大きく定性分析用と定量分析用に分けられ、更にろ水時間・湿潤破裂強さ・沈殿保持性の差によって4種ずつが規定されている。
ろ紙の目の細かさは、沈殿保持性によって判断することができ、以下のように分類されている。ただし、( )内はろ水時間(水だけを100mlろ過する際にかかる秒数。ろ過速度を判断する基準)である。
- 定性分析用
- 1種:粗大ゼラチン状沈殿用(80以下)
- 2種:中位の大きさの沈殿用(120以下)
- 3種:微細沈殿用(300以下)
- 4種:微細沈殿用の硬質ろ紙(1800以下)
- 4種ろ紙は、沈殿をかき集めることができるように紙の表面が硬くなければならない。
- 定量分析用
- 5種A:粗大ゼラチン状沈殿用(70以下)
- 5種B:中位の大きさの沈殿用(240以下)
- 5種C:微細沈殿用(720以下)
- 6種:微細沈殿用の薄いろ紙(480以下)
ここで、粗大ゼラチン状沈殿・中くらいの沈殿・微細沈殿の具体例として、それぞれ水酸化鉄・硫酸鉛・硫酸バリウムがあげられている。各ろ紙は、これらの新しく調整した懸濁液をろ過した際に、ろ液が透明になるような沈殿保持性を持つこととされている。
寸法
ろ紙は円形のものと角形のものが存在し、円形ろ紙は直径55mm~600mmの範囲で15種類が、角形ろ紙は大判(600×600mm)と小判(560×485mm)の2種類が規定されている。
品質
原料は、精製した綿繊維を主体としたものとする。清浄で均質な組織をもち、αセルロース含量90%以上、銅価1.6以下、pH5.0~8.0であること。灰分質量は定性分析用で0.2%以下、定量分析用は規定量(ろ紙の大きさによって決められており、例えば5種Cなら直径55mmで0.04mg、同185mmで0.45mg)以下であること。
折り方
4つ折りとひだ折りがあり、ひだ折りは16折り、32折り、24折りなど様々な折り方がある。ろ過後に濾紙上の残渣をかき集める場合には4つ折りを用い、ろ過に時間がかかる際はひだ折りを用いてろ過時間の短縮を図る[1]。
- 4つ折り
- 半分に折り、さらに半分に折る。2回目は少しずらし、小さくなった方の角を千切り、大きくなった方を開いて三角錐とする[1]。
- ひだ折り(16折り)[1]
- 半分に折り、さらに半分に折る。2回目の折り目を戻して2つ折りに戻し、両端をその折り目に合わせて谷折りし、さらにもう一度両端から谷折りする。2つ折りに戻し、山・谷・山・谷の順になるように折り直す。折る際は、中心部ではなく辺縁部を強く折るようにする(中心部を強く折ると破れる)。用時裏返して使用する。
メーカー
東洋濾紙(日本)、安積濾紙(日本)、WHATMAN(イギリス)、Schleicher & Schuell(ドイツ)等
脚注
- ^ a b c 東洋濾紙 (n.d.), “26. 分析用濾紙の寸法選定と折り方”, 製品案内, 東洋濾紙, http://www.advantec.co.jp/japanese/hinran/tanpin/26_814.html 2009年9月12日閲覧。
参考文献
- 『JISハンドブック32 紙・パルプ』 日本規格協会 編, 日本規格協会, 2003.
外部リンク
- JSA Web Store-規格詳細情報(JIS)
- ろうと、ろうと台、ろ紙 理科ねっとわーく(一般公開版) - 科学技術振興機構
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 蛍光検出を用いたヒト皮脂に含まれる過酸化脂質の高感度迅速フローインジェクション分析
- 小倉 悠紀,小山 純一,福原 忠雄
- 分析化学 = Japan analyst 61(5), 397-401, 2012-05-05
- … したシステムの検出限界は0.51 pmol,定量限界は1.1 pmolであり,分析時間は10分であった.さらに,確立した前処理法により作成したろ紙を用いてヒトの微小部分から皮脂を採取し,そのろ紙から皮脂中の過酸化脂質を抽出する方法を開発した.ろ紙を用いたときの定量限界は3.8 pmolであった.開発した方法を用いて24名のヒト皮膚上の皮脂中過酸化脂質を分析し,実際ヒトを用いた …
- NAID 10030317012
- 4.うま味に対する味覚障害の検出(<総説特集I>人味覚研究の最前線-4)
- 河合 美佐子
- 日本味と匂学会誌 19(1), 21-25, 2012-04-00
- … 我々は、全口腔法及びろ紙ディスク法を用いて味覚障害患者のうま味に対する味覚感受性を検査したところ、うま味感受性低下を示す味覚障害患者が見いだされた。 …
- NAID 110009456975
- ナガマドキノコバエの発育に及ぼすシイタケ菌床,日長および温度の影響
- 北島 博,大谷 英児,川島 祐介
- 日本応用動物昆虫学会誌 56(1), 1-7, 2012
- … るナガマドキノコバエの幼虫の,シイタケ菌床を用いた効率的な飼育方法を開発した.雌雄成虫1ペアをシイタケの柄と蒸留水で湿らせたろ紙片とともにポリ袋に入れた.シイタケの柄やろ紙片に産下された卵をピンセットを用いて別のろ紙片に乗せてから,培養袋から取り出した菌床の上に置いた.幼虫は,菌床および子実体を食べて発育し,菌床表面で蛹化した.除袋直後の …
- NAID 130001894536
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
テーストディスク
組成
試液
- 下表に示す4味質各5濃度、計20本(各5mL、ポリびん入り)
ろ紙ディスク(直径5mmの円形ろ紙)
味質指示表
効能または効果
検査方法
- 味質指示表(別添)を被検者に持たせるか、前に置く。
- ろ紙ディスクを1枚耳用ピンセットでつまみ、S-1の味質溶液をディスクに滴下し、湿らせる程度とする。
- 湿らせたディスクを所定の測定部位へ静かに置く。
- 口を開けたまま2〜3秒で味質指示表のうち1個の答を指示させる。
- ディスクは検者が再びピンセットで取り除く。
- 正答が得られない時はS-2、S-3……と同様の操作を繰り返し、認知閾値を求める。
- 残味を防ぐため水でよく含嗽させた後、1分間以上の間隔をおき、次の味質へ移る。
- 塩味液、酸味液について同様に操作し、認知閾値を求める。味質を変更するときには水で含嗽させる。
- 最後に苦味液について同様に操作し、認知閾値を求める。
- 次に別の測定部位についても同じ操作を繰り返し、各部位の認知閾値を求める。
測定部位
検査結果の判定
No.1で認知
No.2で認知
No.3で認知
No.4で認知
No.5で認知
No.5で認知不能
〔参考〕
- No.5で認知不能症例でも、味質溶液1mLをピペットで滴下する全口腔法ではNo.2又はNo.3で味質を認知できる患者が多い。
No.5の全口腔法でも認知不能例は、味質脱失とする。
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