肺癌

lung cancer, pulmonary carcinoma, carcinoma of lung
carcinoma pulmonum
[[]]

疫学

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  • 大腸癌:女性の死亡率トップ

組織分類

  頻度 部位 喫煙との関係 特徴
腺癌 52% 末梢 胸膜に近い末梢気管支   肺胞上皮は腺癌となる
扁平上皮癌 28% 中枢 肺門に近い気管支 濃厚 胞巣状、シート状、角化
小細胞癌 13% 中枢 気管支にまとわりつくように分布 濃厚 ほとんど核からなる。未分化癌。神経物質を出す。ロゼット構造、神経上皮の構造を取る。
大細胞癌 5% 末梢 末梢にあって境界明瞭に丸く分布   扁平上皮に似て扁平状。細胞質が大きい
悪性中皮腫     中皮(胸膜が増殖)    
  • その他
  • 腺扁平上皮癌
  • 予後は悪い?
  • カルチノイド
  • 腺様嚢胞癌

HIM.551

Table 85-1 Frequency, Age-Adjusted Incidence, and Survival Rates for Different Histologic Types of Lung Cancer
Histologic Type of Thoracic Malignancy Frequency, % Age-Adjusted Rate 5-Year Survival Rate (All Stages)
adenocarcinoma 32 7 17
bronchioloalveolar carcinoma 3 1.4 42
squamous cell carcinoma 29 15 15
small cell carcinoma 18 9 5
large cell carcinoma 9 5 11
carcinoid 1 0.5 83
mucoepidermoid carcinoma 0.1 <0.1 39
adenoid cystic carcinoma <0.1 <0.1 48
sarcoma and other soft tissue tumors 0.1 0.1 30
all others and unspecified carcinomas 11 6 NA
Total  100 52 14

肺癌の組織型と特徴

腺癌 扁平上皮癌 小細胞癌
男女共 男性 男性
年齢 若年者~高齢者 高齢者 高齢者
喫煙 喫煙者~非喫煙者 重喫煙者 重喫煙者
発生部位 肺葉末梢部 肺門部 様々
症状(早期) 出にくい 出やすい 出やすい
レントゲン診断 比較的容易 早期では困難 容易
抗癌剤の反応 比較的悪い 比較的悪い 良い

画像所見 SRA.296

  部位 単純XP CT/MRI コメント
肺癌 頻度:肺門型≒肺野型
右肺:60%、左肺:40%
上肺野:60%、下肺野:30%、中肺,舌区:10%
4cm以上の腫瘤は悪性が多い
石灰化は稀
ダブリングタイムは120日
  成人の肺野の腫瘤の30%が肺癌
50歳以上に限ると50%
40-70歳にみられ50歳が最多で60歳がこれに次ぐ
扁平上皮癌 亜区域気管支以上の太い気管支から発生することが多い
腫瘤が気管支内腔に露出する
20%は肺野型、その1/3で空洞形成
パンコースト腫瘍は扁平上皮癌で多い
肺門部腫瘤(凸凹やノッチを示す類円形)
二次変化を伴う
空洞をみることあり
空洞は壁厚く不規則で内面凹凸有り
肺野型では初期には辺縁不鮮明な浸潤性の腫瘤
増大すると辺縁が明瞭となり不整な輪郭を示す。
   
腺癌 20%
肺野型が多い
1/4が肺門部に発生
辺縁不整(スピキュレーション)
不明瞭(不整)
大きくなると分葉上の輪郭で比較的辺縁明瞭に
空洞は稀
胸膜陥入
CT検診で発見される小型は胃癌の多くは高分化腺癌である
(野口分類ではタイプA,B,Cなど、細気管支肺胞上皮癌)
 

進展度分類

参考3 YN.I-97
T N M
Tis 上皮内癌 N0 リンパ節転移無し M0 遠隔転移無し
T1 T1a 腫瘍径 ≦20mm N1 同側肺門リンパ節転移 M1a 悪性心嚢水、胸膜播種、対側肺への転移
T1b 腫瘍径 ≦30mm N2 同側縦隔リンパ節転移 M1b 胸腔外転移
T2 T2a 腫瘍径 30< ≦50mm or 胸膜浸潤有り。 N3 対側縦隔リンパ節または対側肺門リンパ節、斜角筋前リンパ節、鎖骨上窩リンパ節への転移  
T2b 腫瘍径 50< ≦70mm  
T3 腫瘍径 70mm < 、胸壁・横隔膜・心膜・縦隔胸膜への浸潤、気管分岐部<20mm、一側全肺の無気肺
T4 縦隔、心臓、大血管、期間、反回神経、食道、椎体、気管分岐部、同側の異なった肺葉内の腫瘍結節

病期分類

参考3
  N0 N1 N2 N3
T1 T1a IA IIA IIIA IIIB
T1b IA IIA IIIA IIIB
T2 T2a IB IIA IIIA IIIB
T2b IIA IIB IIIA IIIB
T3 IIB IIIA IIIA IIIB
T4 IIIA IIIA IIIB IIIB
M1 IV IV IV IV


内視鏡的早期肺癌

  • 早期肺癌の内視鏡的診断基準及び内視鏡的所見については、肺癌取扱い規約2003年10月【改訂第6版】

症状 HIM.553-554

  • 早期に咳嗽、痰、血痰、胸痛、呼吸困難、喘鳴など。閉塞性肺炎、無気肺を合併しやすい。
  • 症状は癌が進行してから出現する。

=肺外症候 extrathoracic metastatic disease, 随伴症候 paraneoplastic syndrome, skeltal-connective tissue syndrome

  • 1) ACTH分泌によるクッシング症候群、SIADH、カルチノイド症候群、高カルシウム血症、女性化乳房などの内分泌症状、
  • 2) 神経症状(脳・小脳症状)、Lambert-Eaton症候群、
  • 3) skeltal-connective tissue syndrome:ばち状指、皮膚筋炎など
  • バチ指:半数以上の例で見いだされる(CBT QB vol3 p.311)。非小細胞扁平上皮癌で30%の症例で(HIM.554)。
  • pulmonary osteoarthropathyが1-3%の症例で見いだされる。
  • 骨膜炎、痛みを伴うバチ指、圧痛、swelling over the affected bones and a positive bone scan
  • 4) neurologic-myopathic syndromes:1%の症例で見いだされる。
(省略 see HIM.554)
  • 皮膚筋炎、acanthosisは希(1%)
  • 腎症状や糸球体腎炎も希(≦1%)

内分泌症状

  • ADH(AVP)様ホルモンの過剰産生 小細胞癌
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
  • 抗利尿ホルモン、バソプレシン類似物質を産生→水分保持→Na濃度低下→Na<120mEq/Lで昏睡、全身痙攣の恐れ。 ←基準:136-145mEq/l
高カルシウム血症
  • PTHrPの過剰産生→血清Ca↑→血清Ca≧15mg/dlで傾眠、筋力低下、腹痛、便秘 ←基準:8.6-10.1 mg/dl
  • G-CSFの産生 大細胞癌、扁平上皮癌
白血球数増加
  • ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)産生 小細胞癌
女性化乳房

検査

初期検査

  • 胸部X線写真
  • 胸部X腺CT
  • 喀痰細胞診 ← 中心型早期肺癌で有用

確定診断の為の検査

  • 中心型肺癌
  • 気管支鏡(洗浄細胞診、生検、擦過細胞診)
  • 末梢型肺癌
  • 経気管支生検
  • 経皮生検(CTガイド化肺生検、超音波ガイド化肺生検)
  • 胸腔鏡下生検

気管支内視鏡

  • 気管支や太い気管支内の病変の観察、検体の採取に有用。喫煙者で血痰場ある場合、太い気管支に腫瘍病変がある可能性が高く、出血部位を確認し、政権できる可能性が高いため、有用であ

る。

細胞診

  • 喀痰細胞診、擦過細胞診、穿刺吸引細胞診、洗浄細胞診。染色はパパニコロ染色で行う。陽性率は低いが、胸部X線で異常を呈さない早期肺癌にも有用。肺野末梢発生の肺癌には経気管支擦過細胞診、洗浄細胞診を施行。(SPU.329)
喀痰細胞診
腺癌 濃染下核を持つN/C比の大きい大きな細胞が集塊をなす。腺上皮の特徴である粘液産生、管腔の形成、核の偏在が見られない。
扁平上皮癌 好酸性の広い細胞質(オレンジ)が扁平上皮への分化を示唆、緑色の細胞質を大きな核を有する細胞が悪性を示唆。
小細胞癌 裸核上の小型類円形細胞が鋳型形成(木目込み模様)を伴う一列縦帯を呈する。
カルチノイド 比較的均一な類円形細胞が粗な結合を示しながら平面的に配列
大細胞癌 除外診断



http://www42.atwiki.jp/galeos/pages/135.html

気管支肺胞洗浄 BAL

  • 細胞診の一つの手法である。
  • 末梢の癌を調べるのに有用

腫瘍マーカー

腫瘍マーカー 陽性率(疾患があるときに陽性となる確率)
肺癌   その他の疾患 備考
扁平上皮癌 腺癌 小細胞癌
CYFRA21-1 57.5%* 70-80%/73.1%* 30-40% 30-40% 良性疾患:10-15%  
SCC       子宮頸癌、食道癌、皮膚癌  
CEA 40-50%   50-60%      
SLX 70%*   0.4   肝硬変  
NSE 10-30%     70-90%    
proGRP       70-90%/65.1%*   NSEより上昇率が高く、特異性に優れる
KL-6       肺腺癌、膵癌、乳癌で40-50%。間質性肺炎の補助診断  
無印:標準呼吸器病学 第1版 p.327。* 臨床検査学第32版 p.634


肺癌の腫瘍マーカー(出典不明)

SCC (Squamous Cell Carcinoma related antigen)

多くの扁平上皮癌が産生するタンパク質。肺の扁平上皮癌陽性率60%

CYFRA(サイトケラチン19フラグメント)

肺扁平上皮癌で大量かつ高頻度に検出される。偽陽性率が低く、感度は41~65%である。

シアリルSSEA-1

肺腺癌に比較的特異的なマーカーである。偽陽性率を下げるためには糖鎖が分化抗原であることを考慮して、未熟型抗原であるシアリルSSEA-1抗原と成熟型抗原であるシアリルⅠ抗原を調べ、比をとれば良い。比が高ければ癌である。

CEA

もとは大腸癌のマーカーとして導入されたが、肺癌でも50%で陽性である。腫瘍完全切除後2週間で正常化し、再発すると再び上昇してくるので経過を追うのに良い。

NSEPro-GRP

これら二つのマーカーは神経内分泌組織で産生される。小細胞癌は神経内分泌腫瘍としての性格を有しており、また他の肺癌では見られないマーカーなので、これらのマーカーは小細胞癌に特異性が高い。

各論

扁平上皮癌

  • 肺門部発生が多い。
  • 病理:角化、細胞間橋を認める。癌真珠
  • 組織型:高分化型、中分化型、低分化型

小細胞癌 SPU.322

  • 肺門部の中枢気管支発生が多い。気管支の粘膜下に沿って増殖浸潤する。
  • 病理:小型。N/C比が高い。壊死像あり。腫瘍間質少ない。血管に富む。リボン状配列、ロゼットの形成。
  • 組織型:燕麦細胞型、中間細胞型
  • 免疫組織化学:神経特異エノラーゼ(NSE)、Leu7

大細胞癌

腺扁平上皮癌 (NEW外科学改訂第2版 p.343)

組織像に腺癌と扁平上皮癌を少なくとも20%認めるもの
頻度は2-3%
予後はきわめて不良
  • 高分化
  • 中分化
  • 低分化

治療

治療方針

非小細胞癌

  • I-IIIA期:手術適応

小細胞癌

  • I-II期:手術適応。術前・術後に化学療法を追加することが多い。 (SSUR.349)
  • IIIA期以上は手術適応なし。化学療法(あるいは放射線療法との併用)の適応。 (SSUR.349)

非小細胞癌

  • III期の化学放射線療法
  • 化学療法のレジメン (参考4)
CP療法:シスプラチンパクリタキセル
CD療法:シスプラチンドセタキセル
CV療法:シスプラチンビンクリスチン
  • 放射線療法の線量:通常分割照射法(1日1回1.8-2Gy週5回法)で、最低合計線量60Gyとする。(参考4)
  • IV期の化学療法 (参考5)
  • ECOGのPSによって治療の選択肢が多少異なる。PS0-2では通常の抗悪性腫瘍薬が使用できるが、PS3-4では使用が推奨されない。
  • EGFR遺伝子変異陽性例であればゲフィチニブは使用できるが、陰性例では使用できない。

分子標的薬

小細胞癌

  • 薬物療法
  • PEとPIの有意差無し。日本ではPI療法がよく使われている。
PE療法シスプラチンエトポシド(VP-16, トポイソメラーゼを阻害)
PI療法シスプラチンイリノテカン(CPT-11, トポイソメラーゼを阻害)
AMRアムルビシン

転移

他臓器への転移

  • 肺、脳、骨、肝臓、副腎

他臓器からの転移(転移性肺癌)

  • 癌腫:結腸、直腸癌(大腸癌)、乳癌、頭頚部腫瘍(扁平上皮癌)、腎癌、精巣腫瘍、甲状腺癌、胃癌
  • 肉腫:骨肉腫

予後

参考1

第50回日本呼吸器学会学術講演会
肺癌登録合同委員会による報告。
全国から18552人が登録、予後が把握できた14695人について解析。

年生存率

  生存率(%)
1年生存率 73
2年生存率 59
3年生存率 51
4年生存率 47
5年生存率 44

臨床病期別5年生存率

  5年生存率(%)
IA期 79
IB期 56
IIA期 47
IIB期 42
IIIA期 29
IIIB期 16
IV 期 6


SSUR.350

日本で1999年に切除された13344例。日本は胃癌学会と日本呼吸器外科学会の合同調査報告

5年生存率

  5年生存率(%)
臨床病期 病理病期
IA期 77 83.3
IB期 60.1 66.4
IIA期 53.8 60.1
IIB期 43.6 47.2
IIIA期 38 32.8
IIIB期 33.6 30.4
IV 期 27 23.4

組織別

  • 予後:(良好)腺癌 > 扁平上皮癌 > 大細胞癌 > 小細胞癌 > 腺扁平上皮癌

参考2

  • 非小細胞癌 NSCLC:stage IAで平均生存期間59ヶ月、stage IVでは4ヶ月
  • 小細胞癌 SCLC:limited stage diseaseで平均生存期間は15-20ヶ月で5年生存率は10-13%、extended stage diseaseでは平均生存期間は8-13ヶ月で5年生存率は1-2%

予後因子

SPU.332

宿主因子

  • PS、性別、体重、年齢

腫瘍細胞因子

  • 病期

肺CTスクリーニングの基準

  • コーヒーを飲んでいない事


参考

  • 1. 予後
http://pulmonary.exblog.jp/12548030/
  • 2. [charged] Overview of the initial evaluation, treatment and prognosis of lung cancer - uptodate [1]
  • 3. New TNM Classification for Lung Cancer - Part I: The changes
http://www.doctorslounge.com/index.php/articles/page/340
  • 4. 肺癌診療ガイドライン(2010年版) 2010.10.21【非小細胞肺癌】肺尖小部胸壁浸潤、Ⅲ期非小細胞肺癌・切除不能例
http://www.haigan.gr.jp/uploads/photos/322.pdf
  • 5. 肺癌診療ガイドライン(2010年版) 2010.10.21【非小細胞肺癌】Ⅳ期未治療非小細胞肺がん
http://www.haigan.gr.jp/uploads/photos/323.pdf

肺癌診療ガイドライン(2010年版) - 日本肺癌学会

http://www.haigan.gr.jp/modules/guideline/index.php?content_id=3
  • 集団検診
  • 1. 肺癌集団検診ガイドライン
  • 初期評価、診断
  • 2. 肺癌の診断(危険因子と臨床症状、検出方法)
  • 3. 確定診断
  • 4. 肺癌の病理・細胞診断
  • 非小細胞肺癌
  • 5. 肺尖小部胸壁浸潤、III期非小細胞肺癌・切除不能例
  • 6. IV期未治療非小細胞肺がん
  • 7. IV期非小細胞肺がんの2次治療以降
  • 小細胞肺癌
  • 8. 小細胞肺癌(LD,PCI)
  • 9. 進展型小細胞肺がん
  • 10. 再発小細胞肺がん