大動脈弁閉鎖不全症
- 日本では、英語表記ではaortic regurgitation AR、日本語表記では「大動脈弁閉鎖不全症」とするのが一般的?
- 同
- 大動脈弁閉鎖不全症 大動脈弁閉鎖不全 aortic valve insufficiency, AI
- 同
- 大動脈弁逆流症 大動脈弁逆流 aortic regurgitation AR, aortic valve regurgitation
- 関
- 弁膜症
概念
- 大動脈弁の閉鎖不全により、拡張期に大動脈の血液が左心室に逆流する病態。
- 左室の容量負荷が特徴
身体所見
聴診
- 心音:S1↑, S2?, S3?,S4?
- 参考6
- S1:soft
- S2:variable
- A2:soft~absent
- P2:normal
- S3:左心機能が落ちれば聴取される
- 心雑音
- 拡張期逆流性雑音 = 拡張期灌水様雑音 = blowing murmur in early diastole along the left sternal border
- 最強点:3LSB。
- 持続時間:軽症・急性型では持続時間は短い。
- 音量は一定かだんだん小さくなる(decrescendo)
- 重症度と音量は相関しないが、雑音の持続時間は参考になる。軽症では拡張期の初期にのみ吹くような(blowing)音が聴取される。重症になるにつれだんだん伸びていき、しまいには拡張期全体に聴取されるようになり、音は粗な音である(rougher)。
(参考6)
:::持続時間は重症度を反映しないが、軽度ARでは持続時間は短い(なぜ?)。また急性ARでも短いが、これは拡張期にすぐに大動脈と左心室の圧が均衡するからである(圧較差が小さいということか?)。(up2date)
- Austin Flint murmur:拡張期中期に低音を心尖で聴取。拡張期に大動脈弁から逆流してくる血液の乱流により、僧帽弁前尖が下方に押し下げられMS様の雑音を生じる。Austin Flint雑音はMSと違ってopening snapがなく、収縮期前期の雑音の増強がない。(PHD.214)
特徴的な身体所見 PHD.215
| 二峰性脈 | bisferiens pulse | 頚動脈や腕頭動脈で収縮期に二峰性の脈を感じる |
| コリガン脈 | Corrigan pulse | 著しく膨張し虚脱する脈 |
| ミュッセ徴候 | de Musset sign | 収縮期に頭が上下に動く |
| デュロジェ雑音 | Duroziez sign | 大腿動脈を軽く押さえると往復雑音が聴取される |
| ヒル徴候 | Hill sign | 収縮期の膝窩動脈圧が上腕動脈圧よりも60mmHg高い |
| ミュラー徴候 | Muller sign | uvulaの収縮期のは駆動 |
| クインケ徴候 | Quincke sign | 口唇や近位爪床で毛細血管の拍動が見える |
| トラウベ徴候 | Traube sign | Pistol-shot音が大腿動脈で聴取される |
- 末梢の症状にトラウベ徴候、デュロジェ雑音、コリガン脈(water hammer pulse)があるが、これらは慢性ARでは特徴的だが、急性ARではほとんど見られない。急性ARではstroke volume and diastolic filling volumeが増えないためである(uptodate)
検査
心エコー
- 拡張期僧帽弁前尖のfluttering → 大動脈弁からの逆流により僧帽弁前尖が狭窄し機能的に僧帽弁狭窄症 → オースチン・フリント雑音
治療
外科治療
- 重症ARでありかつ症状がある場合 → 手術推奨
- 重症ARでありかつ症状が無い場合
- 左室機能低下(LVEF<50%)している場合 → 手術推奨
- 左室機能正常の場合
- 収縮終期左室径 LVESd>45mm の場合 → 手術推奨
- 収縮終期左室径 LVESd≦45mm の場合
- 拡張終期左室径 LVEDd>65mm の場合 → 手術推奨
- 拡張終期左室径 LVEDd≦65mm の場合
- 収縮終期左室径指数 >25mm/m^2 の場合 → 手術推奨
内科治療
- 非手術適応
- 重症AR
- 目標:降圧(sBP<140mmHg)
- CCB, ACE-I/ARB
- β blockerは一回拍出量の増加に繋がり、sBPを上昇させうるのて好ましくない。
- 中等症AR
- 内科的治療による予後改善効果におけるデータはない
- 手術適応
- 重症AR
- ACE-I/ARB
参考
- 1. mayoclinic
<click2in>http://www.mayoclinic.com/health/aortic-valve-regurgitation/ds00419</click2in>
- 2. virtualmedicalcentre
<click2in>http://www.virtualmedicalcentre.com/diseases.asp?did=7</click2in>
- 3. heart-valve-surgery
<click2in>http://www.heart-valve-surgery.com/aortic-valve-regurgitation-symptoms.php</click2in>
- 4. AHA americanheart
<click2in>http://www.americanheart.org/presenter.jhtml?identifier=4448</click2in>
- 5. patient.co.uk
<click2in>http://www.patient.co.uk/health/Aortic-Regurgitation.htm</click2in>
- 6. [charged] Pathophysiology and clinical features of chronic aortic regurgitation in adults - uptodate [1]
ガイドライン
- 1. 弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2007年改訂版)
- <click2in>http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2007_matsuda_h.pdf</click2in>
- 2. 2020 年改訂版弁膜症治療のガイドライン
- <click2in>https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Izumi_Eishi.pdf</click2in>